ティル | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ティル』(2022/日本公開2023)

原題は『TILL』

1955年アメリカミシシッピ州で起きたエメット・ティル殺害事件が、黒人の公民権運動に大きく影響したという実話をもとにした作品。

 

監督 シノニエ・チュクウ

脚本 マイケル・レイリーキース・ボーチャンプシノニエ・チュクウ

 

夫の戦死後、シカゴに住むメイミー・ティル(ダニエル・デッドワイラー)は祖母アルマ(ウーピー・ゴールドバーグ)の協力や恋人ジーン(ショーン・パトリック・トーマス)の助けもありながらも空軍の職員をしながら14歳の一人息子エメット(ジェイリー・ホール)を育てていた。

1955年の夏のこと、エメットはミシシッピ州マネーの親戚のモーゼ(ジョン・ダグラス・トンプソン)ところへ1週間ほど遊びに出かける。ミシシッピはシカゴと違い、まだ住み分けがあるほど黒人差別が強いため、メイミーは目立つような言動をせぬよう、白人の癇に障らぬよう言い聞かせる。が、エメットは綿花農家の手伝いをしながらも都会っ子の癖が抜けず、雑貨屋の女性キャロリン・ブライアント(ヘイリー・ベネット)に軽口をたたいた上、口笛まで吹いてしまう。シカゴなら何でもないことが、ここでは銃を持って追われるほどの事態に発展。その夜、キャロリンの夫や身内らにエメットが連れ去られ、後日、暴行の果ての遺体が川で見つかった。

変わり果てたエメットの亡骸に悲しみより怒りが湧くメイミーは、この理不尽な事件を世間に知らしめるため大胆な行動に出て、同人種を中心に多くの賛同を得る。そして公民権運動をしているメドガー・エヴァース(トシン・コール)と協力し合い、裁判で闘う…。

 

裁判官はもちろん陪審員も傍聴人も白人だし、キャロリンは同情をひくような嘘の供述をしていて、証拠証言も立証も出来ない時代と環境で、結果は勝ち取れるわけがない。ただ、その後のメイミーの活動が公民権運動に拍車をかけ成果をもたらすし、2022年に「エメット・ティル反リンチ法」が成立する。

 

まあ、差別ものは腹立たしい。でも、メイミーに半分くらいしか共感できなかった。モーゼの立場に立ててないから。シカゴで綺麗な支度で、そりゃあ苦労はあるだろうけど悠々暮らしているように見えるメイミーにはモーゼの心境はわからない。モーゼはメイミーの気持ちを推しはかることはできても、エメットの代わりになることはできない。家族が暮らしがあるから。そもそもの立脚点が違うんで仕方ないんだけど。

 

キャロリンは下衆だし、なのに主張がまかり通る社会には、今だからこそ怒りが湧く。当事者だったらどうだろうと考えると、責め立てる自信がない。

例えば現代でも、今、日本で外国人移民移住帰化問題が上がってる。差別ではなく区別なのだろうけど、根底に差別意識があるかもしれないことが否定できない。

 

★★★

 

 

 

 

関係ないけど、エメット役、クリス・ハートに似てて親しみをおぼえる。