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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ロストケア』(2023)

原作は葉真中顕(はまなかあき)の小説。

 

監督 前田哲(『こんな夜更けにバナナかよ』『老後の資金がありません!』『そして、バトンは渡された』『九十歳。何がめでたい』『水は海に向かって流れる』他)

脚本 龍居由佳里(『四月は君の嘘』他)

音楽 原摩利彦(『流浪の月』『国宝』他)

主題歌 森山直太朗「さもありなん」

 

松山ケンイチ、長澤まさみ、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、峯村リエ、加藤菜津、柄本明、藤田弓子、井上肇、梶原善、綾戸智恵、岩谷健司、やす、他。

 

ケアセンター八賀の介護士斯波宗典(松山ケンイチ)は献身的なその仕事ぶりに新人の足立由紀(加藤菜津)からは憧れられ目標とされてるうえ、他スタッフや利用者の信頼も厚く評判も良い。だが、まだそんな歳でもないのに白髪頭の斯波には、何やら苦労があったのだろうという噂もある…。

ある日、利用者宅でその娘の梅田美絵(戸田菜穂)が、センター長の団元晴(井上肇)が亡くなっているのを発見する。同時に利用者である梅田美絵の父親も亡くなっていた。注射器が見つかり、他殺が考えられた。検事の大友秀美(長澤まさみ)とその部下椎名幸太(鈴鹿央士)はさっそく動き出し、団が窃盗を繰り返していたのは容易に判明した。そして斯波が現場にいたこともつきとめる。

取り調べと家宅捜索、また斯波自身の自白により、42人もの介護殺人が明らかになる。斯波はそれを救済、「ロストケア」だと言う。悪いこととは思っていない。大友と斯波の見解がぶつかりながら、利用者の遺族の思い、一般市民の正義、実は大友も認知症の母親(藤田弓子)をホームに預けていること、20年会っていなかった父親のこと、斯波の最初の介護殺人が実の父親(柄本明)であったこと、社会の片隅にもがき苦しみ必死になって生きる人々の生活や思いが綴られる…。

 

 

テーマが深く重いってのに、さらに、斯波に憧れる足立の闇堕ちはきつかった。どうにか介護職でまともに社会生活を送ろうと思っていたのかもしれないのに。若い子の理想は夢はちょっとしたことで打ち砕かれる。足立はまた浮上することは出来るのだろうか。

綾戸智恵演ずる川内タエが刑務所に入った方が生活しやすいという話をしていた。老後の金がないのは生き方の問題だろうが、人生の終盤、もう少しで終わるのに自分で終えられないから犯罪に頼る。なんという孤独か。

 

斯波の言葉がけっこう突き刺さる。それはおそらく誰もが思ったことがあるんじゃないか、だけど口にはできない、したことがない、だから突き刺さるのだと思う。

安全地帯にいる人間には家族の絆ときれいなことを言うが、家族のために地獄を生きてる人間にはその絆は呪縛であること、そして見えるものと見えないものがあるんじゃなくて見たいものと見たくないものがあるだけであり、見たくないものが目に止まってしまったら、罪悪感が生まれる。その罪悪感を捨ててでも人を殺すべき時がある、と言う。最後には「どうぞ僕を殺してください。どうか僕を救ってください。」と言う。呪縛に呼吸もままならない人間には死しか救いがないなんて、生きることの過酷さの現れだ。

 

そして、認知症の父親に苦労し時間を割かれボロボロになってたはずの梅田美絵が、法廷で斯波に向かって「人殺し!お父さんを返して!」と泣き叫ぶ。それに対してなんとも言えない表情をする斯波。 これは殺していいのは血のつながりのある者だけ、ということなのかもしれない。し、自分を正当化するために出た行動なのかもしれない。のが、悲しい。

同じく斯波に手をかけられた親を持つ洋子(坂井真紀)は辛さを受け止めているもよう。再婚が決まった年上の男性春山(やす)はその年齢差を卑下する。と、洋子は自分のことを「そんなに立派な人間じゃありません」と言う。「迷惑かけてもいいんですよ。私も迷惑かけます。きっと誰にも迷惑かけずにいれる人なんていません。」。これが親の介護に疲れた洋子の答えなのだろう。

人それぞれで正解がない。あるのは加害者と被害者遺族がいるという事実だけ。

 

また、大友は20年会ってなかった父の孤独死の現場に立つ。連絡が何度かあったのに無視をしたことは、斯波と自分とどう違うのか、一人で抱えるにはつらかったのか、斯波に面会に行ってそのことを話す。その一方で、認知症が進んだ母親に「私が娘で幸せだった? 」と聞く。それに「よしよし」と頭を撫でて応える母親。色んな思いが構築されては瓦解するの繰り返しで、生きていく上で大なり小なりの罪(といえるもの)は抱えているものなんだなと、これまた気落ちした。


また、斯波の父の最期の言葉が「どちらさまですか」だった。「父さん」と呼び泣きながら抱きしめニコチン注射をする斯波。そして父親の枕の下から折り鶴を発見する。半身不随だから折り紙なんて無理だと言っていたのに、赤い折り紙で折った鶴を開けば遺書がしたためてある「おまえがいてくれて幸せだった」「おれの子に生まれてくれてありがとう」。いったい親とはなんだろう、無条件で子供を愛せるのだなぁ、それは子供が親を愛する以上のものだと思った。

 

ラストは父親を殺った時を思い出しての斯波の表情。やはりわだかまりはあって、虚勢を張って自身の正義を保っていたのかもしれない。それが大友によって解かれ力が抜けたのかも。欲したのも手にしたのも赦しだったのかもしれない。そしてなお、この先も構築と瓦解なのだ。

 

かようにあれこれ考えることの多い作品だった。

 

松山ケンイチならではの役。役者にはその人にしかできないキャラクターというのがあるのかもしれない。 柄本明も坂井真紀も戸田菜穂も素晴らしかった。ケアセンター八賀のスタッフ猪口峯村リエも淡々としたキャラクター、本当にうまい。

 

★★★★★

 

 

 

 

 

制作 日活、ドラゴンフライエンタテインメント

配給 東京テアトル、日活

 

 

 

