1984年 106min.

★★★★☆☆☆☆☆☆

ネタバレ:まあアリですかね

敬称略

 

 久しぶりに観たんです。なんなら1984年以来ぶり。「レイダース 失われた聖櫃(アーク)」が1981年で、それに真っ向から勝負を挑んだ、なんて当時言われてたような気がしないでもないですが、もしそうならわたし的にはまあ「完敗」という感じです。もちろん1985年に公開された、リチャード・チェンバレンの「ロマンシング・アドベンチャー キング・ソロモンの秘宝」よりはよっぽどいいですけれども、いま思うと本作は、ひょっとしたら「ロマンシング・アドベンチャー キング・ソロモンの秘宝」のコピーキャットじゃないか、て気もしますね。あ、でも、題名が似てるってのは違いますからね。これは日本のどこぞの映画配給会社のただのバカが勝手に「ロマンシングなんたら」ってつけただけでプンプン、原題は違いますので、お間違えなきよう願いたいところです。

 

 なんて四の五の言いながら、若干の色眼鏡で観始めたら、まず最初に「あ、ロバート・ゼメッキスじゃないかあ」てなりました。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の監督ですよ。要するにスピルバーグ一家、てことですよね。それで「真っ向から勝負」もないもんだ、と思いましたが、「真っ向から勝負」をほんとに言ってたかどうかはビミョーなとこなので、この話はまあこれくらいでいいです。てへぺろ

 

 で、出演者の名前見てましたら、マイケル・ダグラスは主人公ですからいいとして、もう一人の主役であるキャサリン・ターナーから始まって、アルフォンゾ・アラウ、メアリー・エレン・トレイナー、ダニー・デヴィート、さらには音楽のアラン・シルヴェストリなんてもう、それはそれは懐かしいお歴々の名前が出てきて、わたしそれだけで泣いちゃいそうになりましたよ。特にわたし、当時はメアリー・エレン・トレイナーの大ファンでして、女性の脇役者ですから露出は少ないものの、でもこの人が出てくると、あれっ、どっかで見たような、ってなりますよ、きっと。「リーサル・ウェポン」とか「グーニーズ」とか「ダイ・ハード」にも出てましたね。2015年に62歳の若さで亡くなられたのがザンネンでなりません。一時、ロバート・ゼメッキスの奥さんもされてたのですよ。ほんとに惜しい人を亡くしたと思います。

 

↑こちらのお方がメアリー・エレン・トレイナー。「ダイ・ハード」ではテレビのアナウンサー、「リーサル・ウェポン」では心療内科の先生を演じられてました。大ファンだったのです。ショボーン

 

↑ダニー・デヴィートも好きな役者さんです。身長147cm。池乃めだかっぽいですね。

 

 で、ヒロイン(?)キャサリン・ターナーですが、当時32歳にしてはけっこうな老け顔ではあります。おキレイですけどね、もちろん。

 

↑おキレイですともさ。照れ

 

 で、そのキャサリン・ターナーがバタバタしてあっという間に話がアメリカから南米のコロンビアに移りますな。唐突感は否めないですよ。そういうところが映画っちゃ映画なんでしょうけれども、あまりにも現実離れしすぎてると、さすがに観る方は戸惑いの色を隠せませんね。

 

 ちなみにコロンビア、なんか見るからにトンデモな国として描かれてるんですけど、ほんとにこんなむちゃくちゃに治安の悪い国なんでしょうかね。わたし1986年にアメリカに留学してましたけど、コロンビアからのめっちゃかわいい女の子がクラスメイトにいたんですよ。帰国してからもしばらく文通とかしてたんですけど、あの子、こんな国に住んでたのかなあ、てけっこうなギモンではありますね。びっくり

 

 で、まあそれはそれとして、キャサリン・ターナー、お姉さんのメアリー・エレン・トレイナーを助けに行ったコロンビアで、偶然マイケル・ダグラスに出会うことになりました。

 

 偶然に偶然がかさなって、てのは物語にはよくあることで、それはやっぱり欠かせないアイテムではあるのでしょうけれど、とはいえ主要人物があまりに偶然に出会いすぎてて、この展開にはちょっとついていけませんでした。まあ、ジャングルの中をスカートで走り回る、ってのは斬新でよかったですけど……。爆  笑

 

↑マイケル・ダグラス。こちらは当時40歳です。やっぱ老け顔……。汗うさぎ

 

 いや、ま、ただですね、現実離れはしすぎてますけれどもね、これもまた80年代の古き良き、と考えれば、まあなんか、しゃあないか、とも思いますよ。話の主要な部分が現実離れしてるのは、いいんです。それは、映画ですから。それなくなっちゃったら、アクションもSFもホラーも、なんもなくなっちゃいます。そうではなくって、アクションにしろSFにしろホラーにしろ、そこまでもっていくところの過程が現実離れしていては、やっぱり観る方が受け入れにくい、ということなんですよね。だからこの映画はどうしてもそこが気になっちゃうんですけれど、まあだから☆4つしかあげてないんですが、古き良きと考えて4つになんとかしてみますか、という感じです。驚き

