★★★☆☆☆☆☆☆☆

1986年 105min.

ネタバレ

 しないようにするほうがムリです

敬称略

 

 

監 督

 ジョン・アーヴィン

製作総指揮

 ディノ・デ・ラウレンティス

製 作

 マーサ・シューマッカー

脚 本

 ゲイリー・デヴォア

 ノーマン・ウェクスラー

音 楽

 トム・パーラー

 

ジョゼフ・P・ブレナー:

 アーノルド・シュワルツェネッガー

モニーク:

 キャスリン・ハロルド

ハリー・シャノン:

 ダーレン・マクギャヴィン

ルイジ・ハトロヴィータ:

 サム・ワナメイカー

パウロ・ロッカ:

 ポール・シェナー

マックス・ケラー:

 ロバート・デイヴィ

ベイカー:

 エド・ローター

マーヴィン・バクスター:

 ジョー・レガルブート

マーティン・ラマンスキー:

 スティーヴン・ヒル

エイミー・カミンスキー:

 ブランチ・ベイカー

ブレアー:

 スティーヴ・ボルト

 

 

 んーとですね、わたしこの映画、当時ちゃんと映画館で観たはずなんですけど、どんな話だったかまったく覚えてないです。なんででしょうかね。まあたいがいそういう場合は、ぜんっぜんおもんなかった、ということなのですけれども、やっぱりそうなのでしょうか。(じつはもうすでにの数が物語ってますけど……)

 

 なんとか覚えてるのは、アーノルド・シュワルツェネッガーがなんか寝たふりをしてわざとらしいイビキをかいていたのと、ソファかなんかをちゃぶ台の如くひっくり返したとこくらいですね。

 

 出演のキャスリン・ハロルドはわたし本作で観てすっかり好きになったんですけど、けっきょく本作のあとはまったく見なくなっちゃいましたね。スティーヴ・マックウィーンの「ハンター」とジョン・ランディス監督の「眠れぬ夜のために」に出てたそうですけど、わたしどちらも観てますがまったく覚えてないです。いまはどこで何をされているのでしょうか。

 

 本作はわたしの中でものすごいインパクトのある事件がありましてね。映画を観に行くと本編が始まる前に別の映画の予告編てやるじゃないですか。で、なんの映画を観に行ったのかは忘れてしまいましたけど、そこで予告編を観ていたらシルヴェスター・スタローンの「コブラ」をやってたんですよ。もうスタローンがバリバリにかっこよかった時代の話ですから、そら映画自体もその予告編もめっちゃカッコよかったわけですよ。で、ナレーター(これも誰か忘れました)が最後に題名をこれまたカッコよく叫ぶんですね。「主演、シルヴェスター・スタローン。『コブラ!』」って。そらあわたしもまだまだ若かりし大学生、めっちゃかっこええやん、て鳥肌もんでしたよ。そしたらその次に予告編が流れたのが本作だったんですね。この2年前に「ターミネーター」ですっかりスターになり、翌年の「ドマン…」っじゃない、「コマンドー」でアクションスターの名を確立させたアーノルド・シュワルツェネッガーの最新作ですよ。そらあ「コブラ」に負けじと予告編もカッコよく作ってますよね。ただやっぱりシュワちゃんですからね、スタローンほどにカッコよくはないわけで、まあわたしはほのぼのと観ておったと。そして最後ですよ。ナレーターの内海賢二氏があのシブい声でやっぱり叫びました。「アーノルド・シュワルツェネッガー、『ゴリラ』!」その直後、わたしのいた映画館内に爆笑の渦が巻き起こった、というわけなのでした。いや、まあ、コブラのあとにゴリラじゃ、そら笑われるよなあ、て思ったと同時に、やっぱり日本の映画配給会社の宣伝マンはアホばっかなんやなあと嘆息したのでありましたよ。この時代の邦題はもう聞くに堪えないほどヒドイものでしたからね。昔は「風と共に去りぬ」とか「雨に唄えば」とか秀逸な邦題があったのに、この時代のやつらはいったいどんな頭の構造をしていたのかと、いまだに情けなく思ったりしています。

 

 まだまだあります。シュワルツェネッガーが日本のテレビ番組「スーパージョッキー」にゲスト出演したんですよ。なんの映画だったか、おそらく「プレデター」だと思うんですけどね。で、めちゃくちゃ盛り上がっていたところへ、出演していた誰だったかが、シュワちゃんの大ファンで出てる映画は全部観てるんですよ、「ターミネーター」とか「コマンドー」とか「ゴリラ」とか、って言ったんですよ。で、通訳はまああの戸田奈津子女史でしたよ。

 

