秋は実りの季節です。

その昔、

日本は瑞穂国といい、

稲作を中心に栄えてきました。

春に蒔かれた籾は苗床で成長し、

田植えによって広々とした水田に移植され、

梅雨の雨や夏の強い日差しを受けて伸び栄え、

やがて秋に実るのです。

米作りは、

八十八もの手間がかけられたことから、

「八」「十」「八」を組み合わせた文字が

「米」になったという説もあります。

戦後の食糧難時代に生まれたAさんは、

稲作農家に育ちながら、

米を思う存分に食べさせてもらえませんでした。

当時の農家は「米は売るもの」で、

自らはサツマイモや麦を混ぜて食べ、

米は必要最小限の脇役でした。

Aさんが小学生だった時、

学校で食べた弁当箱を持ち帰り台所に置いたところ、

洗い始めた母親に

「ご飯が一粒残っている!」と、

大変に叱られました。

それからは外食も駅弁のご飯も一粒残さず食べ、

今も習慣になっているとのことです。

米に限らず、

野菜、

果物などすべての食べ物には命があります。

その命をいただく人間が、

「いただきます」と

感謝して食べるのは当然の行為でしょう。

ふだん私たちは、

言葉を発したり、

文字に書いたりして、

自分の意志や感情や教えを他人に伝えています。

時代によって新しい言葉も生まれますが、

多くの言葉は長い歴史の中で育まれてきたもので、

それだけに重みがあり、伝統があります。

一方で、

私たちは言葉によって、

自分の考えや感情や情緒を形成していきます。

言葉を知り、

使うことによって、

私たちは人間になるといってもよいでしょう。

言葉は、

自分の生活や生き方を変えるとともに、

人の生活や生き方を変える力を持っています。

感謝や思いやりの言葉は、

人の心を豊かにし、

自分の心も豊かにします。

鼓舞する言葉は、

人を勇気づけるとともに、

自分をも力づけます。

言葉は、

私たちの心を善いほうへ導く力を持っています。

敬いの言葉、励ます言葉、

希望の言葉など、

心を豊かにする言葉によって

職場や家庭を明るくしていきたいものです。

昨今、

人と人との関係が希薄になってきていると言われます。

ともすると、

人間関係の煩わしさを避けるような傾向があります。

しかしながら、

誰とも接触せずに、

一人ぼっちのままで、

孤独に耐えられるほど、

人間は強くはありません。

「人間」という漢字も、

「人」という字も、

他者とのつながりを意味しています。

人間関係の中で意外に大切なのは、

近所づきあいではないでしょうか。

「遠くの親戚より近くの他人」といいます。

何か困ったことが起きた時、

すぐに駆けつけ、

力になってくれる

近所の人たちの存在は心強いものです。

日頃からの近所づきあいが、

いざという時の防犯や

非常事態の際にも応援団になってくれるのです。

同様のことは、

地域の一員である企業にもいえます。

東日本大震災以降、

災害対策上からも地元の住民や

他企業との協調が求められています。

地域との共生を念頭に、

職務に取り組みたいものです。

物事が計画通りに進み、

順風満帆であれば、

これほど楽なことはありません。

しかし今は順調でも、

今後何が起きるかは、

誰も予測することはできません。

だからといって先々を心配したり、

憂えたりする必要はまったくありません。

では、

日頃からどのような心構えでいればよいのでしょうか。

作家の池宮彰一郎氏は、

著書『平家』の中で、

武士としての本分を次のように記しています。

「武士たる本分は常在戦場。

常に戦場に在るの心掛けを持つことに尽きる。

武士たる者はその機に臨み

変に応ずるの心掛けが無くては適わぬ」

職場はある意味では戦場です。

「慣れ」や

「気の緩み」が思わぬ問題を引き起こします。

その戦場で働く者として、

「常に真剣勝負の場にいる」との自覚と、

「どのような状況の変化にも機敏に対応する」

という柔軟さが必要です。

働ける現状への感謝と、

仲間と共に創り上げていく喜びを、

ひと時も忘れることなく、

凛とした心持ちで日々の仕事に取り組んでいきましょう。
接客の基本的な形は、

まず顧客を迎える挨拶から始まります。

顧客の要望を正確に聞き、

サービス・

商品を提供してその対価であるお金を頂戴し、

最後にお見送りの挨拶で終わります。

この一連の対応は必要最低限のものであり、

いずれも大事なことですが、

これはあくまでも接客する側の手順です。

重要なのは、

その接客により顧客が受ける印象の善し悪しでしょう。

雑誌『暮らしの手帖』編集長の松浦弥太郎氏は、

「自分が関わった働きが人の心にじんわりと沈み、

いくばくかの感動を人に与え、

いつまでもその感動が

心の底に残るようなものであって欲しい」

と述べています。

「いいお店だった」

という顧客の反応の裏には、

その店の商品の良さとともに、

顧客の心に響く何かを必ず備えているものです。

それは、

顧客の視点に立って生まれた知恵であり、

絶妙な心遣いから生まれたものかもしれません。

人に喜びと感動を与える接客を目指して、

知恵を出し合ってみたいものです。