どういったことか順に話そう。
私の名前は、井上剛志。
38歳。
リフォーム会社を経営して5年目になる。
社員は事務員が1人、現場管理者が1人、営業が5人、合計7人いる会社だ。
昨年まで右肩上がりで売り上げは伸びてきたが、今年に入ってから落ちてきた。
しかし求人の手を緩めるわけにはいかないので、求人広告を出した。
そこで応募してきたのが中村だった。
中村は私より19歳も年上の57歳。
面接をしたときから腰が低く、礼儀正しく身だしなみがきちんとしていて好印象を受けた。
実際に働き始めるとその印象以上だった。
私が机の上を拭いていると
「こういうことは社長のやる仕事じゃないので私がやります」
と言って机を拭き始める。
食堂で私より先に中村が注文したものが運ばれたとき、
「冷めないうちにどうぞ」
と言うと
「社長より先に食べるわけにはいきません」
と言って絶対に私より先に食べない。
朝は他の社員のだれより早く出社し一番遅くまで会社にいる。
遅くまで何をしているのかを聞くと、今日一日の行動を振り返り明日の計画を立てているという。
営業は未経験と言っていたが、間違いなく売れる営業マンになると思った。
何よりもいつもどんなときでも徹底して私の顔を立てる姿勢が一貫していて、今までたくさんの人と出会ってきた中で、見たことのない律儀な人。
そんな人が社員として来たのはラッキーだと思った。