 ちょっと話それますけど、わたし戸田奈津子女史、大っキライなんです。たしかにこの人のおかげでアメリカの映画のほとんどを観ることができていたわけですけれども、その翻訳がね、どうにも鼻につくんですね。もうその当時でもすっかりお歳を召しておられましたけど、なんかムリヤリ若者言葉を使っている、と。もう一回言いますけど、この方のおかげでいろんな映画を観ることができていたんですけど、でもこの人じゃなくてもほかにも翻訳者はいたじゃないですか。どうしてこの人にばっかり仕事が集中したのかは知らないですけど、まあなにしろ鼻につく。で、その当時はたまにこの人の特集がテレビで組まれたりして、その都度なんかドヤ感満載でしゃべったりして。わたしじゃなきゃこんなうまい訳はできないのよ、みたいな。それを称して「戸田マジック」とかなんとか自分で言ってましたしね。「リーサル・ウェポン」のときにもわたし書きましたけど、「ジョシュア」事件もそうですし、だからわたしこの人、大っキライなんですよ。で、ここで話を戻しますけどね。

 

 その「スーパージョッキー」で通訳をしていた女史、「『ターミネーター』とか『コマンドー』とか『ゴリラ』とか」っていう訳をあろうことか「“TERMINATOR”、“COMMANDO”、“GORILLA”」って言いよったんです。“THE TERMINATOR”の“THE”がないってのもどうかと思いますけど、それよりなにより本作、原題は“GORILLA”じゃないですからね。そんなことも知らずに、なにをエラそうにしとんのや、ってわたしその当時思ったことでありました。いい気になってんじゃねえわ、って。もう今はわたしも歳をとり、そんなことはどうでもいいんですけど、血気盛んだった若かりし大学生のわたしは、その当時の邦題の乱れに怒りを覚えていたこともあり、ほんとに頭にきた、というわけなのでした。

 

 なんかね、いろいろいわくつきなわけですよ。

 

 さて。

 

 で、わたし今回鑑賞するにあたって、やっぱりなんにも覚えてないもんですからね、ちょっと調べてみました。って、いつも調べますけど。そしたら監督のジョン・アーヴィンは本作のほかには「ハンバーガー・ヒル」くらいしか有名どころはないようでしたね。でも監督とは裏腹に、出演者陣はすごいんですよ。サム・ワナメイカー、ロバート・デイヴィ、エド・ローターなんて、わたしが好きな役者さんばっかりじゃないですか。それでも全然覚えてないってのはよっぽどなんかなあ、とワクワクよりもドキドキしてしまいますが、まあでも今にしてみれば懐かしい面々ですので、そこはそれとりあえず楽しみにしよう、ということにはなりますよ。

 

 ただひとつ、やっぱり不安でしかないのは製作総指揮がディノ・デ・ラウレンティスだってこと。この人、大御所のプロデューサーではありますけど、お金を使いまくるわりに興行収入が見合わない、ということで超有名な人ですからね。いろんな意味で「スゴイ」映画やな、とはなりました。

 

 キャストの役名を見ると、これはロシアのマフィアの話かもな、ということで観始めますよ。

 

 オープニングは唐突でした。

 

↑左がハリー(ダーレン・マクギャビン)。

 

 えと、証人保護プログラムかなんかでどっかの誰かを山小屋にかくまってたら、おつきのFBI捜査官たちはあっけなく殺されて、証人も殺られました。で、殺られた捜査官の中にこのハリーの息子がいた、ということのようですよ。

 

↑こちらが息子くんです。

 

↑ハデではあったんですよ。ラウレンティスらしく。

 

 でも迫力には欠けるんですよねえ、ラウレンティスらしく。まあとはいえまだまだオープニングですからね。とりあえず先に進みましょう、と。

 

↑アーノルド・シュワルツェネッガーはオープニングとは関係なく出てきました。

 

 どうやらどこかの田舎町の保安官のようで。

 

 で、ですよ。そうなると先読みできちゃいますよね。アーノルド・シュワルツェネッガーは今でこそ片田舎の保安官やってますけど、じつはものすごくやり手のFBI捜査官だった、と。それがなんらかの失敗か陥れられたかで職を追われて、なかば隠居生活みたいなことを強いられている。で、オープニングで息子を殺されたハリーの要請で殺ったやつらを成敗しに行くことになる、ということですよ。ここまで瞬時に想像できますよね。で案の定、そのとおりに話が進んでいくわけですね。

 

↑アーノルド・シュワルツェネッガーの奥さんの役の方です。

 

 ブランチ・ベイカー。

 

 想像した通りの話がここで説明されます。ゆいいつ想像できなかったのは、この地へ越してきて5年経ってる、ということくらいですかね。とはいえちゃんとこうして冒頭で説明してくれるわけですから、入り込みやすいっちゃやすいです。まあ奥さんはこの田舎暮らしにそうとうご立腹ですけどね。ちなみに奥さん、このあとのシーンでは二度と出てきませんでした。

