★★★★★★☆☆☆☆
2002年 114min.
ネタバレ しちゃいました。すみません。
敬称 一人以外は略
さて、こちらは正統派ホラーの認識ですが、前回紹介した「ハッピー・デス・デイ」のことがありますので、ちょっと身構えて観ることとなりますね。「ハッピー・デス・デイ」は過去に戻るお話でしたが、今回は未来の話、なのでしょうか。
なんて思ってましたら、のっけから狂信的な動物愛護団体かなんかのバカどもが、人の言うことも聞かずに、怒り狂ったチンパンジーに殺されるのですけれども、その際になんかに感染したらしくって、そうなるとホラーでなくってパンデミックの話なのか、とちょっぴりガックシすることとなります。まあそれは、ちょっぴりですけどね。
で、次の瞬間いきなり “28days later” って画面が出てくるのですけれども、タイトルなのか注釈なのかはわかりませんね。どちらも狙ったのかもですが、まあそれはいいです。
↑いや、なんでもいいですけど、ちん○こ丸出しやん!
製作国はイギリスですから、舞台はロンドンですね。だれかがなにかに感染して、たまたまそのときに病院で入院していて、感染から逃れたち○んこ丸出し男 がそれからの28日後に目覚めてみると、周りには誰もいなくて、しかもロンドンの街にも人っ子一人いなくって、という設定ですよ。撮影は大変だったでしょうね、なにせロンドンにだれもいないわけですからね。
↑早朝の撮影だとは思いますが、大したもんではあります。だーれもいないのです。
しばらく徘徊して、次第にななんか死体とかが出てきて、ああ、おれだけ助かったのか、的なことになっていくわけですが、そこまでのシーンは長すぎず短すぎずで、観やすくはなってます。いい傾向です。
↑これだけの死体が転がってるところを発見して、いよいよなわけですが、なんでもいいですけど、こんなことになっていたらその臭いは耐えられないと思いますけどね。全然へーきそうでした。
↑そうこうしてたら、神父が這って出てきます。これで、あ、なるほど、と。なるほどこれはゾンビものか、となりました。う~ん、もうちょっと斬新なホラー感を期待していた身としては、ちょっと拍子抜け、ではありましたが。
えと、要するに、あるウィルスでチンパンジーをわざと凶暴化させて、そのウィルスを鎮静化させるという研究をしていたところが、あの冒頭の動物愛護団体のクズどもがチンパンジーを開放してしまい、自分たちが噛まれるなりひっかかれるなりして感染して、そしたらそれが一気に拡大しての、パンデミック系ゾンビ映画、という感じですね。そういえば、オープニングの排他的な感じが、いかにもゾンビっぽかったような気がしないでもないです。
↑主役のジム役、キリアン・マーフィー。ああ「パニック・フライト」ね、と。おぼろげに思い出しました。
↑もう一人の主役セリーナに、ナオミ・ハリス。どうして感染しないやつがいるのか、なんでこいつらは感染しないのか、ってのはわかりません。そういうのはどうでもいいのでしょうかね。わたし的には、けっこう大切なことだと思うのですが...。
とりあえず主役どうしが出会って(あ、もう一人、マークってのがいました。直美さんと一緒にいた男です。ノア・ハントレーという方だそうですが、イギリスの役者なのでしょうかね、わたしまったく知らない人です)、まず実家に帰りたい、と。その気持ちはよくわかりますね。ダメだとわかっていても、確かめないと絶対後悔しますしね。で、確かめて後悔する、というのもパターンではありますが...。まあ、その道中に、感染者のだれにも会わないってのはどうかとは思いましたが。
で、30分ほど経ちましたが、まだこの段階では、感染した理由も感染しない理由も出てきませんね。全編114分ですから、もうそろそろそういうところを教えてもらわないと、ちょっとイライラします。大まかなことは先にも書いたようにわかりはしますけれども、やっぱりちゃんと示してほしいと思うのは罪ではないですね。
なんて思ってたら、ジムの両親は亡くなってましたけど、彼らは世を儚んでの自殺という設定でした。そこらへんも、感染した人しない人の境があいまいで、判然としない部分ではあります。観客のほうがいろいろ考えなアカンのでしょうか。ここまでくるともう、なんなら病院に一人で残っていたジムでさえ、怪しく思えてきました。どう怪しいのかはわかんないですけど。製作陣の思うつぼ、というならいいんですけどね。
