★★★★★★★★★★
1984年 91min.
ネタバレ みなさん知ってますよね。
敬称略
監督 ウェス・クレイヴン
製作総指揮 スタンリー・ダデルソン、ジョセフ・ウルフ
製作 ロバート・シェイ
脚本 ウェス・クレイヴン
音楽 チャールズ・バーンスタイン
フレディ・クルーガー:ロバート・イングランド
ナンシー・トンプソン:ヘザー・ランゲンカンプ
ドナルド・トンプソン警部補:ジョン・サクソン
マージ・トンプソン:ロニー・ブレイクリー
グレン:ジョニー・デップ
ロッド:ニック・コッリ
ティナ:アマンダ・ワイス
キング医師:チャールズ・フライシャー
なんかこれ、ほんとに「悪夢―っ」て感じの映画やわ、って初めて観たときに思ったのを鮮明に覚えてます。イヤーな感じしかしませんでしたね。ジョニー・デップのデビュー作でもありますよ。
監督のウェス・クレイヴンは「スクリーム」の監督もしておられましたが、もう8年も前に脳腫瘍で亡くなられました。あまりのショックでわたし、この報を見てしばし絶句してしまったものです。
映画はさすがのウェス・クレイヴン。オープニングからもうすげえ音楽だわ、という感じで緊張を強いられます。
わたし、ホラー映画ではよく、夢オチだけはやめてくれ、なんて言ってますけれど、そう考えたら本作は夢オチでしかないわけですが、とはいえそこはそれそういう映画ですのでね。悪夢を見てうなされて起きたらそれが現実のものとして自分の身にふりかかる、という。若干夢オチとは違う気もしますし、そんなん怖すぎるって、というわけですよ。
↑のちのジャック・スパロウ船長ですね。
めっちゃ若いです。イケメンいうか、かわいいですね。今みたいにスレてないのが笑えますけど、よく考えたらジョニー・デップ、もう還暦なんですね。て、ということは本作、なんとまあもう40年も前の映画じゃないですか。それでもこれほど楽しめるってのは、ほんとにこれ名作なんやなあ、なんて感慨にふけってしまいました。
↑左が本日の主役、ナンシーのヘザー・ランゲンカンプ、右がティナちゃんのアマンダ・ワイス。
二人とも同じ夢を見ていた、ということが明かされますよ。フレディが出てくるやつですね。おおお、ではいったいどういうことか、とこちらは色めき立ちますね。なんで同じ街に住む友達どうしが同じ夢を、しかも悪夢を、見るのかというのがギモンなわけですけれども、それが本作のキモなわけで、ほんとこれ、いい脚本やなあと思うのですね。
にしてもこれ、すごいキャラを創り出したとつくづく思います。同じ得体のしれない殺人鬼で言えばジェイソンが筆頭ですけれど、それよりもはるかに怖いですよ、見てくれも、やってることも。フレディのほうがジェイソンよりも人間味がある(というのか?)のでよけいに怖いんですね。
↑こちら、既出のティナちゃんです。アマンダ・ワイス。
まずこのティナちゃんが悪夢を見る、というところから始まります。ところが先にも書きましたように、のちほど友達みんなが同じ夢を見ていたということがわかりますね。そりゃ、話が進むにつれて、なんやなんやとなりますよ。ドキドキするわけです。
まずみんなは、ティナちゃんが悪夢でうなされていると知って、みんなでティナちゃんの家に集まって「ティナちゃんを守ろう会」を結成するわけですけれども、けっきょくみんなやっぱり怖いのですよ。同じ夢、しかも悪夢を見ているわけですから、そりゃ怖くないわけがありませんね。ここではお互いにその話はしませんけど。だからまだみんな同じ夢を見ているということは知らないわけです。
もちろん主人公のヘザー・ランゲンカンプもティナちゃん家(ち)で泊まって寝てるんですけどね、
↑後ろの壁がこうなったりするわけですよ。
なんかですね、最初っからそうなんですけど、どっからどこまでが夢で現実なのかってのがとってもあいまいになってます。この境界をあいまいにすることで、恐怖が増してくるわけです。
↑ティナちゃん、なんかに呼ばれて家を出てきますよ。
おいおい、出たらアカンやろ、とは思いますけど、でもこれが夢ならしゃあないか、って。すっかり観ている側もワールドに引きこまれてしまうわけです。
↑実際にこんなん見せられたらわたしはチビっちゃいますよ。
そして、
↑フレディ登場です。でもって即
↑追っかけられますよ。
身体がこわばりますね。まあこのキャプチャー見るとなんかマンガ「動物のお医者さん」を思い出しましたけど、そうでもしないと怖さで脳みそがどうにかなってしまいそうです。
↑で、ティナちゃんギセイになりました。
ここのシーンではティナちゃん、「魔女の宅急便」のように真っ白なパンツを見せまくって熱演してましたので、こうご期待です。まあ、時代でしょうかね。今これやったら物言いがつくことは間違いないです。
↑ジョン・サクソン出てきました。
