グランプリ・ファイナル:CBC放送より(またプチ更新しました!) | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

(12月11日現在での追記です:CBCの動画が見れないと言うコメントをいただきましたが、もしかすると日本からは見られないようなシステムになっているのかも知れません。だとしたらすみません!さきほどチェックしたところ、削除はされていませんでしたのでGEOBLOCKがかかっているのでしょうか…)


"THERE IS SO MUCH MORE TO GO, THAT'S THE BEST THING"


フリースケートの点数が出た後、ブライアン・オーサーが言った言葉です。

(CBCのHPで、解説なしの動画があり、そこから聞き取りました)

ショートでは世界最高得点を出し、フリーでパーソナルベストを大きく上回り、総合でも歴代二位のスコアだったにも関わらず:

「まだまだこれから伸び代がある。そこが一番いいところだ」


以前、このブログでもご紹介したとおり、オーサーがオリンピック・シーズンに向けてもっとも大切にしているのはピークを迎える時期を綿密に計算し、ソチに照準を合わせること。

だから結弦くんがこの得点をたたき出したのに、まだ伸び代があることを特に喜んだのだと思います。

ソチの日本代表を決めるのは確かに全日本が最大の基準かも知れませんが、このグランプリ・ファイナルでかのパトリック・チャンに、しかもこのスコアで打ち勝ったことは結弦くんにとってこの上ない快挙でした。

パトリックに勝てる選手がいる。

しかもパトリックがショートで失敗したから、ではなくて、堂々とフリーでも点差をさらに広げて勝ったのです。

すごいわあああ。

ブライアンがスケートカナダの後で言った:

"PATRICK IS BEATABLE"

これはやはり単なる虚勢ではなく、結弦くんならできる、と彼が信じていたからだと思えてなりません。(なおこれは私がスケートカナダでインタビューの通訳をした中でもっとも印象に残った言葉のひとつでした)

あと一時間ほどするとCBCでの男子フリー演技の放送が始まります。

カート・ブラウニングがどのような解説をしてくれるのか、楽しみです。なるべく早くお伝えしたいと思います。

この記事に加筆して行きますね。


さて、やっと夜遊びから戻って聞き取りが終わりました。

ところがすみません、何かの手違いでせっかくいただいたコメントが消えてしまったような…よろしければまたお便りください。


動画はこちらです。

パトリックの演技が終わったあとのキス&クライでのやり取りで、コーチのキャシーさんが

“I’m so proud of you, it was the fight of your life” 
(よくやったわね、人生最大の戦いだったわね)

と、言うのを聞いて、カートは普段、パトリックがあまりにも優雅に滑るのでやってることが簡単そうにさえ見えてしまうことを指摘し、今日の彼を見ていると実はどんなにしんどいプログラムなのかがよく分かる、と解説。

Just work work work, nothing came easy for him
「ただただ頑張って、今日はどれもこれも(パトリックには)しんどそうだった。」


と。

以下、青色のコメントはカート・ブラウニング緑色はキャロル・レーン、そして赤はブレンダ・アービングです。

さて、結弦くんの演技が開始します。

There’s a nice tradition that Yuzu has, bends down, usually slaps the boards, skates off
ユヅにはちょっとした習慣があって、屈伸して、いつもはボードを叩いて、そして滑り出て行くんだね。


His coach, Brian Orser at the boards. and I think it’s fair to say we all love a race when it’s competitive. It was not looking that way for a  long time until this man, skated the short, the other day. Yuzuru Hanyu  beat Patrick Chan’s short program, his world record score from the  Grand Prix of France. So guess what? Now we’ve got ourselves a great race.
コーチのブライアン・オーサーがボード際に立っています。
どんな競技でも(選手の力が)緊迫している方が面白いと我々は思うわけですが、これまで長い間、そういう競り合いがありませんでした。この男が先日のショートを滑るまでは。
ユヅル・ハニュウはパトリック・チャンがフランスのグランプリ大会で作った世界記録を破って、その結果、素晴らしい争いになってきました。


And on a personal level, this is a huge opportunity for him, to win a  Grand Prix at home would lay down a huge, huge statement for who is king of the castle in Japan.
で、個人的なレベルのことを言えば、これは彼(ユヅル)にとって、とてつもなく大きなチャンスだね。自国でグランプリ大会を制するのは、「日本で誰が王者なのか」をはっきりと示すことになるから。

Never lacking in presence, I call him the skinny rock star for a reason,
存在感は抜群、ぼくが彼を「やせっぽちのロックスター」って呼ぶのには理由がある。


(注:ここはカートがたぶん、「スキニー」と言ってると思うのですが、もしかしたら「スケーティング」かも知れません。後者だと「スケートを履いたロックスター」になるんでしょうけど。。。)

Quad sal, huge... and in typical fashion when he falls, he stays down for a while, likes to take a little break.
クワッド・サルコー、これはすごい跳躍…で、いつもように彼は転ぶと、立ち上がるまでちょっと時間がかかるんだよね。一休みして…

Now we’ve been talking about the mental game with Patrick, let’s see how he  plays it on himself. A fall on the first jump here comes the second quad,
さて、彼がパトリックにしかけているメンタル・ゲームの話が出たけど、今度は彼がどう対応するかが見ものだね。最初のジャンプで転倒して、さあここで二つ目のクワッド

(パトリックに対して「メンタルゲーム」を結弦くんがしかけているとカートは言ってますが、これはもちろん、前の日のショートで勝ってプレッシャーをかけた、ってことに言及しているわけですね)

Wow (laugh), no problem
うわあ(笑)、全然問題なし、ね。.


