術前化学療法後の病理検査結果が芳しく
なかったために、
術前に効いたと体感したFECの2回追加
を希望し、
聖路加、
のセカンドオピニオンを受けたことは、
既に書きました。
FECの追加に諦めがつき(諦めをつけ)、
術前・術後の補助化学療法では、
バージェタの追加、カドサイラへの変更は
できないこともはっきりしました。
(残念ですが、諦めざるを得ず、、、)
がんセンターのセカンドオピニオンを
受けるにあたって調べた、
また、受けて教えていただいた後で
調べた、臨床試験結果の詳細内容も、
当時、調べたメモが残っていますので、
書いておきます。
(因みに、私は、再発率や再発転移後の
生存期間を参考にするために調べました。
まだ中1~2の娘がいるし、
仕事もしているので、 終活の都合もあり。
勿論、西洋医学以外も駆使して延命の
努力はしますが、
病の客観的事実認識も必要かと。
リケジョのサガ?)
以下は、第39回欧州臨床腫瘍学会
(2014年9月26~30日)で発表された
内容です。
※印は、私が当ブログ読者向けに解説として
あるいは感想を記入した文章です。
■CLEOPATRA試験
Clinical Evaluation Of Pertuzumab
And TRAstuzumab
・HER2陽性転移性乳癌患者
(ステージⅣの患者) 808例
・パージェタ+ハーセプチン+ドセ
(パージェタ群)
vs
プラセボ+ハーセプチン+ドセ
(プラセボ群)
※プラセボとは薬の振りした偽の薬もどき。
第3相のランダム化比較臨床試験は、
本物かプラセボか、
一方を患者に投与する、くじ引き試験。
・PFS(無増悪生存期間)中央値
パージェタ群:18.7ヶ月
プラセボ群:12.4ヶ月
※中央値とは、半分の人が到達する期間。
(癌も人間の身体も複雑で、特に転移性の
場合、そこに至るまで経過や治療経過も
様々でバラツキが大きいから、
単純な『平均値』ではない点は注意して
読み取って下さいね。)
無増悪とは、腫瘍が増大しないこと。
・OS(全生存期間)中央値
パージェタ群:56.5ヶ月
プラセボ群:40.8ヶ月
パージェタ群で15.7ヶ月の有意な延長。
5年に迫っている。
※乳癌の7割を占める、ホルモン陽性
(HER2陰性)の 穏やかな乳癌に
比べたら短い?と思うかもしれない
けれど、
ハーセプチンが出る前の、1~2年
に比べたら、
プラセボの3年半近くも画期的だし、
(ハーセプチンの力。
数値だけじゃなく、臨床現場の医師が
皆さん、口を揃えておっしゃる。)
+パージェタの5年近くは
一般の抗がん剤に比べたら超画期的。
・パージェタ群で多く発生した有害事象は
下痢、発疹、粘膜炎症など。
※副作用も、従来の抗がん剤の比でなく
軽い(怖い重篤な副作用が少ない)
・試験には、術前術後の補助療法後、
1年以上経て再発した人が5割、
ハーセプチンを含む治療から無病期間を
1年以上経て再発した人が10%含まれる。
※従来の抗がん剤では再発率5割、
ハーセプチンもすると1割、とも
読めなくもない。
(これは、私の勝手なる解釈。)
しかし、ハーセプチンが効いた感じが
しなかった私は、当時は、1割に入る
可能性も高いと、怖れました。
(今も、怖れています)
・ハーセプチンを含む治療後に再発した人
は、無治療で再発した人よりは、
効果が少し劣るものの、PFSは
無治療群 21.6ヶ月
ハーセプチン治療群 16.9ヶ月
バージェタを使うことによって
バージェタ群 16.9ヶ月
対照群 10.4ヶ月
と、増悪までの期間を延ばすことが
できた。
※再発転移前にハーセプチン治療を
して再発をした人も、半分の人は、
再発転移後もハーセプチン+ドセで
10ヶ月は維持ができて、
パージェタ+ハーセプチン+ドセで
1年半くらいは維持できる、
そんな感じの結果ですね。
(ドセが効いた感じがしなかったけれど、
増悪はしていなかったから、
まだまだ、捨てるには早いかも、
維持に使えるのかもしれない、、
副作用がほとんどなかったから、
試してみる価値はあるかも、と、
2017年の私は、そう考えたりもします。
主治医にぜ~んぜん違う、と言われる
かもですが)
この記事だけお読みになる方が
誤解をするといけないので
念のため補記します。
▼私が初期治療(術前化学療法)をした
2014年当時でも、
転移性乳癌(ステージ4)には
パージェタは認可されていました。
▼ステージ4でも寛解(根治かもしれない)例
が出始めていることは、
その後発信した記事で、
折に触れて挟んできました。
▼2019/9月のESMOでは、国内での
同様試験COMACHでも有効性が再確認
されたことが発表されました。
全員(ないし、ほとんどの)乳癌患者を
治せる治療は、
残念ながら、まだありません。
だから、医学界、医薬界が研究を進めて
下さっていて、
臨床試験の結果が出ると、
それを反映して
標準ガイドラインも進化するし、
新薬は保険診療として認可されていきます。
因みに、
私がまだ使えなくて悔しい思いをした
▼術前化学療法のパージェタは
欧米から約5年のドラッグラグを経て
術後補助化学療法(こちらはドラッグラグは
約1年、劇的に短縮した)とともに、
昨年、認可されました。
トリネガ向けアテゾリズマブ(テセントリク)
は、手術不能な局所進行(ステージ3B、3C)
も臨床試験対象に含まれ、認可されました。
私の5年前の残念だった思いは
昇華しました。
(私が今から再発転移リスク軽減のために
使えるわけじゃないですが、
同病、同ステージの後輩患者さんたちの
ために、そして医療の進歩が喜ばしく
嬉しく感じています。)
(2019/11/2 紫字追記)