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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『美味しい運命』(2025)

 

監督・脚本 山内大輔

原案・BL監修 かさいあみ

 

向理来、烏丸達平(からすまたっぺい)、西塚郁哉(にしづかふみや)、榿澤涼太(はんのきざわりょうた)、石川雄也、竹本泰志(たけもとたいし)、川瀬陽太、他。

 

 

 

 

カフェバーのマスター西條(石川雄也)を介して昔“売り”をやっていたが、今はやはり西條と組んで色恋沙汰を中心にトラブルシューターとして数百万という金を得る=レン(向理来)。最愛の妹を投身自殺で亡くすという悲しい過去があり、それがずっと心を痛めている。そんな憐は妹の命日に事故現場で空腹で倒れているホストのナヲト(烏丸達平)を拾う。ナヲトは懇意の女に売掛金を飛ばされ借金に追われ路頭に迷っていた。憐は逃げた女を沈めることによって大金を得て助け、家事一切を条件に居候させる。

実はノンケだという憐、自分はどちらかわからないナヲト。華麗に仕事をこなす憐になんとなく気持ちが惹かれていくナヲトは“売り”を始めてみる。しかし、初めての客が憐が仕事で愛人マサト(西塚郁哉)と別れさせたパワハラ男神宮寺(榿澤涼太)だった。神宮寺にボロボロにされたナヲトは、憐に介抱されながらホストになる前の過去を語り出す…。

 

まあ、きれいに各エピソードが拾われ大団円になるのは気分が良かった。例えば憐が半年かけて解決した男滝沢(竹本泰志)はマサトと出会う。二人とも憐にとっては悪い相手ではなかったし、神宮寺に酷い目にあわされるナヲトには、そうされても文句の言いようがない過去があった。その悔恨が憐の心を暖める結果になる。もとより、意外に料理上手なナヲトの腕に魅せられていた、という感じだ。漫画を見ているような作品だった。

 

 

 

 

さて。話はともかく、濡れ場の多さに「あれ?」と思ったら、いわゆるピンク映画だった。友達に誘われBLだということ以外前情報も得ずだった。鑑賞後調べてみれば、向理来はAV男優かつその業界関係会社経営者でもあり、監修のかさいあみも元AV女優、かつ作家でもあるようだし、映像制作分野でも活躍中とのこと。そもそもピンク映画の大蔵映画によるオリジナルBL映画企画の第五弾ということだった。

なるほど、向理来の演技が艶っぽいのも納得だし、おじさま俳優連のしっかりした演技も、実力の他、監修の力あってのことかもしれない。ちょい出の川瀬陽太(友情出演)も目を引いた。

 

ただ、年齢制限は設けるにしても一般映画作品で観たかった。だって、ポスターの出来が良すぎでしょう(^^;;

 

★★★

 

 

 

 

配給 OP PICTURES

 



 








『しあわせな結婚』(2025)テレビ朝日系列0717〜全9話

 

監督 黒崎博(『太陽の子』『セカンドバージン』他)、星野和成楢木野礼(ならきのあや)

脚本 大石静(『セカンドバージン』『光る君へ』他)

音楽 世武裕子(『オオカミ少女と黒王子』『リバーズ・エッジ』『ママレード・ボーイ』『羊と鋼の森』『ロマンスドール』『星の子』『エゴイスト』『カラオケ行こ!』他)

主題歌 Oasis「Don’t Look Back In Anger」

 

阿部サダヲ、松たか子、杉野遥亮、板垣李光人、岡部たかし、段田安則、金田哲、小松和重、堀内敬子、玉置玲央、他。

 

元検事の「原田こうたろう法律事務所」代表原田幸太郎(阿部サダヲ)はテレビのコメンテーターとしても人気の敏腕弁護士。かつ、結婚に意味を見出せず独身主義の50歳。ある日のテレビ番組中倒れ入院手術となる。そこで独り身の寂しさを実感。そしてその入院中に白鳳女子大附属高校の非常勤美術教師鈴木ネルラ(松たか子)と出会い、互いに心惹かれ電撃結婚をする。

ネルラのの父親鈴木寛(段田安則)は国内最大の缶詰メーカー「カンツル」の創業者であり、鈴木家が所有するマンションに同居することになる。と言っても、世帯はフロアで分かれており、父親の住まい、ネルラとの住まいがある他、アイドルグループのデザイナー兼スタイリストの弟レオ(板垣李光人)、ゴルフを教えている寛の弟である叔父考(岡部たかし)の計4世代が居住している。そして週に一度食事を共にするのがお約束になっている。幸太郎はそういうのはあまり得意ではなく、息抜き用にとこれまで住んでいた自分のマンションもそのまま手元に置いてある。それでもわりあい楽しい新婚生活。

しかし、外食を約束した日、ネルラがなかなか現れない。連絡もないので心配になった幸太郎はあちこち探し、男と会っているのを目撃。しかもそのことを隠され不信感を持った幸太郎の前に、その男自ら現れた。警視庁捜査一課の黒川竜司(杉野遥亮)と名乗る男は、15年前ネルラが交際していた絵描きの男布施夕人(玉置玲央)の事故死について再捜査しているという。致命傷となった頭部の傷は人為的なもので、階段から落ちただけではつかないというのだ。鈴木家の面々は幸太郎を信用しきれずあえて教えずだったが、独自の調査の他、ネルラは布施と揉み合いになった時頭を打ち、その時の記憶をなくしていた、など記憶にある限りの詳細をネルラ自身からも聞く。そこには幸太郎と出会い、幸せになりたいと思うネルラの願いがあった。

原田はもう一人いた弟の話も聞かされる。6歳の時に舞鶴の海で溺れて亡くなった。それは母親の死から1年後のこと。その場に居合わせた考はいまだに独身であり、鈴木家の家族関係を大切に思っていて、深い絆があると知る。

ネルラは灯りによって断片的に記憶が蘇ってきていて、結婚の記念写真撮影のまばゆいライトで大事なことを思い出した。しかし受け止めきれず原田との会話が減り、結果言い合いが起こり関係がギクシャクしてしまう。それを機に事件の真犯人が明らかになっていき、鈴木家のみならず、原田とネルラの婚姻関係、原田の仕事にも影響が出るなど深く問題化していく…。

 

 

個人レベルで家族観や家庭観、結婚観や恋愛観、そして正義についての相違が描かれつつも、大きな愛が人を包むんだと言われてるかのような展開。一見無茶なようですんなり納得がいく愛の大きさ広さを見せられた。受け手の考えが入る余白を残し、ブレるあやうさを否定してないせいだと思う。かなり考察された脚本、演出、演技だと思った。

事件に及ぶほどの、ネルラと布施の間にある問題も良かった。


 

