★★★★★★★★★★
1987年 110min.
ネタバレ 若干ありますが大筋ではないです。
敬称略
監督 リチャード・ドナー
製作 リチャード・ドナー、ジョエル・シルバー
音楽 マイケル・ケイメン、エリック・クラプトン
脚本 シェイン・ブラック
マーティン・リッグス:メル・ギブソン
ロジャー・マータフ:ダニー・グローヴァ―
ジョシュア:ゲイリー・ビジー
将軍:ミッチェル・ライアン
マイケル・ハンサカー:トム・アトキンス
精神科医:メアリー・エレン・トレイナー
メンデス:エド・オーロス
ボイエット:グランド・L・ブッシュ
クリスマス・シリーズ 第2弾です。
シリーズ物は数あれど、そのシリーズすべておもしろいと思ったのはこの「リーサル・ウェポン」だけですかね。しかもこれ4作品ありますからね、とっても貴重な映画であるとともに、その4作品すべてを監督したリチャード・ドナーはやっぱり名監督なんやなあと思うわけですね。
えと、ところでわたしこの映画観るといつも苦々しく思うことがあります。これ以前になにかの映画の時にも書いたことあるのですが、ゲイリー・ビジーの役名「ジョシュア」の日本語訳表記について、です。
いえね、この映画の翻訳は戸田奈津子女史だったのですけれども、この人当時は、それはそれはたくさんの映画の翻訳されとりましたね。まあ、公開される映画はほぼ戸田奈津子だった、と言っても過言ではないくらい、ホラー映画以外はこの人の手によるものでしたよ。でもね、わたしこの人の翻訳、大嫌いだったんですね。まあわたしも一応、期間的にはわずか一年弱ではありますけれども、アメリカに留学してたことがありますから、それなりに英会話はできましたよ、当時は。今はぜんぜんムリですけど。で、どうにもこの方の翻訳が、意訳にすぎるんですよ。え、まあそらニュアンス的にはそうかもしれんけど、そんなことは言ってないじゃん、的な。さらには、映画の字幕ってものすごく厳しい字数制限がされていて、たしかに翻訳者さんたちはそれでとっても苦労されているのはわかるのですけれども、特にこの女史の訳は、ムリして若者言葉を使おうとするきらいがありましてね、例えば「~かもしれない」と訳せばいいところを、「~かもだぜ」と2字稼いだりするわけですよ。いやそんな言い方したことないし、って思うじゃないですか。しかも当人、「これが戸田マジック」とか平気でドヤ顔で言ってるんですよ。もうそういったところが随所に鼻につきましてね、だからわたしほんとにキライだったんです。でも字幕見ないとさすがに映画の英語はわたしにもわかりませんから、ものすごくイライラいたりしていた、なんてことになっていたのですね。で、この「ジョシュア」事件です。
えとですね、戸田奈津子、なにを思ったのか、あろうことに「ヨシュア」と訳を入れたんですよ。いや、そうまでして1字でも稼ぎたいんか、という以前の問題ですよね。だって人の名前なんですよ。「ジョシュア」は「ジョシュア」じゃないですか。映画の登場人物全員がハッキリと「ジョシュア」って言ってるのに、字幕では「ヨシュア」って、お前それなにトチ狂ったことしてくれてんねん、ですよ。確かに旧約聖書かなんかでは「ヨシュア」なんでしょう。でもそれはどこぞのヨーロッパの国かなんかですか?の発音じゃないですか。この映画はアメリカなんですよ。アメリカ人の名前で「ジョシュア」つってんですから、間違っても「ヨシュア」なんかじゃないんです。日本で言ったら、「伊東」を「いとう」って言ってんのにかたくなに「いひがし」て言ってるようなもんなんですよ。「福留」が「ふくどめ」なのに「ふくとめ」と言うのとは次元が違います。「いとう」と「いひがし」くらいの差があるわけですよ。わたしね、ほんと頭にきましてね、だからそれ以来この戸田奈津子は大キライなんですね。
ということで、のっけからこんな話になってしまいましたが、どうしてもこれは言いたいところでありますのでご容赦願いたく。
本題に入ります。
