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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『モンスター』(2003/日本公開2004)

元娼婦の連続殺人犯アイリーン・ウォーノス(2002年死刑執行)の実話にもとづく作品。

 

監督・脚本 パティ・ジェンキンス

 

日常的に虐待を受ける家庭で育ち、13歳で娼婦で生きていくことを決めたリーことアイリーン(シャーリーズ・セロン)はホームレス。ある日、愚客の憂さ晴らしに入ったバーで同性愛者のセルビー(クリスティーナ・リッチ)と出会う。リーにはその気がなかったが、なんとなく惹かれ、二人は付き合うようになる。セルビーは義父に馴染めない上、自分の性癖が理解されないこともあり居場所を求めていた。リーはセルビーと一緒にいるために体で金を得続ける。しかしある日暴力的な客に出会し、はずみもあって射殺してしまう。が、代わりに金も車も得ることが出来た。

リーはセルビーの望むように二人の生活を始めるべく、娼婦を辞めて安定的な仕事を求めるが、まともな仕事に就いたことのないためうまくいかない。再び娼婦に戻ることになる。そして先の成功体験もあって、次々と客を殺め、大金を得ることを繰り返すようになる。セルビーはといえば、車が頻繁に変わるので訝しがりながらもリーの愛に甘えるばかりだった。

しかしそんな生活も長くは続かず、新聞やテレビニュースなどからも殺人はセルビーの知ることとなる。お互いの間に愛はあるのに、どうにもならない時間が流れ出す…。

 

リーがセルビーへの愛を自ら断ち切るシーンは悲しい。セルビーがあまりにもお嬢様然としているからなおさら、リーが気の毒でならない。けれど、もちろん、本人はそれでいいと思ってる。そうすることしか出来ない、それが学がない、というか、数人で成り立ち完結する関係しか知らない、次々と派生して広がっていく社会に属してこなかった結果なのだろうなと思った。短絡的にしか物事を考えられない、見れないのは、知識が足りないからだ。どうにかこうにかであろうと生きる術は本能的にわかるものだ。どう生きるか、将来どうなりたいか、例えばセルビーのような共に生きる人ができた時、どう関係を保っていけばいいのか、そこまで考えがいかないのだ。なんということだ。人間なのに。

 

これは本当に切ない話だ。おそらくこういう人、日本人にだっていると思う。というのは、小中学の同級生で一人、性に奔放な子がいた。内緒話の一環で自慢げに悪びれることなくその行為を語っていた。やがて大小の話が噂化して、真実がわからなくなった。彼女の居場所は学校にはなくなった。彼女も勉強ができなかったし嫌いだったし、親しくする友達もおらず、もともと学校も休みがちだった。顔はもちろん体型も違うけど、リーとその子が被って見えた。今、何してるだろう、生きているだろうか。

 

★★★★★

 

 

 

 

 

『GONIN2』(1996)

 

監督・脚本 石井隆

音楽 安川午朗(『しゃべれどもしゃべれども』『君に届け』『八日目の蝉』『北のカナリアたち』『ストレイヤーズ・クロニクル』『団地』『残穢』『ちょっと今から仕事やめてくる』『ユリゴコロ』『半世界』『孤狼の血』シリーズ、他)

 

緒形拳、余貴美子、大竹しのぶ、喜多嶋舞、夏川結衣、多岐川裕美、西山由海、松岡俊介、片岡礼子、左とん平、山口祥行、寺田農、飯島大介、白石ひとみ、中山俊、城明男、山口剛、速水典子、鈴木覚、阿部雅彦、吉原緑里、竹中直人、佐藤浩市、根津甚八、椎名桔平、鶴見辰吾、伊藤洋三郎、永島敏行、他。

 

町工場である鉄工所を経営する外山(緒形拳)は妻陽子(多岐川裕美)の誕生日にと宝石店でイヤリングをプレゼントする。経営状態は借金が嵩み良くないのに、1万もするイヤリング、その気持ちを嬉しく思う陽子に、来年は500万近くするキャッツアイの指輪を約束して幸せなムードの中帰宅する。と、さっそく暴力団五誠会傘下の中嶋組の面々が取り立てに待ち伏せており、外山の目の前で陽子は犯される。その夜半、陽子は首を吊る。

