『明るいニュース』(製作2023/公開2024)
ndjc(New Directions in Japanese Cinema)
文化庁委託事業・若手映画作家育成プロジェクトの作品
監督・脚本 白真也
働いてない父親(鈴木晋介)と二人暮らしの濱中元(篠原悠伸)は清掃員の仕事を失ったばかり。生活保護申請を試みてみるものの手続きが煩雑。そして食事の支度中うるさく飛び回るハエを退治しようと包丁を振り回していたところ、誤って自分の脚を切ってしまう。急ぎ病院で手当てしてもらった看護師靖子(安亜希子)に惚れ、すぐさま行動に移す。うまくいったかにみえたが、妊娠を理由に元カレ三好(伊藤佳範)と復縁される。その子供が実は自分の子ではないかと思った元は、子供に興味を持つ。小学校の運動会に父兄を装い見学に行き、孤独そうに見えた一人の少年文人(菊川実晴)に目をつける。確かに一人で弁当を食べていたが、友達がいた。やりきれなくなった元は後日小学校へ乗り込み…。
元は父親から虐待を受けていた様子がある。息子に世話になりながら威圧的だ。それを受け入れてる元は、もしかしたら少し頭が足りないのかもしれない。少なくとも他人の目は入らず社会性はない。そんな人間が社会から爪弾きになるのはあるあるだろうし、生きる糧など見出せそうにはない。
犯罪になりそうなギリギリのところを描いていて、踏みとどまるのはそりゃそれぞれだろうけど、容易いことで大事に至るか至らないかが決まるのだという、恐ろしさを感じる作品。
これはキャスティングの勝利でもあるかもしれない。篠原悠伸が素晴らしい。まず、その見た目に説得力があって、それプラス演技力。もちろん、看護師や少年や父親もハマってる。
ネタバレは避けたいところだけど、例えば、包丁を振り回すところから脚を傷つけ正気に戻り、小学校の門扉を越えるところで鉄線で脚を傷つけ気が緩んだところへチャイムが鳴って正気を得る、など、登場人物の行動や小道具がきれいに繋がっているし、間合いで元の心の流れや変化がわかる。
とても良かった。
そういえば、ついてるテレビはニュースをやっていて、銃撃事件など暗いニュースばかりだった。でも最後は未来のある明るいニュースが流れる。元は今後もニュースにならないということだろうと、ホッとした。
★★★★★
音楽 岩出拓十郎
制作 オフィス・シロウズ








