★★★★★★★★★☆

2005年 85min.

ネタバレ やっぱりしてしまいました。m(_ _)m

敬称略

 

 

 監督 ウェス・クレイヴン

 製作総指揮 ボニー・カーティス ほか

 製作 マリアンヌ・マッダレーナ ほか

 脚本 カール・エルスワース

 音楽 マルコ・ベルトラーミ

 

 リサ・ライザート:レイチェル・マクアダムズ

 ジャクソン:キリアン・マーフィー

 ジョー・ライザート:ブライアン・コックス

 シンシア:ジェイマ・メイズ

 キーフ:ジャック・スカリア

 ボブ:ロバート・パイン

 

 

 なんか「フライトなとんか」って映画が多くって、題名だけ聞くとどれがどれかよくわからんのですよ。その名も「フライト」から始まって、「フライト・リミット」(ダニエル・ラドクリフ)、「フライトプラン」(ジョディ・フォスター)、「フライト・ゲーム」(リーアム・ニーソン)、「デッド・フライト」、「フライトナイト」、で本作と。まあ最後の「フライトナイト」の「フライト」は「FLIGHT」ではなく「FRIGHT」ですからイミが違いますけど、いずれにしても原題に「FLIGHT」が入ってるのって「フライトプラン」だけですからね。(筆者注:「デッド・フライト」はサブタイトルに「FLIGHT」が入ってます)邦題つけるやつってどうしてこうもアホばっかなんやろ、ってこれは昔から変わってませんね。

 

 ただ、「フライトなんとか」って映画はどれもおもしろいって印象ですのでね、それはそれで楽しみではあるのですね。わたし本作は以前に観てますけれども、おもしろかったことはよく覚えてるのですが内容はまったく思い出せませんで、だからやっぱり楽しみではあったのです。

 

 ていうか、これまたウェス・クレイヴンやん、とはなりました。

 

 えと、これは再三言っていることなんですけれども、わたしが今こうして家で観てる映画って、DVDの蔵書が何千本とあるもんですから、クジ作ってそれ引いて観てるんですね。もちろん厳正なくじですよ。でもなんかつながりのある映画を引くことが多いんですよ。1か月以内に限ってるんですけど、つい2~3日前にこの人の監督作観たばっかじゃん、とか。あるときなんか、この人が監督であの人が主役だったってやつが、そのすぐ次に観た映画はあの人が監督でこの人が主役のやつやん、なんてこともあったり。で、今回はウェス・クレイヴン監督作を立て続けに引くという、これはもうなんかどっかで操作されてるやろとしか思えないわけです。(筆者注:前回更新が「エルム街の悪夢」でした)

 

 さて。

 

 オープニングはなんかいきなり不穏な音楽で始まります。まあそういうところはウェス・クレイヴンらしいですよね。しかもホラー映画界の大御所マルコ・ベルトラーミですからね、そら雰囲気バツグンなわけです。

 

 で、その音楽に載せての開始5分間の内容は、

 

↑ホテルの予約にミスがあって文句言われてアセるホテル従業員のシンシア(ジェイマ・メイズ)と、

 

↑それに対応すべく電話の向こうでシンシアをお助けする、できる先輩リサ(レイチェル・マクアダムズ)、というところです。

 

 それだけでこの音楽はなんやねん、という感じではありますが、それはまあいいです。そもそも監督がウェス・クレイヴンなわけですからね、どうせそういう音楽の映画だということはこちらも織り込まれ済みなのです。

 

↑こちらはリサさんのお父さんジョー役のブライアン・コックスです。

 

 ちょっと若いなあという印象ですが、いずれにしても普通のいい人役ってのは珍しい気もしますね。「グリマーマン」ではスティーヴン・セガールにボコられてましたし、「ザ・リング」ではヘンな人、「ボーン・スプレマシー」では情けないヤツでしたからね。なんか嬉しい気持ちにはなりました。

 

 若干ですね、

 

↑リサ、空港でぶつかったおばちゃんにコーヒーぶっかけられるんですけれども。

 

 若干黒めの服がラテかなんかの白い色で汚れてますよね。これをよく見て覚えておいていただければ、

 

↑トイレではこうなってましてね、

 

 そんなとこかかってへんかったやんけ、とはなりました。お、ウェス・クレイヴンでもこういうミスするんや、とちょっぴりホッコリしてしまいましたよ。普通なら、こういう細かいところもしっかりせえよ、となるところなんですけれども、ものがウェス・クレイヴンだとこちらも大甘採点になってしまいます。ので、心を鬼にして1点減点しておきました。

 

↑空港で偶然リサさんと知り合ったジャクソンさんのキリアン・マーフィー。

 