 

↑で、やっぱりハリーからの電話がかかってくるわけです。

 

 ここでアーノルド・シュワルツェネッガーも、今の生活は退屈だ、と言っておられます。まあそうなんでしょう。そうこなくっちゃ、ということではありますよね。ちなみに電話機はダイヤル式の黒電話でした。リリリーンて鳴っとりました。時代ですね。

 

 えと、ここで整理しましょう。

 

 ハリーの息子くんが殺されたのは、サム・ワナメイカーがボスに扮するマフィアの仕業でして、サム・ワナメイカーに不利な証言をする証人をかくまっていたわけです。でハリーは、息子の復讐をしたいけどFBIではそんなことはできないから、元FBIの旧友であるシュワルツェネッガーに、マフィアに潜入してぶっ潰してほしいと個人的にお願いする、というわけです。ね、想像通りですよね。

 

 じつはこれまでにもFBIの捜査官を潜入捜査で何人か送り込んだらしいんですけど、なんか内通者がいるらしくって、ことごとくみんな殺されたそうですよ。だから個人的に頼む、ってことらしいんですけどね、わたしギモンがあります。

 

 いやいやこんな目立つやつ、みんな知っとるんちゃうか、って。

 

 確かにアーノルド・シュワルツェネッガー、FBIを辞めて5年は経ってますけど、マフィアのファミリーはずっと長く続いているわけですよね。その中でFBIとのやりとりは何度もあったはずですよ。そりゃ、これまで送り込んだ捜査官は、それぞれが全然部署の違う捜査官だったかもしれませんけど、たとえアーノルド・シュワルツェネッガーが同じように全然違う部署であったとしても、なんか一線でバリバリ働いていたようですからね、サム・ワナメイカーが知らないはずはないと思うわけですよ。考えすぎですかね。でもやっぱりちょっとでもそういう思いになる人間がいるのなら、それは脚本が甘いということになっちゃうわけですよ。そういう説明がちゃんとなければ、いい脚本とは言えないとわたしは思いますね。いや、そもそもですね、これまでにも何人かネズミが潜り込んでいたんですよね。その都度殺してしまってますけど、そんなマフィアがまた新たに人を入れるなんてことを簡単にするのか、てことですよ。危機管理がまったくできてないにもホドがあるわけです。ていうか、アホでしょ、フツーに。なんかね、やっぱり脚本が甘いよなあ、なんです。

 

↑これもちょっと違いますよね。

 

 でっかい石油タンクがあって、その最下部に放油口があるわけですよね。だったらその栓開けたらものすごい勢いで石油は噴出するはずじゃないですか。どういう原理でこんなチョロチョロ出てくるのか、物理的に明らかにおかしいわけですよ。

 

↑まあこれはラウレンティスらしいですけど……、

 

 それでもやっぱり迫力には欠けますね。

 

 で、この爆発でシュワルツェネッガーは事故死した、ということにするわけですね。死んだことにすれば家族に危害は及ばない、というわけですけど、いや、でもそうやって死んだって公表するってことは顔写真とか載せたりはしないんですかね。ほかの映画なんか、たとえば「オーメン(1976)」なんかでも神父串刺しになった写真、新聞に載ってたじゃないですか。それなのに殉職したFBI捜査官の顔写真は載せないのでしょうかね。たとえば別人の写真載せたって、奥さんは気づくでしょ?ほかの同僚とかだって間違いなくおかしいと思うだろうし。

 

 う~ん、ですよ。脚本が甘すぎるんですよね、何度も言いますけど。脚本は、ゲイリー・デヴォアとルシアーノ・ヴィンツェンゾーニ、セルジオ・ドネイティ……。まったく知りません。IMDbで調べましたら、ゲイリー・デヴォアは「シカゴ・コネクション 夢見て走れ」「戦争の犬たち」で脚本されてましたが、1997年に56歳の若さで交通事故で亡くなっておられました。あとのふたりはイタリアの方だそうで、作品群ありましたけどいまいちピンときませんね。まあそういう感じなのでしょう。

 

↑あ、これさっき言った、わたしが覚えている数少ないシーンのうちのひとつです。

 

 裏カジノかなんかのカードゲームのテーブルでしたよ。ここが、アーノルド・シュワルツェネッガーが潜入するマフィアの経営する裏とばく場で、大立ち回りをして実力を見せつけてボスとコンタクトをとるって寸法なわけですよ。これほどありふれた脚本もそうそうお目にかかれませんね。逆に貴重なのかもと思ってしまいましたよ。

 

↑ここもねえ……。

 

 トラックが突っ込んでなんかハデなようですけど、でも観てると全然大したことないんですよ。わたし、「処刑ライダー」思い出してしまいましたね。

 

