秋は実りの季節です。

その昔、

日本は瑞穂国といい、

稲作を中心に栄えてきました。

春に蒔かれた籾は苗床で成長し、

田植えによって広々とした水田に移植され、

梅雨の雨や夏の強い日差しを受けて伸び栄え、

やがて秋に実るのです。

米作りは、

八十八もの手間がかけられたことから、

「八」「十」「八」を組み合わせた文字が

「米」になったという説もあります。

戦後の食糧難時代に生まれたAさんは、

稲作農家に育ちながら、

米を思う存分に食べさせてもらえませんでした。

当時の農家は「米は売るもの」で、

自らはサツマイモや麦を混ぜて食べ、

米は必要最小限の脇役でした。

Aさんが小学生だった時、

学校で食べた弁当箱を持ち帰り台所に置いたところ、

洗い始めた母親に

「ご飯が一粒残っている!」と、

大変に叱られました。

それからは外食も駅弁のご飯も一粒残さず食べ、

今も習慣になっているとのことです。

米に限らず、

野菜、

果物などすべての食べ物には命があります。

その命をいただく人間が、

「いただきます」と

感謝して食べるのは当然の行為でしょう。