私も両親を送った。正確には母だけ。色々思うことはあるけど、これは墓まで持っていく。ほとんどの人がそういう思いを抱えて生きていると思う。

 

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『茶飲友達』(2023)

2013年に実際に起きた高齢者向け売春クラブ事件から着想を得た作品。とのこと。

 

監督・脚本 外山文治=とやまぶんじ(『ソワレ』他)

音楽 朝岡さやか

 

岡本玲、磯西真喜、梅沼美羽、渡辺哲、瀧マキ、岬ミレホ、長島悠子、百元夏繪(ひゃくもとなつえ)、クイン加藤、海江田眞弓、楠部知子、中山求一郎、アサヌマ理紗、鈴木武、佐野弘樹、光永聖、中村莉久、牧亮佑、名越志保、重岡サトル、池浪玄八、五頭岳夫、山下ケイジ、吉田茂樹、荻野祐輔、大河内健太郎、横山美智代、山形美智子、吉澤憲、福田温子、伊藤慶徳(いとうけいとく)、大森勇一、谷川美枝、石川佳代、大根田良樹、伊藤祐輝、高橋清、峰秀一、他。

 

高齢者向けの売春クラブ「茶飲友達(ティーフレンズ)」を仲間数人と運営する佐々木マナ(岡本玲)。ティーガールと称する風俗嬢は65歳以上の女性。新聞の三行広告で利用者を募っている。「煎茶コース」と「玉露コース」があるが、ほとんどが本番有りの「玉露コース」を選び、さらに会員になって定期的に利用する。

ある日、スーパーで万引きで捕まりそうになった女性松子(磯西真喜)を救ったマナは、「茶飲友達」に誘う。独身できた松子は親を見送り、孤独で自死をも考えていた。そんな松子に親身に寄り添うマナにほだされ、ティーガールになる。最初は抵抗もあったが、No.1のティーガールの手解きもあり、やがて人気No.3までいく。

しかし一度は自死を考えた松子は、会員客の自殺を見て見ぬふりをして事件化、「茶飲友達」が摘発を受けることになる。そこで今まで仲間、ファミリーと思ってきたスタッフやティーガールたちが次々に自分都合でマナを見捨て去っていく…。

ティーガールたちの事情、スタッフたちの事情、利用客の事情、そしてマナ自身の事情を描きながら、高齢者と若者に巣食う孤独感と閉塞感が露わになっていく。

松子も「騙されたって利用されたって良かった」と言う。もしかしたら何か変わるかもしれない、確かにマナを始めとした人との触れ合いが力になりはしたが、現実は万引きは治らないし、それは希望がない孤独感から逃げられなかったということなのだろう。だから客が首を吊るのを黙認した。

 

気の毒だったのは、妻に先立たれ腐っていくだけの生活を送っていた時岡(渡辺哲)。「茶飲友達」を利用することでイキイキとしたなりに変わっていった。なのに、おしゃれをしていつものように電話をかけるが、摘発を受けたので不通。力なく座り込む時岡に、この先をどう生きるんだろうかと考えてしまった。

 

スタッフの千佳(海沼美羽)は妻子ある男の子供を身籠る。その男と一緒になることは諦めたが親のいない千佳には子供を産まない選択肢はない。

他にも脱サラして夢のパン屋を開店したものの失敗し、車中泊している父親を抱えるスタッフ。パチンコ依存症のティーガールは打つ金欲しさにどんな嘘も重ねる。

 

捕まったマナが事情聴取で女性刑事に「自分の寂しさを他人の孤独で埋めるな」と言われる。自分では希望を与え、居場所を作ってあげてるつもりになっていた。マナは厳しい母親に虐げられてきた。その母親は今、余命いくばくもない状態で、看病をしている弟(重岡サトル)からは手助けを乞われていた。けれど憎くて、自分が家に居場所がなく風俗へ落ちたのも母親のせいと思っているマナ。本当は母親を求めて、ティーガール、特に松子に母親の愛を求めていた。それを突かれて悔しさと絶望に呆然とする表情が素晴らしかった。

 

また、これ、やがては誰にでも来る未来であること、それは劇中の若いスタッフにも来る。今は小馬鹿にし笑っていても、いずれはティーガールたち、老齢の客たちの気持ちがわかるようになる。それが見える作品で、ヒリヒリした。なにしろ老人ホームにまで出張する。もちろん民間施設なので知人を装えば問題なく面会可能。そして松子のいる空間で首を吊る客、その寂しさ、気持ちがわかるからあえて止めることをしなかったし、最期を独りにしないためにも居ようと思ったのだろうし、客も逝けたのだと思う。しんどい。

 

総じて、人は人を求め、そこにぬくもりを期待し、永続的な愛を追うものなんだなぁと思った。なかなかに切なく、また役者が素晴らしく、グッとくる作品だった。

 

★★★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

配給 イーチタイム

 

 

『FOSS』吉沢亮写真集

写真:瀧本幹也

 

税込8800円(20250621)





FCには入ってないライトファンとなったので、迷ったけど、買ってしまった。オマケが選べたのだけど、シンプルにチェキ風フォトを所望し、あまりに………でガッカリした。ファンは何を見たいか、オフショットでもアーティスティックフォトでもなく、加工のないそのままの吉沢亮を見たいのだ。と、私はそう。

 

さて、本体、予想通りのものだった。

というのは、吉沢亮を被写体にアートに寄って作った写真家の作品という感じ。個展で並べた作品を、見に来れない人のために本にまとめました、という感じ。

 

可もなく不可もなしと言いたいところだが、制作側とファン側とではやはり意識の乖離がある気がする。私はそう。

アイスランドは行ったことないしすぐに行けるところでもないし、美しい場所があることはわかったけど、だからって風景だけの写真は欲してない。私はそう。

片面印刷が多く、実にアーティスティックだけど、余白は望んでない。オフショでもいい、何か言葉、解説でもいい、そんなもので全面を埋めて欲しかった。もっともっと吉沢亮の美しさやその時にしかない表情、空気感を載せて欲しかった。私はそう。


 

ただ、良かったのは、反意的になるが、アイスランドの大自然で埋もれる吉沢亮、こんなに人間は小さく、自然は偉大であるということが感じられたこと。それからただタレントを撮るというのではなく、写真家の感性が内包されていたこと。吉沢亮がただの被写体=モデルにしかなってなかったこと。写真家の自己表現の一つとして一冊によくまとまっていたと思えたこと。