 いや、まあこやつがどうにも見た目も行動も胡散臭くて、ゼッタイあかんヤツやろ、ってことにはなりますよ。その実、悪いヤツだったんですけど、そんなわかりやすいのって人選ミスちゃう、と思ったり。でもよくよく考えたら別にそこまでこだわってはいないんやろな、とも思いました。

 

 ちなみにこの人、なんかどっかで見たよなあ、て思って調べましたら「28日後...」に出ておられましたよ。で、自分のレビュー見てみたら、「なんかどっかで見たような。あ『パニック・フライト』かあ」的なことが書いてありまして、笑ってしまいました。顔と一緒で印象薄いんですよね。なんかソンしているようで、気の毒になってしまいました。

 

↑開始20分過ぎ。とりあえずなにも起こりません。

 

 う~ん、ウェス・クレイヴンにしては珍しいなあ、ホラーじゃないからかなあ、なんて思ってました。そしたら、

 

↑とつぜんキリアン・マーフィーが本性を現して、核心ついてきました。

 

 これ時間配分、絶妙やん、です。悪いヤツだったというのは思った通りでしたけど、だからやっぱり別にこやつがいいヤツか悪いヤツか、というところはこだわってなかったんやな、ということですね。

 

 ここで内容がハッキリします。

 

 テロには屈しない、と宣言した政府高官のキーフ(ジャック・スカリア)を暗殺するために、キリアン・マーフィー筆頭のテロリストたちはキーフ一家が泊まる予約をしているホテルの従業員であるリサさんに協力させようとしている、と。で、リサさんに言うこと聞かせるために、実家にいるお父さんを監視しているらしいです。言うこと聞かんかったらいつでも親父を殺っちゃうよ、的な。あ、リサさんは、おばあさんが亡くなってお葬式に出てて、そこから父の待つ実家に戻るために飛行機に乗るのですね。その飛行機の中での出来事なのでありますよ。おお、おもろなってきたやん、ということなわけです。

 

↑とりあえずまだお父さんはご無事のようですよ。

 

 ていうかブライアン・コックス、めっちゃコワモテでとっても強そうなんですけどね。

 

 リサさんがお父さんに電話して無事を確かめましたが、これお父さんがリーアム・ニーソンだったらすぐに状況を把握して助けに行くのに、とは思いました。

 

 その後リサさんはなんとか誰かにこの状況を知らせようと画策するのですけれども、

 

↑けっきょくバレて、キレたキリアン・マーフィーに頭突きされとります。

 

 まあよくこうやってアクション映画なんかでもハデに頭突きしてますけどね、実際こんなんしたらやった方もそうとうなダメージなわけですよ。大学時代にプロレスやってたわたしが言うのですから、それは間違いないところなのですね。大丈夫かいな、なんて思ってましたら、

 

↑流血してるやん!

 

 いやウェス・クレイヴン、ぬかりないわあとわたし笑ってしまいました。

 

↑その後、飛行機の中はみんな寝てます。

 

 「エルム街の悪夢」か、と突っ込むのも忘れませんよ。ねらったのかとさえ思ってしまいますね。

 

 えと、要するにですね、キーフ高官の泊まる部屋をテロリストが指定する部屋に替えさせようとリサさんにホテルに電話させる、ということなのですね。で、飛行機から

 

↑電話をかけさせようとしてます。

 

 ところがこれ、あいにく天候不良で電話は途中で途切れてしまいますよ。でもそれはキリアン・マーフィーには知られていないようなので、切れているのにリサさんは話すフリをしますね。でも。

 

↑電話キレてもうたで、と書いてありますね。

 

↑隣のおじさんもちょうど電話してて、かからなくなるわけですよ。

 

↑やっぱりキリアン・マーフィーはそれに気づきますね。

 

↑当然バレるわけです。

 

 やっぱり、バレるときってのはそんなもんなんですかね。スティーヴン・セガールだったらうまく行くんでしょうけれども、まあここはウェス・クレイヴンですからね、ヒロインはとことん窮地に立たされるわけですね。

 

↑リサさん、トイレで泣き崩れますよ。

 

 いやこれ、どうするんやろ、て思ってしまいました。普通の女子ですからね、リサさんは。気持ちも優しいレディーなわけですよ。ジョディ・フォスターとは違うのです。(あ、ジョディ・フォスターがレディーでない、とは言ってませんよ、念のため。強い女子、ということです)

 

 なんか、ホラーよりキンチョーしているわたしに気づきました。

 

↑リサさん、涙目です。

 