外山は刀を自作し、復讐を企てる。陽子の遺体を車の助手席に乗せて中嶋組に乗り込み、殺傷し、ついでのごとくキャッツアイを買えるだけの金を盗り先の宝石店へ向かう。

一方、その宝石店は、強盗団が襲撃していた。実は強盗団の一味だった店員のちひろ(喜多嶋舞)パトロン(寺田農)に飽きられたジム経営者の蘭(余貴美子)、高校生と偽りパパ活をする中年女のサユリ(大竹しのぶ)、思春期に強姦されて以来悪夢にうなされる早紀(夏川結衣)夫(阿部雅彦)愛人(速水典子)ができて離婚をつきつけられた志保(西山由海)が居合わせ、それぞれの欲や目的のため行動を共にし強盗団に対峙することになる。その中で総額10億円の宝飾品を手にした女たちは山分けし、いったん散ることにするが、強盗団は中嶋組構成員が関わっており、下っ端梶(松岡俊介)とちひろ、直子(片岡礼子)の三角関係も手伝い、外山の中嶋組構成員への復讐、女たちの私利私欲が絡み、生死をかけた戦いとなっていく…。

 

なかなか死ななかったり、あっさり死んだり、どういう基準かわからないが、なかなか死なないならその程度の傷にとどめるべき。とか思ったけど、バイオレンスには通じないね。サユリが早い退場で意表をつかれたのだ。

 

実際きれいだったし、これ見せ場だろうなと思ったのは、厨房で全裸で縛られる、シャワーで血を流す、喜多嶋舞。とても良かったけど、1〜2カット余計だ。もっと短尺だったらなお良かったのにと残念。足りないくらいがちょうどいい。

 

陽子がイヤリングを片方なくしたと、犯された現場の草むらを探す姿は切なかった。どれだけ外山を愛しているかがこのシーンに詰められている。素晴らしいシーン。また緒形拳がいい表情をする。

 

決戦の場が『GONIN』の万代のディスコ「bird」だった。あと、『GONIN』出演者が別役で脇からちょこっと出てた。例えば荻原役の竹中直人はスタンガンを売ってる店主だったし、氷頭役根津甚八は通行人(…て、もちろん気づかず)、永島敏行や鶴見辰吾椎名桔平は野崎組構成員(やはり気づかず)だし、万代役佐藤浩市は同じ万代だけど、昔の万代(…だから気づかんて)。等々、他にも俳優陣は別役で被っている。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

『GONIN』(1995)

 

監督・脚本 石井隆

音楽 安川午朗(『しゃべれどもしゃべれども』『君に届け』『八日目の蝉』『北のカナリアたち』『ストレイヤーズ・クロニクル』『団地』『残穢』『ちょっと今から仕事やめてくる』『ユリゴコロ』『半世界』『孤狼の血』シリーズ、他)

 

佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、竹中直人、椎名桔平、横山めぐみ、鶴見辰吾、永島敏行、木村一八、ビートたけし、飯島大介、不破万作、伊藤洋三郎、川上麻衣子、永島瑛子、室田日出男、松岡俊介、津田寛治、渡辺真起子、若松了、小形雄二、安藤麗二、他。

 

バブルに乗ってディスコを経営し栄華を極めていた万代(佐藤浩市)だったが、バブルがはじけてからは暴力団五誠会の傘下にある大越組からの借金に追われる身。ある日、大越組事務所に億を超える大金があることを知った万代は強盗を思いつく。しかしそれには仲間がいる。今はキャバレーの用心棒だが、汚職が原因で懲戒免職になった元刑事氷頭(根津甚八)をその腕と情報通であることを見込み誘い、コールボーイを気取って実は金持ちから金を巻き上げる三屋(本木雅弘)を、過去に傷害事件に居合わせた縁で取り込み、バッティングセンターで憂さ晴らしをしている時に絡んできたキレ気味のサラリーマン風男荻原(竹中直人)、大越組下っ端構成員元ボクサーでパンチドランカージミーこと山路(椎名桔平)が加わり、5人で大越組事務所を襲撃する。銃撃戦となったものの、万代らは目的を果たす。しかしすぐに足がつき、五誠会から殺し屋京谷(ビートたけし)とその相棒柴田(木村一八)が派遣され、報復合戦となる…。