まあ、では、以下、良かったショット。

 

ページナンバリングされてないので難しいのだけど、まぁ、冒頭のアップ(部分的なもの含め)はほぼ良い。「吉沢亮」であることが消えてるものの方がより良い。

 

●滝を後ろにの写真で5枚目。左ページ。目線の合ってないやや右寄りのもの。

●氷河を後ろにしたものの最後の写真。右ページ。目線の合っている上半身。

●広く広がる草原のようなところでの日の昇りつつあるオレンジがかったアップ。左ページの目線の合ってないものと、右ページのこちらに目線を送っているもの。






ついでに代官山ヒルサイドフォーラムでの『FOSS』瀧本幹也/吉沢亮写真展(0807〜0824/¥1500)にも行ってみた。




 

撮影OKなのはエントランスすぐの巨大写真(目玉である和紙への転写作品含む)スペースと2階上がってすぐのスペースにあるもの。

 

 

大自然の中でのナチュラルな吉沢亮が、写真集で見るより肉感的に感じ取られるし、何者でもない一個体感も強い。なるほど、李相日監督のいう「空洞」が、お芝居ではなく写真からも伝わってきた。

 

特典映像(2024年6月28日〜7月3日分/撮影:Masanori Kobayashi/プロデュース:吉沢マネージャー)は展示スペースの休憩場所のテーブル上にあるQRコードを読み込んでvimeoで見られ、有効期限が9月24日まで。音楽とマッチして行ったことないアイスランドの白夜と大自然がすぐそこに感じられる映像作品になっていた。

 




ショップもあって、ファンクラブでしか買えなかった「国宝ブックレット」が入手できてよかった。実はこのブックレットが入手可能とSNSで知り、それ目的で行った。このブックレットは「国宝」撮影記録のような(おそらくマネージャーによる)短文も数日分(全513日の中の5日間を切り取ったもの)あり(ちょうど私の誕生日の日付もあったのは単純に嬉しかったw)、舞踊ショットを中心に組まれ思ったより素晴らしくて、一般売りして欲しかったくらい。


その他、展示されている写真、10種ほどだったろうか、A3サイズで額縁入りも購入可能となっていた。額縁の色も選べた。

 


(以上、写真は全て写真展のものより)

 

 


『Snow Man 1st Stadium Live~Snow World~』(2025)国立競技場 0420・17:30開演)

Netflix配信より

 

今年、デビュー5周年で初のスタジアムライブを実現したSnow Manの国立競技場での(4月19日、20日)第2日目のライブがネットフリックスで配信になっているので観てみました。はい、FCに入ってますが、この後の日産スタジアム(6月7日、8日)もハズレて、この20日分のは全国の映画館でのライブビューイングもあったけどそれはパスしてたので、配信は楽しみでした。(それにしては観るのが遅い(^^;)

 

構成はライブとその舞台裏ドキュメンタリーの2本立て。

マーチングバンド(Snow Marching Band)は総勢64名。

 

【セットリスト及び注釈】

 

Crazy F-R-E-S-H Beat

EVOLUTION

POWEEEEER

Nine Snow Flash

ナミダの海を越えて行け

ブラザービート

 

***オープニング挨拶(ラウール→宮舘涼太→向井康二→岩本照→目黒蓮→阿部亮平→渡辺翔太→佐久間大介→深澤辰哉)***

 

僕という名のドラマ

SBY

 

***ソロ曲コーナー***(カッコ内スラッシュ後はダンス兼コーラス)

 

いっそ嫌いになれたら阿部亮平/目黒蓮、深澤辰哉)

I・だって止まらない宮舘涼太/岩本照、ラウール)

オトノナルホウへ渡辺翔太/佐久間大介、向井康二)

朝の時間目黒蓮

 

***岩本照ドラム&マーチングバンドコーナー***

 

Tic Tac Toe

KISSIN' MY LIPS

LOVE TRIGGER

Cry Out

君へ贈る応援歌

あいことば

スタートライン

タペストリー

 

***MC後再びソロ曲コーナー***(カッコ内スラッシュ後はダンス兼コーラス)

 

ファインダー向井康二/全員)

iro iro深澤辰哉/全員)

守りたい、その笑顔佐久間大介/全員)

7%岩本照/深澤辰哉)

Inductionラウール

EMPIRE

slow…

BREAK OUT

Grandeur

Party! Party! Party!

 

***アニメ絵ムービーで5年を振り返るメンバートーク***

 

D.D.

HELLO HELLO

オレンジkiss

Dangerholic

僕は君のもの

 

***エンディング挨拶(岩本照→阿部亮平→佐久間大介→向井康二→宮舘涼太→深澤辰哉→渡辺翔太→ラウール→目黒蓮)***

 

Dear.

 

***アンコール***

 

SowWorld

君の彼氏になりたい

KANPAI Year!!

Weʼll go together

 

 

オープニングはメンバー紹介を兼ねたムービー。これで会場の期待溢れる熱気をグッとひきつける。からの大階段を下りながらの「Crazy F-R-E-S-H Beat」がボルテージを爆上げ。さらにダンスバトルめいたものもある「POWEEEEER」でライブに参加してる気分は最高峰へ。さっくんのブレイキン、ひーくんの難振りが魅力。そしてメンバーへの、また各自のひとことコメントが楽しい「Nine Snow Flash」へと続き、興奮のるつぼ。空はまだ明るい。

後のドキュメンタリーでも言ってたけど、魅せる(見せる聴かせる)より踊り盛り上がるアップテンポの曲を集めたのはスタジアムでは正解だと思った。

ひーくんのドラム演奏からのメンバーカラーのラメスーツ(スパンコールかな?)がとても華やかで良かった。遠目でもわかるし。ちなみに衣装全6種はラウール担当とのこと。さらに衣装でいえば、「D.D.」からのメンカラ外したタキシードも品があって良かった。タイがそれぞれイメージに合ってたし、9人という大所帯だけにやっぱり統一感は好ましい。