 

 そんな中、男心をくすぐるのは、キャサリンおばちゃんのチラリズムではありました。今のご時世こんなこと言うと、なにやら総スカン食らいそうな気配ですけれども、当時のことですからね、そもそも完全にそれを狙った撮り方なわけですから、すみません、ご容赦いただけると幸いなわけです。「シン・ウルトラマン」の長澤まさみもあれなわけですしね。笑い泣き

 

↑すぐこうやって足を見せるポーズをとるのです。笑い泣き

 

 ところで、キャサリンおばちゃんとダグラスがお酒飲んでダンスして、なんてシーンが途中出てくるんですけれども、わたしいつも思うんですけど、アメリカ人てほんとうにあんなしてゴクゴクとお酒飲めるものなんでしょうかね。わたしがまったくの下戸だから、ということを抜きにしても、全然へーきですからね。人種の違いはすげえなあ、と、つくづく思うのでありました。

 

 ところで、話のもってき方云々は別としても、どうしても許容できない部分がありました。それは、スコールのような雨が降るジャングルの中をわれらがキャサリンおばちゃん、どっろどろになって走りまくって、服もビリビリになってしてるんですけど、次のシーンではしっかりバッチリメイクして、きれいなお肌のまま、服もめちゃめちゃキレイ、てとこなんですね。これはいくらなんでもマズイと思いますよ。その昔「死霊のはらわた」で、ブルース・キャンベルの顔についたおびただしい量の血液の配置が、カットが変わるたびに違っていた、なんてのは問題にならないほど、なんだか根本を揺るがすようなことだとわたしは思うのですが、いかがなものでしょうか。映画だからいいじゃん、では済まされないと思うのですよ。しかも監督がゼメッキスですよ、ちゃんとしてほしいと思うのは当たり前の巨匠なんですからね。

 

↑ところで、話は変わりますが、ペプシってどこにでもあるのですねい。びっくり なんかハリウッドの映画には、コカ・コーラよりペプシのが多いですよ。まあ、スポンサードの関係でしょうが、その割にはやっぱり世界的にはコカ・コーラなんでしょうけれどね。

 

 なんてペプシを感慨深げに見ておりましたら、またここでも偶然の出来事が起こりますね。もうここまでくると「スター・ウォーズ」か、ともちょっとだけ思いますが、とはいえ「スター・ウォーズ」ほどの運命感、壮大感は皆無ですから、やっぱり受け入れがたいわけですよ。

 

 で、それはなんなのかといいますとね、このコロンビアの貧しそうな片田舎に住むおっちゃんが、じつは小説家ジョーン・ワイルダー(すなわちキャサリンおばちゃん)の大ファンで、突如として現れた不審なアメリカ人に向けていた銃を下ろす、てとこなんですね。

 

 いやもうこれは、ダメでしょう、となんかガックシですよ。そもそもこんな村のこんなおっちゃん(アルフォンゾ・アラウ)がロマンス小説読むかよ、てとこもありますけれども、それは差別につながりますので(のか?)やめておくとしても、にしても、なんですよ。どれもこれも、なんだかほんとに「イクラナンデモ」感が満載なわけです。こじつけも多いですし、脈絡はやっぱり大切だと思うわけです。

 

 ただですね、そんな悪いとこばかりでもないはないんですよ。とりあえず☆4つはつけてますからね。前回の「千と千尋の神隠し」のように、まったくなんの理解も不能、というわけではありませんね。わかりやすいのはわかりやすいんですからね。

 

 まあ、ハリウッド映画ではほぼデフォルトになってる、ヒロイン(本作の場合、キャサリン・ターナー)が時間が経つにつれてかわいらしくなっていく、ってのも健在ですしね。女優の力なのか、じつはもともとかわいいのか、はたまた、ただ単に慣れただけなのかはわかりませんけれども爆  笑、当時はこれ、わたしの中のあるあるで、とっても不思議な出来事なのではありましたね。

 

 いやあそれにしても、なんだかんだでほんとによくずぶ濡れになる映画ですねい。なんか役者たちに恨みでもあるんかと思うくらい容赦ないです。でもゼメッキス監督、自分の奥さんのメアリー・エレン・トレイナーには水ぶっかけませんでしたから、やっぱ奥さんが怖かった、いやもとい、奥さんがかわいかった、のでしょうかね。

 

↑足を見せながら、まあ、けっこう頑張っておられるのです。

 

 あと、ダグラスのスタントシーンはさすがでありました。当時は、アーノルド・シュワルツェネッガーとかシルヴェスター・スタローンとか、メル・ギブソンなんかが競うように自分でスタントするという時代でしたから、名優カーク・ダグラスの息子としてもほってはおけなかったのでしょう、若干危険と思われるようなスタントもななんなくこなしていたのは大した大物感ではありました。

