・相続対策の一環で、遺言の作成について相談を受けることがあります。
遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
一般的には「公正証書遺言」をお勧めしますが、ご相談者がご高齢で外に出ることが難しい場合などは、「自筆証書遺言」で作成されることになります。
・「自筆証書遺言」は、遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自署・押印して作成します。遺言者が単独で作成でき、手間もかかりません。また、死後に家庭裁判所での検認手続きが必要になります。遺言書の存在を相続人などに伝えておかないと、その存在が知られぬ間に遺産分割が行われてしまう場合があります。
・「公正証書遺言」は、公証役場に出向き、遺言者が口述して公証人が筆記し作成します。財産目録を作成していく必要があり、手間と費用もかかります。また、証人が2人以上必要になります。自筆証書遺言と異なり、検認手続きは不要です。
・「遺留分」は相続人の最低限保証される相続分のことです。遺留分のある相続人は配偶者、子、両親までです。第3順位(兄弟姉妹)には遺留分がありません。遺留分は、法定相続の2分の1(あるいは3分の1)です。たとえば、被相続人が夫で、妻、子2人が相続人の場合、法定相続は妻2分の1、子がそれぞれ4分の1になります。遺留分としてはその2分の1ですので、妻4分の1、子がそれぞれ8分の1になります。遺留分を侵害しない遺言書を作成することになります。また、被相続人の生前に遺留分放棄を行うことも可能です(家庭裁判所の許可必要)。遺留分を放棄しても、相続を放棄しているのではないため、相続人として財産を相続する権利があり、遺産分割協議に参加可能です。
※相続放棄は相続発生後3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きを行います。
・「遺言執行者」とは、遺言の内容を忠実に実行するために必要な手続きを行う人のことです。未成年者はなることができません。具体的な仕事は、財産目録の作成、預貯金の管理、不動産の相続登記の手続きなどです。遺言執行者を指定しない場合、相続人が手続きを行うことになりますので、複数の相続人がいる場合は、手続きが煩雑になる可能性があります。
【宅建 平成22年第10問】
遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.自筆証書遺言は、その内容をワープロ等で印字していても、日付と氏名を自署し、押印すれば、有効な遺言となる。
2.疾病によって死亡の危急に迫った者が遺言する場合には、代理人が2名以上の証人と一緒に公証人役場に行けば、公正証書遺言を有効に作成することができる。
3.未成年であっても、15歳に達した者は、有効に遺言をすることができる。
4.夫婦又は血縁関係がある者は、同一の証書で有効に遺言をすることができる。
<解説>
1.×:全文自署。ただし、財産目録はワープロ等でも可能。
2.×:緊急時遺言。3名以上の証人が必要。
3.○:未成年であっても、15歳に達した者は、有効に遺言をすることができます
4.×:できない。共同遺言の禁止。





