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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『スウィート・シング』(2020)

原題は『Sweet Thing』。アメリカ映画。

 

監督・脚本 アレクサンダー・ロックウェル

 

母親イヴ(カリン・パーソンズ)が出て行ってから、アルコール依存症の父親アダム(ウィル・パットン)と暮らす姉のビリー(ラナ・ロックウェル)と弟のニコ(ニコ・ロックウェル)、その生活は貧しい。

母親譲りの髪質を持ったビリーの名前はジャズ歌手のビリー・ホリディから取ったもので、ビリーは歌もうまく育つ。そんなビリーを見てはアダムはイヴを思い出す。けれどイヴにはすでに一緒に暮らしている男ボー(M.L.ジョゼファー)がいる。

やがてアダムはアルコール依存症が酷くなり施設に入ることになり、姉弟だけで生活するのも無理になり、ビリーとニコはイヴとボーがいる海辺の別荘へ行くことになる。しかし、ボーはDV男だった。イヴはボーの顔色ばかり気にして守ってくれない。そしてあることをきっかけに、ビリーとニコは海辺で知り合った少年マリク(ジャバリ・ワトキンス)と共に旅に出る。行き先はマリクの父親がいるフロリダだ。

でもその旅も思いがけない事で終わってしまう…。

 

姉弟は犯罪めいた手法で日銭を稼ぐし、食事も粗末。でも貧しいながらもクリスマスは父子で幸せな時を過ごす、その様子が切ない。

マリクの家庭環境も辛いものだった。そのマリクと一度は離れ離れにならなければならなかったが、ビリーとニコはマリクを迎えに行く。そこに辛い思いを共有した、たった数日の旅であったけど濃厚な時間であった、情が芽生えてて、それがまた切なくも暖かく、だけど、子供ならではであるのが物悲しかった。

ほのぼのと救われた思いがしたのは、イヴが目が覚めてアダムのところへ戻ってくる…のではという終わり方だった点。

面白いな、微笑ましいなと思ったのは、ニコに惚れてる金持ちダーラをずっと遠ざけてきたのに、最終的に二人仲良くなってる画で終わってる点。

 

辛い環境であっても、その子供時代がもしかしたら懐かしく思える未来がくるかもしれない、と思わせる作品だった。ざっくり、人生ってこんなもんだよね、と言っているかのようだった。

 

全編モノクロで、時折りカラーが混ざるのは、どういう意味なのかよくわからなかった。

 

スウィート・シング=愛しい君だと訳詞されてた。

 

★★★

 

 

公式サイト

 

 

 

 

 

『ティル』(2022/日本公開2023)

原題は『TILL』

1955年アメリカミシシッピ州で起きたエメット・ティル殺害事件が、黒人の公民権運動に大きく影響したという実話をもとにした作品。

 

監督 シノニエ・チュクウ

脚本 マイケル・レイリーキース・ボーチャンプシノニエ・チュクウ

 

夫の戦死後、シカゴに住むメイミー・ティル(ダニエル・デッドワイラー)は祖母アルマ(ウーピー・ゴールドバーグ)の協力や恋人ジーン(ショーン・パトリック・トーマス)の助けもありながらも空軍の職員をしながら14歳の一人息子エメット(ジェイリー・ホール)を育てていた。

1955年の夏のこと、エメットはミシシッピ州マネーの親戚のモーゼ(ジョン・ダグラス・トンプソン)ところへ1週間ほど遊びに出かける。ミシシッピはシカゴと違い、まだ住み分けがあるほど黒人差別が強いため、メイミーは目立つような言動をせぬよう、白人の癇に障らぬよう言い聞かせる。が、エメットは綿花農家の手伝いをしながらも都会っ子の癖が抜けず、雑貨屋の女性キャロリン・ブライアント(ヘイリー・ベネット)に軽口をたたいた上、口笛まで吹いてしまう。シカゴなら何でもないことが、ここでは銃を持って追われるほどの事態に発展。その夜、キャロリンの夫や身内らにエメットが連れ去られ、後日、暴行の果ての遺体が川で見つかった。

変わり果てたエメットの亡骸に悲しみより怒りが湧くメイミーは、この理不尽な事件を世間に知らしめるため大胆な行動に出て、同人種を中心に多くの賛同を得る。そして公民権運動をしているメドガー・エヴァース(トシン・コール)と協力し合い、裁判で闘う…。

 

裁判官はもちろん陪審員も傍聴人も白人だし、キャロリンは同情をひくような嘘の供述をしていて、証拠証言も立証も出来ない時代と環境で、結果は勝ち取れるわけがない。ただ、その後のメイミーの活動が公民権運動に拍車をかけ成果をもたらすし、2022年に「エメット・ティル反リンチ法」が成立する。

