あけましておめでとうございます。とはいえ、年頭の天災や大事故で、この言葉を口にするのもためらわれるような日々が続いています。

旧年中はお世話になりました。

本年もよろしくお願いいたします。


2023年の昨年一年間にアップロードされた記事で、全アクセス数の中に占める割合が高いものをリストアップしました。81件のうち、この10件で35.5%です。思った以上に分散しています。

昨年は、全体に対するマンガの割合が27/81=1/3でした。しかし、Top 10のうち7作品がマンガであったことには驚きました。

以下、マンガのシリーズ作品では、最もアクセスが多い巻のアクセス数で、その作品を代表させました。

9 日本の今、警察の今 — 長沢 樹 著 『アンリバーシブル』        1.7 %
双子で見分けがつかないという事実を利用した捜査手法にスポットが当たっていますが、移民、動画配信その他、今考えておかなければならない様々な問題が描かれています。

 

 

9 予兆  — ゆうき まさみ著 『新九郎、奔る!(14)』        1.7 %
北条早雲の一代記ですが、ほとんどそれは意識されません。それよりもあまり舞台にされることがない室町時代を背景にした、青年伊勢新九郎を主人公とする時代劇というイメージです。合戦場面はほとんどありませんが、場面場面の危機的状況の描き方が、大変巧みだと思います。

 

 

8 決勝‼  — 恵本 裕子,小林 まこと 著『JJM女子柔道部物語 ⑮』    2.2 %
女子柔道草創期の物語です。この巻で、高校の部は完結です。実在の選手がモデルになっているようですが、名前を変えているためもあってか、相当自由(⁉)にデフォルメされているようで、楽しさ満載です。

 

 

6 なぜ? — 青山 文平 著『半席』                    2.3 %
「なぜ?」を問うミステリの連作短編集として出色の出来だと思います。同時に、身分のあやふやさを通じて、自分が何者であるかを問う成長小説でもあります。私は、なにより成長小説として気に入りました。

 

      
6  闇は深まる — 荒川 弘 著 『黄泉のツガイ 3』            2.3 %
『鋼の錬金術師』を継ぐ、骨格の太いSFファンタジーであると思います。未だ全容を見るにはほど遠く、今はせいぜい作者の張る伏線に注意するくらいでしょう。

 

 

5 なぜガンプラ? — ゆきもり、ロドリゲス井之助 著 
         『ガンプラはなぜ37年も売れ続けているのか?』    2.8 %
様々な形でのガンダムの成立史を知ろうとするのも、ガンダム趣味なのでしょう。ガンプラなど、読んで、作って、眺めて、集めて、と愉しみ方も色々で、挙句の果ては、このような本も熟読したくなるのだと思います。

 

 

4 正解とは? — 早見 和真 著 『あの夏の正解』            3.8 %
著者は強豪校の野球部出身です。地理的に離れた強豪校2校の監督と部員への密着取材の結果が本書です。著者と取材対象の組み合わせが絶妙で、あまり聞けない本音が出ているように思いました。
高校野球のすばらしさとグロテスクなところが満載です。特に、コロナという特殊な状況下では、なおさら体質が露わになっていたと思います。
さすがに高校野球に興味がある人は多いようで、掲載直後にアクセスが集中しました。

 

 

3 ふきだしの海 — 松木 いっか 著『日本三國 聖夷西征』 - 4   5.9 %
近未来の並行世界の日本の三国志、といったところでしょうか。横山光輝のマンガ版『三国志』を踏まえているところなど思わず笑ってしまいます。「三国志」を踏まえてはいますが、キャラクターはそれぞれ独特で楽しめます。
やはり、三国志は人気があるようです。

 

 

1 今、此処 — 原作 濱田轟天 漫画 瀬下猛 『平和の国の島崎へ①』    6.4 %
国際テロ組織に突然拉致されて、破壊工作員として育てられた主人公。組織を脱走し、日本に隠れ住みます。超一流の破壊工作員となってしまった故に、組織に狙われるのみならず、平和な国日本の社会と軋轢を引き起こさざるを得なくなります。社会が、真に守っているものは何なのか、考えるべき問題です。

 

 

1 思いの行方 — 石黒 正数 著 『天国大魔境 4』            6.4 %
近未来の、瓦礫と化した日本と「学校」というテクノロジーの粋を結集した場所。二つの場所がどんな関係があるか、という謎。
女の体に手術によって埋め込まれた男の脳を持つ主人公。男と女の境界が揺れ動きます。あるいは、自分が何に変わっていくのかもわからない恐怖に慄(おのの)く者。
二人の同じ顔を持った少年が出会う時……。
謎が謎を呼ぶ展開ですが、男と女というものも含めて、人間とは何か、が最大の謎となっていると思います。
ずいぶん前から石黒正数は気になっていましたが、この作品が集大成、でしょう。

 

 

 

以上Top 10ですが、少し毛色の変わった作品を、もうひとつだけ挙げておきたいと思います。
11 考える⁉  — 中井 久夫著 『臨床瑣談』                1.6 %
丸山ワクチンというものを知っているべきだということもありますが、どうして、そう考え、どのように扱うのか、というプロセスを知ることが、人としての力になっていくと思います。