抗HER2薬の臨床試験結果3 MARIANNE(再発転移カドサイラ) | HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

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HER2タイプ乳癌のこと、治療のことなどを書き残しておこうと思います。温かい目で見守っていただければ、幸いです。アメンバー申請、コメント、メッセージ、リブログについては、「はじめに(私のスタンス)」テーマ内の記事をご一読下さい。

2015年2月~3月頃に調べたメモ

術前化学療法後の病理検査結果が芳しく
なかったために、
術前に効いたと体感したFECの2回追加
を希望し、
     ダウン
     がん研有明
     ダウン
     聖路加
     ダウン

のセカンドオピニオンを受けたことは、
既に書きました。

FECの追加に諦めがつき(諦めをつけ)

術前・術後の補助化学療法では、
バージェタの追加、カドサイラへの変更は
できないこともはっきりしました。
(残念ですが、諦めざるを得ず、、、)

がんセンターのセカンドオピニオンを
受けて教えていただいた後で調べた、
臨床試験結果の詳細内容も、
当時、調べたメモが残っていますので、
書いておきます。

(因みに、私は、再発率や再発転移後の
 生存期間を参考にするために調べました。
 まだ中1~2の娘がいるし、
 仕事もしているので、 終活の都合もあり。
 勿論、西洋医学以外も駆使して延命の
 努力はしますが、
 病の客観的事実認識も必要かと。
 リケジョのサガ?)

※印は、私が当ブログ読者向けに解説として
  あるいは感想を記入した文章です。

MARIANNE試験

未治療(一次治療)の
  HER2陽性進行乳癌患者 
    1.095名

カドサイラ+パージェタ
     vs
    カドサイラ単独
     vs
    ハーセプチン+ドセまたはパクリ

    ※カドサイラというのは、
     ハーセプチン(HER2蛋白発現を目印に
     して、増殖の餌を取る手を縛って兵糧責め
     にするような薬)に、
     癌細胞を攻撃して死滅させる抗がん剤を
     くっ付けた抗がん剤。
     増殖の速い細胞を無差別に攻撃する
     タキサン(ドセ/パクリ)より、
     HER2発現細胞を狙って攻撃できる
     ので、副作用が軽微と想定されている。
      
・主要評価項目
        PFS(無増悪生存期間)
        OS(全生存期間)
        奏効率および安全性

▼結果
2014年12月22日 中外製薬ニュースリリース
 (2014年12月19日 ロシュ社 プレスリリース)

・3つのレジメン間で、PFSは類似して
   おり、非劣勢評価項目を達成した。

   ※レジメンとは、抗がん剤を組み合わせた
      セット。
      非劣勢とは、同等、ということ。

・本試験では、
   カドサイラを含むレジメン
    PFSの優越性評価項目は
   達成できず

    ※ドセに比べて、PFSは変わらなかった
      パージェタ足しても、ということ。
      じゃあ、CLEOPATRAの結果から、
     ドセ+ハーセプチンにパージェタ足した
      方がいいじゃん、ということ。
     (あくまで、この臨床試験結果では)

    ドセの効きが悪かったと思う私にとって、
    本当に残念に思う結果でした。

    ロシュ社が、KAITLIN(術前・術後の
    カドサイラ+パージェタの臨床試験)
    を急いだ理由が分かりましたね。

    予想外の悪い結果に、リベンジのため、
    そして、この結果が出ると被験患者が
    減るだろうから、
    APHINIITYの結果を待たずに、
    開始したんでしょうね、、。

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この記事だけお読みになる方が
誤解をするといけないので
念のため補記します。

カドサイラにパージェタを同時に追加しても
結果を出せなかった、というだけであり、

カドサイラそのものは、
2014年当時でも、転移性乳癌(ステージ4)
のセカンドラインとして
認可されていました。

私が、まだ使えずに悔しい思いをした

▼術前化学療法のパージェタは
  欧米から約5年のドラッグラグを経て
  術後補助化学療法(こちらはドラッグラグは
  約1年、劇的に短縮した)とともに、
  昨年(2018年)、認可されました。