 

まあ、差別ものは腹立たしい。でも、メイミーに半分くらいしか共感できなかった。モーゼの立場に立ててないから。シカゴで綺麗な支度で、そりゃあ苦労はあるだろうけど悠々暮らしているように見えるメイミーにはモーゼの心境はわからない。モーゼはメイミーの気持ちを推しはかることはできても、エメットの代わりになることはできない。家族が暮らしがあるから。そもそもの立脚点が違うんで仕方ないんだけど。

 

キャロリンは下衆だし、なのに主張がまかり通る社会には、今だからこそ怒りが湧く。当事者だったらどうだろうと考えると、責め立てる自信がない。

例えば現代でも、今、日本で外国人移民移住帰化問題が上がってる。差別ではなく区別なのだろうけど、根底に差別意識があるかもしれないことが否定できない。

 

★★★

 

 

 

 

関係ないけど、エメット役、クリス・ハートに似てて親しみをおぼえる。

 

 

『大河への道』(2022)

原作は立川志の輔の著書。漫画版は柴崎侑弘

 

企画 中井貴一

監督 中西健二

脚本 森下佳子(『悪の教典』、『ごちそうさん』『べらぼう』『義母と娘のブルース』『天国と地獄』『天皇の料理番』『わたしを離さないで』『ファーストペンギン!』『だから私は推しました』他)

音楽 安川午朗(『あんのこと』『一度も合ってません』『半世界』『しゃべれどもしゃべれども』『君に届け』『八日目の蝉』『北のカナリアたち』『凶悪』『ストレイヤーズ・クロニクル』『残穢』『ちょっと今から仕事辞めてくる』『閉鎖病棟』『孤狼の血』シリーズ、他)

主題歌 玉置浩二「星路」

 

千葉県香取市役所で総務課主任を務める池本保治(中井貴一)は地元の偉人日本地図「大日本沿海輿地全図」を作った伊能忠敬に誇りを持っていた。ある日、なかなか成果の上げられない観光課の会議で思わず伊能忠敬を主人公にした大河ドラマを作ってはどうかと提案する。反応はイマイチだったものの、偶然にも知事(草刈正雄)も同じことを考えており、NHKに正式にプロットを持っていくべく、池本の指揮のもと大河ドラマ誘致が始まる。

まずは企画書を作るために、知事指定の脚本家加藤幸造(橋爪功)のところへ依頼に行くが、20年も書いてない加藤はなかなかうんと言わない。なんとか伊能忠敬の記念館まで連れ出すと、その日本地図の出来に触発され加藤は依頼を引き受けることに。さっそく池本とその部下木下浩章(松山ケンイチ)と共にシナリオハンティングに取りかかる。その過程で加藤は「大日本沿海輿地全図」が仕上がる3年前に死去していたことに気づく。ということは、地図は伊能忠敬が完成させたものではなかったのでは、という疑惑が持ち上がる。さらに加藤は、伊能忠敬の当初の目的だった子午線は出来上がっていたのにさらに測って地図までに仕上げたのはなぜなのかが気になり始める。

果たして、実際はどうだったのか…が、時代性と状況と伊能忠敬とその弟子たちとの関係性を読み解きつつフィクション織り交ぜ語られる。

そうして一通り伊能忠敬といえば「大日本沿海輿地全図」を作った人物として知れ渡っている謎を解くと、加藤は伊能忠敬を支え続け、遺志を継いで地図を完成させた弟子たち、それを立場を超えて庇い続けた高橋景保を主人公に脚本を書きたいと言い出す。しかし高橋景保は大阪出身…どうしても伊能忠敬でドラマを作りたい池本は、知事の承諾も得て自分が書くと加藤に弟子入りするのだった…。

 

安定感のある脚本で、小説を読むかのように物語が進む。あちらこちらに散らばった台詞が物語が進むにつれ意味を持ってくる。そのきれいな構成はさらっと見過ごしてしまいがちだが、気づくと唸らせられる。

脚本依頼を断る加藤の「加藤は死にました」という台詞は反意語でまま伊能忠敬に通じる。後半にいくにつれこの台詞が生きてくる。

役にしても、市役所の職員が伊能忠敬の弟子をそのままやったり、知事と徳川家斉、加藤と和尚が同一俳優だったり、その役目を現代とリンクさせている。とまあ、素晴らしい脚本だった。

 

地図を作る上で必要だった測量。数学が役立ってることに驚く。学校で教わるものに無駄なんてないと再認識する。学生時代にはこれがわからない。

 