↑ここはちょっとだけビビリました。ゾンビにいきなり飛び込んでこられては、確かに怖いわな、という感じですよ。
↑で、マーク感染、と。やるせないような絶望感のあるいい表情です。
↑次の瞬間、尚美さんに殺されました。まさに瞬殺、です。
なお美さんいわく、感染したら、10秒から20秒で殺さなアカンのや、と。なかなかにハードではありますね。あ、でもわたし気づいてしまったのですが、別に20秒経とうが1分経とうが、一日だろうが28日だろうが、殺さなアカンのはアカンでしょうが。たぶんこれ、感染して20秒でゾンビになる、ってことなんでしょうね。脚本力?でしょうか。ひょっとすると日本語訳が間違っているのかもですが、もうそこは今では検証できません。すみません。m(_ _)m
ところで奈緒美さん。わたしの知ってる限り、この日本名が名前になってる外国人は、こちらのナオミ・ハリスとナオミ・ワッツ、ナオミ・キャンベルと三人おられますが、その中でもハリス氏は一番の武闘派でありますね。かっちょえいです。
ゾンビたちは、ジョージ・A・ロメロとは違って、ものすごくスピーディーですよ。どちらかというとダン・オバノンの「バタリアン」派ですね。どちらかというと、ではないです。間違いなく、です。やっぱり、ゆっくり動くゾンビもめちゃめちゃ怖かったのですけれども、本作のような「走るゾンビ」にはかないませんね。わたし、はじめて「バタリアン」観た時は、笑ってしまいましたもんね。いきなり降ってわいてきますから怖いのですよ。この映画でもそうでした。ただ、どうして感染してない人間たちの居場所がわかるのかは、不明でしたが。
その後、新キャラが登場します。まあさすがにこちらも、これ最後まで二人で戦うわけないとは思ってますから、そこはそれ違和感はないですよね。
↑お父さん、フランク役はブレンダン・グリーソン。子供がいて強そうなパパは、早くに殺られそう感満載です。
↑娘のハンナにミーガン・バーンズ。この娘の方が強そうですよ。
ここで四人そろったわけですが、このあとちょっとだけ、まあこうしたホラー映画にはありがちな、ひとときの安心感、の時間となります。そういうのがいいかどうかはわたしにはわかりません。いい時もあるし悪い時もある。ただ本作は、冒頭からずっとキンチョーしていたわけですから、こういうシーンは必要なのかもですね。「ゾンビ」でもそうでしたしね。タンクトップのケン・フォリーが忘れられませんよ。ある意味トラウマではあります。
↑さっぱりしましたね。いい感じですが、やっぱり怪しさは変わんないです。
↑なおみさんは女性っぽくなりました。以外に子どもっぽい顔立ちです。そのギャップはいいですね。
さて、そうこうしていると突然ラジオから軍の放送が流れてきます。こちらは軍でどこそこにいるから生きている人は来い、みたいな。それで、行く、行かないで若干もめます。そういう葛藤は絶対ありますよね。ただいずれにしても、観ているこっちは絶望感しかないです。どうせ、という言葉が頭を駆け巡るわけです。「どうせ、軍のやつらだってもうみんな死んでるだろう」とか、「どうせ軍なんて、ロクなやつはいやしない、女性連れてったらタイヘンなことになるに決まっとる」とか。
けっきょく行くことになるわけですが、そこからはちょっとしたロードムービーと化します。
↑ここは戦争映画のようでした。やっぱり絶望感しかありません。
で、早いウチに闘うお父さんが、人の言うこと聞かないでタイヘンなことになってしまいました。まあしょうがないですね。そうして盛り上げないことには、ほんとにロードムービーになってしまいますよ。
↑ギャー、言いながら全力疾走してくるわけです。
そのあと、ショッピングセンターからタンクローリーへと話が進んで、「ゾンビ」のオマージュ的なシーンが続きました。でもイヤミはないですね。しっかりとこの映画の世界観はくずさずに、「ゾンビ」へも媚びを売るという。(←悪口やん)
