悪い夏 | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『悪い夏』(2025)

原作は染井為人の小説。

 

監督 城定秀夫(『ガチバン』『新宿パンチ』『性の劇薬』『アルプススタンドのはしの方』『愛なのに』『放課後アングラーライフ』他)

脚本 向井康介(『マイ・バック・ページ』『ふがいない僕は空を見た』『愚行録』『ある男』他)

音楽 遠藤浩二(『藁の盾』『I❤︎DK』『東京難民』『トリガール!』『ラプラスの魔女』『KAPPEI』『土竜の唄』シリーズ、他)

主題歌 「Cheep Hero」OKAMOTO'S

 

北村匠海、河合優実、窪田正孝、伊藤万理華、竹原ピストル、毎熊克哉、木南晴夏、箭内夢菜(やないゆめな)、他。

 

市役所の生活福祉課で生活保護受給者に対応している大人しく真面目な佐々木守(北村匠海)、佐々木の少し先輩になる同僚の正義感の強い宮田有子(伊藤万理華)、二人の先輩にあたる要領のいい高野洋司(毎熊克哉)

ある日、佐々木と宮田のもとに、高野がシングルマザー林野愛美(河合優実)に生活保護受給の代償に肉体関係を迫り、ピンハネまでしてるという噂が入ってくる。二人は愛美に真偽を確かめるが否定される。そしてその訪問をきっかけに佐々木は愛美の娘に情が移り、やがて愛美にも心惹かれていき、愛美もまた佐々木によって意識が前向きになっていき、二人の間に恋愛感情が生まれる。しかし高野の行為は事実であること、セクキャバを展開する裏社会の人間金本(窪田正孝)が大ボスで不正受給を斡旋していること、金本の愛人であり愛美とキャバ嬢として同僚だった梨華(箭内夢菜)、佐々木が担当していた生活保護受給者でチンピラの山田吉男(竹原ピストル)も絡んでることが明らかになっていく。結果、互いに愛し合っていると信じていた愛美に裏切られた佐々木は闇落ちしていく。

他方で、夫に死なれ幼い息子と二人困窮した生活を送っていた古川佳澄(木南晴夏)はようやく生活保護を受けようと決意したものの、そんな佐々木に足蹴にされ、心中を図り事件化。そして罪悪感が襲ってくる佐々木の目の前で展開されたのは、金本、山田、梨華、愛美、高野、そして実は高野と不倫関係にあった宮田が鉢合わせとなっての刃物沙汰の乱闘…。

 

けっこうきつい。けど面白い。特にラストの刃物沙汰は絶対笑かしにきてるとしか思えなかった。いや、真面目にやばい状況なんだけど、怨恨がもたらすものって他所から見たら滑稽なんだなと思った。『生きちゃった』を観た時の感覚と似ている。深刻であるはずなんだけど笑いが込み上げてくる。

気の毒で仕方なかったのは古川佳澄親子。この親子の生活をしっかり描くことで生活保護制度の必要性と穴が見えてくる。

締めもまとまりよく、人生に希望が持てるし、実際そんなもんだろうと思えたし、そしてやはり少しの可笑しみをもたらしてくれた。

とても良かった。

 

それにしても河合優実は社会から外れていく女性を演らせたらピカイチだ。北村匠海もこのくらいの深みが合っている(ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』はひどかった。どこの新人だよ!?と思った。実はこの作品で初めて「北村匠海」を認識した)。竹原ピストルも安定してて良いし、木南晴夏も真に迫ってて見てて早く助けてあげてとハラハラしながらも次の展開に期待が大きくなったくらいだったし、箭内夢菜のあばずれ感が良かった。毎熊克哉のクズっぷりも窪田正孝のキャラクター解釈もとても良かった。

 

★★★★★

 

 

 

 

 

 

 

全然違うけど『渇水』を思い出した。

 

 

配給 クロックワークス