松たか子演じるネルラの表情が無表情になる瞬間が多く、魅せられた。松たか子が主演となるドラマは良質なものが多い。テーマに沿ってきちんと話が組み立てられてて展開も意表をつかれるし面白い。なぜだろう。今作も犯罪が関わっていただけに推測しながら楽しめた。また、黒川の恋心もネタ的に加わり、原田の事務所の弁護士今泉(金田哲)臼井(小松和重)のプライベート、テレビ局の(プロデューサー倉澤役に堀内敬子)調子の良さなどコメディ要素もほどよく緊張感をほぐす、本当に良質なサスペンス(?)ドラマだった。

全9話は潔く、久しぶりに無駄のない良質なドラマを見た気がする。


★★★★★

 

 

 

 

公式Xより

 

 

 

『天使のいる図書館』(2017)

奈良県葛城地域(大和高田市、御所市=ごせし、香芝市、葛城市、広陵町)観光振興シネマプロジェクト発足により製作された実在する図書館を舞台にした映画。原案はエグゼクティブプロデューサーの山国秀幸

 

監督 ウエダアツシ(『うみべの女の子』他)

脚本 狗飼恭子(『百瀬、こっちを向いて。』他)

音楽 佐藤和生

主題歌 奇妙礼太郎(きみょうれいたろう)『欲望のしるし』

 

小芝風花、横浜流星、香川京子、森本レオ、内場勝則、森永悠希、小牧芽美(こまきめぐみ)、飯島順子、籠谷さくら(こもりやさくら)、吉川莉早(よしかわりさ)、松田岳、山形美智子、桜井歌織、西久保くにかず、他。

 

図書館司書として地元の図書館にレファレンスサービス係として就職した神社の娘吉井さくら(小芝風花)だが、その感情を読み取れない杓子定規な性格は扱いにくく、先輩の上嶋(飯島順子)はじめみんな困惑続き。そんなさくらだが、利用者の一人、老齢の芦高礼子(香川京子)が気になり、ついに話をする機会を得る。その時写真を見せられたさくらは、その写真に写る背景を見てその場所について知りたいのだと思い込み、その情報図書を揃える。やがてそれは現地案内へと発展し、礼子にとっては50年も昔、好きだった人(松田岳)との思い出の地巡りが意図せず始まる。

そうして始まったさくらと礼子の交流だが、実は礼子はいまだ想いが残っているその写真の相手に会いたかったのだった。そうとは知らず連れ回すさくらだったが、ある日からピタリと来館しなくなった。すると前々から見かけ、ストーカーではないかと疑っていた大きなリュックを背負った青年芦高幸介(横浜流星)に声をかけられる。礼子は幸介の祖母であり、余命いくばくもなく最後に思い出のある地へやってきたのだという。そしてとうとう入院してしまったという。時を前後して、さくらは礼子の写真をもとに情報を得て好きな人の名を田中草一朗と特定する。図書館嘱託職員の田中(森本レオ)だった。さくらは礼子に会わせたいと行動するが…。

 

なかなか感動的だった。特に賞を取ったススキのそよぐ風景にたたずむ一人の女性(礼子:小牧芽美)の写真、その場所で、当時教師だった礼子とその生徒だった田中の逢瀬が叶うシーン。最後に二人で訪れた同じススキの野原での幸せなひとときが蘇り繰り返される。そのワンシーンに恋愛の魅力がしっかりと描かれていた。


変わり者のさくらの変化は目立つほど大きくないのが現実的だし、同じキャラクターを持つ誰かに、そのままでもいいんだと勇気づけられるだろう作品でもあった。優しい映画だった。

 

小芝風花が可愛いうえに演技がとても良かった。下手ではないのに最近はクセが出てしまってて残念だっただけに、基礎がここまで出来ているのだから今後に期待が持てると思えた。横浜流星もしかり。(二人は「べらぼう」で共演再び?でしたね)

俳優陣はみんなしっかりしてる人で、一人とて落ちていない。脚本はもちろんだけど、役者の演技力が確かでないとつまらない作品になってしまうだろうと思った。ウエダアツシ監督は人物の心の機微を撮る演出も上手い。

 

★★★★

 

 

 

 

 

 

 

『赤羽骨子のボディガード』(2024)

原作は丹月正光(にがつまさみつ)の漫画。

 

監督 石川淳一(『エイプリルフールズ』他)

脚本 八津弘幸(『ラプラスの魔女』、『おちょやん』『陸王』他)

音楽 やまだ豊(『チア⭐︎ダン』『曇天に笑う』『BLEACH』『東京リベンジャーズ』『キングダム』『いぬやしき』『ゴールデンカムイ』『CUBE』他)

主題歌 Snow Man「BREAKOUT」

 

ラウール、出口夏希、奥平大兼、髙橋ひかる、土屋太鳳、遠藤憲一、皆川猿時、津田健二郎、谷田歩、安井順平、倉悠貴、山本千尋、戸塚純貴、鳴海唯、坂口涼太郎、あの、かなで、木村昴、長井短、中田青渚(なかたせいな)、芝大輔、詩羽(うたは)、安斉星来、橘優輝、松岡広大、大久保桜子、有輝、工藤美桜、三浦獠太、髙橋大翔(たかはしひろと)、堀丞、浅川梨奈(あさかわなな)、他。

 

高校3年赤羽骨子(出口夏希)に100億の懸賞金がかけられ、殺し屋に命を狙われることになった。骨子の実父だという国家安全保障庁長官の尽宮正人(遠藤憲一)に呼び出された骨子と幼馴染みのヤンキー威吹荒邦(ラウール)は、極秘裏に骨子のボディガードを頼まれる。さっそく骨子に迫る危険からそうと本人に気づかれないよう守る荒邦だが、実はクラスメイト全員がボディガードだったと判明する。しかも尽宮に鍛えられた精鋭たち。クラスの中心的人物で司令塔の染島澄彦(奥平大兼)、骨子と一番の友達でありダンス部で一緒の空手家の棘屋寧(髙橋ひかる)、忍者の迅来風太(戸塚純貴)、ハッカーの糸踏忠也=いとふみちゅうや(倉悠貴)、剣士の日暮弥美姫(山本千尋)、拷問官の湾可世子(鳴海唯)、調教師の那木うずめ(中田青渚)、罠師の愛満斗々=あいまんとと(長井短)、変装家の千坂時規(坂口涼太郎)、柔道家の大叢井巌=おおむらいいわお(木村昴)、詐欺師の海代朱雀(芝大輔)、ギャンブラーの首藤孔蘭(詩羽)、新体操のスペシャリストの夏野真凪(安斉星来)、医師の杜窪章介(橘優輝)、運転手の嘉柄譲(松岡広大)、スプリンターの黒雲字音=くろぐもあざね(大久保桜子)、潜水士の幡一平(有輝)、技師の敷本奈々穂(かなで)、鑑識官の小樽椚=おたるくぬぎ(工藤美桜)、スナイパーの天貫与一(三浦獠太)、鍵師の吉信滝丸=きっしんたきまる(髙橋大翔)、配信者の霧宮茶虎(あの)。それぞれの特技を活かし骨子を守る中、裏切り者がいること、尽宮の実子尽宮正親(土屋太鳳)の苦悩、荒邦の父親威吹丈夫(津田健二郎)の死には尽宮との護衛関係があったこと、澄彦は丈夫の教育を受けていたことなどもわかってくる。