あ、でもそうこうしてると、命を助けてもらって感謝していたキリアン・マーフィーが奈保美さんに文句言い出しました。やっぱりやべえヤツなのでしょうか。なんか絡んでるとしか思えないんですよね。襲ってきた子供もヘーキで殺してますし。さすがのケン・フォリーも、子供ゾンビを撃つところはめちゃくちゃためらってましたよ。
↑でもこのシーンはすっかりロードムービーですね。
話の流れとしては、静と動をムリのない範囲で交互に見せて、それはそれでメリハリついてていいのですけれども、ただゾンビの出演が少ないんですよ。やっぱりそれは物足りないところではあります。このままだとほんとにロードムービーになってしまいかねないところなわけです。
↑ただこのシーンは、静の中に動があって、とってもいいシーンでした。静かな中の絶望感は、まさに終末的で、この映画の最高のシーンだと思います。
さて、ロードムービーも終わって、いよいよ軍のいるところに行きますが、やっぱりというかなんというか、誰もいません。そしたらフランクお父さんがキレます。でもね、ここは、せっかく直前でいいシーンだったのに、あまりにも豹変しすぎで、なんか観ているこちらは若干シラケてしまいました。あーあ、娘の前なのに、そこまでキレるか、なんて思ってましたら、まあ案の定とでもいいましょうか、感染してしまいましたね。感染の仕方は斬新でいいですけどね。そしたら、実は隠れていた軍のやつらに抹殺されてしまいました。あまりのあっけなさに、少々とまどいます。う~ん、的な。
ちょっとですね、この軍が出てくるあたりから、ヤバい映画になりだします。「ゾンビ」を踏襲している割に、エンターテインメント性は皆無で、救いがありません。そもそも軍の存在って、こういう映画では総じて悪者扱いですしね。「死霊のえじき」なんてその最たるもんで、ああそうか、と。「ゾンビ」ではなく「えじき」をオマージュしたのか、と思い当たりました。
↑ゾンビ捕まえて鎖でつないでるし...。
そしたらやっぱり、「女はもらう」とか言い出しましたよ。そういう話は必要なんですかね。そうなることはあるかもしれないですよ、今じゃみんな、世界中の誰でも、ロシア軍がウクライナでしてることは知ってますしね。でも、だからこそこんな胸クソ悪いシーンは、わたしは出してほしくなかったと思いますね。ベトナム戦争の映画とかは事実ですから、それはそういうシーンがあっても仕方ないですし、映画だからこそそれはやらなきゃならないシーンだと思います。でも本作は、ゾンビ映画ですからね。ドキュメンタリーではなくってエンターテインメントなわけですよ、あくまでも。しかも女って、菜穂美さんと娘ちゃんしかいないんですよ。幼女凌辱じゃないですか。アメリカだったらたぶんそれはご法度だろうな、と思うと、アメリカでさえそれなのに、とザンネンでなりません。
さて、そうこうしてますと、とうとうジムが凶暴化しました。軍に手かせをくらわされて、ゾンビの群れの中に置き去りにされそうになって、そしたら突然凶暴になりました。あ、やっぱり、って思いましたけど、なんか知らない間に手かせは外れていて、あれっ、という感じも否めません。なにやらここへきて、雑になってきました。
最後はけっきょくなんやかやでわやくちゃになって、よくわからないまま、軍は絶滅してしまいました。ジムもけっきょく凶暴化したのはなんだったのかわからないまま不通に戻ってますし、前半のほうのしっかりした作りが、最後にきて台無し、とまではいいませんけれど、もったいない気がします。娘ちゃんのハンナががんばったていうのと、ジムが一人でおいしい役だった、て印象しか残らない結果となってしまったのでした。
↑髪伸びてかっこよくなってるし...。
☆6つが限界ですかね。もうちょっと最後まで気を配って、エンターテインメントに徹していたら、面白い映画になったと思います。最後はほんとに胸クソ悪かったですからね。ザンネンでした。
今日の一言
「ペプシはいいけど、リルトとタンゴってなんだ?」
DVDでは特典として、もうひとつのエンディングってのが入ってました。なんかそっちの方が劇場公開版だったそうですけれど、そちらだとジムは死んじゃってました。エンディングとしては、だんぜんDVDのほうがいいと思いましたよ。