And he is so committed, mentally and physically to what he does, he leaves... that's an old expression "you leave everything on the table, on the field of play, on the ice" but he leaves EVERYTHING on the ice.
しかもメンタルの面でも、身体的な面でも、自分の全てを注ぎ込んでいる。使い古された言い回しで「その場に、フィールドに、氷の上に、余すところなく全てを出し尽くす」ってのがあるけど、彼はまさにす・べ・てを氷の上に出し尽くすんだよね。
これってまさに「ダンス・フロアに血を散らすまで(踊って)」って感じよね、カート?彼、本当に一切、何も残さず、出し切ったわね。
今日の彼は(エレメンツの)どれもこれも、気合いで乗り越えてたね。明らかにコンディションはベストとは言えない。それでプログラムの最後の方で、あの脚がどんな状態になってるのか、ぼくにはよく分かる。もう力なんて何も残ってないんだよね。
Here he’s looking at the judges saying “That was it, guys, I gave it everything I had...”
それでここは彼がジャッジを見て「これでもうおしまいです、皆さん。ぼくは全てを出し切りました」って言ってるところだね。
上記の三つの例は、実際の演技において全力を尽くす、という文脈でのことですが、羽生選手は大会の様々な場面でも、メディアに対しても、ファンに対しても、フィギュアスケートという競技自体に対しても、惜しみなく、全てを出し切って自らを与えているという気がします。
試合会場では仲間の選手にリスペクトを払い、後輩選手には励ましの言葉をかける。受付のオバチャンから、セキュリティの兄ちゃん、アイス・キャプテン(リンクのドアの開け閉めをする係の人)に至るまで、ありとあらゆる人たちに挨拶を忘れない。プレゼント回収の子どもたちに感謝し、運営スタッフを労う。ミックスゾーンではマイクの高さと角度を自ら合わせ、記者会見場ではレコーダーの位置に気を配り、こちらがやる前に彼の方が動いてくれます。
メディアに対しても、尋常ではない数と量の取材を受け、凡人なら腰が引けてしまう様な「圧」をしっかりと受け止める。いや、受け止めるだけではなく、メッセージ力の高いコメントを出し、記者とのやり取りを楽しむほどの余裕を見せます。
(その様子がケロウナの地元カメラマン Marissa Baeckerさんの写真に良く現れています。よっぽどマリッサさん、驚いたのか、たくさん似たような写真を撮っています)
https://shootthebreeze.photoshelter.com/gallery/Press-Conference/G0000ibaVsSc29GA/C00009xno9unrD64
フォトグラファー達との関係については良く知られていますが、羽生選手ほど激写されているアスリートも珍しいのに、それに臆するどころか逆にどんどん写真映えするようになって行ってるのも驚異的です。
また、ファンに対してこれほど色々なものを与えてくれるスケーターはいないでしょう。感動、勇気、インスピレーション。もうこれ以上、高い所に昇れるはずがない。これ以上、深い所まで力を汲みに行けるはずがない、と思われる状況の中で、その都度、良い意味で期待を裏切ってくれる。あるいは競走馬が一斉に全力疾走する中で、ゴール前で突如、一頭だけがターボをかけたように他を退けて走り去る様を思わせる。羽生結弦というアスリートの最大の魅力は、そんな驚きの「ギアチェンジ」を見せてくれるところだと思っています。
そしてフィギュアスケートの競技において、彼がもたらしたものはすでに測り知れません。
2014年の世界選手権のエキシビションを滑った羽生選手に対して、カートさんが贈った言葉があります:
Well, whether you want it or not, when you become a Champion, a certain level of expectation comes with it.
そう、自分が望もうが望まなかろうが、チャンピオンになるとどうしてもある程度の(周囲からの)期待が伴う。
This young man will lead our sport with dignity, and honor, and humility.
この若者はこれから僕たちのスポーツを、品格、誇り、そして謙虚さを持って率いてくれるに違いない。