最終的には弁護士を目指しながらも大好きなダンスを諦められない骨子の、高校生活最後のダンス大会が、殺し屋傭兵隊長鷹見剛己(谷田歩)一派との決戦となり…。

 

今期のドラマ『愛の、がっこう。』で一緒のラウールと坂口涼太郎、もう少し絡みが欲しかった。

驚いたのは土屋太鳳で、宝塚の男役かと見紛うほどのかっこよさ。でも身長低いから誰だろうと思ったら…。声色も違うし、メイクもしっかり入ってるし、まったくわからなかった。ただ、その身体能力で納得。身体能力といえば、山本千尋のアクションももっと見たかったし、長井短ももっと見たかった。そしてこの手の作品において安定の戸塚純貴、使い方は間違ってないけど…遠藤憲一、安井順平、津田健二郎、谷田歩、皆川猿時、それから奥平大兼と確かな俳優で固められて…。

 

見るべきところは多々あったが、

 

…なぜ実写化したか…。

 

アニメでいいじゃん、むしろアニメなら良かったろうに。(原作未読)

 

★(★)

 



 

 

 

制作 ギークサイト

配給 松竹

 

『AREA』(2021)

伊藤主税 (いとうちから)、阿部進之介山田孝之が立ち上げたプロアマ、クリエイターの垣根を超えた短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」で、選考漏れになったものの中から拾い上げられたものを集めた「MIRRORLIAR FILMS plus」の一作品。

 

監督・脚本 関翼

 

ネットで知り合ったスバル(吉田樹)カオリ(河合優実)。スバルは長く引きこもりを続けており、カオリは家族を亡くしており、自殺を目的に二人は実際に会い、カオリの希望で故郷の岩手の灯台を目指す。

 

久しぶりに外に出たスバルは、他人と話すのももちろん久しぶりで、しかも相手は女性で、緊張が伺える。岩手までの道のり、スバルの心に変化が見え始める。おそらくカオリに好感を持ち始めてる。人を意識することは「生」を意味する。死ぬつもりだったけれど、生きたいと感じ始めてる。でも、カオリは揺るがない。スバルとの会話の主導権はカオリが取っていたが、心は開いていなかった。少しも。カオリの日常には人が存在していたのだろう。スバルの存在は何か記号のような、その他大勢と大差ない、ただ死ぬことだけが共通してるだけで、足止めになるようなものではなかった。と、いうふうに感じた。

 

カオリは一人で飛び降りるのだけど、この後スバルはどうするんだろうと怖くなった。まあ、おそらく生きる。でもその前に警察なり何なりに連絡しなければならない。そうすると自殺幇助の罪になるんじゃないだろうか。そこからスバルのこれまでと違う次の人生が始まる。たぶん連絡を入れ、取り調べを受け、何らかの罰があり、そしてこの日の出来事を抱えてずっと生きていくのだ。キツいけど、スバルは死なないし、もともと死なない。と、そう思えた。

 

こういうあまり多くを語らない映像作品は視聴側の経験則が乗っかるので面白い。私とは違うふうに思った人もたくさんいるだろうし、制作した関翼さんの意図したこととも違うかもしれない。

なかなか良かった。

 

衣装を河合優実と友人関係にもある女優見上愛が担当したとのこと。身上がよくわかるとても良い衣装だったと思う。

 

★★★(★)

 

 

 




 

公式サイト

 

 

『恋愛ルビの正しいふりかた』(2025)TOKYOMX0713〜全8話

原作はおげれつたなかの漫画。

 

監督 佐藤安稀

脚本 髙橋幹子(たかはしもとこ)

 

岩橋玄樹、相馬理、朝日ななみ、江守沙矢、中井大、窪田彩乃、他。

 

高校時代、一人でも活動できる園芸部に所属しパシリ扱いなどいじめられていた地味で冴えない鈴木弘(岩橋玄樹)。卒業してからは高校時代味わった辛酸をぬぐうためにも世界を変えるためにも美容師を目指し、今はサロンでナンバーワンの腕前を持つ。ある日、高校時代の同級生鷲澤夏生(相馬理)が客としてやってくる。驚く弘だったが、店では通称ヒロで通ってるし気づいてないようだ。しかし、夏生は翌日もその後もヒロ指名でサロンにやって来る。ついには交際を申し込んでくる。動揺するも、ならば1ヶ月付き合ってやってズタボロに捨ててやろうと思いつく。実は高校時代、何かと話かけてきてくれた、読めない漢字を教えてあげるほど、唯一友達になれるかもしれない存在になった夏生に、最後の最後で手痛く裏切られたからだ。そうして始まった交際だが、夏生は高校時代と変わらず頭が悪いことも隠さず意外にも素直なままだった。

デートを誘われて復讐デートを目論むもヒロの好きな植物園に行くことになり、久しぶりに癒しの空間で心優しくなったヒロは、花が咲くのを楽しみにデルフィニウムの鉢を買うに終わる。店でコンペ出場をかけた選抜会が開かれ、ヒロは後輩の桐生拓海(中井大)と競うことになるが、これまでの努力と自信で楽勝だと思っていた。けれど桐生のデッサン帳を見て不安になる。結局、店長(江守沙矢)は桐生を選ぶ。同期の椎名葵(朝陽ななみ)も期待してただけに落ち込むが、家に帰ると夏生が勇気づけてくれ、また前向きになれる。他にも、誕生日のおねだりがキスだったり、昔の自分に似ている客織部(門田宗大)が来て、それが夏生の昔のバイト仲間であること、片思いしていた相手だったと知りヤキモキする。さらにその織部に夏生がからかわれてることも知り、憤慨するほど、いつのまにか振り回すはずが振り回されて気持ちが移っていく。

そしてついに夏生の初恋の相手が自分であったことを聞かされる。ついつい仲間の目を意識して弘を突っぱねてしまった後悔も知る。動揺したヒロはケガをしてしまうが、夏生は親身になり泊まり込んで面倒をみてくれる。ここでもう夏生から離れられない自分に気づき、合鍵を渡すまでになる。そんな折、同窓会のお知らせが届く。もちろんヒロは行かないが、その日同じ場所で出張ヘアメイクの仕事が入り、同級生らと再会する。弘の変わりように暖かく迎え入れられたかに思ったが、単にからからかわれてるだけだと知る。一方、夏生はヒロの留守中に大切なデルフィニウムの鉢を倒してしまったことから偶然一冊の園芸本を見つける。それは弘が夏生に読めるようにとルビをふってくれた本だった。落ち込んで帰ってきたところに、身バレしたと悟ったヒロは、高校時代からの恨み言を投げつけ、交際を受けた理由も明かし、夏生を傷つけてしまう。二人の関係はこれで終わりかと思った矢先、ある事故が起こり…。