伊能忠敬が居ること(生きていること)を地図とわらじで表すのは素敵だった。

 

★★★

 

 

 

 

制作 デスティニー

配給 松竹

 

 

『山田くんとLv999の恋をする』(2025)

原作はましろの漫画。

 

監督 安川有果

脚本 川原杏奈

音楽 林イグネル小百合

主題歌 マカロニえんぴつ「NOW LOADING」

 

作間龍斗、山下美月、NOA、月島琉衣、前田旺志郎、茅島みずき、甲田まひる、鈴木もぐら、他。

 

他に好きな人ができたからと彼氏タクマにふられた大学生の木之下茜(山下美月)。一緒にやってるオンラインゲームの装備を共有倉庫に返しておいてとまで言われる。少しでも役に立ちたいと課金してまでやっていたゲーム…返すべくログインすると無性に悲しさ悔しさが込み上げモンスターと戦い始める茜。そこへ同じギルド(チーム)の山田が現れ、レアアイテムを取るために今のその負け戦の位置を譲ってくれと言う。失恋の痛手を負っているだけに泣き言をかましながら拒否する茜…。

後日そのオンラインゲームの周年パーティが開かれた。そこで茜はリアル山田秋斗(作間龍斗)と出会う。声と口調に特徴があるからわかったのだが、山田の方はまったくピンとこなかった。それもそのはず、山田は恋愛には興味のない、殊更女子にある種のトラウマを抱えていた。してその正体は高校生にしてプロゲーマーのクールな人間だった。そしてその日調子に乗って酔い潰れた茜を、自宅で休ませた山田の優しさに、少し心が動く茜。

その後、ゲームで仲良くしてるギルドマスターの瑠璃姫鴨田(鈴木もぐら)とのゲームのコラボカフェでのオフ会に参加。失恋話を聞いてくれる優しい瑠璃姫佐々木瑛太(NOA)という男性で、山田の友人であり、また瑠璃姫のアバターは瑛太の妹瑠奈(月島琉衣)がモデルだったこと、その瑠奈の家庭教師を山田がやっていることなどがわかる。そして山田は学校でよくモテることも。

瑠奈も山田に憧れていた一人で、初対面から茜に意地悪をしたりしていたが、茜の包み込むような優しさに懐くようになり、むしろ茜と山田の関係を、茜の親友前田桃子(甲田まひる)と共に進展させようと立ち回るように。しかし、山田の高校の学園祭では山田の人気っぷり、高校1年の頃から山田を想っていた椿ゆかり(茅島みずき)の存在を目の当たりにして落ち込んでしまう茜。その椿、山田とも椿とも仲のいいクラスメイトであり塾仲間の岡本武明(前田旺志郎)に応援される立場で、茜はライバルなのだが、茜の大きさに諦めがついていく。

どんどんと山田のことが好きになっていく茜、同じだけ惹かれていく山田。幾度目かの想いを告げるチャンスを迎える…。

 

まったくもって少女漫画で、ラストのキスシーンはとても良かった。年下とはいえ無事大学生となる山田が、不慣れであろうにキスをする、その男っぷりがまずいい。その後、お姉さん風をふかすように茜がキス返しをする。ここに年齢の差、経験の差が垣間見えて良かった。そして作間龍斗の目で語る気持ちと、山下美月の可愛らしさが全編通して作品の色にマッチしてた。原作読んだことないけど(^^;;。


あとなんと言っても誰も嫌な子がいないのが素晴らしい。山田のキャラも世の女子の理想であろうことがわかるし、茜に自分を重ねることも容易なのではないかと思えた。作品の中に入り込めるなら、良質な作品だと言える。恋愛から遠ざかっている者にもそんな気持ちが伝わるというのは申し分ないということではないか?( ̄∇ ̄)

 

それぞれ主要キャラの背景も強弱はあれど差し込まれてあるのが、嫌なやつ憎いやつがいない理由かもしれない。そしてその背景はお話に説得力を持たせてる。

 

少女漫画原作でたまにこういうヒットがあるからバカにできない。主演の二人が安定して良かったおかげもあるだろう。

 

それにしてもゲーム画面が忙しくて、普段パズルゲームしかやらない身としては画面情報を追えずまいった。

 

★★★★(★)

 

 

 

制作 角川大映スタジオ

配給 KADOKAWA

 

『ババンババンバンバンパイア』(2025)

原作は奥嶋ひろまさの漫画。

 

監督 浜崎慎治(『一度死んでみた』他)

脚本 松田裕子(『I♡DK』『ごくせん』シリーズ、他)

主題歌 imase「いい湯だな 2025 imase×mabanua MIX」

挿入歌 甲田まひる「ナツロス」

 

