腎性貧血を治療する低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬は、国内で5種類販売されている。
承認された順番に、
ロキサデュスタット(エベレンゾ):アステラス製薬
パダデュスタット(バクセオ):田辺三菱製薬
タブロデュスタット(ダーブロック):グラクソ・スミスクライン-協和キリン
エナロデュスタット(エナロイ):日本たばこ産業-鳥居薬品
モリデュスタット(マスーレッド):バイエル薬品
()内は、商品名。
低酸素誘導因子(HIF)は、体内の低酸素状態に対する防御機能を担う転写因子で、赤血球の産生を促すエリスロポエチン(EPO)や血管新生を促す血管内皮増殖因子(VEGF)などの発現制御を介して、臓器への酸素供給を亢進する作用がある。
HIFの量は、酸素依存的に作用するHIF-PHによって調節されていて、正常な酸素濃度下ではHIFは分解されてしまう。
したがって、HIF-PH阻害薬は、HIF-PHを阻害することによって、HIFの活性を維持し、正常な酸素濃度下でもEPO産生の促進をはじめとする低酸素応答を誘導することができる。
ちなみに、HIF-PH阻害薬の開発のもとになった低酸素応答機能の解明には、2019年のノーベル生理学・医学賞が授与された。
日経メディカルが行った医師へのアンケートで使用頻度が高かったのは、ダーブロックだった。
さすが腎領域に強い協和キリンということかな。
ただ、自社開発じゃないんだよね。
最近、日本透析医会の記事の引用が多い気がする。(汗)
ということで、今回も透析医会に掲載された論文、『抗体カクテル療法を施行したSARS-CoV-2感染血液透析患者の一例』から。(詳細は、こちら。)
透析患者は、慢性腎臓病、高齢、高血圧、2型糖尿病、心疾患、脳血管障害といった重症化リスク因子を高頻度に持っている。
新型コロナウイルス感染症に対する治療薬としてレムデシビルがあるが、添付文書では重度の腎機能障害の患者投与は推奨しないとある。(毎週発表されてる透析医会の資料では、レムデシビルは、203/2208=9.2%の患者さんに使用されている。)
したがって、中等度以下の治療ではデキサメタゾンと抗凝固療法の治療が主だったが、7月19日に抗体カクテル療法が特例承認された。
ただ、今までに血液透析患者に対する使用報告がなかったので、今回報告されたようだ。
患者さんは、40代後半の男性で、発症後3日目に入院となった。
抗体カクテル療法の使用基準である、発症7日以内で、酸素飽和度93%以上、腎機能障害、高血圧、2型糖尿病と重症化リスク因子があるを満たしていたので、入院日に透析を行い、透析中に抗体カクテル療法を行った。
投与日の夜間に40℃の発熱があったが、発症後5日後には37℃に解熱し、発症後11日後に退院した。(入院期間は9日間)
抗体カクテル療法に使用している2つの抗体の分子量は、それぞれカシリビマブが148,000、イムデビマブが147,000であるので、透析で除去されないとして、透析中に投与したようだ。
透析患者の入院がすぐにできない状況になりつつあるので、今後、抗体カクテル療法による治療が透析クリニックで行われることがあるかもしれない。
今年の1月に京都市にある洛和会東寺南病院で80代の男性患者が透析を受けた際、血液が別の管に入って大量に流出し、死に至ったようだ。
流出を防ぐための器具が緩んだ状態で透析を始め、警報が鳴ったが、警報を切って作業を続け、その後、2回血圧測定を促す警報が鳴ったが、患者さんの顔色を確認しただけで異常がないと判断したようだ。
透析の機械が悪いというより、警報を無視したナースさんがダメでしょ。
恐らくこの病院では、無視することが常態化してたはず。
でも、洛和会と言えば、NHKの人気番組『総合診療医 ドクターG』によく出ていた病院である。
ま、番組に出てたのは、洛和会音羽病院の医師だったけど。