 トリネガ向けアテゾリズマブ(テセントリク)
  は、手術不能な局所進行(ステージ3B、3C)
  も臨床試験対象に含まれ、認可されました
  私の5年前の残念だった思いは
  昇華しました。
  (私が今から再発転移リスク軽減のために
   使えるわけじゃないですが、
   同病、同ステージの後輩患者さんたちの
   ために、そして医療の進歩が喜ばしく
   嬉しく感じています。)


因みに

▼私が初期治療(術前化学療法)をした
   2014年当時でも、
   転移性乳癌(ステージ4)には
   パージェタは認可されていました。

▼ステージ4でも寛解(根治かもしれない)例
   が出始めていることは、
   その後発信した記事で、
   折に触れて挟んできました。

▼2019/9月のESMOでは、国内での
   同様試験COMACHでも有効性が再確認
   されたことが発表されました。



CLEOPATRA、COMACH、APHINITY、
そして、この記事のMARIANNEなどの
臨床試験結果から

▼HER2陽性では、

ステージ3(まで)
・術前化学療法
    アンスラサイクリンおよび
    ドセタキセル+ハーセプチン+パージェタ
    ⇒術後補助療法
        ハーセプチン+パージェタ

ステージ4
・1stライン
    ドセタキセル(6回まで)
     +ハーセプチン+パージェタ

が現在のゴールドスタンダード
となっており、

ステージ4
・2ndライン カドサイラ

がスタンダードとなつています。

さらに、

▼pCRしたら予後がよいかどうか
   議論の分かれていた点は、
   やはり、5年近く前の私の推測通り、
    (私はサブタイプ別に臨床試験結果や論文を
     見ていたから。特に自分の関係する
     HER2陽性またはホルモン陰性を見て
     推測していましたから…)
   HER2陽性やトリネガでは、
   pCRすれば予後がよい、
   とのメタ解析結果が
   2018年12月のサンアントニオで発表され
   ています。


▼そして、2014年当時、
  日本は臨床試験に参加しておらず、
  私が悔しい思いをした、
  KATHERINE(術前化学療法でpCRしなかった
  患者の術後療法にカドサイラを追加する)
  の臨床試験中間解析結果が出て、
  2018年12月のサンアントニオで発表され


▼2019年3月のザンクトガレンで
    HER2、トリネガは術前化学療法が
    より推奨され、
    pCRしなかった場合、
    HER2陽性の場合はカドサイラ
   トリネガの場合はゼローダの追加が
    (患者集団では)予後を改善する
    臨床試験結果に基づき、推奨される流れ
    になっています。


▼日本でも、8/30に中外さんが
    薬事承認の申請をして下さっています。


といった流れで、

ステージ3(まで)の
術前化学療法でpCRしなかった患者は
術後補助療法にカドサイラを追加する
方向に大きく動いており、

私の5年前の残念だった思いは
昇華しつつあります。
 (私が今から再発転移リスク軽減のために
  使えるわけじゃないですが、
  同病、同ステージの後輩患者さんたちの
  ために、そして医療の進歩が喜ばしく
  嬉しく感じています。)

全員(ないし、ほとんどの)乳癌患者を
治せる治療は、
残念ながら、まだありません。
だから、医学界、医薬界が研究を進めて
下さっていて、
臨床試験の結果が出ると、
それを反映して
標準ガイドラインも進化するし、
新薬は保険診療として認可されていきます。

※私は中外製薬の回し者ではありませんが
   HER2タイプ
   (トリネガ再発転移の可能性あり)
   乳癌罹患者としてハーセプチンの
   恩恵にあずかり、
   パージェタ、アテゾリズマブを
   次々開発し、治療を受けられるよう
   認可申請、認可にこぎつけて下さった
   ロシュ/中外製薬さんに感謝し、
   今後の研究開発にも期待しています。

   DS-8201(カドサイラと同様、ハーセプチン
   のバイオシミラーに殺細胞性抗がん剤を
   くっつけた抗体薬物複合体ADC)
   の第一三共さんにも期待しています。
   
(2019/11/2 紫字追記)