 

バイオレンスアクション映画。


ジミーは相愛のタイ人風俗嬢ナミィー(横山めぐみ)が目の前で凌辱され殺される。もちろんジミーの命もない。荻原も京谷に自宅でとうに亡くなった妻(夏川加奈子)と入浴中に撃たれる。氷頭は復縁を願い誘ったレストランで妻子(永島瑛子五十嵐瑞穂)を殺され、万代も撃たれ三屋の腕の中で息絶える。氷頭と三屋は勢い大越組に乗り込み大越組長(永島敏行)、大越組若頭の久松(鶴見辰吾)を射殺するも、無事だったのは三屋だけで、その後三屋は万代の骨壷を持って長距離バスにて逃走を図る。しかし三屋に柴田を殺されたことも手伝い、京谷は三屋を追っており、そのバスの中で相打ちとなる…という、まあみんな死ぬ。ただ、氷頭だけは微妙な描き方だった。

裏社会ものはほぼほぼ死ぬ。だからそこへ至るまでの人間模様がどれだけ描けるかが作品の質を上げるのだと思う。

 

本木雅弘がとにかくすごかった。こんなに出来る人とは思わなかった。30年も前の作品なんだけど。佐藤浩市も素晴らしかったし鶴見辰吾も椎名桔平も驚くほど良かった。作品自体もまあバイオレンスとくくってしまえば簡単だが、各カットが美しく映像に深みがあった。役者の演技と背景がきれいに混ざる。なんと言い表したら的確なのかわからない。語彙力が欲しい。

 

その本木雅弘の佐藤浩市とのキスシーンはなんとも切なかった。タマ取り合戦の中、惹かれていってる過程もあった。言葉がなかろうと、数コマであろうと、役者の感情を宿した目、表情で充分描けるのだと改めて思った。

また、京谷と柴田の関係もあまりに自然だった。必要最低限のカットと台詞で納得がいく関係性が描けるのだと、これまた感心した。

 

荻原が大阪の出張が済んだからと嬉々として妻に電話し、千葉の自宅に帰るのだが、自宅前には立派な車が駐車してあり、これは大越組員らが万代の部屋で荻原の履歴書を見つけたことから、彼らに殺られてるな、と思ったが、荻原の様子がどうもおかしい。確かに家族は死んでいたが、生きてるていでやっと帰宅したことを勇んでいる雰囲気だ。妄想と幻覚の中に居るのかなと思ったけど、長女(栗山千秋)はピアノの前で、息子(山田哲也)はベッドの上で死んでる。その布団の上には金属バットがあって、あれ?と思った。金属バットは荻原のアイテムだ。そして遺体となった妻と風呂に入ってるところ射殺されるのだが、これはどうやら職を失い二進も三進もいかなくなった荻原自身が家族を殺害して東京に居たっぽい。これにはやられた。すでに殺人を犯していてキレてるとは考えもしなかった。

 

で、GONINって何の意味だろうと思ってたら、5人ってこと…?