「Tic Tac Toe」「Cry Out」でのしょっびーの低いがなり声が最高に良かった。ふだん高音ばかりだけど、このくらい低いのも多く聴きたい。「Tic Tac Toe」ではみんなで揃ってスネアドラム演奏披露。この曲あたりで空は陽が落ちた暗さになって雰囲気が変わる感じがまた良し。

「Cry Out」ではいつもラウールがテンションマックスになって次に行けるのか心配になる(もちろん大丈夫)。コージがマーチングバンドのリーダー(?)を軽く紹介してバンドと共にはここでおしまい。

そうそう、実質休憩となるアニメムービーのシメから「D.D.」に入る際にコージが「ホテッテルズ!」と笑いを取るのだけど、私には「惚てってるズ」に聞こえて、なんで?!とワクついてしまった。知ってるのかなぁ。一応コント芝居やってるわけだけど。

めめが涙もろくてエンディングの挨拶で涙がこぼれてたけど、ドキュメンタリーを見たら「Dear.」でほぼほぼみんな泣いてた(もしかしたら国立1日目のことかもしれない)。ファンや支えてくれてきたみんなに感謝を持って書いた歌詞であるわけだし、その抑えられずこみあげてくる感涙もわかる。7万人入るスタジアムは広いもの。しかもライブビューイングで25万人とのことだし。単純に32万人が同時に観てることになる。

 

ドキュメンタリーでは監修を松本潤にお願いしたこと、それによって助けられたこと、スタジアムライブの実感や感想、ファンへの感謝が綴られていた。ちなみにソロ曲の提案は松本潤によるものだったとのこと。出ずっぱりにならずも常に存在を感じられる演出だし、メリハリが効いてる。

その他、映像、ライティングはもちろん、レーザー、途中の噴水、火炎(スモーク効果まで)、ラストのメンカラの花火、映像の中に歌詞を入れ込み煽りにするなど、色々あった。そしてファンのペンライト。

 

メインステージからアリーナ席をかこむように花道で導線が引かれ、中央ステージ、トロッコやムービングステージはもちろん、3階スタンドまで届きそうなリフトステージ(?)などあるにしても、それでもスタジアムクラスだと席によってはモニターも双眼鏡で見ないと見えないんじゃないかと不安(^_^;)。いや、そんな心配より、私が実際ライブに行けるのはいつになるやら。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『サマーフィルムにのって』(2021)

 

監督 松本壮史(『青葉家のテーブル』他)

脚本 三浦直之松本壮史

主題歌 Cody・Lee(李)「異星人エイリアンと熱帯夜」

 

伊藤万理華、金子大地、河合優実、祷キララ(いのりきらら)、小日向星一、板橋駿谷、池田永吉、篠田諒、甲田まひる、ゆうたろう、篠原悠伸、ニクまろ、他。

 

時代劇好きの高校生、映画部員のハダシ(伊藤万理華)は、今年も部内コンペで負けて文化祭で上映する機会を逸した。映画部は監督・主演花鈴(甲田まひる)によるキラキラ青春恋愛映画「大好きってしかいえねーじゃん」作りに入る。

映画好きでもある幼馴染み、天文部のビート板(河合優実)、剣道部のブルーハワイ(祷キララ)と大好きな勝新太郎映画を観て盛り上がるも諦めきれない「武士の青春」制作。でも、主人公にピッタリ合うイメージの人物もいないし…と、そんな時、まさに主人公にぴったりな青年凛太郎(金子大地)と出会う。スカウトするもなんだか言ってることがおかしい。でもとにかくハダシはやる気が満ちて、ビート板、ブルーハワイの他、録音担当に野球部補欠の増山(池田永吉)、同じく駒田(小日向星一)、照明担当デコチャリヤンキーの小栗(篠田諒)とスタッフをかき集める。もちろん、対決相手役にダディボーイ(板橋駿谷)もスカウトした。

どうにか始まった撮影だったが、凛太郎が実は動画の類は数分まで、という映画のない未来からやってきたことがわかる。ハダシが監督となっている未来だ。そして撮影が進むうちにハダシはラストに悩むようになる。一方、花鈴チームにアクシデントが起こり、ブルーハワイが助っ人に出るなどあり、文化祭でハダシの作品「武士の青春」も上映されることになった。ハダシはそこでもラストを変え…。

 

遠い未来でハダシ監督の作品を観てファンになった凛太郎が、廃れてしまった映画を復活させたい一心で過去へとトリップする。タイムパラドックス。

 

中盤までは良かった。凛太郎が未来から来たことがわかり、しかもそれにたいした驚きもなくすんなりと受け入れてるさまに物足りなさを感じ、時代劇の理想型を熱弁してたわりに、最後が恋愛を絡めたもので終わってるのがとても残念だった。凛太郎が交信してるドク(篠原悠伸)の役割も不完全。

良かったのは花鈴が決して嫌なやつではなかったこと。花鈴の相手役を務める隼人(ゆうたろう)も。ジャンルとしてはラブコメなのだろうから、鼻につくようなキャラクターがいないのは良い。

 

ここできれいで初々しいキャラを演じた金子大地と河合優実が、その後『ナミビアの砂漠』でどえらい関係を演じるの、何気に胸熱笑。

 

★★★

 

 

 

 

 

 

 

制作 パイプライン

配給 ハピネットファントム・スタジオ

 

『やがて海へと届く』(2022)

原作は彩瀬まるの著書。

 

監督・脚本 中川龍太郎(『走れ、絶望に追いつかれない速さで』『静かな雨』『四月の永い夢』『わたしは光をにぎっている』他)

脚本 梅原英司

音楽 小瀬村晶(『思い、思われ、ふり、ふられ』『朝が来る』他)

アニメーション挿入曲・エンディング曲 加藤久貴

 

岸井ゆきの、浜辺美波、杉野遥亮、光石研、中崎敏(なかざきはや)、鶴田真由、中嶋朋子、新谷ゆづみ、池田良、北川あきえ子、東龍之介、中田絢千(なかたあやか)、池田航、野田美桜、三村和敬、加瀬未来、小林萌夏、他。

 

以下、独自解釈を含めた感想。

 