 

まあ、事故は勘違いで、ヒロの想いを知った夏生、夏生の気持ちに変化がないと知ったヒロは、ついに結ばれる…わけだが。

 

うーん…岩橋玄樹の演技は初めて見たけど下手だなぁ。キンプリでデビュー後休養に入ったりしてたからなぁ。その後はソロで渡米だし… 表情は悪くないのになぁ。というか、タトゥー入れてるからどうするんだろうと思ってたら衣装は長袖で通してた。キスシーンさえも寸止め画だったので、これは肌露出は無しでいくのかな、それはそれで潔く好感度も高い。なんて思ってたら、最後の最後でいわゆる“濡れ場”があった。映像処理かメイクか、タトゥーがきれいに消えてた。そしてけっこう濃厚なシーンだった。このままサラッと終わって欲しいなと思ってたのでちょっと残念。というのも、夏生のキャラがほんとに頭足りなそうな微妙さで、怖かったから。なにしろヒロが弘と気づかない。偶然出会した同級生だって一発でわかったのに、だ。違うと言われればそうと受け取る一切の疑念がない。相手のことより自我が優先される、天然キャラならばもう少し演技指導欲しかったし、むしろ夏生を岩橋玄樹、ヒロを相馬理が演ったほうが自然だったんじゃないか?とかさえ思えた。原作未読だけども。

 

設定はいいと思うし、展開も納得がいくからおそらくプロットも良かったろう。BLにそんな要素いらないと言われればそれまでだけど、ドラマを起こすのは構成(シーン、カット)とお芝居。

岩橋玄樹は唇がきれいだからもっと適役があるはず。(どういう…^^;)

 

★★

 

 

公式サイト

 

 

 

 

「月刊シナリオ」2025年9月号掲載の「国宝」を読んで

 

すでに10月号が巷には出ている頃でしょうが…発売日を逃したので、8月下旬の増刷分を入手し、読んでみました。

月刊誌に完全版であれ完成版であれ、シナリオ自体が載るものなのかと不思議でした。それだけ無知というか、この雑誌そのものを知りませんでした。よくよく見てみれば、文芸誌と同じく、これからシナリオライターを目指す人などの力にもなるのかなと思いました。しかして、シナリオの形態が思っていたものと違うものでした。

やはり映画は、脚本家、演者、カメラマンと揃え、それに付随する細かなスタッフをかき集め創作する監督(演出家)の作品なんだなと思いました。





まず、驚いたのは、台詞の少なさ、ト書きの少なさ。思っていたものとは違って(なんなら小説のようにもっと事細かに記されているのかと思っていた)、もちろん監督と脚本家との擦り合わせは念入りであろうが、だいぶ役者や監督に絵作りは任されているものなんだなと知った。状況説明が簡易でこんな少ない情報でシーンが出来るものなのかと驚いてしまったわけだ。ここでもうすでに作品が監督のものであると理解し、映画、映像作品は監督と役者のやり取りで肉付けされ、多くのスタッフの手があって作品となることに納得がいった。


読んでみると、だいたいのシーンは浮かんだけれど、中には思い出せないところもあって、そんなことあったっけ? はもちろん、そういう意味があったのかとハッとするものもあった。

例えば、生みの親はマツではないのだろうか?という疑問、俊介と喜久雄の初対面の時、幸子がその喧嘩仕草を「邪魔くさいいらんわそんな段取り」と一掃する心の大きさ、藤駒と初見時、長崎の気候について話すところで父親権五郎の亡くなったあの日に思い馳せる一コマ、俊介が春江と劇場を出ていくシーンで俊介が春江の手を引いていくと書かれていたこと、など。それからアドリブだったバルコニーシーンでのいくつか提案されてた彰子の台詞、それがあったことは監督のインタビューで知った通りだが、本当に監督の機転と流れがあったんだなぁと思った。


尺的にも原作通りには描けないので、喜久雄、俊介、半二郎、万菊にフィーチャーしたと脚本家の奥寺佐渡子は言っていて、なるほど確かにそうだったとわかるのだが、でも、万菊が私にはつかめなかった。シナリオを読んでみたら何かわかるかなと思ったけど、わからなかった。もちろん、田中泯の演技は素晴らしいものだったけど、喜久雄、俊介、半二郎と並ぶだけの万菊の心内が見えてこなかった。

それから、ラスト、光と雪が舞う、喜久雄の求めてやまなかったものの正体がやっぱりはっきりしなかった。私は14歳のあの新年の余興を演った日に起こった父親の不幸、衝撃的で辛く悲しく悔しかったからこそ美しく見えたのではないか、それがずっと心を覆っていたのではないかと思ったのだけど、シナリオでは判明されなかった。光は万菊の芸に身を費やした人生の先だったかもしれないし、「国宝」を得てやっと手に出来そうだと思った恋焦がれた世界なのかもしれないし。



いくつか欠番とされてるところもあって、それは監督とのやり取りの間で、または撮影の過程で削ったのだなぁと想像。それ込みのものも見てみたいと思った。踊りにしてもフルで撮影したものもあり、編集で落ちていったカットもあるとのことなので、そんなものも見てみたい。完成作は現作品に違いないので、これで評価は受けるべきなのだけど、役者ファンとしてはどうしても削られたシーンの持つ意味も知りたい、そんな気持ちになってしまう。


そんなこんなで原作読んでみようか。




ところでこれまで(およそ5年)吉沢亮出演作を映画、ドラマ、演劇(ミュージカル含)と様々見てきて(ゲスト出演、WEB作品等あと20作品くらい未視聴がある(^^;;)思ったのは、吉沢亮って主演より脇、せいぜい二番手の方が光る気がしてならない。例えばこの『国宝』にしたって、横浜流星の方が主役級の演技をしていた。目に止まるのは吉沢亮でも、目を引くのは横浜流星。この違い、わかる人いるかなぁ。実際インタビューで横浜流星がいたからここまで出来たというようなことを言っている。それだけの力があるということだし、全体を引っ張れる力があるということ。じゃあ吉沢亮にはそれがないのかというとそうではなく、もちろん、お芝居はうまい、うまいからこそ主演含む周りが協調する脇ができる。ということ。主演を張る役者さんでモブに徹することのできる役者さんはそうそういない。何かしら色がついてしまうものだし、幅広く役柄をこなせる人も少ない。こんなに国宝級イケメンと言われるほどの容姿なのに、作品の中の誰かになると、それが消える。吉沢亮ではなく、作品の中の何某かになっているのだ。それがあまりに自然に。類稀なる俳優だと思う。

そんなわけで…というわけでもないのだが、吉沢亮が主演、または主演クラスで力を発揮する作品はミニシアター系かと思う。役者が生きる話がきちんと出来ている、監督の色(世界)が明確にある作品。