There’s your recovery
見事なリカバリーだね


ステップ・シークエンスで後ろ向きのまま小さなジャンプを入れると:

That! Little stunning moments of virtuoso skating
これ!目を見張るようなスケート技巧がちりばめられてて

Unlike Nobunari Oda before him, you watch Yuzu do his footwork you feel  he’s holding nothing back And this is the first third of the program.
この前に滑ったノブナリ・オダと違ってユヅがフットワークをするのを見ていると、彼が力を惜しみなく出し切ってるっていうのが感じられるね。しかもまだプログラムの最初の3分の1なのに。


(注:カートは以前から織田選手のフリーに関して、一番最後のステップでやっと笑顔になって元気いっぱいに滑るのを見て、「最後まで出し惜しみするの、ぼくはやだなー」と言ってました。)

そこから最後まで解説者は無言。

終了後:

He was second last year at the Grand Prix Final, will he be golden this  time around? And what a birthday present this would be for Yuzuru Hanyu,  who turns 19 years old today.
去年のグランプリ・ファイナルでは2位でした。今年は黄金色に輝くか?だとしたら今日、19歳になるユヅル・ハニュウにとってなんて素晴らしい誕生日のプレゼントになるでしょう。


That’s really what you call “blood on the dance floor”, isn’t it Kurt? He didn’t leave anything there, at all, it was all out.
これってまさに「ダンス・フロアに血を散らすまで(踊って)」って感じよね、カート?彼、本当に一切、何も残さず、出し切ったわね。

It probably has also a lot to do  with the emotion that you must carry  with you when you are at home, in Japan, and the media, and the crush  of attention, the relief he’s feeling, and the total exhaustion It mus t be totally overwhelming.
自国の日本で滑った、という事から来る感情的なものも大いにあると思う。メディアだとか、注目度だとか。今はほっとして、本当にクタクタで、もうその両方で目一杯じゃないかな。

This is a pivotal moment in this boy’s career.
これはこの子の選手生活の「岐路」になるような瞬間だと思う。


(スロー再生を見ながら)

Quadruple salchow, huge, but you can see, a little disjointed in the air, and of course the fall
クワッド・サルコー、すごい跳躍だけど、空中でちょっとばらつきがあって、もちろん、転倒があって

Comes back later on, quadruple toe loop. Such command, his face, totally aware.
Mr Brian Orser, helps along every single second.

気を取り直して、クワッド・トウループ、このコントロール、この顔、(自分が今どんな状態にあるのか)完全に把握している。ブライアン・オーサーさん、ずっとサポートしてるね。

And when you watch him train in Toronto with Brian, he’s just one of the  other skaters on the ice. He has moments where his insecurity and his  fragility come shining through, he has inconsistent moments... and yet  when you look at him out there, he was a pillar of control, manipulating  the audience, gravity.
で、彼がトロントでブライアンと練習しているところを観ると、リンクの上ではたくさんのスケーターに混じって目立たない。自信がなさそうだったり、脆いところがパーッと透けて見える時もあって、ムラがあるんだけど、でも今日みたいにいったん(本番の)舞台に出ると、まるで揺るがない柱のようなコントロールを見せる。観客と、そして重力を自由自在に操るんだよね。

He will need a score of a little more than 180 points to win this competition, and move ahead of Patrick Chan.
180点ちょっとで勝ってパトリック・チャンより上位に行きます。

Consider it done
勝負あった、でしょ。

Of course a 12 point lead doesn’t hurt you either.
もちろん、それに12点のリードもあるしね。


Consider it done.
勝負あった、だよ。


スコアが出て:

Wow, he’s got it.
わあ、やったわね。


オーサーに肘で突かれてる場面で

A little nudge...
チョンチョン、と突かれて…


Happy birthday
お誕生日おめでとう!


...by Brian Orser
…ブライアン・オーサーに

So Yuzuru Hanyu wins the battle with Patrick Chan, The next meeting for  these two, we can’t wait for this one, and we will be there, the Olympics , in Sochi, Russia
さあこれでユヅル・ハニュウがパトリック・チャンとの戦いを制しました。次にこの二人が会うのは、もう待ちきれませんが、我々もその場に立ち合うソチです!

Good boy, says Brian Orser.
ブライアン・オーサーが「グッド・ボーイ」って言ってるね。

結弦くんの英語のコメントを聴いた後、「この二人の勝負についてのコメントは?」と聞かれて:

He's gunning to win, and the fact that he’s mad at himself for missing that sal, he sees himself as a potential Olympic Champion. You have to, you absolutely have to.
(ユヅル)はもう勝ちを狙いに行ってるね。サルコウを失敗して自分に腹が立ってる、ってことは彼の中で自分がオリンピック・チャンピオンになれる可能性があるって思ってるわけでしょ。そう(いう強い気持ち)じゃなくちゃ、本当に、そうじゃなくちゃね。

Patrick has to not give away his short program, that’s basically it for  me. If he skates a clean short, he’s off to the races, but you cannot  give away two of your three jumps. because you’ve opened the door and  said “sit down”.
パトリックはSPでスキを見せちゃだめよね。私にはそれしかないわ。彼がショートをノーミスで滑ったら誰も追いつけない。でも三つの内、二つもジャンプを失敗してたら、ドアを開けて「さあ、
どうぞ(こちらに入って)おかけください」って言ってるようなものだもの。

あー、以上でした。

疲れた。