水いぼ治療、私の考えかた | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

 

■てしまクリニック 10月の診療について

臨時休診日

10/12()10/14() 学会出席のため休診いたします。


手島院長休診日

10/1()午前

10/17()午前

非常勤医師(形成外科医)の診療となります。


●スタッフの人員不足のため、次の日程において受付人数の上限を設定させていただきます。

10/4(午後

10/6(午後

10/11(午後

10/18(午後

10/20(午後

10/25(午後

上記の日程では、受付人数が上限に達した場合、時間内であっても受付を終了いたします。


ご不便をおかけし申し訳ありませんが、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

 

こんにちは。

 

もものマークのクリニック 院長てしまですもも

 

少々季節外れではありますが

本日は『水いぼ』についてのお話です。


新型コロナ禍初期の2020〜2021年は、保育園や幼稚園、小中学校だけでなく習い事なども含め、こども達の集団活動は総じて自粛傾向が続きました。


新型コロナ自体は大変感染力が強く、それでもなかなか感染拡大のコントロールがつきにくい、困った病気ですが、接触の機会が減ることで、明らかに患者さんの数が減った病気もあります。


『水いぼ』もそのひとつ。


水遊びや水泳の授業の実施が控えられていたり、スイミングスクールも長期休業していたりで『水いぼ』が問題になる機会が減っていたのも、来院減の理由かもしれません。


今年の夏は、それらの活動制限がだいぶ緩和されていたためか、水いぼで受診される親子さんが増えた気がします。


当院では、水いぼ除去の治療は必要に応じて行なっています。


この『必要に応じて』の判断が少々難しいところなのですが、以前ブログにまとめた私のスタンスは、今でも変わりがないので、改めて再掲させていただきます(言い回しなど、多少の訂正は加えました)。


以下過去記事です。

下差し下差し下差し


水いぼ連載4記事目。

ここまでの記事はこちら→


結局のところ私がお伝えしたいのは

水いぼで、そこまで神経質になること、ないよ

という点に尽きます。


ガチンコな治療指針を定めること自体
このたいした事ない病気にはふさわしくない響きすらあります。

 

とは言え、医者である私は
迷える羊の親子を迎え入れる立場なので

2016年8月現在のスタンスを表明しておきます。


まず、かゆみもなく、本人も親御さんもそれほど気にしていない場合。

 

水いぼというものの性質について説明するにとどめ
あえて取りにかかることはしません。

様子を見ていく中で、心配事が生じたら相談に来ていいですよ

の一言は常に添えておきます。

 


次に、かゆみがあり、かきむしってどんどん水いぼも増えてしまっている場合。

 

これは、ご家族の希望があれば取る方針です。

特に、基礎疾患にアトピー性皮膚炎がある患者さんは、肌のバリア機能が低いことが多く、
かゆみのコントロールのために使用しているステロイドの影響で、ウイルスに対する免疫も成立しにくいため
早めに治療を開始して、いぼの数を出来るだけ増やさないようにと考えています。

 

そうそう、もう一つ、積極的に取る場合がありました。


本人が「目立つし嫌だから取ってほしい」という場合。


すごく少ないながらもたまにあります。小学校上がったあとの女の子に多いかな?
やはり、見た目が気になるお年頃なのでしょうね。

 

もちろん取ると決めた場合でも、
余り本人が負担を感じないよう、麻酔のテープを使ったり
一度にあんまり頑張って取らないようにしたり等の工夫は必要です。


ここまでは、判断にそれほど困らないパターン。

 

一方、日常診療に於いて、ううーむ、となるのがこちら。

 

本人なんの症状も無くて、
アトピー性皮膚炎などの素因も無くて、
全然取りたいとも思っていないのに

親が
「取っちゃってください!!」
という場合。

 

もちろん、水いぼの性質を知らずに「取らねば!」と信じていることも多いので
まずは病態の説明をいたします。

 

しかしそれを聞いた上でまだ

 

「でも保育園(幼稚園、スイミングスクール)で取れといわれたので」
「お友達の親御さんの目もあるので」

 

と、『大人の事情』で除去を希望されることは

決して少なくありません。

 

こういう場合、私が全例でお断りしているかというと
そんなことも無いのです。

 

まずは、麻酔のテープを貼って、少数取ってみます。

すると、絵本を眺めながら、鼻歌交じりに処置を受けられることも結構あるのです。

 

たまに終わってから「ホントは結構痛かった」とカミングアウトされることもあり

 

先生やおかあさんのためにガマンしてくれたの?
ゴメン気が付かなくて
あせるあせる

 

なんて、私が謝ることもあります。


しかし

小範囲取るだけでも泣き叫び、暴れて嫌がるお子さんには
決して無理強いしません。

 

最初は大丈夫でも、数回立て続けに処置を受けてから堪忍袋の緒が切れるお子さんもいます。


処置が難しい状況になったら

 

はい、これで終わり。
よく頑張ったね。

しばらく水いぼ治療はお休みにしようね。

 

と、リタイヤすることも珍しくありません。


我慢ができないその子が悪い

 

とは、これっぽっちも思っていません。

 

だって、押さえつけられて処置されるなんて、嫌だし怖いに決まっています。
麻酔で痛みは取れても、恐怖心は取れません。


医学的に必要性が低いのに
いたずらに恐怖心を植え付けて

何の良いことがあろうか

と、私は思うのです。

 

水いぼ治療のせいで医者嫌いになったら
いざという時に困るのはお子さんと、親御さんなのですよ。

 

だから、親御さんお願いです。

 

「何でガマンできないの!?
おうちでは『水いぼ取りたい』って言ったじゃない!
『ガマンできる』って言ったじゃない!」

と、小さいお子さんを責めないで。


おうちで頭を縦に振った、そのときの気持ちに嘘はないのです。

親御さんの「水いぼをサッサと何とかしたい」という思いは、こどもに伝わります。

それになんとか応えようと勇気を出して「うん」と言ったのだろうと、私は思います。

 

でも、病院に来たら、怖くなっちゃったんだよね。
痛かったこと、思いだしちゃったんだよね。

仕方ないと、先生は思うよ。

 

「水いぼなんて、本人がすごくしんどい思いをしてまで治療するもんじゃない。」

というのが私のスタンス。

 

それを、親御さんにも理解して頂けたら嬉しいです。


そして、保育園、幼稚園、スイミングスクール関係者の方々

 

あなた方が深く考えずに

「水いぼ取ってきてください」

と要求することで

どれだけ多くの親御さんが無駄に悩み

お子さんが不必要に痛い思いをしているか

 

その事実にいま一度目を向けてください。

 

それが一介の町医者の、心からの願いです。


上差し上差し上差し

過去記事ここまで。