 

五誠会会長式根室田日出男。キャバレーホステスの一人川上麻衣子。キャバレーのマスター不破万作

面白かった。

 

★★★★★

 

 

 

配給 松竹

 

 

 

 

『ピザ!』(2014/日本公開2015)

原題は『Kaakkaa Muttai』、英題は『The Crow's egg』で、訳すると「カラスの卵」。作品内で主人公の二人の兄弟が、よくカラスの卵を取って食べてるのでそう呼ばれている。インド映画。

 

監督・脚本 M・マニカンダン

音楽 G・V・プラカーシュ・クマール

 

 

 

 

南インド、チェンナイのスラム街の前、もとはスラム街の子供たちの遊び場だった空き地にピザ屋ができる。子供たちは見たことすらない新しい食べ物に夢中になる。けれど、とても買える値段ではなかった。この映画の主人公、父親は勾留中で不在で母親(アイシュワリヤー・ラージェーシュ)と祖母とで粗末な一間に住む、二人の兄弟(ラメーシュ、ビグネーシュ)もまたピザに興味津々。

なんとか食べたい!どうにか食べたい!と二人の兄弟はいつも以上に働いて(石炭拾いや奇抜なアイデアで稼ぐ)お金を貯める。ようやく貯まったとピザ屋の前まで行くとスラム街に住む者たちは客にあらずとばかり追い返されてしまう。きっと着てる服が汚いのが原因だと、今度はピザ屋へ入るための服を買うお金を貯め始める。しかし、ようやく手に入れた服を着てさえも、入れてもらえないどころか、平手打ちをされ手荒に追い返される。しかしそれを動画に撮っていた仲間がいて、あっという間に拡散され、テレビ局も取材に入るなど大事になっていく。

対策を迫られたピザ屋と、なんとかうまい目を見ようとするスラムの住人、議員など大人たちの思惑と、素直にピザが食べたい兄弟の思いが交錯する…。

 

貧しいながらもしっかりした親子関係に祖母の優しさも描かれ、心揺さぶるけどコメディかな。

インドの貧困の実態が描かれていて、住まいは到底理解出来ない造りだし、烏の卵を盗んで食べるのが日常であり遊びの流れでもある。スラム街の子供たちは服も薄汚れていてずっと裸足だ。だけど子供らしく楽しそうに遊ぶ。裕福な子とも普通に友達付き合いができている。稼ぐ手段も善悪なんらためらわない。素直に生きることしか考えておらず、生命の強さを感じる。だいたい、おねしょがなかなか抜けない弟が、最後はしなくなるなんて、子供の成長のひとつだし、実は祖母は亡くなってしまうのだが、どうあれ、家族愛の大きさ、人には未来しかないと思える作品だった。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

 

 

 

『罪と悪』(2024)

 

監督・脚本 齊藤勇起

音楽 Tejeyehezkel raz

 

高良健吾、大東駿介、石田卓也、市川知宏、勝矢、村上淳、椎名桔平、佐藤浩市、奥野壮、坂元愛登、田代輝、柴崎楓雅、石澤柊斗、佐藤浩市、しゅはまはるみ、守屋茜、深澤幸也、大槻ヒロユキ、朝香賢徹、蔵原健、中野英樹、成田瑛基、齋賀正和、大迫一平、安部賢一、桝田幸希、本田旬、仁也、

 

なあなあで持ちつ持たれつな田舎社会。父親(中野英樹)のDVと面倒事を避ける母親(しゅはまはるみ)を持つ阪本春(坂元愛登)、警察官の父親(蔵原健)と姉妹が3人いる明るい家庭の吉田晃(田代輝)、双子の弟直哉(深澤幸也)とはまったく似てない女子から人気のイケメンの朝倉朔(柴崎楓雅)、それから怪しいからやめろと言ってもホームレスのおんさん(大槻ヒロユキ)のところへ通う正樹(石澤柊斗)は、同じ中学二年でサッカーをやってることもあり仲良しグループだった。

ある日、正樹が川で遺体となって発見される。春はおんさんが関係してるのではと晃と朔と住まいへ向かう。そこで血痕のついた正樹のスパイクシューズを見つけたことから、疑惑は確信へ代わり、おんさんと揉み合いの末、殺害してしまう。致命傷となった一撃は朔が振り下ろしたスコップによるものだったが、全責任は自分が負うと、言い出しっぺである春は二人を帰し、住まいに火をつける。

