Nさんは、

千人規模のホールで開催されるシンポジウムの、

会場案内係を担当することになりました。

多くの人が来場するため、

会場の入口付近から動かずに、

「あちらの席が空いております」

と手で指し示すことにしたのです。

ところがシンポジウム開始という頃、

右往左往して座れないでいる

来場者の姿が目につきました。

Nさんの案内では、

座席位置が伝わらなかったのです。

すかさず別の担当者が

「こちらへどうぞ」と

手を挙げて案内し、

助け舟を出してくれました。

そして何とか定刻に開始

することができたのです。

初めて来場した人が

ほとんどだったことを後で知り、

案内はもっと親切かつ

丁寧にするべきだったと反省したのでした。

この反省からNさんは、

会社内において、

受付やエレベーターなど、

お客様の立場で経路を説明するようにしました。

どのようなお客様に対しても、

最もわかりやすい経路の案内を

するよう心がけたのです。

常にお客様の立場で、

思いやりのあるサービスを提供したいものです。
他人のものは何で

もよく見えるの意で

「隣の芝生は青い」

という諺があります。

他人がやっている仕事は、

自分の仕事よりも簡単で

楽そうに見えるものです。

例えば、

営業マンは内勤の事務を楽そうだと思います。

ところが、

内勤者は

「私たちは上司の下で気を抜く間がないが、

外では自由に息抜きができるからいいな」

と思っている場合もあるのです。

しかし、

どのような仕事も、

実際に行なうとそれぞれに大変で、

相応の苦労があるものです。

仕事に尊卑はなく、

「つまらない仕事」

「重要な仕事」

などと仕事を分別してしまうのは、

自分自身の心なのです。

働く喜びと充実感を味わい、

仕事を積極的に進めるには、

目の前にある仕事を尊び、

そして懸命に働くことです。

加えて、

上司や先輩からの忠告を素直に受け取り、

仕事のポイントを身に付けるのです。

仕事の経験を積み、

顧客との対話や書籍などから

知識を増やす努力を続けていると、

次第に仕事が面白くなっていくものです。

混雑している乗り物の中で、

雨に濡れた傘の扱いには困るものです。

長傘を手に持っていると、

周りの人の服を濡らしかねず、

折りたたみ傘を鞄にしまうと、

鞄の中の書類や用具が濡れてしまうおそれもあります。

ある雨の日、

Cさんはビニール袋に折りたたみ傘をしまい、

電車の座席に座りました。

その際、

向かい側の席に座ろうとしていた

女性に目がいきました。

女性は、

濡れた折りたたみ傘をサッとたたむと、

丈夫そうなカバーに素早く入れました。

その後、

バッグの中からタオルを取り出し、

両隣の男性の鞄についた雨の雫をサッと拭き取り、

「失礼しました」

と笑顔で会釈をしたのです。

一連の動作のスムーズさにCさんは感心し、

爽やかな気持ちになりました。

周りの人にまで気配りのできる女性の行動に、

自分の傘で自分だけが

濡れないようにと注意していたことを

恥ずかしく思いました。

そして日頃、

仕事の忙しさを理由に、

同僚や家族に対しても気配りに

欠けていた自分を思い返したのです。

仕事が思うように進まないE氏は、

気力がまったく高まりません。

最近、身に起こるすべてが楽しくないことばかりだと、

友人に愚痴をこぼしました。

友人は、

「E君はもともと仕事も

勉強もバリバリこなしていただろう。

今の君は、力を出し惜しみしているか、

その出しどころに迷いがあるのではないか」と告げました。

そして、

ある講演会への参加を勧めました。

講演会に出席したE氏が驚いたのは、

講師が呼び出された際に発した

「ハイ」という返事でした。

普段耳にしない、

非常に元気で明るい返事だったのです。

講演後の懇親会の席で、

E氏は講師に「はっきりした返事でしたね」

と声をかけました。

講師は「『ハイ』の返事は、

瞬時に自分の力を出し切る練習になるので、

いざという時のために、

いつも練習をしています」と答えたのです。

自身を振り返ったE氏は、

仕事でも家庭でも、

何十年も元気な返事を

していなかったなと思い至りました。

名前を呼ばれたら元気な

返事をしようと決めたE氏は、

「ハイ」の返事に磨きをかけています。

業務を遂行する上で、

「やったつもり」

「わかっているつもり」など、

いつの間にか

「つもり」

に陥っていることはないでしょうか。

例えば、

何か作業をしながらの挨拶は、

「挨拶しているつもり」です。

その挨拶には心が伴わず、

相手には本当の挨拶としては届かないでしょう。

資料を送ったにもかかわらず、

相手先から

「届いていない」とのクレームがあった場合、

これは「送ったつもり」

になっていたといえるでしょう。

「言われなくてもわかっている」と言う人ほど、

十分な注意が必要です。

同じ過ちを犯す人は、

「わかったつもり病」に

罹ってしまっているのです。

同時に二つの業務を進めている場合、

一方の仕事は意識して取り組めても、

気が緩んだ瞬間に、

もう一方の仕事は

「つもり」になってしまいがちです。

「つもり病」を予防するには、

常にスタートを振り返ることが重要です。

その時の仕事の優先順位を確認しつつ、

「今の自分は順位に即して仕事を遂行しているだろうか」と

自己判定する時間を作りたいものです。