↑こちら右の方がマフィアの大ボス、パトロヴィータ。

 

 演じるのがサム・ワナメイカー、と。う~ん、雰囲気ないこたないんですけどね、どっちかってえとサム・ワナメイカー、いい人っぽくって警察側の顔なんですよねえ。まあこれはわたしの偏見にすぎないのかもですけど、なんか悪人ではないなあ、て。脚本に続いてキャスティングもか、てちょっともう辟易してきました。

 

↑美人ですよねえ、キャスリン・ハロルド。

 

 なんかせっかくの映画出演なのに、本作じゃもったいないなあ、てなります。この後ほとんど見ないわけですけど、ほんとどこでなにされてるんでしょうかね。テレビには出ておられたようですけどね。

 

↑ロバート・デイヴィ。

 

 この方は悪役顔ですから、わたし「おっ、似合うねえ」て言いましたよ。「グーニーズ」でのフラテッリ一家の長男役は印象深いですよね。わたし、大好きな役者さんで、「ダイ・ハード」のFBI捜査官役は特に好きです。

 

↑もう一人の好きな役者さん、エド・ローター。

 

 カッコいいですよね。ちょいワルって感じで。クリント・イーストウッド似ってのがシブさに拍車をかけてますね。

 

↑ここで寝たふりしてイビキかいてます。

 

 いやいや実際にこんなイビキはないよなあ、と思うわけですよ。演出力もやっぱり「?」がつきますよ。まあ、いまさらですけど。

 

↑これどこかわからないですけど密会場所で二人で会ってますが。

 

 これどうなんですかね。こんな時間、シュワルツェネッガーにあるのでしょうか。まだまだサム・ワナメイカーもシュワルツェネッガーを信用しているわけではないですから、とりあえずしばらくはずっと尾行とかつけないもんなのでしょうか。マフィアの実際なんか知らないですからなんとも言えないですけど、わたしがサム・ワナメイカーだったらゼッタイ監視をつけると思うんですよね。さっきも言いましたけど、ちょっとでもこういう思いを持つ観客がいるなら、それはやっぱり脚本的に甘い、ということなわけなんですよ。

 

 ここまで1時間。もうね、わたしすっかり興味なくなってしまってました。再三言ってますように設定は甘いし、脚本はありふれすぎてるし、せっかく主演がアーノルド・シュワルツェネッガーなのにハデさはないし、なんかいい役者のムダ遣いのような気さえしてます。まあわたしが内容を覚えてないのもムリはない、ということですよ。3つですかね。アーノルド・シュワルツェネッガーでひとつ、ロバート・デイヴィとエド・ローターとサム・ワナメイカーに敬意を表して三人でふたつ、というところです。

 

↑カーチェイスもスピード感ゼロですよ。

 

 音楽もまったく印象に残りません。

 

↑けっきょくバレとるし。

 

 バレ方もハラハラしないし、だからバレてもドキドキもしないし。

 

↑キャスリン・ハロルドはアーノルド・シュワルツェネッガーに本気でホレたそうです。

 

 え、あれのどこに本気でホレる要素があるんや、と思ったりもちょっとだけしましたけれど、もうね、そんなんももうどうでもいいわけですよ。

 

 話はもうちょっと続きましてね。アーノルド・シュワルツェネッガーの素性がサム・ワナメイカーにバレて、なのでサム・ワナメイカーはまだバレてない体で、シュワルツェネッガーの旧友で自分を殺す依頼をしたハリーを、シュワルツェネッガーに殺させようとするわけですね。こうなったらもう、なんなら2時間ドラマですよ。観飽きた感満載なわけですね。

 

 そしたら、

 

↑ロバート・デイヴィ殺られました。

 

 まあ、あっけないです。

 

↑ハリーも、です。

 

 でもね、ハリーは生きてますよ、間違いなく。おそらくそういう脚本ですからね。間違いないです。だからわたし、このシーン観てもなんの感情も湧きませんでした。

 

↑そしたらキャスリン・ハロルドが助けに来ました。

 

 これもまたよくあるパターン、なわけです。もう、トコトンです。

 

 アーノルド・シュワルツェネッガー。未来からやって来たロボットだったり、宇宙生物と闘う戦闘員だったりした人に本作は、物足りないにもホドがあるというわけです。ラストもですね、なんか一人で組織に乗り込んでいくという大団円なんですけど、「コマンドー」の比じゃないですからね。比べようとするのが失礼な話ですよ。

 

 原題は“RAW DEAL”。「ひどい扱い」とか「不当な仕打ち」とかいうイミですけど、なんかそれも違うような気がしますね。

 

 いろいろザンネンな映画のことでありました。

 

 

今日の一言

「基本シュワちゃん、演技ど下手ですから」

 

 

レビューさくいん

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