春は少年院に入ったものの、その後三人は晃の転校もあり接点を持たなかった。20年の月日が過ぎ、朔(石田卓也)は実家を継いで農業をやり、その弟直哉(成田瑛基)は事件後引きこもりになっていた。晃(大東駿介)は父親と同じ刑事になっており、その父の死をきっかけに離れていた地元へ戻り、父親の下についていた佐藤(椎名桔平)の後輩となる。春(高良健吾)は半ば裏社会の住人がごとく若者を集めて街の遊興施設を手広く展開していた。ある日春のもとで働く若者小林(本田旬)鈴木(奥野壮)が地元ヤクザと面倒を起こし、警察が動き出す。同時に春は善と悪との絶妙なバランスで街の日常が保たれていることを知る。そして三者三様に20年前の事件が心のオリとなっていたことを知る。そんな中、小林が正樹と同じように川っぺりで遺体となって発見される。三人は20年前の事件に否応がなく向き合うことになる…。

 

時を経て、事件の真相がわかるのだが、それが確定とはなっていない。証拠や状況からは真犯人は納得がいくものなのだが、どうしても腑に落ちない。というのは、おそらく、真犯人の演技の素晴らしさのせいだと思う。とてもそう思えない表情、受け答えをするのだ。証拠も状況もなんとでも言えるしなると思えてしまう。でもその方が面白いと思う。実際どうなんだろう、どういうつもりで作ったんだろう。と。

 

面白そうな導入と展開だったし、実際まあ面白かったけど、ヤクザと警察の関係がぼんやりしすぎてるのと、それによって晃の亡父への思いは変わるのかどうかもはっきりわからなかった。それに春が具体的に何をしようとしているのかがつかめなかった。おそらく、若者の居場所を作ろうとしているのだろうけど、あまり具体性がない。

とまあ、晃の仕事面での亡父との向き合い方と、春のこれまでの軌跡を掘り下げてほしかった。

タイトルは罪と悪との境界線がはっきりしないということかな?

 

あと、春と晃の役者が逆だったら良かったのにと思った。イメージの問題で、春役は大東駿介の方が合ってるし、晃役は高良健吾の方がうまく出来たと思う。子役からの引き継ぎもその方がいい。

 

ヤクザ笠原組会長佐藤浩市、組長清水村上淳

 

★★★

 

 

 

公式サイト


 

『都会のトム&ソーヤ』(2021)

原作ははやみねかおるの小説でシリーズものだが、今作はオリジナルストーリーになる。

 

監督 河合勇人(『チア☆ダン』『かぐや様は告らせたい』シリーズ『鈴木先生』シリーズ、他)

脚本 徳尾浩司(『CUBE』『走れ!T高バスケット部』『おっさんずラブ』シリーズ、他)

 

城桧吏(じょうかいり)、酒井大地、豊嶋花、市原隼人、本田翼、中川大志、森崎ウィン、玉井詩織、渡邉心結、吉原徠地、山下森羅、りきまる、谷垣有唯、松本ししまる、松本大輝、松澤和輝、山本麗美、他。

 

自らも称するごくごく平凡な中学生内藤内人=ないと(城桧吏)は2年ぶりに地元に戻ってきた。なので、転校生だが知った顔も多い。そのうちの堀越美晴(豊嶋花)はすぐに話が合った。クラスメイトに大企業の御曹司竜王創也(酒井大地)がいることも教わり、帰り道にさっそく声をかけようとするが、角を曲がったところで消えてしまった。不思議に思った内人はそのまま路地に入り込み鍵が落ちているのを見つけると、探るように廃ビルのような建物の中に入っていく。ところがそこにはゲームが敷かれており、数個のトラップを越えてゴールすることを勝負づけられる。内人は2年間田舎の祖母の家にいたので、創意工夫に長けていた。トラップを抜け、とある部屋にたどり着くと、そこに創也がいた。まるで秘密基地のような様相のその部屋は「砦」だという。ゲームクリエイターになる夢を持つ創也は、内人を後日開催されるゲームクリエイター「栗井栄太(くりいえいた)」のリアルRPGゲームに誘う。自信がなく一度は断ったが、ならば堀越と二人で参加するという言葉に触発され、参加を決める。