 

↑走っている車に飛び乗るシーンです。スピード感もあって、やるなあこいつ、て思いました。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 でも、だからといって「冒険」というほどの「アドベンチャー」ではないのですね。そんなスゴイことはしてなくって、だからほんとに子供でも分かるくらいわかりやすいんですけれど、だからそこらへんが「インディ・ジョーンズ」とは違うところで、そうなってくるとやっぱり私の中での評価はあまり高くならないのですね。

 

 いや、わかりやすくていいんですよ。前にもどっかで言いましたけど、映画なんて、画面の前で寝そべって、ポテチでも食べながら時に泣いて時に怒って時に悲しんで、そいでもって最後は「ははは」と笑って終わるってのがベストなんですからね。でもそこにはちゃんとした軸がなけりゃダメじゃないですか。ホラーならちゃんと怖がらせてくれなきゃならないし、アクションならすさまじいほどの大暴れシーンがほしいわけですし、コメディならやっぱりほんとにおもしろくなきゃダメなんですよ。そう考えると本作は、アドベンチャーっていってるのにその要素が希薄ということになってしまっていて、だから評価は低くなっちゃうのですね。ザンネンなのです。

 

 ザンネンついでに言いますと、なんかね、本作で最大の見せ場とでもいうべき、ダグラスとキャサリンおばちゃんが滝つぼに落ちるってシーンがあるんですけどね、このシーン見てると、落ちるときにダグラスが、手に持っていたバッグを放り投げちゃうんですよ。ああ、バッグ流されちゃうじゃん、て思いましたからね。でもね、そのあとなんとか助かってしばらく川に流されて、どうにかこうにか流れの弱いところで立ち上がった時、なんとダグラス、そのバッグをしっかりと持ってるわけですよ。ねー、ダメダメでしょ?唯一最大のアクションシーンでこれでは、もうどうにもこうにも、てわけなのですね。これほんとにあの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の監督作品なのか、て思いますよね。まあ言うても「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は本作の翌年の作品ですから、監督も成長したってことなんでしょうかね。コメディもアドベンチャーもどちらも中途半端で、どちらもがスパイスになっちゃってた本作が、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」になって両方ともが一級品になってましたからね。自分で脚本書いたってのが功を奏した、ってことでしょうか。ならばまあ先行投資としては、ご本人的にはよかったのでしょうけれども、お金払って観に行った観客にとってはなんだか判然としないものもあったりもするのでしょうね。

 

↑黄色矢印が、滝つぼに頭から真っ逆さまに落ちるマイケル・ダグラスで、赤丸が、ダグラスが持っていたカバンなんですよ。

 

↑で、なんとか助かって水の中から立ち上がると、まあしっかり持ってらっしゃるのですね。手で持ってるとかじゃなくって、なんなら落とすはずがない的に肩から掛けてる、みたいな。いやいや...。ショボーン

 

 あとそうそう、これ、ワニの生態も知らなさすぎでしょう。ラスト近くで、悪の親玉みたいなのがワニに腕をかまれてそのまま嚙み切られてしまう、ってとこがあるんですけどね、かみついたとたんにちぎれちゃったら「嚙み切る」ってこともあるのでしょうけど、基本ワニは「デスロール」デスからね。あんなことには絶対にならないのですよ。(筆者注:わたしのブログの「マンイーター」https://ameblo.jp/mitata4352/entry-12727066605.htmlの回も併せてお読みくださいニヤリ

 

↑まあワニはリアルでよかったのですけれどもね。

 

 さらに、このワニに腕を噛み切られたお方、いくらクスリ吸ってるからって言っても元気すぎでしょう。腕一本無くなってるんですからね。そらまたしかに、クスリのおかげで痛みはないかもしれませんけど、普通に出血多量で死にますって。ワニどころか、生きものの生態もわかってないってことでしたね。ガーン

 

 最後の銃撃戦も、だれもだれにも一発も弾当たんないし、なんとか良いところを見つけようと必死になってるこっちをあざ笑うかのような所業が次々と繰り広げられ、期待していただけにとってもザンネンなことになってしまったのでした。

 

 あ、でも、初期のアラン・シルヴェストリの音楽が映画で聴けるのは、それはそれで貴重ではありますね。それまではテレビドラマの作曲を中心に活動していた彼が、映画界に進出した事実上の第一作目ですからね。このあと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で大ブレイクするわけで、まだ本作ではテレビ音楽っぽくって、その違いを聴くのはおもしろいと思った次第ではありました。

 

 

今日の一言

「え~、ダグラス、あんたそれ、その服しかなかったのかよ……」

↑ファッションセンスは爆笑ものでした。爆  笑爆  笑爆  笑

 

 

レビュー さくいん