30代で『国宝』を得て、次は半ば〜アラフォーでの変化または仕事ぶりが楽しみ。主演を張るこれまでのどの俳優にも系統が当てはまらない、想像がつかない、だけに。

 

 

『エンドロールのつづき』(2022/2023)

インド・フランス合作映画。原題は『Last Film Show』

監督パン・ナリンの実話にもとづく作品とのこと。

 

監督・脚本 パン・ナリン

 

インドの田舎町チャララ駅で父親(ディペン・ラバル)のチャイ売りを手伝う9歳の小学生サマイ(バビン・ラバリ)。普段は映画など観もしないが、信仰するカーリー女神の映画は別だと、5年ぶりに家族で映画館へ行く。そこでサマイは映画の、ことさら光に魅せられる。もっと観たくて知りたくてこっそり映画館に忍び込むが見つかって追い出されてしまう。そこへ現れたのは映写機を操るファザル(バベーシュ・シュリマリ)で、料理上手の母親(リチャー・ミーナー)によるサマイのお弁当と交換に映写室から映画を見せてもらえることに。毎日のように通い、やがてファザルから映写機のノウハウを学び、サマイは仲間と6人で廃墟で映写機を自作、写す映画はフィルムを盗んで…と、映画熱がどんどんエスカレートしていく。

しかし、映画館からフィルムが盗まれたことで警察が動き出し、サマイが捕まってしまう。でも収監を終えても映画への熱は冷めない。今度は映画に音をつけることを思いつく。幸い見つからずに済んだフィルムで、ついには村人を招いて同志に演奏を担当させ、上映させるまでに至る。ところが今度は映画館の機材の刷新がある。これまでの映写機は撤廃され、新しいシステムが導入される。それに伴いファザルは職を失う。当然サマイの試行錯誤した映写技術もそこまでとなる。絶望感でいっぱいのサマイは映画を諦めかけるが、サマイの映画への強い思いを知った父親は、覚悟を確認したうえで夢を追うことの後押しを決断する…。

 

後に父親も同じことを言うのだが、学校のダヴェ先生の台詞に「発て、そして学べ」というのがあって、夢の前にあるものはそれに尽きるなぁといった感じ。

 

ガラクタから映写機を作り出すサマイたちの頭の回転の良さ、夢を見る行動力に甘酸っぱい思いと憧憬が広がる。そうしてようやく一段階上ったかと思えたのに、映写機はスプーンと化し、フィルムはブレスレットと化す。切ない。だけど先の通り、子供はたくましく発想力も豊か。だからきっとまた立ち上がる、そんな希望が見える。

実際、ラストは色とりどりの女性の腕輪に世界的な監督の名前が連なる。そしてフィルムの切れる映像、残像を経て真っ白い画面で終わる。これから作るであろうサマイの作品、私たちが観るであろうサマイの作品の始まり…という感じだった。

 

良かった。

 

でもなぁ、6人グループで映写機作りをするのだけど、それを仕事にと旅立てるのはサマイ一人。列車を見送るダヴェ先生、ファザル、家族の表情は応援の意味しかないけど、仲間たちの表情は微妙だ。もちろん応援しているけれど、その上に個人個人の感情が乗っている、そんな感じだった。とまぁ家庭環境もあるだろうけど、でもやはり本人の意思によるところは大きいのじゃないかな。

 

★★★(★)

 

 

 

 

 

 

 

『地獄先生ぬ〜べ〜』(2014)日テレ系列全10話

原作は真倉翔・作、岡野剛・画の漫画。

 

演出 佐久間紀佳(『あなたの番です』他)、池田健司明石広人松山雅則

脚本 マギー佐藤友治

主題歌 関ジャニ∞「がむしゃら行進曲」

 

丸山隆平、桐谷美玲、速水もこみち、遠山俊也、山田親太朗、柴田美咲、知念侑李、中川大志、吉沢亮、松井愛莉、佐野ひなこ、佐野岳、水谷果穂、清水一希、中村ゆりか、高月彩良、島丈明、原勇弥、山田ジェームス武、佐奈宏紀、江口祐貴、河野将也、古指武輝(こざすたける)、高橋春織『たかはしはおり)、芝崎唯奈、小林智絵、三上紗弥、倉持聖菜、小川紗良、岡本夏美、加藤里保菜、矢部太郎、鈴木拓、上島竜兵、明石家さんま、山田涼介、笑福亭鶴瓶、知英、山本美月、優香、マキタスポーツ、坂上忍、高橋英樹、他。

 

童守町にはこの世と冥界をつなぐ天狗塚なるものがあり、ある日何者かによってそこから妖怪が解き放たれる。そしてその町の童守高校に赴任してきた生徒思いで熱い教師、だけどちょっと間抜けで空回りしがち…しかしてその実体は「鬼の手」を持ち妖と戦う霊能力者鵺野鳴介(丸山隆平)通称ぬ〜べ〜。同時に同じく赴任してきたクールでイケメンな家庭科教師玉藻京介(速水もこみち)

童守高校には七不思議があり、ぬ〜べ〜はすぐに興味を持つ。そしてぬ〜べ〜が担任となった2年3組で妖怪に取り憑かれた生徒たちを中心に、妖怪たちとのバトルが始まる。


妖怪から生徒を守ってくれる頼もしい、でもちょっと頼りない、かっこいいのかかっこ悪いのか微妙なところのぬ〜べ〜こと鵺野先生と生徒との、また悪事ばかり働くわけではない妖怪との信頼をも描いた作品。

 

「ノロちゃん」と呼ばれるのが嫌な中島法子(水谷果穂)雲外鏡(声:天田益男)に取り憑かれたことで、怪奇現象オタクの栗田まこと(知念侑李)と法子にまず、ぬ〜べ〜の正体がバレ、文化祭で「お化け屋敷」をやることになり壁男(桝太一)と戦うことで、クラスの中心的人物立野広(中川大志)稲葉郷子(松井愛莉)にもバレ、またここで玉藻が人間の負の妖気を活力源とする妖狐であることがぬ〜べ〜にバレる。そして目立ちたがり屋の細川美樹(佐野ひなこ)がSNSに夢中になるあまり影愚痴(声:福田信昭)に取り憑かれることによって、全生徒にバレてしまう。

ぬ〜べ〜の正体がわかると生徒たちは妖怪に興味を持ち始め、学校に住んでいたトイレの花子さん(高橋真麻)が人気者になるなど妖怪遊びが度を超し、陰摩羅鬼退治でイタコの血筋で修行中の葉月いずな(山本美月)童守寺の和尚(マキタスポーツ)にも正体がバレる。さらに、自分の将来について夢もなく面白おかしく生きてる山口晶(清水一希)を羨む理科室の人体模型が心を持つようになりトラブル化、ぬ〜べ〜が密かに憧れている同僚の高橋律子(桐谷美玲)先生も知ることとなる。