「栗井栄太」はゲームマスター神宮寺直人(市川隼人)、シナリオライター鷲尾麗亜(本田翼)、音楽&グラフィックアーティスト柳川博行(森崎ウィン)、プログラマージュリアス・ワーナー(玉井詩織)の四人からなるゲームクリエイターチームだった。ゲームの名称は「エリアZ」。Zというゾンビのような生物に掌握されつつあり封鎖を余儀なくされた街を救うのが目的。それには謎を解きながら、Z(に捕まると自分もZ化してしまうの)を避けながら、またゲームでいうとバグのような謎の組織に阻まれながらも、進む。制限時間は6時間。同級生はもちろん、大人も参加している。内人は他の人の手助けもしようとするが、創也はクリアだけを目指す、こんな凸凹コンビだが、互いに知恵を出し合いゲームクリアを目指す…。

 

児童文学かな。小学生くらいの年齢の子供なら楽しめる。わかりやすいし、悩んでいることに共感が持てるだろう。例えば創也の将来の夢にかける思いだったり、好きなことを極めたい気持ちだったり。内人の仲間を思いやる気持ちだったり、堀越がちょっと気になってる様子だったり。


お金があるからといって叶えられないこともある。お金がないから諦めなければならないことももちろんある。ある程度の年齢になったら、その岐路に立ち選択しなければならない。その後、その選択は本当に正解だったのか、正解にしなければならない日がくる。その例に、創也のボディガードの二階堂卓也(中川大志)がいて、本当は保育士になりたかった。それを創也は知っている。そして二階堂は最後は創也のもとを去る。また、特に夢もない内人は、それまでに培った能力が創也との出会いで開花する。内人はそこから成長し、夢を得るのかもしれない。

Zをただの恐怖の対象、悪者扱いにするのではなく、街を救う=Zを救う(実質消滅させることに変わりはないが)、と考えを変換させて(これがゲームクリアなのだが)頭脳も身体もフル回転で挑む数時間は、子供にとって貴重な体験だろう。仲間と協力し合う社会性を育むし。

子供にとっては可能性がいっぱいの作品。

 

劇中、謎解き監修はリアル脱出ゲーム制作運営のSCRAPとのこと。

 

城桧吏がその声、しゃべり方、表情と、高橋文哉に似てる。

 

★★★

 

 

 

 

配給 イオンエンターテイメント

 

 

 

 

 

『Flow』(2024)

ラトビア、フランス、ベルギー制作の3DCGアニメーションで、音楽・撮影・編集はギンツ・ジルバロディス監督一人でてがけた低予算インディペンデント映画。とのこと。

原題はラトビア語の『Straume』で、意味は流れとか河とか流水。英語のstreamにあたる。とのこと。

 

監督 ギンツ・ジルバロディス

脚本 ギンツ・ジルバロディスマティス・カジャ

 

人間がいなくなった街。ひとりぼっちで散歩して帰る一匹の黒猫。窓ガラスの割れた住み慣れた家にはもちろん飼い主はいない。彫刻家だったのか、庭にも遠くにも猫の木彫が置かれてある。

鹿の群れが大急ぎで移動を始める。次の瞬間には大量の水が押し寄せてくる。洪水だ。どうやら大小の洪水が村、街、この土地を何度かに渡り襲っているようだ。猫は避難を始める。その避難する中で、犬の群れと出会い、その中のゴールデンレトリバーと仲良くなり、ボートに乗ったカピバラと出会い生きる逞しさを学び、空腹なところ助けてくれたヘビクイワシと出会い種族を超えた絆を得て、宝物を集めるキツネザルと出会い遊び相手となり、大きなクジラと出会い命拾いをし、共にだんだんと増水し浸水していく中を生き抜く。