えと、前回の「グレムリン」でも言いましたけれど、本作もやはりクリスマスになるとどうしても見たくなる映画でありますね。オープニングでは「ジングルベル・ロック」がかかってて、もうすっかりそれが耳に残りますよ。「グレムリン」同様、オープニング後すぐには、もみの木の市も出てきますし、まさにクリスマス当日であります。
そうそう、そういえばわたし、アメリカに留学したのって1987年の1月だったんですけど、ロス・アンジェルスから東にフリーウェイかっ飛ばして1時間の距離にある大学に留学したんです。カリフォルニア大学リヴァーサイド校。略してUCR。(UCLAならご存じでしょうか。あれは、カリフォルニア大学ロス・アンジェルス校の略です)2022年のほんのちょっとだけ読売ジャイアンツに在籍した、アンドリース投手の母校ですので、わたしアンドリースくんの先輩でありますね。で、当然ですけどすぐ次の週末は仲良くなった友達とロスに繰り出すわけなんですけれども、そのとき1月だというのに、ロスの街にたくさんクリスマスツリーが飾ってあったんですよ。で、わたしこれ、知らないもんですから、なるほどアメリカって国はさすがキリスト教の国やな、クリスマスが終わって年を越してもこうしてしばらくはツリーを飾って気分を満喫するんやな、なんて思ったんです。で、住んでた寮に帰ってルームメイト(ベトナムからの留学生)にその話をしたら、いやいやそうやないねん、と。あれは「リーサル・ウェポン」てメル・ギブソンの新作映画のロケのために残してあるんやで、と言われまして、とってもビックラしたのです。さすがキリスト教の国、から、さすが映画の国、ということなのですね。
と、また余談になってしまいました。戻ります。
で。
↑オープニングタイトルは、さすが「スーパーマン」の監督だな、という感じですね。
もうなにしろですね、オープニングからすごいんですよ、映像が。裸のお姉ちゃんが高層マンションから転落するんですけど、その映像がまったく自分が落ちてるようで、恐怖すら感じます。おおっ、ドナー監督、めっちゃ気合い入ってるやん、とこちらも座を正すのですね。
↑ダニー・グローヴァ―。わがドラゴンズの出戻り新外国人、ソイロ・アルモンテではありません。この時の実年齢は40歳ですけど、老けメイクして50歳の役をやっておられますが、まったく違和感なく、さすが名優でありますね。まあただ56歳のわたしから言わせていただければ、なんかダニー・グローヴァー、「この年になって」とかずっと言ってましたけど、50歳てそんなに老いてませんからね。そんな、こんな言うほど老人ではないです。そこだけはお間違えなきようしていただきたいものです。
↑ダニー・グローヴァ―はお風呂に入ってましたが、メル・ギブソンは風呂に入ってもいないのに全裸で登場です。以外に尻が小さいのにちょっとビックラですが、このシーンはけっこう貴重ですよ。これ見たさに興行収入が上がった、なんてうわさも流れとりましたからね。
↑ということでメル・ギブソンですが、ちょっとロン毛は気になるところではあります。
↑“Shoot me!”と連呼して叫びます。ちょっと精神異常なのか、と思わせるとともに、だからこそ、じゃあなんでや、と興味をもつことになります。なんて思ってたら、すぐ次のシーンで奥さんの写真を見て涙目になるということで、ああそういうことか、となります。
↑で、こうなるわけですね。なるほどな、です。テレビではクリスマスのアニメが流れとりまして、その対比がまた切ないと、さすがのリチャード・ドナーと思わせるには十分すぎるほどですよ。
↑でもってこのメル・ギブソンの演技ですからね、そらもうあっという間に感情移入してしまうと、そういうわけですね。
↑メアリー・エレン・トレイナーです。「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷(ロマンシング・ストーン 秘宝の谷 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」で紹介いたしましたが、わたしこの方、大好きだったんですよ。若くして亡くなってしまって、見るたびにショックがよみがえってまいります。完全にわき役に徹しておられましたけど、都度輝いてましたから、ご存じの方も多いかと思います。
