『モンスター』(2003/日本公開2004)
元娼婦の連続殺人犯アイリーン・ウォーノス(2002年死刑執行)の実話にもとづく作品。
監督・脚本 パティ・ジェンキンス
日常的に虐待を受ける家庭で育ち、13歳で娼婦で生きていくことを決めたリーことアイリーン(シャーリーズ・セロン)はホームレス。ある日、愚客の憂さ晴らしに入ったバーで同性愛者のセルビー(クリスティーナ・リッチ)と出会う。リーにはその気がなかったが、なんとなく惹かれ、二人は付き合うようになる。セルビーは義父に馴染めない上、自分の性癖が理解されないこともあり居場所を求めていた。リーはセルビーと一緒にいるために体で金を得続ける。しかしある日暴力的な客に出会し、はずみもあって射殺してしまう。が、代わりに金も車も得ることが出来た。
リーはセルビーの望むように二人の生活を始めるべく、娼婦を辞めて安定的な仕事を求めるが、まともな仕事に就いたことのないためうまくいかない。再び娼婦に戻ることになる。そして先の成功体験もあって、次々と客を殺め、大金を得ることを繰り返すようになる。セルビーはといえば、車が頻繁に変わるので訝しがりながらもリーの愛に甘えるばかりだった。
しかしそんな生活も長くは続かず、新聞やテレビニュースなどからも殺人はセルビーの知ることとなる。お互いの間に愛はあるのに、どうにもならない時間が流れ出す…。
リーがセルビーへの愛を自ら断ち切るシーンは悲しい。セルビーがあまりにもお嬢様然としているからなおさら、リーが気の毒でならない。けれど、もちろん、本人はそれでいいと思ってる。そうすることしか出来ない、それが学がない、というか、数人で成り立ち完結する関係しか知らない、次々と派生して広がっていく社会に属してこなかった結果なのだろうなと思った。短絡的にしか物事を考えられない、見れないのは、知識が足りないからだ。どうにかこうにかであろうと生きる術は本能的にわかるものだ。どう生きるか、将来どうなりたいか、例えばセルビーのような共に生きる人ができた時、どう関係を保っていけばいいのか、そこまで考えがいかないのだ。なんということだ。人間なのに。
これは本当に切ない話だ。おそらくこういう人、日本人にだっていると思う。というのは、小中学の同級生で一人、性に奔放な子がいた。内緒話の一環で自慢げに悪びれることなくその行為を語っていた。やがて大小の話が噂化して、真実がわからなくなった。彼女の居場所は学校にはなくなった。彼女も勉強ができなかったし嫌いだったし、親しくする友達もおらず、もともと学校も休みがちだった。顔はもちろん体型も違うけど、リーとその子が被って見えた。今、何してるだろう、生きているだろうか。
★★★★★