 とうとうキーフ高官の部屋変更の電話をかけさせられてしまい、自責の念にかられての、の涙目ですね。レイチェル・マクアダムズ、演技上手いですねえ。初めて観る子だよなあ、なんて思ってましたら「ドクター・ストレンジ」に出ておられたそうで、すっかり忘れておりますよ。なんかそういえばこんな子が出ていたような、とおぼろげには思い出しましたから、今度観てしっかり確認しようと思います。「ドクター・ストレンジ」以外にもものすごくたくさん出演されておりますが、そこらへんはわたし観たことないです。後学のために覚えておこうと思ったのですが、まあもう忘れないでしょう、きっと。それだけ魅力ある役者さんというわけです。

 

↑部屋が替えられたことをいぶかしがるSPに対してのキーフさん。

 

 子どもを抱いているのがキーフさんです。リサが替えたんなら大丈夫やろ、って言ってます。まあそういうリサさんのできる女的なところを見せるのもさすがではあります。そしてそんなリサさん、飛行機が着陸しようという直前に、

 

↑なんかしようとたくらんでますよ。

 

↑一方キーフさんとこではSPが部屋チェック中。突然部屋が変わったわけですから、そりゃSPはチェックしなきゃ、ということですね。

 

 なんかね、2か所で同時進行的なところで、めちゃめちゃドキドキしてきましたよ。

 

↑首にペン、刺さってますね。

 

 リサさん、ゼッタイにあきらめない、って言って、忍ばせておいたペンをキリアン・マーフィーの首にぶっ刺します。あ、とうとうやってまいよった、て感じですけど、だからもうここからのドキドキがハンパなくなります。

 

↑なんとか逃げ出して先に飛行機を降りたリサさんとそれを追うキリアン・マーフィーの、空港の中でのチェイスが始まります。

 

 いやでもこれキリアン・マーフィー、首にペンが刺さってたんですよ。自分でペン抜いて走ってます。悪いヤツなのに、おいおい大丈夫か、と心配さえしてしまいます。気管に刺さってたって言ってたのに全力疾走してましたからね。おとなしくしとけや、って思ってしまいました。

 

 その後リサさんは、お父さんを助けるべく実家に車を走らせますよ。でもこの車、空港で見ず知らずの人から奪ったんですけどね。わたし、奪われた人の気持ちになってしまって気が気ではなくなってしまいました。

 

↑なんか自分の車のようにしてますけど、

 

↑じつはこの人の車だったりします。

 

↑リサさんは同時にホテルにも電話しますよ。

 

 部屋を替えたことの真実を伝えねばなりませんね。そうしてキーフ高官をテロの手から逃れさせないといかんのですよ。同時にお父さんも助けなアカンですし、めっちゃキンチョーしますね。ちなみにかけてる電話はキリアン・マーフィーからうばったものです。キリアン、とことんですなあ……。

 

↑けっきょくキーフさんはこの子のおかげで助かりました。

 

 最初のシーンでシンシアはバッタバタでしたけれども、リサさんの言うことを聞いて一所懸命頑張りました。花マル級の活躍でしたよ。最後キーフさんからねぎらわれますけれど、わたしホッコリしてしまいました。

 

↑お父さんもオッケーです。

 

 でもね……。でもなんですよ。だってまだあと15分近く残ってんですよ、上映時間。これから先まだなにがあるんや、て思ってましたら、

 

↑こやつを忘れておりましたよ。

 

 やっぱキリアン・マーフィー、影薄いやん、て思ってしまいましたが、でもこの人の登場でまたキンチョーしてきます。

 

 なんなんですかね、やっぱり本作が30分過ぎからずっとキンチョー案件だったから、影が薄くったってキンチョーしてしまうんでしょうかね。そう考えると本作、やっぱすごいやん、ということですね。

 

↑自分の家の中でリサさんとキリアン・マーフィーがチェイスです。

 

 ここらへんはずっとホラー感満載で、さすがな演出でありました。

 

↑で、最後はお父さん、いいとこ持って行きました。

 

 さすがですね。同時に、ブライアン・コックスよかったねー、となりました。やっぱり強かったわけです。

 

↑すべてが終わって、冒頭シンシアを悩ませてた夫婦が出てきましたよ。

 

 右の旦那さん役の方、ロバート・パイン。ドラマ「白バイ野郎ジョン&パンチ」で署長の役をやられていた方です。めっちゃ懐かしいですが、全然変わってないのはビックラでした。

 

 ということでキリアン・マーフィー、最後はもう見る影もなくボロボロで、けっきょく最後の最後まで影も薄く、しっかり溜飲が下がりました。そういうところではウェス・クレイヴン、ホラーにはない一味違う演出はそうとう楽しかったのだとお察しする次第です。

 

 いやあ、おもろい映画でした。

 

 

今日の一言

「あーあ、車、大破やん……」

 

 

レビュー さくいん