『AREA』(2021)
伊藤主税 (いとうちから)、阿部進之介、山田孝之が立ち上げたプロアマ、クリエイターの垣根を超えた短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」で、選考漏れになったものの中から拾い上げられたものを集めた「MIRRORLIAR FILMS plus」の一作品。
監督・脚本 関翼
ネットで知り合ったスバル(吉田樹)とカオリ(河合優実)。スバルは長く引きこもりを続けており、カオリは家族を亡くしており、自殺を目的に二人は実際に会い、カオリの希望で故郷の岩手の灯台を目指す。
久しぶりに外に出たスバルは、他人と話すのももちろん久しぶりで、しかも相手は女性で、緊張が伺える。岩手までの道のり、スバルの心に変化が見え始める。おそらくカオリに好感を持ち始めてる。人を意識することは「生」を意味する。死ぬつもりだったけれど、生きたいと感じ始めてる。でも、カオリは揺るがない。スバルとの会話の主導権はカオリが取っていたが、心は開いていなかった。少しも。カオリの日常には人が存在していたのだろう。スバルの存在は何か記号のような、その他大勢と大差ない、ただ死ぬことだけが共通してるだけで、足止めになるようなものではなかった。と、いうふうに感じた。
カオリは一人で飛び降りるのだけど、この後スバルはどうするんだろうと怖くなった。まあ、おそらく生きる。でもその前に警察なり何なりに連絡しなければならない。そうすると自殺幇助の罪になるんじゃないだろうか。そこからスバルのこれまでと違う次の人生が始まる。たぶん連絡を入れ、取り調べを受け、何らかの罰があり、そしてこの日の出来事を抱えてずっと生きていくのだ。キツいけど、スバルは死なないし、もともと死なない。と、そう思えた。
こういうあまり多くを語らない映像作品は視聴側の経験則が乗っかるので面白い。私とは違うふうに思った人もたくさんいるだろうし、制作した関翼さんの意図したこととも違うかもしれない。
なかなか良かった。
衣装を河合優実と友人関係にもある女優見上愛が担当したとのこと。身上がよくわかるとても良い衣装だったと思う。
★★★(★)