↑グランド・L・ブッシュ。この人もけっこうなわき役者ですね。だからやっぱり好きな役者さんです。なんかロバート・デイヴィとよく一緒に出てたイメージが強いですね。そこらへんは次回の「ダイ・ハード」に続くこととなります。
↑で、主役二人がファーストコンタクトですが、最初はサイアクだったのですね。わたし初めて観たときは、まさかあっという間にこれほどのバディになるとは思ってもませんでした。でもその流れは全然ムリがなくって、二人ともが相手をすんなりと受け入れるというか、知らない間にお互いにのめりこんでいる、という感じで、観ているほうもまったく違和感はありませんでした。
↑エド・オーロス。わたし、この人も好きなんですよねー。まあこうして好きな役者さんばかりが出ていれば、必然的に映画自体も好きにはなりますわね。監督も好きな人なわけですし。でもそれを別にしても、本作は名作であることには変わりないのです。
↑ゲイリー・ビジーも出てますね。こういう人たちを集められるというのも、さすがドナー監督、ということなのです。
↑トム・アトキンスだってホラー専門の色が濃い役者さんですよ。それがこうして普通の映画(?)に出てるなんて、そうとう貴重じゃないかと思ったりもしますね。
で、リチャード・ドナーという人は、けっこうお遊びも好きな監督さんでしてね、今回もくすっと笑えるシーンがありました。
↑ここなんですけどね。
自殺志願者をメル・ギブソンが助けに行くとなって、じゃあ行くのはいいけど無茶だけはするなよと、ダニー・グローヴァ―がいろいろ指示を出すんですね。で、ひとしきりその指示を聞いた後にメル・ギブソンがダニー・グローヴァーに向かって「ラジャー」って言うわけですよ。「了解」って意味ですよね。でもこれ、ダニー・グローヴァ―の役名は「ロジャー」でして、発音的には「ロジャー」は「ラジャー」ですから、メル・ギブソンが「ラジャー」って言ったすぐ後にダニー・グローヴァ―は「なに?」って言ったんです。要するに自分の名前を呼ばれたと思った、てことですね。いやこれまったくもって「フライングハイ」じゃないですか。わたしけっこう笑いましたよ。こういうお遊びをしながらこんな大作を撮るわけですから、やっぱりリチャード・ドナーは名監督だというわけですね。
↑ここだって・ダニー・グローヴァ―は迫真の演技をしてるわけですよ。それでもやっぱりどこか笑える、ってサイコーじゃないですか。
↑メル・ギブソンも迫真の演技ですよ。メリハリがすごすぎて、なかなかに斬新ではあります。だからこそ我々観客もどんどんのめりこんでいってしまう、というわけですね。
↑ダニー・グローヴァ―がこうなってんのに、
↑メル・ギブソンはこうなわけですよ。自分だけサバサバしてます。うまいですよねー。思わずうなってしまいましたよ。あ、ちにみにダニー・グローヴァ―、このとき思いましたけど、ヒゲを剃ったらいかりや長介似ではあります。
なんかですね、このダニー・グローヴァ―のやさしさが徐々にメル・ギブソンに浸透していく過程がほんと秀逸なんです。映画ですからね、時間的には短いですよ。たぶんドラマなら、5話分ほど費やすところです。それを30分ほどで描いちゃってますから、なんか展開速いと思っても致し方ないところですよね。でも、だからこそそれがとってもスムーズに運んでいくのが素晴らしいんです。ダニー・グローヴァ―の娘がメル・ギブソンに色目を使うあたりがたぶん、メル・ギブソンが人らしい心を取り戻せた一番のところなんじゃないでしょうかね。すごくいい気持ちで観られるわけです。サイコーですよ。
↑もうすっかり馴染んどるし。
↑なんとかメル・ギブソンに気に入られようとするところは、もうかわいいわ、です。
↑こうして二人で射撃練習にも来られるのですね。ここはわたし大好きなシーンです。
↑で、話は急激に展開してこうなりました。このメリハリ、さすがドナーよ、という感じです。これちょっとだけ画面に映ってましたけど、爆風で飛ばされてもダニー・グローヴァ―、メル・ギブソンをかばおうとしてました。まあスタントマンでしょうが、そういう演技をドナーがさせたのかなと思うと、もう感謝しかないですね。
