術後抗がん剤追加の是非 セカンドオピニオン2(FEC対AC、ハーセプチンなど) | HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

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HER2タイプ乳癌のこと、治療のことなどを書き残しておこうと思います。温かい目で見守っていただければ、幸いです。アメンバー申請、コメント、メッセージ、リブログについては、「はじめに(私のスタンス)」テーマ内の記事をご一読下さい。

2015年2月21日(土)
聖路加のセカンドオピニオン

一週間前までに、診療情報を提供するよう、
提供する内容の細かい指定もいただき、
提示しました。

病院受付には、外国人の患者さんも何人も
いて、案内や掲示物も英語併記で、
何だかホテルっぽい雰囲気。
国際病院だけありますね。

院内にチャペルもあるし、ホスピスもあるし、
いいなぁ、と、、。

セカンドオピニオンを待つ間、
リビングウィルや終末期医療に関する
問診票(すごく、たくさんの質問)に
記入しました。

文化的には、私の感覚に合ってそうな
病院だなぁ、と感じました。

セカンドオピニオンに対応して下さった
先生は、主治医T先生と似た感じで、

加えて、餅は餅屋(腫瘍内科)の説得力で、
私の聞きたいことに、臨床経験を踏まえた
先生の感覚も含め、端的に即答して下さり、

この先生のセカンドオピニオンで、
私は、それなりにすっきり、
FECの追加は諦めることが
できました。

今振り返れば、副作用リスクも高く、
かなり無謀だったと思いますので
(3年間再発転移しなかった結果から、
 余計、そう思えるのだろうとは思いますが )
感謝しております。

■FEC2回追加の是非

診療室に入ると、まだ、座る前に、
開口一番、

・結論から言うと、ご希望(FEC2回追加)
   には、沿えない。

  (申し訳ありません、と、頭を下げられて
   しまいました。
   結論だけでなく、自分の納得性のために
   セカンドオピニオンを入れた旨、
   申し上げました)

■FECを追加できない理由
    副作用の怖さと、
    現時点での必要性の乏しさ

・昨年(2014年)12月に、
  「FEC6回とAC4回で
   効果が変わらなかった、
   死亡者はAC4回:1~2名に対し、
   FEC6回:数名と多かった、
    副作用(感染症、だるさ、血球減少など)   
    が、FEC6回の方が多かった。
   という、臨床試験結果の報告あり。
   (サンアントニオ)

▼効果

Q:効果測定の指標は何ですか?
A:再発率。

Q:
  ステージやタイプの混在した試験で
  効果を正しく測れるか、疑問に思うの
  ですが。

A:
  100人を50人、50人に割ったレベルの
  試験であれば、指摘はもっともだが、
  この試験は2700人規模の試験であり
  乳癌の場合、
 9割の患者に効果があるので
  タイプの差も、影響のない誤差とみなして
  よいだろう。

Q:
  FECやAC(アンスラサイクリン)
   は9割に効くのですか?

A:
  効果の大小はあるが、9割に効く
  ほとんどの患者さんが効いたと思っている。
  そのくらい効かなきゃ、副作用で辛い治療が
  術前療法として成り立たないでしょ。
 トリプルネガティブで効かない人がいる。
 そういう人は、抗がん剤を中止して、
  手術に切り換える。

Q:
  トリプルネガティブにはよく効くと、
   読んだ記憶があるが。

A:
  トリプルネガティブは全く効かないか、
  すごくよく効くか両極。

  (後でセカンドオピニオン記録を渡して
   読んだ主治医T先生も同感だと言って
   いました)
 
Q:
  FEC6回とFEC4回での比較試験は
  ないのでしょうか?

A:
  ない。
 AC6回とAC4回の比較試験は
  ある。効果は変わらなかった。
  この試験も3800人集めて試験している。
   (2002ー2010年)
 その結果を受けて、
 AC6回、FEC6回をやる
 病院は、ほぼなくなった。


▼FEC対AC

Q:
  FEC6回とAC4回で効果が変わらない
  ということは、FEC4回とAC4回では
  AC4回の方がよくて、FECじゃなく
  ACをやっておけばよかった、という
  ことでしょうか?

A:
  否。FECもACも変わらない。
  FECはヨーロッパ開発、ACは米国開発
  という違いなだけで、
 FEC4回とAC4回の
 効果は同と思ってよい。
  副作用はFECの方が若干多い。
  日本では、病院によって好き好きで、
  どちらも使う。

Q:
  聖路加ではFECとACとどちらを
  使っているのですか?