吉沢亮、板垣李光人、原菜乃華、関口メンディー、満島真之介、眞栄田郷敦、堤真一、映美くらら、音尾琢真、笹野高史、間宮祥太朗、栗原類、アンミカ、青木マッチョ、他。




 

かつては織田信長(堤真一)に仕えた森蘭丸(吉沢亮)。織田信長を失ってからは様々な歴史上の人物と関わり時代の恩恵を享受しながら現代まで生き延びてきたその正体は、齢450歳のバンパイア。10年前の2015年、バンパイアハンターとの戦いで痛手を負い、ボロボロになって倒れていたところを助けてくれたのは、銭湯「こいの湯」の一人息子まだ幼い立野李仁(板垣李光人/幼少期:田村奏多)だった。

住み込みで「こいの湯」で働くことになった森蘭丸。李仁はもちろん、その家族、ボケ気味の祖父立野長次郎(笹野高史)、能天気な父親立野晴彦(音尾琢真)、明るい母親立野珠緒(映美くらら)にはバンパイア設定してるとしか理解されずも、だからこそ面白楽しく過ごして10年が経過。森蘭丸の心をも鷲掴みにするほどかわいい李仁は高校生となった。

ずっと李仁を見守ってきた森蘭丸。実は「18歳童貞の血」が一番美味しく、愛おしい李仁のそれを狙っている。それが高校登校初日に李仁は同じクラスの篠塚葵(原菜乃華)と出会い恋に落ちる。童貞喪失の危機と捉えた森蘭丸は、葵を排除しようと試みるも、葵はバンパイアマニアで逆に蘭丸に惹かれてしまう。

妙な三角関係になりながら、蘭丸を慕う葵の兄である脳筋番長篠塚健通称フランケン先輩(関口メンディー)、バンパイアハンターの存在、世間を賑わせている新たなバンパイアの存在が絡んでくる。果たして蘭丸は李仁の童貞を守れるのか…!? いや、そこ!?

 

…的なアクションラブコメディ。

 

ながら、バンパイアハンターであり李仁らのクラス担任教師坂本梅太郎(満島真之介)は実は坂本龍馬の子孫。蘭丸とは因縁があり(しかし本当は長可)、その怨恨はとんでもない性癖に変化していたし、世間を騒がせていた者は蘭丸の実兄森長可(眞栄田郷敦)で、兄弟の確執も描かれ、なかなかヒューマンドラマチックな面もある。

また、癖有りの登場人物のテーマソングがそれぞれにあって、ミュージカル風味がある。これは楽しいし、人物像を掴むのに効力を発揮している。そしてアクションシーンなどバンパイアのイメージ伴奏がサイケデリック、トランス系でとても良い。それら伴奏の振り幅も広く、作品にリズムを与え深みが出てる。

もちろん、アクション部分は良かったし、原菜乃華のキャラクターもかわいさ満点でとても良かった。

 

ふつうに面白かった。

 

街中でとりあえず腹を満たす吸血相手の不良に間宮祥太朗、通りすがりの男に栗原類、バンパイアハンターの一人にアンミカ。たったワンシーンだったが、間宮祥太朗最高に面白かったし、栗原類もツボだった。

あと、なんとなくだけど、関口メンディー、LDH辞めてからの方が自由な感じが見えて、良くなってる気がする。

 

しかし…声のトーンのせいか箔のせいか、眞栄田郷敦が吉沢亮の兄役はちょっと…。逆なら納得できた。難しいね。

 

ところでこの作品は当初2月公開予定だった。それが吉沢亮の不祥事(?)で延期になり、結局『国宝』が先に公開となった。でもこれで正解な気がした。『国宝』の盛り上がりが本作の宣伝ひとつとっても、良い影響を与えていると思う。

 

★★★★

 

 

 

 

制作 ダーウィン

配給 松竹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


そういえば、服装がマイケルぽいのあるのに、ムーンウォーク下手くそなのがツボだった。狙ったに違いないw

笑う場面で最高だったのは、長可と十字架の関係、ラストの李仁誕生日会のやりとり、どちらも眞栄田郷敦が良い仕事してる。



『今夜、ロマンス劇場で』(2018)

 

監督 武内秀樹(『電車男』、翔んで埼玉』他)

脚本 宇山佳佑(『桜のような僕の恋人』他)

音楽 住友紀人

主題歌 シェネル「奇跡」

 

綾瀬はるか、坂口健太郎、加藤剛、柄本明、本田翼、北村一輝、中尾明慶、石橋杏奈、山本浩司、竹中直人、池田鉄洋、酒井敏也、西岡徳馬、今野浩喜、山下容莉枝、鶴田忍、他。