いやあ、懐かしいですねえ。ヘザー・ランゲンカンプのお父さん役の警部補さんです。若干カツラが気になりますが……。
で、やはり警察はフレディなんて信じませんから、ティナちゃんを殺ったのはいっしょにいたボーイフレンドのロッド(ニック・コッリ)が犯人やろと決めつけます。でも観ているこっちは、そら当然そうじゃないってことは知ってるわけですから、どんどん不安をあおられますね。
ここまで20分過ぎ。なにせ余分なシーンが皆無です。もったいぶらずに徹底的に展開が速いですから、ものすごくのめりこんで、息抜くヒマもありませんよ。
↑こちらがそのロッド役、ニック・コッリです。
いやいや、コッリてどう読むんやて思いますけど、「コッリ」は「コッリ」て読みますね。いい役者さんだとわたしは思いますよ。男前ですしね、マイケル・ジャクソンに似てるし。でもなんかいまいち露出が少ないですね。ドラマ「CSI:NY」に出てたですけど、今はどこでなにをしているのかまったくわかりません。どうしてるんですかね。
↑そしたら授業中にヘザー、寝てしまいました。
まあ、授業中に寝るなんざわたしからしたらほとんどデフォルトなわけですけれども、こと本作にいたってはこれが命取りになりかねません。あかんやん、てなります。そもそも前に出てジュリアス・シーザーを朗読してるクラスメイトが、
↑ささやくように読むわけですよ。プラネタリウムか、て。
そしたら、
↑ティナちゃん、現れました。
見えませんけど、死体袋の中身は紛れもなくティナちゃんです。
で、
↑ヘザー・ランゲンカンプは着いて行ってしまうのですね。
で、ここのシーン、またこれ音楽の使い方が素晴らしいです。へんにおどろおどろしくなく、しかもうるさくもなく、ただ胸に響くようなそれでいて静か~な音楽に終始してます。もういややーっ!てなりますよ。秀逸なわけです。
ホラーって、やっぱりなんか大騒ぎ系が多いじゃないですか。そんな中で、こうしてずーっと静かで、でもハデなところはハデで、ってのはほんとに斬新です。しかもその監督が、のちに「スクリーム」を監督するわけですよ。どんだけ才能あんねん、てなりますね。
↑ニック・コッリは捕まってます。
目の前で彼女が殺されちゃうんですよ。でも彼にはそのティナちゃんを襲ってるフレディは見えなかった、と。ここのシーンでは、だから最初はヘザー・ランゲンカンプでさえ信じてくれませんでしたけれども、そこでニック・コッリが初めてフレディの話をすると、それで疑いが晴れますよね。ヘザー・ランゲンカンプも同じ夢を見ているわけですからね。流れも悪くないですね。普通にこうなるだろ、って感じでムリなく話が進んでいきます。だから観やすいし、感情移入もしてしまうわけですね。
↑そんな足開いて湯船につかるか、て思ったんですけど、こうして手を出すための所業だったのですね。どうやって撮ったんやろ、ていうのは今観ても不思議ですけど。
お風呂で寝ると溺れるよ、ってわたしもよく妻に忠告するんですけど、一回この映画観せたら寝ないようにするかもですね。ていうか妻はゼッタイに観ませんけどね、こんな怖い映画。
なんて言ってたら、
↑ヘザー、溺れました。
いや、ていうかこの映画、ほんとに終わるんか、ってそこも怖くなってきましたよ。どう収拾つけんねん、て。もうそれくらいフレディが強いわけですよ。そこらへんはジェイソン並みですね。
まあとりあえずここはなんとか乗り切って、さあそうするといかにして寝ないようにするか、ってのが重要課題となってきますよ。
↑いやだから寝たらアカン、言うてるやん、なんて思ってましたら、
↑観ていたテレビがどっかで観たことある、的な。
↑「死霊のはらわた」でした。
いや、シャレも効いてますよ。うれしい限りですね。
さて、話はここから急展開です。ヘザーが夢に入ってフレディと対峙する、ということになっていきます。でもそういうところでも、やっぱり夢と現実の境目をあいまいにしているので、もう心臓バクバクになるのですね。
で、もうひとつナットクなのは、夢だからこそフレディが神出鬼没なわけですよ。あっちにいたのに振り返ったらそこにいる、なんてのは当たり前にできちゃうわけです。まあフレディですから、神出鬼没いうよりは鬼出鬼没ですけどね。
で、そうこうしてましたら、
↑ニック・コッリも殺られました。
観ている側はまったく心休まりません。これもすごいことです。上映時間91分。エンドロール差し引いて実質88分なんですけれども、だから長いホラー映画なんて極力ムダを排除すれば、同じように80分台で終わっちゃうんだと思いますよ。とりあえず本作で唯一休めたのは、
↑お葬式のとこだけでした。
これではこちら側もまったく救われません。しかも休めたのもほんのちょっと。
↑親子3人なんですけどね。
ヘザーが両親にフレディの見てくれとか特徴を話すと、その両親が若干ビビりだすんですよ。いやいやまてよ、と。両親、なんか知ってんちゃう?ってなるともう休んでる場合じゃなくなってしまいますね。
