東フィル第977回Orc:ファルスタッフ(MWC&カターナ&砂川&須藤&三宅&中島&小堀etc) | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

東京フィルハーモニー交響楽団第977回オーチャード定期演奏会『ファルスタッフ』(演奏会形式) を聴いてきました。

東フィルは同じ時間帯に新国立劇場でジゼルを演奏しているので、別働隊です。コンマスは近藤薫さん。

 

2022年10月23日(日)15時開演 Bunkamura オーチャードホール

ヴェルディ:歌劇『ファルスタッフ』(演奏会形式) G.Verdi:Falstaff

【原作】ウィリアム・シェイクスピア 『ウィンザーの陽気な女房たち』 【台本】アッリーゴ・ボーイト

 

【指揮・演出】チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)Myung-Whun Chung (Honorary Music Director) 【演出補】家田淳 【舞台監督】幸泉浩司

【ファルスタッフ(バリトン)】セバスティアン・カターナ Sebastian Catana 【フォード(バリトン)】須藤慎吾 【フェントン(テノール)】小堀勇介 【カイウス(テノール)】清水徹太郎 【バルドルフォ(テノール)】大槻孝志 【ピストーラ(バス)】加藤宏隆 【アリーチェ(ソプラノ)】砂川涼子 【ナンネッタ(ソプラノ)】三宅理恵 【クイックリー(メゾ・ソプラノ)】中島郁子 【メグ(メゾ・ソプラノ)】向野由美子

【合唱】新国立劇場合唱団



チョン・ミョンフンさん指揮の東フィル演奏会形式のオペラを聴くのは、2018年5月『フィデリオ』、2020年2月『カルメン』に続いて3回目。両方とも超名演で心底感動したので、今回のファルスタッフも期待大。



そして、今回も期待を裏切らない最高のファルスタッフでしたルンルンキラキララブラブ



指揮台の真ん中に「OSTERIA」(居酒屋)と表示されている。その横にテーブルと椅子。オケのチューニングが終わると、上手側からMWCさんが白エプロンに(指揮棒ではなく)箒を持って登場びっくり指揮台を含めてあちこち掃き始めてオケの中まで。オケのみなさんも笑顔で、楽しい雰囲気満点爆笑そう、MWCさんは居酒屋ガーター亭の主人役を兼務していて、OSTERIAの下の表示を「Aperto」(= open)に(ちなみに、第3幕では「Chiuso」(= closed)に変えていたし、フォード亭の場面では、「Casa di Ford」という表示になっていました)にして、さぁ開演ですよスターMWCさんは下手側から登場してきたカターナさんにワインを注いでやり、カターナさんの大きなあくび(と会場からの笑い)と同時に音楽スタート音符


子分のバルドルフォ大槻さんとピストーラ加藤さんは長袖ボーダーのカットソーを着ていて、靴下も同系色で合わせてあった(しかも、大槻さんは靴下も同系色のボーダーソックス!)。もともと学生時代からファッション好きなので、そういう細かいところまで凝った衣装に感心スター2人ともコミカルな役どころを好演、カイウスはがなり声でしたが怒った雰囲気がよく出ていたと思います。


それにしても、なによりも、カターナさんの歌が圧巻びっくり見た目もファルスタッフっぽいし、私の席で聴くと声量がものすごいチューオーチャードの後ろまで響き渡っていたでしょうね。芝居も自然で上手いし、まったく文句のつけようがない。よくぞ招聘してくれました。実に素晴らしいファルスタッフでしたキラキラルンルン星


女声4人もよかった。大ファン砂川涼子さんの背中があいた赤のドレスが眩しい飛び出すハートキューンラブもちろん歌も素敵でしたキラキラ個人的にはクイックリー夫人の「Reverenza」がツボ(第3幕でもやってくれる)ですが、中島さんが面白く歌ってくれたので大満足。三宅理恵さん、小堀勇介さんペアも若々しくよく通る声が素晴らしかった。出番はやや少ないけど、メグ向野さんも。


舞台転換やテーブル、椅子、衝立等の小物の移動は黒子さんが自然な動きで行っていたので違和感なし。演奏会形式と言うよりセミステージか。巨大な洗濯カゴはどこから(新国立劇場から?)借りてきたのかな?やはりこれがあるのとないのとでは大違い。テムズ川に落とすのは効果音でしたが、それしかやりようがないからOK。幕の始めにファルスタッフのあくびを繰り返して笑いを誘う小憎らしい演出があったり、MWCさんが指揮しながら何度も演技に加わったり(ファルスタッフの方に視線をやってウンウンと頷いたり、箒をファルスタッフに投げたり、鏡を渡したり取り上げたり…)してご本人自ら楽しんでいたり、終盤では照明を効果的に使ったりと、まったく飽きさせない工夫が随所にこらされていて最初から最後まで楽しめました。眠ってるヒマなしウインクまた、Vn奏者がVnを高く上げたり(チェロを回転させていたかは不明爆笑、最後にはオケが立って演奏したり(のだめ!)笑顔で演奏したりと、聴いていて楽しいし、オケのみなさんも楽しんでいたようでした。新国立劇場のピットでいつも聴いている東フィルと比べて、MWCさんが振るオペラの時の東フィルはなんてキビキビしていて楽しんだろう。ピットに入っているより舞台に上がった方がダイレクトに伝わってくるからいいのかな。

終演後はスタンディング・オベーションする人多数。速攻で帰って行った人もいたけど…カーテンコールの何回目かでみんな一列に並んだところで、最後のフーガ「世の中はすべて冗談 Tutto nel mond è burla」をもう一度歌ってくれましたルンルンキラキラ音符


東フィルTwitterより


最高に楽しかったラブラブ Grazieキラキラ そう言えば第3幕でカターナさんが日本語で「アリガト」と言って、会場爆笑爆笑


来シーズンのオテロも期待できますねウインクウインクウインク


ちなみに、来年2月の新国立劇場でも『ファルスタッフ』が再演されます。ナンネッタはここでも三宅理恵さん、メグは脇園彩さん。オケは東京交響楽団。


金曜日夜はジゼル、土曜日はBlomstedtさん指揮N響、そして日曜日はファルスタッフ。最高の3日間となり、家族にはKrispy Kreme Doughnutsをお土産に幸せのお裾分けドーナツ