 

物語は余命いくばくもない入院中の牧野健司(加藤剛)が、いち新人看護師吉川天音(石橋杏奈)にねだられ、映画監督を目指していた若い頃、チャンスに巡り合え書いた脚本を、読み聞かせることに始まる。

トーキーが出始め人気を博した時代、さんざん観られ人々に飽きられ密かに「廃棄」処分となった一本の映画「お転婆姫と三獣士」が、昭和30年代、戦火を逃れ、本多正(柄本明)が営む映画館「ロマンス劇場」で、映画撮影所京映で監督を目指し働く牧野健司(坂口健太郎)によって発見され、健司はその作品に夢中になる。仕事終わりに「ロマンス劇場」に駆けつけ、貸し切りで何度も何度も繰り返し観て、やがてその中のお姫様美雪(綾瀬はるか)に恋をしてしまう。

しかしその作品もコレクターに売却の話があると聞かされ、最後の観劇となった夜、突然の雷雨の影響で電源が落ち、復旧したかと思うと、客席に美雪がいた。

姿はモノクロ映画のお姫様のまま、そう、美雪には色がなかった。でも幸い撮影所には化粧道具も衣装もたんまりある。

健司は戸惑いつつも嬉しさに心躍る。美雪はといえば映画の中の姫様よろしく高飛車で健司を「しもべ」と呼び、あごで使う。けれど二人はどうしてうまく健司のボロアパートで過ごす。

健司のことを好きな京映の社長令嬢成瀬塔子(本田翼)からのアプローチ、撮影所で同じく監督を夢見る同志かつライバルの山中伸太郎(中尾明慶)との友情、映画スター俊藤龍之介(北村一輝)との面白おかしくも暖かみのある絡み、等々ありながら二人の間には確かな愛が育っていく。

けれど、美雪には色がないばかりか、歳もとらない、何より作品の世界から抜け現実の世界へやってくる条件として、触れたら消えてしまうという枷が課されていた。実は美雪も作品の中から現実世界に居る健司に心を寄せていた。二人の想いは通じ合ったものの…。

それから長い時が経過する間に京映は倒産し、健司の脚本は完成せずのままだった。

物語の結末が知りたいとばかりせかす吉川にラストを書き始める健司。けれど最期の時は容赦なくやってくる。傍らには孫の歳かと思うほどの美雪が寄り添い…初めて健司と触れ合った美雪は作品の中の三獣士(竹中直人池田鉄洋酒井敏也)のもとに約束通り戻っていく…。

 

ファンタジーラブストーリー。

むちゃな設定、矛盾に目を瞑り、素直に観ればその美しい愛の形に感動してもらい泣きもするほどの良いお話。

本多も健司と同じ経験をしていたのが、映画好きを表していて良かったし、何より、「お転婆姫と三獣士」がちゃんと結果まで効いているのがいい。構成も台詞も無駄がない。

恋をしている坂口健太郎の表情が可愛らしいし、本田翼も奥ゆかしさが可愛い。綾瀬はるかはヘップバーンばりに美しく、その全ての衣装、スタイリングに見応えがある。映像的にとても目が嬉しい。

 

加藤剛の遺作となったようで、病中の牧野健司はリアリティあった。切ない。

 

★★★

 

 

 

 

制作 フィルムメイカーズ

配給 ワーナー・ブラザーズ映画

 

 

『ゴーストキラー』(2025)

英題は『GHOST KILLER』

 

監督・アクション監督 園村健介

脚本 阪本裕吾

音楽 森野宣彦

 

『ベイビーわるきゅーれ』の監督阪本裕吾を脚本に迎え、監督は『ベイビーわるきゅーれ』はもちろん多くの作品でアクション監督を務めた園村健介、主演は髙石あかり、ということで、その様相は『ベイビーわるきゅーれ』ワールド。

 

髙石あかり、黒羽麻璃央、井上想良、東野絢香、川本直弘、三元雅芸(みもとまさのり)、アベラヒデノブ、倉冨なおと、木場哲(きべさとし)、一ノ瀬竜、本宮泰風、山口祥行(やまぐちよしゆき)、舘昌美、川﨑健太、中澤達也、北代高士(きただいたかし)、本田広登、他。

 

将来を考え始めインフルエンサー片山将暉(アベラヒデノブ)との酒の席を持ったものの、不発で終えた大学生の松岡ふみか(髙石あかり)は帰宅途中で転び、ひとつの薬莢を拾う。また、顔にアザを作った親友の飯田マホ(東野絢香)が帰りを待っていた。とりあえずアパートの部屋へ入れると、男の幽霊が現れる。パニックになるがマホには見えてない。でもマホはふみかの言うことを信じる。