A:
  聖路加は多彩な医師の集まりなので、
  どちらを使う医師もいる。

 効果が同等で薬価が安いし、
 投与時間も短くて済むので、
 僕はACを勧める。
 日本人は、薬価が高い方が効くのでは
  ないかと思う人が多くて、薬価の話は
  セールストークにならないから、
  しないことにしてますがウインク

  患者さんも、外で色々聞いてきて、
 FECがいいという人もいるので、
  どちらでも対応しますが、
 術前・術後の補助療法で、
 FEC6回はやらない、
 やったことがない。
   聖路加は他院からの
 転院者も多いが、
 FEC6回やったことの
 ある人に会ったことはない。

Q:
  M病院でもACを勧めてくれれば
  よかったのに。

A:
FECの方が効果が大きいと
  期待されていたから。
  期待されていたほどの
 効果が出なかった
  という結果が、昨年(2014年)12月に出た、
  ということなので。

Q:
  5-FUが、高い割に効果がなかった、
  というのことですか?

A:
  薬価については、否。5-FUは安い。
  薬価の違いは、E(エピルビシン)と
  A(アドリアマイシン)の差。

  5-FUの効果が出なかった
  ことについては
 FECとEC比較試験で、
 効果が 変わらない
  という結果が出ている。


▼副作用

アンスラサイクリンの
   心毒性は蓄積されて
   抗がん剤を休止しても
   戻らない。

・副作用の発生率は投与量の比例ではなく、
   4回では0.5~1%弱なのが、8回では5%
   10倍近い。
    日常診療で、200人に1人であれば、
    偶々そういう人もいた、と、気付かない
    レベルだが、
    20人に1人となると、医者として
    怖くて使えないレベル。
    白血病の発生もある。

・8回までの何回かで、ということになるが
 副作用が怖い上に、
 あれだけはっきり、
 効果が変わらないという
 エビデンスが出てしまったら
 FECを追加することは
 できない。
 普通の医師は、まずしない、
 できないだろう

▼必要性の乏しさ

Q:
  私の場合、 FECでは顕著に腫瘍が縮小し
  FECを追加すれば、転移リスク軽減の
  効果は出る可能性が高いと思うのですが。

A:
  今、縮小させればメリットがある腫瘍が
  あって、効果が期待できるなら、
  検討の余地がある。

  実際、転移後の患者さんの場合
  勿論、患者さんの了解のもと、
  積算投与量が制限を超えても使った
  ことはある

  が、今、何も身体上の問題が
 ない状態の術後補助療法で
 副作用のリスクを冒して
 まで追加することは
 考えられない


■他の抗がん剤追加の是非
   ハーセプチンに他の抗がん剤を追加
   できないか?

Q:
  私の場合、ハーセプチン+ドセで
  腫瘍があまり縮小せず、
  効いていない感じがしたので
  ハーセプチンの残り14回に加えて、
  抗がん剤を追加するなどの代替索は
  ないでしょうか? 

A:
  画像を見たが、1.2cmまで縮小している。
  かなり効いていると思う

Q:
  私もMRI画像では劇的に小さくなって
  いてFECがかなり効いたと思っていたの
  ですが、術後の病理検査結果の効果判定は
   1b、やや有効ということでした。
  やらないよりは、やった方が、少しは
  よかった、というレベルですか?

A:
  病理検査結果の区切りは、特にGrade1は
  幅が広すぎるから、あまり気にしなくて
  いい。3(完全奏効)ではなかったけれど、
  かなり効いている。
 特にリンパ節転移がpCR
 しているのは大きい。
 胸骨傍リンパ節も消えた
 可能性も高い。
 その上で放射線照射も
 しているから、
 期待してよいと思う。

Q:
  リンパ節の個数4個と異常に少ない、
  のですが、抗がん剤で元の組織も
  なくなるのでしょうか?

A:
  ・・・

  (この質問だけ、先生は答えに詰まって
   いました。
   がん研有明の先生のイキイキ回答
   ~抗がん剤のことから一転、表情も
       変わってイキイキ回答してくれた~
   と考え合わせると、外科マターなのか⁉
   と思い、次の質問に移りました)

Q:
  毎回主治医にエコー測定してもらった
  のですが、
  FECで腫瘍は5.5cm強➡3cm弱まで、
  順調に小さくなったのですが、
  ハーセプチン+ドセで腫瘍はほとんど
  小さくならなかった、
  あまり効いていなかったと思うのですが。

A:
  1cm程度までになると、効いていても
  感覚的によく分からないことが多い。
  効いていなかったことはないと思う。
 元の勢いから考えれば、
 本当に効いていなかったら、
 リンパ節転移がpCRせずに
 また大きくなった可能性
 もあるし、
 原発腫瘍も大きくなった
 可能性もある。


▼ハーセプチンの効果

Q:
  ハーセプチンが画期的によく効くと
  聞いて期待していたのですが、
  それほど効かなかった感じですが。

A:
  よく効くと言っても、
  ハーセプチン単剤の奏効率は、

  (その場で1件、臨床試験結果を検索して
   下さいました。その奏効率は16%。)

    先生と一緒に画面を覗いていた私に、
    先生、いきなり英文のまま説明しかける、
    私もアメリカ?(西洋)の感覚の方が
    合っている人間ではありますが、なので
    娘にフランス人やオーストラリア人
    シッターさんをお願いしてた時期も
    ありますが、
    テクニカルターム入りの英文、
    先生と同じ速度では読めませんキョロキョロ
    私の反応が遅いことに、ふと気付かれた
    先生、日本語に訳して下さいました。
   