要するに、ここから話が佳境に入る、というわけです。いい流れじゃないですか。
ちなみに音楽は、「ダイ・ハード」のマイケル・ケイメン。やっぱりちょっと「ダイ・ハード」入ってました。それはそれでいいんですけど、ジェリー・ゴールドスミス大ファンのわたしからいわせると、もうちょっと変えられなかったんかなあとは思いましたけどね。まあでも大勢に影響はないですし、それはそれで映画にフィットしてましたから、文句はないです。
さて、で。
↑じつは悪いヤツだったトム・アトキンスが銃撃されて、
↑メル・ギブソンも撃たれます。
↑ダニー・グローヴァ―はダニー・グローヴァ―で、娘の彼氏が殺されてしまう、と、もう緊迫感がハンパなくなりますよ。
↑娘をさらったヤツからの電話をうけるダニー・グローヴァ―を見るメル・ギブソンの目がすごくいいんですよ。すっかりもうバディの顔になっているわけですよね。なんかもういちいちすごくって、わたしここらへんからもうずっとウルウルしてました。
その後、悪の組織と対決となるわけで、ここからラストまではほぼノンストップです。
↑いや、ダニー・グローヴァー一人に何人来とんねん、とは思いましたけどね。悪の組織ですから、卑怯な手を使うのに抵抗はないのでしょうね。
↑遠藤、だそうです。この方、「ダイ・ハード」にもご出演されてますが、それだけでなくってなんかこのへんの年に、ほんとにいろんな映画にこうしたチョイ役の悪人で出てました。アルバート・レオン。もともとスタントマンだったそうですよ。それを活かしての、こうした悪役の様相です。まあ、わたしから言わせると、ロッチの中岡ですけど。
↑で、メル・ギブソン捕まってやられます。
↑もちろんダニー・グローヴァーも捕まってやられてます。まあ、そらそうこなくっちゃ、ですよね。わたし的には、ダニー・グローヴァーのやられ方のほうがはるかにこたえると思いますけどね。
↑メル・ギブソン、りりしいです。で、ここの銃撃戦はほんとに痛快ですよ。まるで西部劇、「荒野の七人」を思い出しました。
↑このメル・ギブソンがまたかっちょえいですし。
↑で、将軍、やられます。なかなかにムカつきましたからね、この将軍には。ここはもうすっかり溜飲が下がるというか、あまりにスッキリすぎて、鳥肌が立ちますよ。さあ、残すはゲイリー・ビジーです。どうなるのか、と思っていたら、
↑こうなりました。直談判、ですね。
にしてもゲイリー・ビジー。このときドラッグ漬けだったとはとうてい信じられないほどの名演ですねえ。クスリ漬けだったからなのかどうかっていうのはもちろんわたしにはわかりませんけど、今回の役はほんとにいい役ですからね。それをキッチリこなしてますから、まさかそんな状態だったとは思いもしませんでしたよ、当時は。たしかに、言われてみれば思い当たるフシはありました。1983年の「D.C.キャブ」と、今後紹介することになる1985年の「死霊の牙」ではそういう状態を思わせるような演技ではありました。でも1987年の本作以降、1990年の「プレデター2」とか、1992年の「沈黙の戦艦」なんか観てたら、あ、もうドラッグはやめて立ち直ったんや、て思いますからね。なんか、1995年に緊急搬送されて以来、ドラッグは辞めた、らしいですけど。2011年に、空港で女性に激突して捕まった挙句、2012年に自己破産したそうなのですけれども、今はどうしているのでしょうか。これほどの役者、ほっておく手はないと思いますけどね。
↑最後は、はたし合い、だそうです。やっぱり若ぶってはいても戸田奈津子、こんな「はたし合い」なんて古い言葉が出てきてしまいますね。
いや、「はたし合い」て、とは思いましたけど、でも映画ですからね、やっぱり最後はスッキリさせてくれないとね、というところから見れば、それはそれで大正解だった、とは思います。
↑これがすべてです、というわけですね。
いやもうなにしろ最高の映画じゃないでしょうか。わたしこれ、もう何回観たのか見当もつきませんけど、いい映画はいつみても色あせないということです。もうたまらないのでありました。
今日の一言
「めっちゃ見とる……」