しかしその中では、やはり結局種族の違う動物同士なことから小競り合いがあったり、不幸なことも起こったりと厳しい現実もある。

自然の偉大さ、動物の本能の強さ、観てる私たち人間の情感、地球に生きる上でのお約束事を示されてるような気がする作品だった。

言語は使われておらず、動物たちの行動、表情から読み取る、観てる私たちの経験値が生きる形の作品だった。

 

 

背景が素晴らしいだけに、動物たちの3DCGが粗末で、最初は違和感があったけど、これがディズニーのようなぬるりとしたCGだったら感動が半減したかもしれないと、物語が後半にさしかかるにつれ思えてきた。このちょっと足りない感じが逆にリアルであり、かつ、ファンタジーでもある、絶妙なバランスに思えてきた。

例えば、ヘビクイワシが黒猫を助けるために仲間と戦う場面がある。結果、羽をへし折られて仲間から外される。鳥の群れではケンカはあることだろうけど、原因が他種族の命をかけたものであるとは考えにくい。ここだけは人間の願望、感情が入っていたと思う。粗末なCGは、それをふんわり隠す一端にもなっていたんじゃないかと思えた。

 

 

ラスト、水は引くのだけど鹿の群れがまた移動を始める。エンディングロールの後にはクジラが大海原でまた元気よく泳いでいたので、洪水は繰り返し、その度に水の量が増えてるのではないだろうか。だから、泳ぐクジラは干上がった陸に横たえていたあのクジラではなく、別のクジラかもしれないし、猫始め、カピバラやキツネザルたち、犬の群れもそのエンディングロール後の世界にはいないかもしれない。

限りある命と自然の力の対比に複雑な思いになったのは、私が生きたいと思ってるからだなぁと感じた。

 

とても良かった。

 

クジラは図鑑にあるようなクジラではなく、その形は創造させたクジラ。犬のゴールデンレトリバーというのも、毛量からはラブラドールかもしれないが、その性格からレトリバーぽいなと判断した。犬の群れは、私の貧困な知識量からだと、たぶん、柴犬、イタリアン・グレーハウンド、シェパード、マスティフではないかと。あと、主人公となる猫は、グレーにも見えるが、濃さで判断、黒猫とした。

 

★★★★★

 

 

公式サイト

 

 

 

 

 

 

『恋は真っ赤に燃えて』(製作2023/公開2024)

ndjc(New Directions in Japanese Cinema)

文化庁委託事業・若手映画作家育成プロジェクトの作品

 

監督・脚本 西口洸

 

多少のからかいにはあうものの、思春期真っ只中のアフリカ系ハーフの田中イチロー(トロツキー・マックレンドン)は、ある日の体育の授業中にボールが当たって鼻血を出してしまう。それを親身になって気遣ってくれたクラスメイトのゆい(中島瑠菜)に、ぞっこんになってしまう。もとより、気にはなっていた存在だった。そんなおり、白人のハーフマイケル中也(髙橋翔)が転校してきて、クラスの注目を集める。イチローと違って英語もしゃべれるバイリンガルだし、イケメンで、イチローのようにからかいの対象にはならない。しかも、思い切ってゆいに告白をしたイチローだったが、ゆいはマイケルが好きだと交際を断る。悔しくてイチローはマイケルにケンカを挑むが、そこは青春、逆に仲良くなり、もとからイチローと親しかった治(田中智也)と三人でいることが多くなる。そこで実は治はイチローを好いている、想いの叶わぬ恋をしてることが判明したり、イチローに遠慮していたマイケルはゆいの想いを受け止めることにするが…。

 

同性愛(ゲイ)もごくナチュラルに絡め、無意識の差別と対峙して何人であろうと(肌の色が黒、白、黄色と揃ってる)居たいところに居る、というメッセージが良かった。

けれど、わざとなのかなんなのか、役者が下手くそでせっかくのコメディベースなのにギャグは寒さだけしか感ぜず…。演出でもっとなんとかなっただろうに。それともあれが正解なのか?