妖怪おはぐろベッタリの登場でそれぞれの恋愛事情が明らかになる。フィアンセだと言い張りぬ〜べ〜の住まいに居座り続ける雪女ゆきめ(知英)、実は律子先生に夢中になり始めてるぬ〜べ〜、律子先生もまんざらではないこと、玉藻に心惹かれるいずな…など。同時にぬ〜べ〜の鬼の左手の秘密…地獄の使者覇鬼(坂上忍)との戦いから、小学校の恩師でもある美奈子先生(優香)と覇鬼が同宿する結果になったこともわかるし、霊能力者無限界時空(高橋英樹)が実父であることも知れる。

そして怪人赤マント(明石家さんま)の登場で玉藻が妖狐であることが生徒始め周りの者たちにも知れることとなるが、玉藻はぬ〜べ〜との友情、人間の魅力を知り心に変化が生まれ始めていた。また、無限界時空は息子ぬ〜べ〜との確執に終止符を打つ日が近づいてきていることを自覚する。もちろん助太刀に出るという形で。

結界を破ったのは妖狐の玉藻だったが、ぬ〜べ〜の影響もあって人間とうまくやっている。むしろ居心地も良い。そこへ新たなる妖怪…というか、覇鬼の弟の絶鬼(山田涼介)がぬ〜べ〜のクラスに転校生としてやってくる。妖気を消す特技で生徒をうまく操り対決させる。また、玉藻の本来の目的を認知させ、人間を貶める手に出る。しかし、ぬ〜べ〜は人間からも信頼もあればゆきめの他、ぬ~べ~んちに住むサトリ(矢部太郎)小豆洗い(鈴木拓)小豆洗いの父(上島竜兵)座敷童子(中島綾香)、それから一つ目小僧(増田怜雄)など仲間の良い妖怪もついている。生徒たちも味方だし、また、時空がぬ〜べ〜を守る…。

しかし覇鬼がぬ~べ~の「鬼の手」の封印を解いて覚醒して大事になる。狙いは童守寺にかくまわれてる時空。幸い玉藻はゆきめと共にぬ~べ~側につき、いずなも加わり覇鬼と戦う…。

 

まあ、「鬼の手」に戻り美奈子先生の助けもあって解決です。そうして最終話でぬ~べ~は小学校に赴任となるのだけど、なるほどこれで原作と同じ舞台が小学校となり、あとは漫画でということなのかと。違うか。

 

体育教師渡晴男(山田親太朗)が霊だった件…どうりでみんなから無視されるわけで、これが後半まで持ち越されてるのが粋だった。

覇鬼が坂上忍とはぜんぜん気づかなかった。さすがに上手いなと思った。

あと、音楽教師の喜屋武 ひとみ(柴田美咲)のギャグが寒かった。おそらく漫画的には有りなんだろう。

 

 

さてさて、このドラマを見た目的は吉沢亮。

吉沢亮演じる木村克也が主人公となるのは第8話。

突然校庭に現れたナスカの地上絵みたいなモナリザの絵。ノリの良い克也はこれは美術室にある妖怪人喰いモナリザの仕業と嘯く。克也は妖怪は悪さをするもの、人間の敵と見做して話を盛り上げる。1日目のこれは「3」の文字があったし2日目には学校の屋上に積み上がった「二つ」のブロック、これらからカウントダウンの始まりだとする。そして3日目には荒らされた鶏小屋に「1」の文字。いよいよ大事となる!? しかし、どうもおかしい。モナリザの絵はあれど妖怪なんていない、みんなは克也の作り話だと踏んだが、妖怪人喰いモナリザはいた。ぬ〜べ〜と仲の良い妖怪たちに助けられながら、まこと、広、律子先生とで戦う。

お調子者のキャラクターで、この時期の吉沢亮は得意分野だろう。やはりうまかった演技。そこに居る者になる。自然に。フレームから切れていても克也であり続けているであろうことが容易に想像つく。それくらい自然。


 

その他、毎回ナレーションが違って、稲川淳二、堀北真希、山田涼介、船越英一郎、沢村一樹、成海璃子、佐野史郎、置鮎龍太郎、和田アキ子、丸山隆平、という面々。すぐにはわからなかったし、言われてもわからなかった。

 

★★★

 

 

 

『下北沢ダイハード』(2017)テレビ東京系列 全11話

 

下北沢を舞台とし、11人の劇作家・西条みつとし細川徹松井周上田誠えのもとぐりむ喜安浩平柴幸男根本宗子(ねもとしゅうこ)、福原充則丸尾丸一郎三浦直之がオムニバス形式で1話限りのお話を展開する。監督は関和亮(せきかずあき)、細川徹スミス山岸聖太(やまぎしさんた)、戸塚寛人

 

オープニング曲 凛として時雨「DIE meets HARD」

エンディング曲 雨のパレード「Shoes」

 

古田新太、小池栄子、神保悟志、吉沢亮、桜井ユキ、村杉蝉之介、柳ゆり菜、高橋ひとみ、米千晴、濱崎ヒロキ、小築舞衣、畠山U輔、光石研、川栄李奈、ロバート・秋山、池田鉄洋、麻生久美子、野間口徹、西田尚美、植木夏十(うえきなっと)、緒川たまき、酒井若菜、志尊淳、山西惇(やまにしあつし)、夏菜、和田聰宏、柄本時生、佐藤二朗、松本穂香、加藤諒、片桐仁、池谷のぶえ、佐藤隆太、臼田あさ美、田中要次、三浦誠己、大澄賢也、六角慎司、山中崇、青柳翔、森川葵、馬場ふみか、渡辺真起子、田村健太郎、小松利昌、岸井ゆきの、金子大地、岩松了、夏帆、高橋努、山本浩司、岩尾望、森下能幸、松尾論、真山りか、成海璃子、大東駿介、大倉孝二、升毅、村井美和、他。

 

下北沢のとあるスナックでそこのママ(小池栄子)に常連客の劇作家ジョン幕練(古田新太)が下北沢で起こった面白話を語る形で物語が展開される。

 

①裸で誘拐された男(脚本:西条みつとし/演出:関和亮)

議員の渡部修(神保悟志)はSM好き。その日も女王様麗奈(柳ゆり菜)とのプレイに興じ、マッパでスーツケースに入り下北沢の街中へ出る。そこで取り違えが起こり、着いた先が尾本清(村杉蝉之介)千夏(桜井ユキ)夫婦の子供が誘拐された身代金1億円の受け渡し現場だった。犯人とのやりとりで警察が外にいることもわかる。しかし、その犯人の声、どこかで聞いたことある…なんと渡部の息子健人(吉沢亮)だった! 実は家庭を顧みない渡部は妻景子(高橋ひとみ)とうまくいっておらず、いつまでも職に就かず演劇に夢中になってる健人とも喧嘩ばかりだった。渡部は選挙も控える身、しかし間違った息子を救うために極力安全圏を保ちながら説得を試みることに…。


