最近、日本透析医会の記事の引用が多い気がする。(汗)

 

ということで、今回も透析医会に掲載された論文、『抗体カクテル療法を施行したSARS-CoV-2感染血液透析患者の一例』から。(詳細は、こちら。)

 

透析患者は、慢性腎臓病、高齢、高血圧、2型糖尿病、心疾患、脳血管障害といった重症化リスク因子を高頻度に持っている。

新型コロナウイルス感染症に対する治療薬としてレムデシビルがあるが、添付文書では重度の腎機能障害の患者投与は推奨しないとある。(毎週発表されてる透析医会の資料では、レムデシビルは、203/2208=9.2%の患者さんに使用されている。)

 

したがって、中等度以下の治療ではデキサメタゾンと抗凝固療法の治療が主だったが、7月19日に抗体カクテル療法が特例承認された。

ただ、今までに血液透析患者に対する使用報告がなかったので、今回報告されたようだ。

 

患者さんは、40代後半の男性で、発症後3日目に入院となった。

抗体カクテル療法の使用基準である、発症7日以内で、酸素飽和度93%以上、腎機能障害、高血圧、2型糖尿病と重症化リスク因子があるを満たしていたので、入院日に透析を行い、透析中に抗体カクテル療法を行った。

 

投与日の夜間に40℃の発熱があったが、発症後5日後には37℃に解熱し、発症後11日後に退院した。(入院期間は9日間)

 

抗体カクテル療法に使用している2つの抗体の分子量は、それぞれカシリビマブが148,000、イムデビマブが147,000であるので、透析で除去されないとして、透析中に投与したようだ。

 

透析患者の入院がすぐにできない状況になりつつあるので、今後、抗体カクテル療法による治療が透析クリニックで行われることがあるかもしれない。