板尾創路と中島瑠菜は良かった。板尾創路の役は雄三という銭湯でよく合うフラットな考えを持つおじさん。

 

音楽 川崎正貴

制作 Lat-Lon(ラトロン)

 

★★

 

 

 


 

 

『勝手口の少女』(製作2023/公開2024)

ndjc(New Directions in Japanese Cinema)

文化庁委託事業・若手映画作家育成プロジェクトの作品

 

監督・脚本 山本十雄馬(やまもととうま)

 

中学生の謙一(斎藤汰鷹)は母親博子(黒沢あすか)から虐待を受けている。謙一の目つきを嫌っている。この日も成績が落ちたことをなじられ、スマホを壊される。謙一は博子を階下へと突き落としてしまう。

一命はとりとめたものの意識は戻らないまま入院となった。ある日の夜、鈴の音が聞こえ外を見ると、一人の女性がボストンバッグを持って敷地を出て行っていた。翌日の夜には勝手口から泣き声が聞こえ、確かめに行ってみるとセーラー服の少女(石田莉子)が膝を抱えて泣いていた。次の瞬間、居間の灯りがついたかと思うと、父親(山田浩市)に皿を投げつけられるなど虐待を受けてる少女がいた…その名を博子と言った。病床に眠る母親の額を見ると、少女と同じ場所に傷があった。少女は母親だった。

母親も虐待を受けて育ち、たったひとりの友達猫のみぃちゃんも父親に殺められていた。その猫の鈴の音が博子の宝だった。

母親の命と、母親への憎しみと、博子への同情とが入り混じる謙一が描かれる…。

 

一歩間違えれば人生を終わらせる犯罪にも発展する、虐待の連鎖を描きつつも、病床の母親もまた謙一と同じ夢を見ていたというファンタジー仕立て。

博子より謙一の方が辛いであろう設定。友達のみぃちゃんがいて、家を出さえすればとわずかな希望を持てる博子の方が少しマシ。でも、出たところで、結局父親のところ(実家)に戻ってきているという現実は辛い。それだけ虐待は尾を引くということか。

謙一の目つきが嫌いなのは、父親と似ていたからだと言う博子だが、最後は好きだと言う。複雑だ。

 

音楽 後藤沙希乃

制作 東映東京撮影所

 

★★★(★)

 

 

 


 

 

『光はどこにある』(製作2023/公開2024)

ndjc(New Directions in Japanese Cinema)

文化庁委託事業・若手映画作家育成プロジェクトの作品

 

監督・脚本 野田麗美

 

田辺灯里(円井わん)は有能な看護師で、下に付く新人朝倉(東龍之介)を教育中。朝倉は見落としもあれば患者の一つ一つに悩み意気消沈もする。淡々と仕事をこなしているふうに見えても灯里だってずっとみてきた患者が亡くなれば心を痛める。

ある日緊急で運ばれてきた末期の膵臓癌患者山野佳子(鷲尾真知子)。多忙を理由に見舞いを避ける娘果穂(霧島れいか)に、最期の時が近づいている、後悔しないよう助言する。実は、佳子の夫をみたのは灯里だった。忙しさで気も回らない新人の頃だった。その時の後悔がずっと心にあった…。

 

医療従事者によく問われることだが、人の死に慣れるなんてないのだということだろう。そりゃそうだろう。特に新人の頃や、ベテランとなっても、ちょっとした見落としが大事に至り忘れられない悔恨になるだもんだろうと思う。そんな誰にも言えない言いたくない過去を抱えてもなお看護師をまっとうしている姿を描いてて、ジーンとくる。円井わんがまたいい表情をする。

口の悪い患者島田(綾田俊樹)が亡くなるのもいいエピソードで、島田は身寄りのない生活保護受給者だったというのもまたなんとも…くるものがあった。また、医者(山﨑潤)の立場も描かれていたし、朝倉に感謝している元患者(はっしーはっぴー)が現れるなど、短い作品なのに、言いたいことがしっかり言えてる良作と思った。光はそこかしこにあることもわかったし。

良かった。

 

音楽 コトリンゴ

制作 RIKIプロジェクト

 

★★★★