で、ヘザーは治療と称して、母親にむりやり病院に連れてかれますよ。でも病院での診察は寝ている時の脳波を測定するってやつですのでね、当然ヘザー、寝なくちゃいけません。そしたらどうなるか。
↑そらこうなりますよね。
当たり前ですけど、悪夢を見るわけです。でもね、ここのシーンでは夢の中で何が起こってるかは見せないんですよ。とにかく病院のベッドの上でヘザーが暴れている、脳波は乱れまくっている、観せるのはそこだけなんです。これはスゴイですよ。なんて演出なのか、って思いますよね。ここへ来てこれかよ、みたいな。何が起こってるかは想像してください、ってことですよね。もう脱帽ですね。
これ、何が起こってたかどう想像したかって、観た人全員に聞いてみたいもんです。
↑で、ヘザー目覚めると帽子持ってます。
奪ってきた、って。もう恐怖でしかないですね。実際にこんなこと起こったら、もう絶望です。ごめんなさい、しかなくなります。
↑で、病院から帰ってきて自宅の地下室で真実が語られます。
いや、その話も、それはそれでおぞましいんですよ。もうほんとにできた脚本なわけです。言うことがイチイチ恐怖です。「フレディはもう死んでるから安心して」て母親(ロニー・ブレイクリー)が言うんですけどね、いやいやそうじゃないんや、て。死んでるから怖いんやて、です。
↑ジョニー・デップもハデに殺られました。
寝ていたベッドに引きずり込まれて、大量の血が噴き出てます。まあこれ、一人分の血液ではないな、て感じですけどね。鑑識も吐くほどの惨状ですよ。でも、ことこの映画に関してはそんなこともうどうでもいいのですね。
↑ジョニー・デップのお母さんは熱演でした。
↑さあ、ということでいよいよ夢に乗り込んでフレディと対峙することになりますよ。
いや、そのヘザーの勇気は大したもんですね。友達みんな、夢の中の殺人鬼に殺されてそうとう心細いはずなんでしょうけれどね。でも、ここまでくるとほっといても殺されるだけなら、じゃあ同じ殺されるでも抵抗してやれ、とはなるかもしれませんね。みすみす殺されるの待ち、は人生もったいないですからね。
↑で、フレディを呼んでます。
でもね、やっぱり強そうでも、ものはJKですからね。わたし、娘を持つ父親としてはもうドキドキが止まりませんでしたね。
↑で、ヘザーが夢に入って4分、フレディが顔をのぞかせますよ。
いや、4分てけっこう長いです。そのあいだずっとこちらはキンチョーしてますから、これくらいの焦らしは映画としては全然オッケー、言うか必要なんだとさえ思いました。
↑さあ始まったよ、なんて思ったんですけれど、
↑あらかじめかけてた目覚ましで起きちゃいます。
ええっ、て。だって上映時間残り10分ないんですよ。どうすんねん、て。
まあでも、そんなことはいらぬ心配ですね。
↑もちろんこうなります。
いよいよフレディ、現実世界に出てくるのか、てことですよ。でもそんなことあり得ないかもしれないし、とはいえ帽子持ってくるくらいだからフレディが夢から現実に出てきてもおかしくないし、と、こうなるともう観ている側も映画同様パニックですね。まんまと監督の術中にハマるのです。
↑フレディ、やられますよ。
ヘザー・ランゲンカンプ、強いですね。さすが主役です。でもこれで終わるとはとうてい思えません。
↑お母さんはこうなりました。
もうですね、何もかもが夢と現実がごっちゃになってましって、あと味がすごく悪いです。闘いが終わったのかどうかももうわかりませんよ。まあ最後はジョニー・デップの言いつけ通りにヘザー・ランゲンカンプがフレディをやっつけるわけですけれども、これすらほんとにフレディがやられたのかどうかはわかんないわけです。
一応やっつけたみたいで、その実、殺られたはずのみんなは現実世界に戻ってきました。ただこれも、フレディのエネルギーを吸い取ったからって死んだはずのみんながどうして戻ってくるんや、てことにもなりますよね。けっきょく壮大な夢オチだったのか、ってギモンもわいてきます。
でもラストのラストを観ると、そうでもないようですし、なんかこれほんとに最後まで夢と現実をあいまいにされて考えさせられる一品となってしまいました。
↑だってやっぱこうなるんです。
いや、どれがほんまやねん、と。観ているこちらも夢の世界に引きずり込まれた、そんなあと味の悪い映画でした。
でも、あと味悪いからっても、悪い気は全然しないんですよ。なんか、まんまとしてやられた感、いうか。やられたな~、って。
はぁ、すごい映画でありました。
今日の一言
「フレディって帽子被ってるイメージだったけど、途中でヘザーに帽子取られるから後半ほとんどハゲ頭だったわ」
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