   16%は少し低い気がする。
   20~25%、4人に1人
   といったところ。
   ハーセプチンがよく効く、というのは、
   製薬会社の宣伝も大きい。
   あくまで、いくつかの薬剤のうちの1つ。
   ACとかFECといった抗がん剤を、
   数十年、変わり映えなく使い続けている
   中で、久々に効果のある薬剤
   が出た、という意味で、画期的ではある。
 ハーセプチンが出る前の
 HER2タイプ
 予後の悪さが、
 大きく改善された
  という意味でも、画期的ではある。

Q:
  ハーセプチンがあまり効いている感じが
  しなかったのですが、14回することに
  意味はあるでしょうか?
  (少しでも効いていたかもしれないので、
   出来るだけのことはしておきたい、
   という気持ちから、することに異議が
   あるわけではなかったのですが、
   念のため、見解を確認)

A:
 勿論、やった方がいい。
 効かなかったと
 言い切れないでしょ。
 効いていると思う。
 抗がん剤をやめるのは、
 腫瘍が大きくなった時。

  ハーセプチンは、
 1年と2年で効果が変わらなかった、
  半年と1年では効果に差があった、
  という臨床研究から、
 1年やりましょう
  ということになっている。

Q:
  ハーセプチンの副作用、心毒性は、
 14回、再発したらずっとやり続けて
  問題ないものでしょうか?

A:
 ハーセプチンの副作用は、
 ほとんど最初に出る。
 初回に出なければ、
 ほぼ大丈夫。

 ハーセプチンの心毒性は、
  アンスラサイクリンと違って、
  投薬を休止すれば回復する。

  再発転移の患者さんで、しばらく休止して
  また使う、という風に、
  騙し騙し使っている患者さんもいる。

▼ハーセプチンに他剤を追加できないか

Q:
  ハーセプチン単独よりは抗がん剤と
  合わせて使った方が奏効率が高い
  ハーセプチン+パクリタキセルの
  臨床試験結果は、奏効率67%だったと
  記憶してます。
  ハーセプチンに加えて、抗がん剤を
  組み合わせることはできませんか?

A:
  臨床試験でやっているものはあるが、
  確か募集は終わっている。
  結果が期待通りでなかった臨床試験結果は
  見向きもされないが、たくさんある。
  期待通りの結果が出るのは、いくつかの
  うちの一部だけ。
  FECが10年経って期待されたほど
  効果が出なかったと分かったように、
 10年経って効果がなかったと
  分かることも多い。
  あまり、お勧めしない。

■私の病状、転移の可能性の見立て

Q:
  今の状態で、転移の確率はどの程度と
  見るか?

A:
  6~7割
  転移しない可能性も十分
 出て来たと思って いいんじゃない。
  ここまで治療が効いて
 転移しない可能性も
 高くなったんだから、
 医療者としては、
 もっと喜んで欲しいと
 思っている思うなぁ。

   (6~7割という数字を、さらっ、きぱっ
    と言われて、そうか、転移しない可能性も
    十分あるのかと、妙に納得してしまえる、
    いいキャラの先生でした)

Q:
  (聖路加の再発転移治療と緩和ケアに
   ついて質問)

A:
 そんなにネガティブに
 ならなくても、
 転移しない可能性も
 十分あると思う。
  最期のことを考えるのは大切なことだけど
  病院の体制や仕組みも変わるだろうから、
  今、あまり考えなくてもよいのでは?

Q:
  HER2タイプは1年内とか、早い
  タイミングで転移する可能性も高い
  転移後も足が速いと言われているので、
  最期のことも考えて準備しておかねば、
  と思いまして。
  転移するとして、転移後の生存期間を
  どの程度とみますか?

A:
  最近、HER2タイプの再発転移患者を
  集めた臨床試験で、患者を集めにくく
  なっている、
 確実に再発転移患者が
 減っているように思う。
 我々が、術前・術後の治療を
 しっかりやるよう
 頑張っているから、
 生存期間も、確実に長く
  なっている。

最後に、ドアまで送って下さった先生、
  お役に立てず、申し訳ありません。
  逆(FECを6コースもやりたくない、
  という相談)だったら、お役に立てたの
  ですが。
と、頭を下げて下さいました。

予想外の出来事に、こんなお医者様も
いらっしゃるんだなぁ、と感動するやら、
恐縮するやら。心から、
    いえいえ、とんでもないです。
    納得のいく
   分かりやすいご説明を
   いただき
   すっきりしました
   ありがとうございました!!
    再発転移したら、また、お願いするかも
    しれませんが、その際は、
    よろしくお願いいたします。
と申し上げました。

先生、名札を指し、再度、お名前を
名乗って下さいました。
(大丈夫です、最初に覚えましたから照れ)

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