男の幽霊工藤英雄(三元雅芸)が言うことには、自分は殺し屋で、拾った薬莢は自分が撃たれて死んだ時のものとのこと。その犯人を探し出し無念を晴らさないと成仏できないという。しかも手を繋ぐことによってふみかの体に工藤が同期することに気づく。そしてマホを迎えに来た男リュウスケ(一ノ瀬竜)が再びマホを傷つけようとする場面に出会した時、工藤との同期によりリュウスケにダメージを与え、その力を認識する。

そして将暉からさらに有名なインフルエンサーナルミ(倉冨なおと)を紹介されることになり喜び勇み出向くが、店ごとグルでふみかは窮地に立つ。工藤の力を借り切り抜けるが、その惨状から事件化は免れない。そこで工藤は殺し屋の仲間影原利久(黒羽麻璃央)に連絡を取らせ、始末を頼む。そうした流れ上、ふみかは工藤を成仏させる手伝いを担うことになり…。


たった1日のお話で、とんでもなく濃い1日。同じ経験はあるわけないけど、これに匹敵するような1日、どれくらいの人が経験あるんだろう。少し羨ましい。

 

これ、途中でドラマとかシリーズ化するのかなとワクワクしたけど、ちゃんと結末がついていた。がっかり。でもその結末もどうにでも覆すことはできるだろうから、シリーズ化して欲しいな。

『ベイビーわるきゅーれ』のノリではあるけど、髙石あかりの魅力がそれより出ている。やっぱり『ベイビーわるきゅーれ』は伊澤彩織がいての髙石あかり、という感じだから。

この作品は主演が明確に髙石あかり。工藤が入った一人二役の台詞回しも良かったし、キャラも合ってた。

 

アクションももちろん見応えあって、アクション俳優が光を浴びるこの手の作品、貴重だと思うし、なんならふつーの俳優より良かったりして、とにかく面白かった。

 

★★★★(★)

 

 

 

制作 ライツキューブ、Well Go USA Entertainment

配給 ライツキューブ

 

 

 

 

『ひだまりが聴こえる』(2024)テレビ東京系列全12話

原作は文乃ゆきの漫画。

 

演出 八重樫風雅牧野将原島孝暢(はらしまたかのぶ)

脚本 川﨑いづみ(『やぶさかではごさいません』『毒恋』他)

音楽 佐久間奏

オープニング曲 flumpool「SUMMER LION」

エンディング曲 川崎鷹也「夕陽の上」

 

中沢元紀、小林虎之介、宇佐卓真、夏生大湖、白石優愛、でんでん、西田尚美、池田良、大東駿介、鈴之助、下京慶子、半田周平、本間日陽、川久保晴、他。

 

中学生のころ突発性難聴を発症した杉原航平(中沢元紀)はその後補聴器をつけるようになり、楽しいはずの高校生活も、難聴から級友たちとの交流がしんどくなり、孤独になっていく。そうして大学生となった今も他人と距離を置くことが癖づいている。

ある日のお昼時、バイトをクビになって腹を空かせた同学年の佐川太一(小林虎之介)と居合わせ、料理教室の先生をやっている母親(西田尚美)ご自慢のお弁当をゆずる。他人との垣根がまったくない明るく元気いっぱいの太一は、その後、弁当と引き換えに航平のノートテイカーを引き受け、二人の交流が始まる。

太一の友達である安田哲テツ(夏生大湖)の映画サークルの作品に出演を誘われたり、同じく横山智紀ヨコ(宇佐卓真)のいとこの美穂(本間日陽)と一悶着あったりと、ヤス、ヨコとも友達になっていき、航平の身辺が充実してくる。そして、太一のノートテイクはひどいものだったが、航平にとってはそれでも太一と一緒にいたいと特別な感情が生まれてくる。同時に難聴は悪化していき、航平は太一への想いが余るあまり、太一は航平を思いやるあまり、行き違いも起こる。また、航平は手話サークルへ入り、太一もまたノートテイクの講座を受けるようになるなど、二人の関係に変化が出ながらも日々進む。そうこうして航平らは大学2年生となる。

専門課程が入り、大学生活にもまた変化がおとずれる。航平と同じ難聴を抱える新入生の桜上マヤ(白石優愛)と知り合い、航平は耳がまだ聴こえるうちにと資格勉強を始める。マヤの存在にモヤモヤしながらも、その邪魔をしてはいけないと思う太一だったが、ヤスは自主制作映画で賞を取り自分のいく道も見えてきている、いったい自分は大学で何をしてるんだろうと焦りが湧く。そんなある日、偶然手話の仕事をする「sig-n」という会社の社長犀清史郎(池田良)と知り合う。犀は太一の理想に燃えた考え、まっすぐな思いに触れ、バイトに誘う。太一もまたやりたいことが見つかった気がしてトレーナーである千葉祐一(大東駿介)に一から教えてもらいながら夢中になって働く。ついに社員に誘われ太一は大学退学を決める。