引っ込み思案の湖谷真奈(岸井ゆきの)は大学1年の時に出会った親友、自分とは真反対に見える卯木すみれ(浜辺美波)がいた。真奈の恋愛話を聞いては同調し、困った時には真奈を頼る、口には出さなくてもお互い心が通じ合っている仲だった。けれど、すみれは1年半の真奈との暮らしに終止符を打ち、親しくしていた遠野(杉野遥亮)と住むようになり、就職してからはほとんど会うこともなくなり、けれど常に心のどこか、頭のどこかにはずっと存在し合っていた。そんな2011年3月11日、すみれと真奈は2度と会えなくなった。

遠野の連絡を受け、真奈は遺品を実家に届け、すみれの家庭環境を知る。すみれの母親(鶴田真由)にとってのすみれ、遠野にとってのすみれ、そして真奈にとってのすみれが全部違う。共有できない苛立ちに、真奈はさらにすみれへの思いが深まる。その上、勤め先の優しくしてくれてた上司樽原(光石研)が亡くなる。コック長の国木田(中崎敏)とズレはあるものの行き場のない思いを共有する。そして、思い切ってすみれの最期の地へと赴き、あの日津波を経験した人々との出会いを経て、真奈はようやくすみれの死を受け入れる…。

 

結局、すみれの気持ちはわからない。私たち観てる側にはニュアンスとして伝わるだけで、真奈にはわからないだろう。ただ、作中にあるように、一緒にいる時は素に近い自分でいられたのは感じられていただろう。互いに。

すみれは人当たりがよく、誰とでも仲良くなれるタイプ。に見えて、それは自分をガードしている手段でしかなかった。すみれはすみれなりに自我と闘い悩み苦しんでいて、それに比べたらうまく人と付き合えない、流されているようでも自分の意思と足で地に立っている真奈は、そんなふうに生きられたらというすみれの憧れであったのかもしれない。真奈は強いよという言葉が物語っていた。

 

オープニングのアニメーションはエンディングへと続くのだけど、始めは何のことかわからない。でも最後で何を描いてたのかがわかる。アニメーションという技法により、表現がやさしくなり、ファンタジックになり、生と死が抽象性を持ちつつも深く心に落とされる。とてもいいなと思った。

また、実際の打ち寄せる海の波も時に色濃く映され、延々沖へと向かう映像は海の深さも感じられ、それは美しい反面恐ろしかった。映像はそれだけで語るからすごい。

 

ただ、すみれの描写をもっとミステリアスのままでいっても良かった気がする。すみれの気持ちをはっきりと出さないのなら、少しだってすみれ目線で語るのは余計。だって、所詮他人の心は読めないのだから、というのが作品の根底にあると思ったから。

原作はどうなのかは読んでないのでわからない。

 

岸井ゆきのはハマり役だし、浜辺美波も良かったし、杉野遥亮も良かった。特に、遠野のキャラは難しく、真奈と会話する場面はヒリヒリと痛かった。すみれとのやりとりも痛い。遠野は婚約者がいるようなので、幸せになって欲しい。

 

★★★(★)

 

 

 

 

 

制作 Tokyo New Cinema

配給 ビターズ・エンド

 

 

 

『天狗の台所 Season2(2024)BS-TBS 全10話

 

原作は田中相の漫画。

 

監督 長嶋翔下田彦太川井隼人畑中みゆき林田浩川

脚本 岨手由貴子山田能龍天野千尋熊本浩武ナラミハル

音楽 VaVa

 

駒木根葵汰、越山敬達、塩野瑛久、原田泰造、渡辺真起子、古屋呂敏(ふるやろびん)、原田琥之佑(はらだこうのすけ)、他。

 

隠遁生活が終わってから1年、父母(エリス・ウィルソン原田泰造一乃・飯綱・ウィルソン渡辺真起子)とのニューヨーク暮らしに戻っていた飯綱オン(越山敬達)だが、ロサンゼルスにも事務所を開いた一乃は約束も反故にする忙しさで、一人留守番ばかり。留守番用にクレジットカードを渡されたことをいいことにオンは、夏休みを兄飯綱基=いづなもとい(駒木根葵汰/少年期:白鳥晴都)のもとで過ごそうと日本へ飛ぶ。

久しぶりの逢瀬にはにかみながらも喜びあう兄弟。そして愛犬むぎの声もまだ聞こえていた。基の幼馴染みの愛宕有意=あたごゆい(塩野瑛久/少年期:市村優汰)もかけつける。1年前に得た楽しい思い出、美味しい食事、自然豊かな穏やかな毎日に希望が膨らむ。ところがここで問題発生。一乃に、勝手にカードを使って日本へ行ったことを叱られ、カードは止められるし、帰国する際の航空運賃を自力で稼がなければならなくなる。そこでまず、基に倣って農作物の無人販売を、自分の畑で収穫した野菜で始めることにした。それから薪売りも。お次はお祭りの屋台も。創意工夫をして失敗したり成功したり、やりがいや達成感を得ながら利益を得ることの難しさ、仕事や社会の一片を知る。

仕事といえば、休みを返上してまで仕事に追われる有意。その反対にほぼ自給自足、ゆったりした日々の生活を送る基。でもそれぞれに思うところがある。有意の実家は京都にあり、愛宕家を継いだ兄の慈雨=じう(古屋呂敏)とどうもしっくりいってない。有意は逃げて東京へ出たのだった。基は社会を知らない。ずっとここで暮らしているのだから。基にとっての社会は村人だ。二人ともひけめを感じているのだった。でもそれが2年に一度の天狗の里のお祭り(正確には京都の愛宕家と交互に)で慈雨がやって来て共に過ごして、また、新しい目を持ったオンによってたいした問題ではないと思えるようになる。

そしてオンも、電気屋の孫颯馬(原田琥之佑)が夏休みの間滞在していて、ゲームばかりして他と交流しようとしない姿が以前の自分と重なり、なんとか突破口をと思い行動する。アレルギー持ちの颯馬のために作った米粉のたこ焼きですっかり仲良くなった二人だけど、颯馬が思ったよりも早く帰らなければならなくなる。親のいいなりで少し不満に思うオンだったが、シングルマザーの颯馬の家庭、なんだかんだ言っても母親に感謝してると言う。オンは一乃とはケンカ中だけど、颯馬とのやり取りもあってオンも自分を見つめ直す。

