抗HER2薬の臨床試験結果1 CLEOPATRA(再発転移パージェタ) | HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

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HER2タイプ乳癌のこと、治療のことなどを書き残しておこうと思います。温かい目で見守っていただければ、幸いです。アメンバー申請、コメント、メッセージ、リブログについては、「はじめに(私のスタンス)」テーマ内の記事をご一読下さい。

2015年2月~3月頃に調べたメモ

術前化学療法後の病理検査結果が芳しく
なかったために、
術前に効いたと体感したFECの2回追加
を希望し、
     ダウン
     がん研有明
     ダウン
     聖路加
     ダウン

のセカンドオピニオンを受けたことは、
既に書きました。

FECの追加に諦めがつき(諦めをつけ)

術前・術後の補助化学療法では、
バージェタの追加、カドサイラへの変更は
できないこともはっきりしました。
(残念ですが、諦めざるを得ず、、、)

がんセンターのセカンドオピニオンを
受けるにあたって調べた、
また、受けて教えていただいた後で
調べた、臨床試験結果の詳細内容も、
当時、調べたメモが残っていますので、
書いておきます。

(因みに、私は、再発率や再発転移後の
 生存期間を参考にするために調べました。
 まだ中1~2の娘がいるし、
 仕事もしているので、 終活の都合もあり。
 勿論、西洋医学以外も駆使して延命の
 努力はしますが、
 病の客観的事実認識も必要かと。
 リケジョのサガ?)

以下は、第39回欧州臨床腫瘍学会
(2014年9月26~30日)で発表された
内容です。
※印は、私が当ブログ読者向けに解説として
  あるいは感想を記入した文章です。

CLEOPATRA試験
   Clinical Evaluation Of Pertuzumab
   And TRAstuzumab

・HER2陽性転移性乳癌患者
    (ステージⅣの患者) 808例

パージェタ+ハーセプチン+ドセ
    (パージェタ群)
    vs
    プラセボ+ハーセプチン+ドセ
    (プラセボ群)

  ※プラセボとは薬の振りした偽の薬もどき。
     第3相のランダム化比較臨床試験は、
     本物かプラセボか、
     一方を患者に投与する、くじ引き試験。

PFS(無増悪生存期間)中央値
       パージェタ群:18.7ヶ月
       プラセボ群:12.4ヶ月

    ※中央値とは、半分の人が到達する期間
      (癌も人間の身体も複雑で、特に転移性の
       場合、そこに至るまで経過や治療経過も
       様々でバラツキが大きいから、
       単純な『平均値』ではない点は注意して
       読み取って下さいね。)
      無増悪とは、腫瘍が増大しないこと。

OS(全生存期間)中央値
       パージェタ群:56.5ヶ月
       プラセボ群:40.8ヶ月
    パージェタ群で15.7ヶ月の有意な延長。
    5年に迫っている

    ※乳癌の7割を占める、ホルモン陽性
      (HER2陰性)の 穏やかな乳癌に
      比べたら短い?と思うかもしれない
      けれど、
      ハーセプチンが出る前の、1~2年
      に比べたら、
      プラセボの3年半近くも画期的だし、
      (ハーセプチンの力。
       数値だけじゃなく、臨床現場の医師が
       皆さん、口を揃えておっしゃる。)
     +パージェタの5年近くは
      一般の抗がん剤に比べたら超画期的。
     
・パージェタ群で多く発生した有害事象は
   下痢、発疹、粘膜炎症など。

   ※副作用も、従来の抗がん剤の比でなく
     軽い(怖い重篤な副作用が少ない)

・試験には、術前術後の補助療法後、
   1年以上経て再発した人が5割、
   ハーセプチンを含む治療から無病期間を
   1年以上経て再発した人が10%含まれる。

   ※従来の抗がん剤では再発率5割、
     ハーセプチンもすると1割、とも
     読めなくもない。
     (これは、私の勝手なる解釈。)

    しかし、ハーセプチンが効いた感じが
    しなかった私は、当時は、1割に入る
    可能性も高いと、怖れました。
    (今も、怖れています)

ハーセプチンを含む治療後に再発した人
   は、無治療で再発した人よりは、
   効果が少し劣るものの、PFSは
       無治療群 21.6ヶ月
       ハーセプチン治療群 16.9ヶ月
   バージェタを使うことによって
       バージェタ群 16.9ヶ月
       対照群 10.4ヶ月
  と、増悪までの期間を延ばすことが
  できた。

  ※再発転移前にハーセプチン治療を
    して再発をした人も、半分の人は、
    再発転移後もハーセプチン+ドセで
    10ヶ月は維持ができて、
    パージェタ+ハーセプチン+ドセで
    1年半くらいは維持できる、
    そんな感じの結果ですね。
   
    (ドセが効いた感じがしなかったけれど、
     増悪はしていなかったから、
     まだまだ、捨てるには早いかも、
     維持に使えるのかもしれない、、
     副作用がほとんどなかったから、
     試してみる価値はあるかも、と、
     2017年の私は、そう考えたりもします。
     主治医にぜ~んぜん違う、と言われる
     かもですが)

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この記事だけお読みになる方が
誤解をするといけないので
念のため補記します。

▼私が初期治療(術前化学療法)をした
   2014年当時でも、
   転移性乳癌(ステージ4)には
   パージェタは認可されていました。

▼ステージ4でも寛解(根治かもしれない)例
   が出始めていることは、
   その後発信した記事で、
   折に触れて挟んできました。

▼2019/9月のESMOでは、国内での
   同様試験COMACHでも有効性が再確認
   されたことが発表されました。


全員(ないし、ほとんどの)乳癌患者を
治せる治療は、
残念ながら、まだありません。
だから、医学界、医薬界が研究を進めて
下さっていて、
臨床試験の結果が出ると、
それを反映して
標準ガイドラインも進化するし、
新薬は保険診療として認可されていきます。

因みに、
私がまだ使えなくて悔しい思いをした

▼術前化学療法のパージェタは
  欧米から約5年のドラッグラグを経て
  術後補助化学療法(こちらはドラッグラグは
  約1年、劇的に短縮した)とともに、
  昨年、認可されました。


 トリネガ向けアテゾリズマブ(テセントリク)
  は、手術不能な局所進行(ステージ3B、3C)
  も臨床試験対象に含まれ、認可されました。
  私の5年前の残念だった思いは
  昇華しました。
  (私が今から再発転移リスク軽減のために
   使えるわけじゃないですが、
   同病、同ステージの後輩患者さんたちの
   ために、そして医療の進歩が喜ばしく
   嬉しく感じています。)

(2019/11/2 紫字追記)