今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025)

原作は福徳秀介(ジャルジャル)の小説。

 

監督・脚本 大九明子(『私をくいとめて』『ウェディング・ハイ』他)

 

萩原利久、河合優実、伊東蒼、黒崎煌代(くろさきこうだい)、安斎肇、松本穂香、古田新太、浅香航大、他。

 

大学の敷地内に入ると日傘をさして人の目を避ける、他との交流を断つまったく冴えない男小西徹(萩原利久)。それでも学内には方言がきつく独特のファッションセンスの友人山根(黒崎煌代)がいるし、バイト先の銭湯には学生バンドをやっているバイト仲間さっちゃん(伊東蒼)がいて、そこでは普通に面白おかしく会話を楽しんでいる。

そんな小西は大好きな祖母が亡くなり落ち込み、半年大学を休んでいた。ようやく復帰してすぐに、周りの目を気にすることもなく群れることもなく単独で行動する桜田花(河合優実)に目が止まる。偶然も重なり、言葉を交わせば共通点も多く、たった一日で距離が縮まる。殊に、桜田の言った「毎日楽しいと思いたい」「今日の空が一番好きと思いたい」という言葉は、祖母の言っていたことと同じだっただけに。

小西は日傘をやめ、桜田と一緒にいることが楽しくなってきた。そんなある日、小西に想いを寄せていたさっちゃんは、いち早く小西の変化に気づき、想いを告げる。どうにも応えられずにその日を終えた翌日は、待ち合わせ時刻に桜田が現れず、以降、会えなくなる。気にしないでと言っていたさっちゃんもずっとバイトを休んでいる。変に勘ぐり投げやりになった小西はまた日傘をさす日常に戻ってしまう。

そうこうして一月半が過ぎた頃、銭湯のオーナー佐々木(古田新太)からさっちゃんが亡くなったことを聞かされる…。

 

これ以上はネタバレしちゃうんで、しかもとても大切な展開と言葉遊び、良い台詞回し、小道具(小ネタ)、映像表現の宝庫だったりするんで、あとは観て感じて欲しい。ってぐらい、とても良い作品だった。よくよく見てみれば原作がジャルジャルの福徳秀介。著書は読んだことないけど、ジャルジャルのコントは好きで、この作品にも「ああ、なるほど、言語化うまいな」「キャラクター作りうまいな」という感想を持った。

 

二十歳前後の大学生生活で外れている子たちが主人公。学校に通い始めてから誰のどのクラスにも1〜3人くらいはいたであろう、その他大勢の中に入らない感覚(感性か性質か?)を持ってる子。すぐに「こういう子いたな」と思い当たる。そういう子が主人公。

その当時は関わっても面白くないし合わないからと避けたり、寄らず触らずだった人、多いのでは? それが悪いわけではなく、そういう子がいたでしょう? という事実の記憶の確認。そんな子でも自分らと何ら変わらず他人と交わり関係を築き確実に社会に生きているのだと思い知る。それが喫茶店のマスター(安斎肇)でなお感じ取れる。人間って面白いなと思える。

 

この作品では、人との関わり合い方の違い、人の死がどれだけ周りを悲しませるものか、もっと大きく言うと、真摯に向き合う人生の歩み方についてが描かれていると思う。

 

とても良かった。

 

役者もいい。萩原利久はキャラクターにぴったりだし、河合優実は本当にカメレオンのような女優さんで今後も期待できる。伊東蒼もうまい。

 

そういえば喫茶店のマスターに安斎肇とはセンスがあるし、さっちゃん(幼少期)の父親浅香航大、銭湯の娘夏歩松本穂香…これが赤ん坊を産むのだが…、なるほどそのくらいの役もする歳か、と(^_^;)…。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

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