また、突然様子見に現れたエリスと一乃だったが、そんなあれこれでオンの成長を感じ、誇らしいような寂しいような複雑な気持ちで一足先に帰国する。もちろん、飛行機代を自力でなんとかしようと努力したオンを最大限リスペクトして、飛行機代は無しに。オンの成長が一乃の意識も変えるのだった。

長年使って来たオーブンが壊れて買い替えるのではなく庭にかまどを作ることを決めた基。そのかまどが出来が上がる頃、オンもニューヨークへ帰る日がやってくる。有意も会社を辞め起業することを決める…。

台風がきて自然を前に無力を感じたり、でもだからこそ対策が重要であること、人生において必要なことを少しずつ身につけて、少し大人になったオンが描かれる…。

 

 

基と有意の青春時代も垣間見え、エリスや一乃の思い、慈雨の思いも描かれ、かつ視聴者へ解釈の自由を与えてる、今作も本当に良い脚本だった。

 

「どこに行ってもその場所を深く知ることができれば好きになる。そうすれば自分も豊かに実る」(基)

社会人としての経験、社会とは仕事とは、人との距離、労り、自然の恩恵と感謝、一日の長短、美味しいものをおいしくいただく食の大切さ、人間がこの世で生きていく上で大切なものは何かを教えてくれるようなドラマで、とても良かった。

 

 

仕事を詰めても良いアイデアも出なかろうと、バカンスを取ってリフレッシュしようと提案するのだが、それが庭先にビニールプールを出してワインや基の作るデザートでリゾート気分を味わう気分転換で、笑えた。そんなんでリフレッシュできるものなのか、と(^^;;。

 

料理はどれも魅力的だったけど、手作りコーラには驚いた。材料を見ればなるほどコーラ味のものが出来るなとわかる。またその過程での砂糖の量に、なるほどさんざん言われてる清涼飲料水の砂糖含有量の多さは本当だったのだな、と、実際作ってるところを見せられ、ちゃんと恐怖を感じた(^^;;。

 

 

劇中にも言われてるけど、リアルに越山敬達大きくなった。成長期だものな、Season1の頃とは顔が違うし声色も違う。『国宝』で見た時、このオンのイメージがまったくなくて「誰?」状態だった。身長も伸びて、公式では172センチとあるけど、もっとありそう。まだ膝下も長いのでやはり180センチは行くのではないか。こうしたリアル成長が見れる作品は貴重。

Season3も出来るといいな。

 

★★★★★

 

 

 

 

ティザー

 

 

 

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025)

原作は福徳秀介(ジャルジャル)の小説。

 

監督・脚本 大九明子(『私をくいとめて』『ウェディング・ハイ』他)

 

萩原利久、河合優実、伊東蒼、黒崎煌代(くろさきこうだい)、安斎肇、松本穂香、古田新太、浅香航大、他。

 

大学の敷地内に入ると日傘をさして人の目を避ける、他との交流を断つまったく冴えない男小西徹(萩原利久)。それでも学内には方言がきつく独特のファッションセンスの友人山根(黒崎煌代)がいるし、バイト先の銭湯には学生バンドをやっているバイト仲間さっちゃん(伊東蒼)がいて、そこでは普通に面白おかしく会話を楽しんでいる。

そんな小西は大好きな祖母が亡くなり落ち込み、半年大学を休んでいた。ようやく復帰してすぐに、周りの目を気にすることもなく群れることもなく単独で行動する桜田花(河合優実)に目が止まる。偶然も重なり、言葉を交わせば共通点も多く、たった一日で距離が縮まる。殊に、桜田の言った「毎日楽しいと思いたい」「今日の空が一番好きと思いたい」という言葉は、祖母の言っていたことと同じだっただけに。

小西は日傘をやめ、桜田と一緒にいることが楽しくなってきた。そんなある日、小西に想いを寄せていたさっちゃんは、いち早く小西の変化に気づき、想いを告げる。どうにも応えられずにその日を終えた翌日は、待ち合わせ時刻に桜田が現れず、以降、会えなくなる。気にしないでと言っていたさっちゃんもずっとバイトを休んでいる。変に勘ぐり投げやりになった小西はまた日傘をさす日常に戻ってしまう。

そうこうして一月半が過ぎた頃、銭湯のオーナー佐々木(古田新太)からさっちゃんが亡くなったことを聞かされる…。

 

これ以上はネタバレしちゃうんで、しかもとても大切な展開と言葉遊び、良い台詞回し、小道具(小ネタ)、映像表現の宝庫だったりするんで、あとは観て感じて欲しい。ってぐらい、とても良い作品だった。よくよく見てみれば原作がジャルジャルの福徳秀介。著書は読んだことないけど、ジャルジャルのコントは好きで、この作品にも「ああ、なるほど、言語化うまいな」「キャラクター作りうまいな」という感想を持った。

 

二十歳前後の大学生生活で外れている子たちが主人公。学校に通い始めてから誰のどのクラスにも1〜3人くらいはいたであろう、その他大勢の中に入らない感覚(感性か性質か?)を持ってる子。すぐに「こういう子いたな」と思い当たる。そういう子が主人公。

その当時は関わっても面白くないし合わないからと避けたり、寄らず触らずだった人、多いのでは? それが悪いわけではなく、そういう子がいたでしょう? という事実の記憶の確認。そんな子でも自分らと何ら変わらず他人と交わり関係を築き確実に社会に生きているのだと思い知る。それが喫茶店のマスター(安斎肇)でなお感じ取れる。人間って面白いなと思える。

 

この作品では、人との関わり合い方の違い、人の死がどれだけ周りを悲しませるものか、もっと大きく言うと、真摯に向き合う人生の歩み方についてが描かれていると思う。

 

とても良かった。

 

役者もいい。萩原利久はキャラクターにぴったりだし、河合優実は本当にカメレオンのような女優さんで今後も期待できる。伊東蒼もうまい。

 

そういえば喫茶店のマスターに安斎肇とはセンスがあるし、さっちゃん(幼少期)の父親浅香航大、銭湯の娘夏歩松本穂香…これが赤ん坊を産むのだが…、なるほどそのくらいの役もする歳か、と(^_^;)…。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