互いが互いに自分の将来に向き合いながらも、はっきりしない二人の関係にキリをつける時が迫ってくる…。

 

 

太一も両親の離婚や、どちらにも引き取りを拒否されたことなど、不幸な過去があるのだが、それを乗り越えて正義感も強く、まっすぐで、まさにひだまりのような人間。そんな太一のよく通る声も「ひだまり」であり、航平に「聴こえる」(届く)なのだろう。良いタイトル。

 

友達以上恋人未満、ということで、まさにそんな感じでBLのくくりに入れてしまうには安易なような友を思い合うドラマだった。キスシーンもあるのだが、角度だけで、おそらく実際にはしてない。でもそれでいいし、それがいい。

中沢元紀は現在朝ドラ『あんぱん』に柳井嵩(北村匠海)の弟千尋役で光る演技をしていたし、小林虎之介は昨年『宙わたる教室』で窪田正孝と主演を張っていた、良い演技のできる二人で、安心して見られた。脚本にも合っていた。

 

脚本も丁寧でいい。同じ難聴を抱えるマヤの気持ちの変化がきれい。下手すると嫌なキャラで終わるところなのに。学生課の町村(川久保晴)のキャラクターもちょうどいい。太一の友達のヨコとヤスもきちんと背景がありながらもモブさがちょうどいい。会社名「sig-n」と手話がつながっているのもいい。太一のハンバーグの思い出もずっと生かされている。


太一の祖父でんでん、航平の母親に西田尚美を持ってくるとか、しっかり作ろうとしてるのがキャスティングでわかる。

その他、太一がバイトするカフェの店長風間鈴之助。航平の担当医半田周平。でもこの二人は少しコメディがかっていたほうが光る。

 

★★★★

 

 

 

 

 

 

 

なんか、『silent』を彷彿としたけど、あれよりいい。

 

 

 

 

 

『悪い夏』(2025)

原作は染井為人の小説。

 

監督 城定秀夫(『ガチバン』『新宿パンチ』『性の劇薬』『アルプススタンドのはしの方』『愛なのに』『放課後アングラーライフ』他)

脚本 向井康介(『マイ・バック・ページ』『ふがいない僕は空を見た』『愚行録』『ある男』他)

音楽 遠藤浩二(『藁の盾』『I❤︎DK』『東京難民』『トリガール!』『ラプラスの魔女』『KAPPEI』『土竜の唄』シリーズ、他)

主題歌 「Cheep Hero」OKAMOTO'S

 

北村匠海、河合優実、窪田正孝、伊藤万理華、竹原ピストル、毎熊克哉、木南晴夏、箭内夢菜(やないゆめな)、他。

 

市役所の生活福祉課で生活保護受給者に対応している大人しく真面目な佐々木守(北村匠海)、佐々木の少し先輩になる同僚の正義感の強い宮田有子(伊藤万理華)、二人の先輩にあたる要領のいい高野洋司(毎熊克哉)

ある日、佐々木と宮田のもとに、高野がシングルマザー林野愛美(河合優実)に生活保護受給の代償に肉体関係を迫り、ピンハネまでしてるという噂が入ってくる。二人は愛美に真偽を確かめるが否定される。そしてその訪問をきっかけに佐々木は愛美の娘に情が移り、やがて愛美にも心惹かれていき、愛美もまた佐々木によって意識が前向きになっていき、二人の間に恋愛感情が生まれる。しかし高野の行為は事実であること、セクキャバを展開する裏社会の人間金本(窪田正孝)が大ボスで不正受給を斡旋していること、金本の愛人であり愛美とキャバ嬢として同僚だった梨華(箭内夢菜)、佐々木が担当していた生活保護受給者でチンピラの山田吉男(竹原ピストル)も絡んでることが明らかになっていく。結果、互いに愛し合っていると信じていた愛美に裏切られた佐々木は闇落ちしていく。

他方で、夫に死なれ幼い息子と二人困窮した生活を送っていた古川佳澄(木南晴夏)はようやく生活保護を受けようと決意したものの、そんな佐々木に足蹴にされ、心中を図り事件化。そして罪悪感が襲ってくる佐々木の目の前で展開されたのは、金本、山田、梨華、愛美、高野、そして実は高野と不倫関係にあった宮田が鉢合わせとなっての刃物沙汰の乱闘…。