ドタバタコメディ。次の展開はこうかな、ああかな、と思い描き進められる作品で、面白かった。

吉沢亮はちょうどいろんな作品に出てノッてきた頃。そして一番きれいな顔の頃。もちろん演技も申し分ない。


 

②違法風俗店の男(監督・脚本:細川徹)

下北沢で今夜舞台を控える俳優光石研(本人)。さんざん真面目イメージを揶揄されていた光石は、2時間の空き時間に池田鉄洋(本人)が話していた風俗ビルに行ってみることに。身バレしないよう気を遣いながらも着席し、やがて風俗嬢ユイ(川栄李奈)がつき、いざ…という時に警察のガサ入れが入る。慌てた光石は身バレに気を遣いながらも脱出を画策する。すると前の席にロバート秋山(本人)が。芝居の開演時間も迫ってくるし池田鉄洋も探してる様子。一芝居うって脱出を協力しあうが、出られたのはロバート秋山だけで、光石研の運命やいかに…!?


俳優業を活かした話になってた。本人役で出ているのがなんともw ハラハラするのは脚本がうまく、役者もうまいから。


 

③夫が女装する女(脚本:松井周/監督:スミス)

杉田由紀子(麻生久美子)の夫勲(野間口徹)には女装癖がある。女装して外出する時は由紀子が間を開けて同行する。知人にバレないよう由紀子なりにガードしているつもりだった。が、その日、息子恵太(内川蓮生)ママ友(西田尚美植木夏十)と出会し、お茶することになる。勲と別行動するのは不安があったが、仕方ない。しかし、そのお茶する喫茶店に勲も入店してきた。慌てる由紀子の所作がおかしいと怪しむママ友。そこへ勲が財布を忘れたというので届けに恵太がやってくるというハプニングが。中学受験を控える恵太にこそ一番バレて欲しくなかった夫の女装癖…。けれど、喫茶店に現れた恵太はすでに知っていたし、勲が由紀子とその喫茶店にいたかった理由もあった。いや、そればかりか…。


さもありなん。だが、面白かった。


 

④夜逃げする女(脚本:喜安浩平/監督:崎和亮)

下北沢で古着屋を営む須田類(緒川たまき)椎名照美(酒井若菜)。二人はバイト先の縁で20年前に知り合い、店を出すまでに至ったが、資金は照美の婚約者の原田利夫(山西惇)から借りたものだったし、婚約者といってもどうもはっきりしない関係で、たまりかねた原田はある日、結婚詐欺だ金を返せと詰め寄る。結婚は下北沢から出ることを意味していた。ここ下北沢で何者かになろうとしていて演劇を断念した類は照美と運命共同体…いや、共依存の関係になっていた。照美も下北沢を出たくないのに連れ出そうとする原田を類が殺してしまう。これで二人は自ら下北沢を離れなければならなくなった。夜逃げだ。荷物運びに知り合いの深大寺(志尊淳)を呼び出し車に荷物を運び込む過程で原田の遺体がバレてしまう。逃げる二人だが、ハプニングが更に起こり…。


夢を追い、何か得ようともがくが、20年という月日は街並みをも変えてしまうほどの時間。それを実感させる作品だった。そしてその時間は二人の行く道を違えるのに充分で、人生には岐路があるということをも実感させる作品。

志尊淳、チャラさが良かった。


 

⑤最高のSEXをする女(脚本:福原充則/監督:スミス)

売れない頃から、自分のミュージシャンへの夢をも捨てて12年間支え続けた男時村孝治(和田聰宏)がようやく売れ出した。これで周囲に急かされてた結婚への道も見えてきた柴原麻子(夏菜)。ところがSNSで時村に彼女発覚!→でも自分じゃない!→浮気発覚!! このままおとなしく引き下がってはプライドが傷つく。そこで麻子は時村に一生忘れられないSEXを植え付けようと考えつく。隣室の大倉(柄本時生)に邪魔されながらも、今カノと寝る度に自分を思い出さずにはいられないほどのSEXをと、麻子の闘いが始まる…!


あまりにあっさり麻子を捨てるし、麻子も見限りがわりと早く、ドライだなぁと思ったけど、これは何事にも潮時ってあるってことだな。と感じる作品だった。


 

⑥未来から来た男(脚本:柴幸男/監督:山岸聖太)

スーパーコンピュータ「mamazon」(声:池谷のぶえ)によってあらゆる無駄が排除された近未来2037年のネオ下北沢。しかしサブカルゲリラたちが本来のサブカルの聖地下北沢を取り戻そうと活動していた。「mamazon」は根っこから絶やそうと、先導者コヤマ・サラ(松本穂香)のサブカルとの出会いを阻止すべく、秘密兵器シーモキーター(佐藤二朗)を2017年の下北沢ヴィレッジヴァンガードへ送り込む。数回の失敗のうえ、偶然にもサブカル女の特性を活かした根絶法を施し、無事ゲリラ団の誕生を抑える…。


ヴィレヴァンの店員加藤諒片桐仁本人役で登場。シーモキーターはターミネーターのオマージュ。

下北沢がサブカルの聖地とは思ってなかった。高円寺かと思ってた。中野、阿佐ヶ谷とか。ただ、サブカルを盛り上げていたのはやはり地方出身者なのだなと答え合わせができた。昔から一旗あげる、立身出世、果てはアメリカンドリームとはよく言ったもんだ。


 

⑦手がビンになった男(脚本:上田誠/監督:戸塚寛人)

「劇団ひよこ豆スティング」の劇団員伊沢キヨシ(佐藤隆太)は、たまたま観劇に来た女優海老川アンナ(臼田あさ美)とバーで一杯やっている。芝居にいたく感激したアンナとどうやら一晩イケそうな雰囲気。舞い上がるキヨシだったが、ビール瓶に不意に突っ込んだ指が抜けなくなってしまう。せっかくいい雰囲気なのに…と、とりあえずトイレに駆け込み必死に対処するもやっぱり抜けない。そして割ることを思いつく。いざ…! しかし、確かに割れたけど、鋭利な武器にもなる様相でビンの口の部分はハマったまま残ってしまった。そしてトイレに入って来ようとしたヤクザ(三浦誠己)を制止するタイミングで刺してしまう。そこから次々に話は大きくなり立てこもり殺人犯に祭り上げられ意図せぬ窮地に追い込まれる。しまいには未来からやって来た謎のシモキタンナイト四人衆(アンナを筆頭に、バーマスター田中要次ヤクザの若頭大澄賢也警察官六角慎二)が現れ…。


ドタバタコメディ。面白かった。もうこれはオチはアレだろうと予想は外さなかったけど、そこまでの過程が面白い。実際にそんな状況下に置かれたらどうするだろうと変な汗が出そうなくらい緊迫感もあった。