公式サイト

 

 

 

『ナイツ・テイル 騎士物語 ARENA LIVE(2025)有明ガーデンシアター

原作 ジョヴァンニ・ボッカッチョ「Teseida」ジェフリー・チョーサー「騎士の物語」ジョン・フレッチャーウィリアム・シェイクスピア「二人の貴公子」

 

脚本・演出 ジョン・ケアード

作詞・作曲 ポール・ゴードン

日本語脚本・歌詞 今井麻緒子

振付 デヴィッド・パーソンズ

アクションコーディネーター 諸鍛冶裕太

音楽監修・指揮 ブラッド・ハーク

演奏 東京フィルハーモニー交響楽団

 

アーサイト:堂本光一

バラモン:井上芳雄

エミーリア:音月桂

牢番の娘:上白石萌音

ヒポリタ:島田歌穂

シーシアス:宮川浩

ジェロルド:大澄賢也

牡鹿:松野乃知(まつのだいち)

 

穴井豪、岩下貴史、大山五十和(おおやまいそかず)、Seiga、西口晴乃亮(にしぐちせいのすけ)、石井亜早実、遠藤令、酒井比那、塩川ちひろ、知念紗耶、富田亜希、

植木達也、神田恭兵、小西のりゆき、茶谷健太、照井裕隆、中井智彦、広瀬斗史輝(ひろせとしき)、本田大河、青山郁代、岩瀬光世、咲花莉帆、田中真由、堤梨菜、原梓、藤咲みどり、水野貴以


アリーナライブと謳ってるだけあり、コミカルに作品解説も交えたコンサート形式のミュージカルになっていた。約2時間半ぶっ通しなのだが、途中10分程度のトークタイムがある。どうしてもという人はこの勿体無いトークを聴かずに用を済ますことになる。ということを冗談めかして面白おかしくしゃべる堂本光一と井上芳雄、ほんの数秒前まで、またこのあと一瞬でアーサイトとパラモンに戻るのが不思議でならなかった。すごいな、役者さん。

 

というわけで、2018年世界初演、2020年「ナイツテイル」シンフォニックコンサート、2021年完成形で再演を経ての今回のアリーナライブ。キャスト、オーケストラ、和楽器奏者、ロックバンドを合わせて100人を超えるメンバーで上演された。

 




テーベの騎士として誇りと名誉、厚い友情を持ち、伯父クリオン(大澄賢也)に仕えてきた従兄弟同士のアーサイト(堂本光一)パラモン(井上芳雄)。敵国アテネとの戦いに敗れクリオンを亡くし大公シーシアス(宮川浩)に捕らえられる。牢に繋がれていようと二人でいることで案外楽天的に過ごすアーサイトとパラモン。ある日二人は同時にシーシアスの妹エミーリア(音月桂)に恋をして、恋敵となる。ところがアーサイトは放たれテーベへ戻ることになる。エミーリアと離れてしまうことでそれぞれ「パラモンに奪われてしまうのではないか」、「自由になったアーサイトに分があるのではないか」、二人は互いに疑心暗鬼になり、どちらもエミーリアを必ず手に入れると心に決める。

運よくアーサイトはテーベへ向かう途中でエミーリアの誕生日を祝う森の楽団のダンスリーダージェロルド(大澄賢也)と出会い、ダンサーとして採用される。これで再びエミーリアに会える手段を得た。そうこうしてその日がやってくる。一番ダンスの上手かった者にエミーリアが褒美を与える祝いの宴でアーサイトが選ばれる。もちろん名を変え身分を隠していたが、実はエミーリアもほのかにアーサイトに想いを寄せていたため、アーサイト本人ではないかとわかる。そして囚われてシーシアスのもとに来たアマゾンの女王ヒポリタ(嶋田果歩)が気持ちを察しアドバイスのもと、エミーリアの従者として迎えられることに。

一方パラモンは、パラモンに想いを寄せる牢番の娘(上白石萌音)の手助けによって牢獄を脱する。二人で逃げるはずがちょっとしたすれ違いによって離れ離れになり、牢番の娘はパラモンを見失い、裏切られたとショックを受ける。そして一人森に放り出されたパラモンは鹿狩りに来たシーシアス一派の中のアーサイトと再会する。かばい合いながらも二人は恋敵として対峙せざるを得ない。ついにはシーシアスにアーサイトであることがばれ、脱獄したパラモンも見つかってしまう。

アーサイトを想うエミーリアの哀願によって決闘によって勝者の命が保証されることに。唯一無二の友愛とエミーリアへの愛、騎士の矜持を賭け、アーサイトとパラモン、二人は剣を抜く…。

 

また、エミーリアは長年忘れられずにいる探していた心の友フラビーナとの再会を果たす。このあたりの表現が、同性愛っぽくて、これは終わりがどうなるんだろうと良からぬ結末を想像してしまった。また、血縁があろうがどれだけ信頼し友愛を持とうが男は生死をかけるもの、女は状況に翻弄されつつも本心は内包し目の前の現実に対応する存在であることや、軍神マルスとアテナとの勝負(アテナのソプラノが美しかった)によりアテナが勝利を治めたことから、ジェンダー差も匂わせていたので、革新的なラストをやはり期待してしまった。

が、結局、夢を追う心、希望に向かう歩み、何よりも人を思いやる、人とのつながりの大切さを問うていた。作品のように思った。

 

井上芳雄の素晴らしさを改めて実感。口跡が良く、声も通り、しっかりと歌詞が伝わってくる。音月桂も声量がすばらしかった。今回初めて観る大澄賢也も良かった。

そして何だかわからないけど、上白石萌音の情感たっぷりに歌い上げるその表現法に涙が込み上げそうになった。素晴らしい。

もう素晴らしいとしか言えない。特にエンディングでのパラモンと牢番の娘の仲睦まじい雰囲気が本当に本当に愛らしく、ついつい顔がほころぶ。逆にアーサイトとエミーリアは大人っぽく冷静沈着なムード。それもまた良しか。

 

トークタイムでは働き方改革の弊害とチケット代の高騰をうまく絡めて笑いに昇華していた。本当にもうS席が2万台が当たり前になるかもしれない(´;ω;`)

 

 

(観劇日20250807)