 

けっこうきつい。けど面白い。特にラストの刃物沙汰は絶対笑かしにきてるとしか思えなかった。いや、真面目にやばい状況なんだけど、怨恨がもたらすものって他所から見たら滑稽なんだなと思った。『生きちゃった』を観た時の感覚と似ている。深刻であるはずなんだけど笑いが込み上げてくる。

気の毒で仕方なかったのは古川佳澄親子。この親子の生活をしっかり描くことで生活保護制度の必要性と穴が見えてくる。

締めもまとまりよく、人生に希望が持てるし、実際そんなもんだろうと思えたし、そしてやはり少しの可笑しみをもたらしてくれた。

とても良かった。

 

それにしても河合優実は社会から外れていく女性を演らせたらピカイチだ。北村匠海もこのくらいの深みが合っている(ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』はひどかった。どこの新人だよ!?と思った。実はこの作品で初めて「北村匠海」を認識した)。竹原ピストルも安定してて良いし、木南晴夏も真に迫ってて見てて早く助けてあげてとハラハラしながらも次の展開に期待が大きくなったくらいだったし、箭内夢菜のあばずれ感が良かった。毎熊克哉のクズっぷりも窪田正孝のキャラクター解釈もとても良かった。

 

★★★★★

 

 

 

 

 

 

 

全然違うけど『渇水』を思い出した。

 

 

配給 クロックワークス

 


(一応メッセージボートは活用していますが、アメブロはピンどめが出来ないので、モバイル端末からどう見えてるのかわからず、こちら、更新頻度や内容に変更があった場合など、たまに上げることにしてます)
 
2020年7月の下旬から10月までの3ヶ月で100本を超える作品を配信で観ていました。単純計算で1日3〜4本。(今はさすがにそんなに観ません。)
こんなに観てると内容を忘れてしまうだろうと、当初覚え書き程度に都度都度X(旧Twitter)に書いてたのですが、ポスト(ツイート)は他のことも書くので流れてしまってメモにもならない、そんなわけで2020年10月17日スタートで、ブログにすることにしました。
ただ、観ていた本数が多いのと、観出したきっかけが三浦春馬の急逝だったので、一応流れを考えて調整し、2020年8月26日が初投稿になってます。
そんなわけで、初期投稿はだいぶラフで端折りも多く感情過多です。

以降、これまで観てポスト(ツイート)してきたものを、観た順番ではないですが、毎日1本ずつ加筆してアップしてます。また、新たに観た作品はブログのみに書くことにしました。
本当は記憶を手繰るためにもネタバレまで書きたいのですが、そこはまあ人目に触れることへの配慮で、今のところ、たまにやってる程度です。
 
 
2023年11月より、更新頻度を下げました。以降不定期更新になってます。
 
2024年2月より毎週月曜日と金曜日に更新になってます。

2025年1月より毎週月・水・金曜日更新に変更。
 
 
 

ー★評価基準ー
 
★★★★★ 面白かった。オススメ。
★★★★ 良かった。
★★★ ふつう。可もなく不可もなく。
★★ イマイチ。好みに分かれる。
★ つまらない。
(★)は0.5
 
 
なお、内容の解釈はあくまでも私が感じたものであって、作品が伝えたい事と合致してる可能性は低く、つまらないと思ったものも、1年後に再視聴したら面白いかも、その程度の感想になります。あと、小生意気なうんちくみたいなものをたまに垂れてますが、素人なので言えることとご理解ください。
 
 
【補足】
 
●たまに、音楽や書籍、舞台の感想、役者さんについて書いたものもあります。それらでは★評価はつけていません。
 
●各補足についてはWikipediaを参照してます。
 
●新たに補足するもの(キャストスタッフ名、リンク先など)が出た場合、遡り更新しています。
 
●監督、脚本家、その他スタッフの手がけた作品名は私自身が観たことがあるもの、または有名作新作だけ載せています。
 
●タイトルは基本作品名になってます。
 
●敬称は略しています。
 
●予告編などの動画はなるべく公式のものを貼っていますが、リンク切れがあった場合はごめんなさい。
 

 
 
(コメント欄、いいね、ペタなど交流ツールは閉じています。すみません。DMは開いてます。)
 
 
好きな俳優→三浦春馬、金子大地、吉沢亮(2020年12月時点)
その後(2023年11月~)はもっと幅広く好きな俳優は増えましたが、必ず観ているのは吉沢亮、金子大地出演作品です。
 
基本的に演技にクセや節がなく、作品の中に溶け込める役者さんが好きです。