大澄賢也、久しぶりに見たけど、とても良かった。

 


⑧彼女が風俗嬢になった男(脚本:根本宗子/監督:山岸聖太)

テレ東のAD(田村健太郎)は番組用に人生のピンチについてインタビューをしていた。パチンコ屋開店に合わせて並ぶ常連客の田川のりお(青柳翔)に目をつける。最初は他の常連客(渡辺真起子小松利昌)ともども足蹴にされていたが、田川にピンチがやってくる。友人(荒井敦史)から彼女のみわ(馬場ふみか)が風俗で働いてると連絡が入る。みわに問い正しに行くと、本当だったし、月100万ないと生きていけないと言い出す。実は田川はみわのヒモ…今日中に50万稼いだら風俗を辞める約束を取り付け、軍資金3万を借りて、ADを巻き込みパチンコ勝負に挑む。最初はうまくいってなかったが、パチンコ店員のドジっ子山田愛子(森川葵)の密かな願かけにより…。


ADがすごくいい味出してるし、青柳翔もいい。渡辺真起子もいう事なしで面白かった。小松利昌も。その他のモブも。ラストは田川と愛子がカップルになるのだけど、ADの撮ったものが番組で採用されてて二人の出演のオチもついてて、予定調和ではあるけど、脚本とキャストが素晴らしいので結果「良かった」で終われた感じ。


 

⑨幽体離脱した男(脚本:三浦直之/監督:スミス)

アイドルグループエイヤーズのタクヤ(金子大地)は、メンバーの中で一番売れてなかった。そこで事務所社長(井上肇)の意向で小劇場の舞台に立つことになる。ところが演出家(岩松了)のダメ出しに苛立ちが勝ってどうダメなのかもわからない。今夜の公演までに形にしなければと思うのに…。ちょうど劇団員と劇場霊の話をした後、濡れた床にすべって気を失ってしまう。気づくと幽体離脱していた。公演時間までに戻りたいのに戻れない、時間が迫り焦る中、一人の女性が現れる。紗奈(岸井ゆきの)と名乗るその女性は3年前に亡くなった女優の高倉紗奈だった。紗奈とあれこれ話すうちに、何が自分に足りないのか、どうしたら本体に戻れるのか、察しがついてくる…。


金子大地が若い。この頃はまだ20歳前か? 演技もイマイチで演出家のダメ出しがよく効いてる笑。役者の悩みでもあろうが、根源はその人間の性格にあって、それを乗り越える話で、なかなか奥深くて良かった。劇団員に水間ロンがいた。やっぱりいいな。


 

⑩悪魔にとり憑かれた女(脚本:丸尾丸一郎/監督:戸塚寛人)

20年もやってきて売れなかった崖っぷちロックバンドロノウェの初めてのワンマンライブがライブハウス「ろくでもない夜」で叶った。しかも多くのアイドルを排出した秋山キヨシも観にきてるという。伝説になるようなライブをと気合が入ってるリーダーでギターのカート小林(高橋努)始めベースのジミー逸見(山本浩司)、ドラムのブライアン錠(岩尾望)だが、肝腎要、このバンドの中で絶大な人気を誇るボーカルのジャニス(夏帆)が、たった今別れることになった彼氏サタン(松尾論)が観にきているという一点だけで、ステージに上がる事を拒否する。なだめすかし、その元カレサタンを楽屋に連れて来てなんとかしようと思うものの自体は悪い方へと流れていく。先にステージに出て場をあたためているジミーとブライアンも限界が来ていた。ライブハウスの店長(森下能幸)からは中止を勧告される始末。ようやくジャニスの本音が、カートの熱量の前に崩される…。


ごく普通の凡人の、夢を追う者の姿を描いてて切ない。バンド名は悪魔「ロノウェ」から取っていて、そのロノウェと契約した多くのミュージシャンは27歳で名をあげ伝説となり命を落としているといい、しかし実際カートたちは39歳…。まさに1周遅れのラストチャンス。カートは熱量は負けないのに技術感性が備わってないことにジレンマがあり、ジャニスは劣等感から進めない。年齢的にタイムリミットなのが冷ややかに響くの、良かった。


 

⑪父親になりすます男(脚本:えのもとぐりむ/監督:関和亮)

下北沢再開発により本多劇場が取り壊される話になっている。その開発を進めてる区議壱河源一(升毅)の娘悦子(成海璃子)と、その開発の反対派リーダー(村松利史)の息子で演劇人丹澤航平(大東駿介)とが結婚することになった。本多劇場取り壊し阻止に一筋の希望を見出したものの、結婚披露パーティーに航平の父親がボイコット。慌てたジョン(古田新太)の後輩で演劇に携わる村山(大倉孝二)がジョンに父親役を頼む。危うい場面をいくつか乗り越えつつ大役を果たすが、実は悦子とジョンにまつわるとんでもない真実が明らかになる。全ては仕組まれていた…!?


演劇にのめり込んだ人間と、犠牲になった家族、だけど家族はの絆は血だけにあらずというなかなかなヒューマンドラマで最終話が組み立てられてた。これまで出てきた下北沢を拠点として生きてきた人たちも一部出演するなど、下北沢の人情まで触れ描かれていた。

エンディングロールで笠松将どこにいた?と思わず確認したらパーティー会場のバーテンダー。いやいやいや、台詞はあるけど顔、ほぼ映ってない泣笑。

奈緒にも気づかなかった。パーティーを仕切る航平らの仲間の一人にいた。航平の友達役で前原滉もいた。

 


下北沢に最後に行ったのは再開発が始まってすぐの頃か。コロナ前だ。そういえばライブハウスの屋根裏の話もチラッと出るのだけど、いや、あれは渋谷だろ? と思って調べたら、両方にあった。正確には渋谷店が下北沢に移転、その後また渋谷にも出店し、結局両店とも終わったようだ。私が知ってるのは渋谷屋根裏単体時のみだったとわかった。ちなみに下北沢屋根裏の跡地に建ったのが「ろくでもない夜」のようだ。

とまあ、下北沢が舞台だけあって、全話フィーチャーされる、あるいはロケ地となる施設、店舗は実在するものをそのまま使用のようだ。話の中に出てくる人物も演劇、ミュージシャン、サブカルの文化系と、そういう街だと表している。

 

ラストはジョンの台詞「人生はクローズアップだと悲劇だがロングショットだと喜劇か」が響く。

チャーリー・チャップリンの名言「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇」。これが芝居をやる人たちの心を掴むのだなぁ、と感慨。


エンディングロールでは下北沢住みの柄本明が自転車で徘徊する映像がある。演劇の街という締めに説得力が増す。


ぜんぶ面白い。すごく面白い。役者がとにかく間違いなく出来る人ばかりで。


タイトルは『ダイハード』から。ジョンの名前もどんな困難からも逃げない同作主人公「ジョン・マクレーン」から。

 

★★★★(★)