 

TOKYO GARDEN THEATER(東京ガーデンシアター) 0802~0810

 

 

公式サイト

 

 

 

ところで、ペンライトが公式販売されていて、曲によって色を違えて振る、という参加型イベント(?)があったのだが、これは本編からそうなのだろうか?(残念ながら本編は観たことがない)それならそれで面白い。


そうそう、コンサートらしくモニターが正面左右に設置されていて、カメラによってクローズアップされるのだけど、普通ならオペラグラスいらないじゃん!と喜ぶところだが、いや私が今見たいのはそれじゃない感が強くて、舞台って難しいなぁと思った。

 

 

宝塚歌劇【星組】
トップスター:礼真琴
美稀千種白妙(しろたえ)なつ輝咲玲央ひろ香祐紫りら朝水りょう暁千星(あかつきちせい)、瑠風輝(るかぜひかる)、澪乃桜季(みおのさき)、夕渚りょう天希ほまれ小桜ほのか蒼舞咲歩(そうぶさきほ)、七星美妃二條華希沙薫極美慎(きわみしん)、碧海(あおみ)さりお颯香凜(さやかりん)、夕陽真輝天飛華音(あまとかのん)、奏碧(そうあ)タケル都優奈鳳真斗愛(ほうまとあ)、瑠璃花夏(るりはなか)、紘希柚葉(ひろきゆずは)、羽玲有華(はれいゆか)、星咲希綾音美蘭(あやねみらん)、碧音斗和(あおねとわ)、御剣海(みつるぎかい)、世晴(せはる)あさ凛央捺はる透綺らいあ稀惺(きしょう)かずと鳳花るりな詩ちづる大希颯(たいきはやて)、彩紋ねお瞳きらり青風希央彩夏(あやか)こいき乙華菜乃愛花いと凰陽さや華飛翠真凜咲園りさ樹澄(きすみ)せいや朝稀さいら碧羽陽(あおはねよう)、世奈未蘭美玲ひな和波煌(かずはこう)、詩花(うたはな)すず藍羽(あいは)ひより桃李拍茉莉那ふみ乙妃優寿(おとひゆず)、馳琉輝瑠羽(るう)らいと絢咲羽蘭(あやさきうらん)、珀亜れい風希咲玖(かざきさく)、早瀬まほろ美鈴桜湖ノ花(このか)なり逢莉(あいり)しゅん花綾(かりょう)れい美琴ゆゆ彩香涼(いろかりょう)、星奈蘭桃羽(ももは)ひらり青星(あおせ)すみと夏音葉朝路みつき新琉(あらたりゅう)、あゆう壬都琴音悠希史真えみり
 

 

 

 
『阿修羅城の瞳』(2025)星組公演
原作は劇団☆新感線・作:中島かずき「阿修羅城の瞳」。
原作・演出 いのうえひでのり
潤色・上演台本・演出 小柳奈穂子
 
舞台は文化文政の江戸。長きに渡る人を喰う鬼との戦いに、幕府は「鬼御門=おにみかど」なる討伐隊を立てていたが、今、鬼の王たる阿修羅の誕生が、尼僧姿の妖美慘=びざん(小桜ほのか)によって迫っていた。
鬼御門の一員であった病葉出門=わくらばいずも(礼真琴)は5年前の戦いで鬼御門を抜け、中村座の鶴屋南北に弟子入りしていた。今、鬼御門は安倍晴明(ひろ香祐)が仕切っていたが、その安倍晴明が殺されたという。犯人は謎の女盗賊「闇のつばき」(暁千星)と噂され、鬼御門の阿倍邪空=あべのじゃくう(極美慎)が追っていた。つばきを助けた出門だが、不思議な縁を感じ、放っておけなくなる。つばきもまた惹かれるものがあった。また、少年時代より切磋琢磨し共に鬼御門入りし良きライバルだった出門と邪空だが、何をしても先へ抜きん出る出門に邪空は敵対心を育て、今は密かに鬼側へつく鬼御門を裏切る立場の者となっていた。
様々な事象が重なり交わり、出門が5年前手をかけた少女がつばきであり、つばきは阿修羅の生まれ変わりであり、その阿修羅の覚醒に「愛」が必要であったことがわかってくる、運命に翻弄される悲恋物語。
 
 
 
『エスペラント!』(2025)星組公演
作・演出 生田大和
 
エスペラント=希望(願い・祈り)を胸に抱く人、をテーマに、様々な人々、世界の広さとその美しさ愛おしさを歌とダンスで描く。宝塚110年の歴史と新時代を意識したファンタジックタペストリー。とのこと。
宝塚第111期生を加えての壮大なレビュー。
 
そう、この演目で人数がものすごく多いんで、どうした!?と思ってたら、新人生も出ていたのね、と。
 
 
 
『阿修羅城の瞳』はだいぶ短縮化されて1時間半ほどの作品になっていた。いたしかたなし。それでもさすが劇団☆新感線の作品という感じで、ノリ良くしっかり笑いが入っている。宝塚は詳しくはないけど、これほどコミカルなのは初めて観た。面白かった。というか、やっぱり劇団☆新感線ならこの役は誰を入れるだろう、とか考えながら観てしまった。もちろん、星組の面々は素晴らしい。ダンスに歌唱はみごとだし、男役もしっかり男だし、安定感がある。そして会場は(見える限り)満席。宝塚ファンの熱意も感じた。
 
 
『エスペラント!』は1時間ほどのレビュー。素晴らしい。これぞ宝塚で、群舞、ラインダンス、大階段もある。フィナーレは涙が出そうなくらい夢心地になる。宝塚はファンの夢を裏切らないと毎度思う。少なくともステージに立ってる間は決して我を出さない、それがエンターテイナーのあるべき姿と言ってるかのようで、つくづく感心する。

2.5次元とか流行って久しいけど、宝塚はそれとも違う、なんだかよくわからないけど、少女漫画みたいな、幻想か夢か…心が洗われる、きれいなもので満たされる感じ。定期的に観ていきたい世界。
 
なお、今作で礼真琴は宝塚退団とのこと。
 
(観劇日20250805)
 
 
兵庫:宝塚大劇場 0419~0601
東京:宝塚劇場 0628~0810