上海少年/長野 まゆみ | mokkoの現実逃避ブログ

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現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

 

文 庫:224ページ
発売日:1999/3/19

今日も波止場に大陸からの引揚船が着く。
睦は独りそれを待っていた。
あの海の向こうの都市で過ごした、失われた幸福な日々。
生き別れになってしまった兄と阿媽(アマ)のことを
想いながら―。
そして、港町の一角に出来た華人の市場で、彼は
懐かしい上海から来たという、不思議な男に出会う…。
過ぎ去った時代に生きる、少年たちの姿を
詩情豊かに描く作品集。
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5つの短編集です。
大正ロマンや昭和初期の何とも言えない感じを描いた作品。
書店に漂うインクのニオイじゃなくて、古書店の
ちょっと霞んで、すえたニオイって感じでしょうか。

「雪鹿子  ゆきかのこ」
故人である逸子の夫。
未亡人の逸子を訪ねた従兄の三沢は
想いを告げられなかったことを悔やんでいる。
野良猫のようにふらりと逸子を訪ねる男子学生。
病で死んだ姉の影を逸子に見る少年。
微妙なバランスの四角関係。
ラストシーンが2.26事件の朝って・・・

「上海少年  しゃんはいしょうねん」
上海に戦争に行った兄を待ち続ける睦は、預けられた家では
厄介者扱いされ、小間使いのような事もさせられるのだが
その家の娘に、兄は殺されたと聞かされ・・・

「満天星  まんてんせい」
友達と競争するように寸借詐欺を重ねる少年。
今日こそは友達に勝つと気合いを入れて、騙そうと
近づいた中年女性は、母親だと名乗り・・・?
しかしやっていることは、母親とは思えない淫靡な感じで
ラストはちょっと・・・嫌かもしれない。

「幕間  まくあい」
演出家の父を訪ねてきた少年。
父の舞台で彼と共演する事になったのだが、
彼とは異父姉弟で,台本にはキスシーンがあって・・・

少年の祖母の作戦が恐ろしい・・・

「白昼堂々  はくちゅうどうどう」
まさかここで白昼堂々と出会うとは!
mokko初BL作品ですよ。

最初は、全然気づいてなくって、「そこは抵抗するだろ!」
とか普通に思ったりもしたんだけど、
長野作品の少年って、自分に対して投げやりだったり
するよねぇ~と思ってもみたり(^◇^;)

背景が茶華道の世界で純和風。
主人公の凜一は宗家の跡取りの上に体が弱い。
更に祖母が厳しいという設定。

大切な試験当日に熱を出した凜一に代わって
背格好から顔まで似ている従妹が、自慢の長い髪を
バッサリ切って替え玉で試験を受けた。
ハイッ!出ました。気が強くて有無を言わせない女。

寝込んでいる間に終わった事とは言え、凜一としては
弱みを握られた事で逆らえない状態となってしまい
逆に取引を持ち掛けられるのだが・・・ 

違和感なく、サクっと入ったんだけど、
普通に切なくて、後に凜一シリーズとして独立する
作品の、ほんのさわりの部分です。

そういえば、こんな出だしだったなぁ~と(^◇^;)
純和風の世界観に嵌ってましたねぇ。
やたらと花を買って生けてみたり、
和菓子とか買ってました(^◇^;) ←すぐ影響される!

シリーズは全4巻。↓クリックレビュー
「白昼堂々」 「碧空」 「彼等」 「若葉のころ」

薄いのですぐ読めると思いますが、抵抗のある人は
無理しない方がいいと思います。
mokkoは長野作品は、超ファンタジーが好きなんですけど
時々、こういうBLトラップがあるから危ない(^◇^;)
凜一シリーズは良かったですけどね。

本当に小物使いが上手くって、言葉が美しいのですよ。

(゚O゚;アッ!・・・暴走してました!ヾ(;´▽`A``アセアセ

大正時代から昭和初期くらいまで?を舞台に
どこか気だるくて、どこか奔放で官能的で、
長野さん的な漢字の使い方が物凄く絶妙。
ふられたルビを見ると、ドキドキします。

狡猾さやしたたかさや執着を強調しないように
仕込んでいることで、女のアクセントとしての位置を
強調して、翻弄される少年達が更に儚く見えるという
まんまとやられた感が大きいかもです(^◇^;)
 

 

 

 

 

リンク切れがありすぎて、焦りました。

元々メインのブログを間違って削除して

そのまま放置してました。

少しずつでも、埋めていかないと・・・

凜一シリーズも、この為に慌ててリンク直しました(;^_^A