これで有料はぼったくりだ
まぐまぐのメルマガのメールを受信しています。有料と言いながらほとんどは「クズ」のメールで、これを有料とは「詐欺」か「ぼったくり」の世界だと思うものがほとんどです。
今週ひどいと思ったのがこれ↓
by 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!
政権批判したいのか、読者の不安心理を煽って有料メルマガを読ませたいのか知らないが内容が劣悪です。自称「投資コンサルタント&マネーアナリスト」らしいですが、こんな認識でやられたらお客さんが可哀そうだと思いながら読みました。書いてある内容が嘘ばかりなのでどうしようもないですがいくつか触れておきます。
1.為替:1ドル=500円の悪夢
日本の国力低下で円の価値はどんどん下がって、1ドル=500円もありうるという。
「この人は正気でこんなことを書いているんだろうか」というのが、私の感想。為替レートは国力の上下で決まるものではなく、基本は通貨の流通量で決まるものと認識しています。したがって、米国がインフレ抑制のために通貨の流通量を減らす(=金利を上げる)政策を取ればドルの流通量が減るので他の通過に対して相対的にドルの価値が高くなる。さらに日本は金融緩和を継続すると円の流通量は減らないので円安が進行する。それだけの話です。あとは市場関係者の思惑でしょうか。
もし本当に1ドル=500円になると思うのであれば、神樹兵輔氏なる人物がくだらないメルマガが書いている暇があったらほかの人が買う前にせっせとドルを買えばいいだけのことです。昔の賭博師が「女房子供を質入れしてでも勝負する」というあれです。是非全財産でドルを買ってほしい。きっと大儲けできるはずです
2.金利:日銀は金利を上げられない
金利を上げると国債の価値が下がって日銀は債務超過になるから金利をあげられないという。
金利を上げると国債の価格は下がります。日銀は簿価会計なので含み損は表面化しません。それでも神樹氏は世界の主流は時価会計だから、世界のマーケットが放っておかないといいます。マーケットは円を暴落させると言いたいのでしょうか。かつて安倍元首相は「日銀は政府の子会社」という表現をしましたが、これが世界の常識で中央銀行と政府は一体と考えるのが普通です。金利も手数料も発生しない日銀保有の500兆円の国債をもって債務超過と考えるでしょうか。日銀が金利をあげないのはコアコアの消費者物価指数が上がってきていないことが主な原因だと思います。
神樹氏がいうように「金利が上がらない」と考えるのであれば、「質入れ」どころか、借りられるだけ借金をして全額ドルを買えば大儲けできます。買いますか
3.年金:制度を支えきれずに払い損
年金制度は現役世代が高齢者を支える制度ですでに赤字だから現役世代は払い損になるという。
神樹氏はいきなり厚生年金の話をしていますが、マクロで言うと以下のとおりです。
GPIF(年金運用の独立行政法人)の運用資金が約200兆円あります。年間の年金支給総額が50兆円、年金保険料の収入が40兆円で差額の10兆円が一般会計から支出されています。年金の資金を一部株式で運用するというのは個人的には好きではありませんが、毎年10兆円ちかく増えており破綻の要素はありません。
一方、個人の年金については国民年金(=厚生年金の基礎年金部分)は保険料として現在は16000円台/月の保険料です。仮に月17000円として20歳から60歳まで保険料を納めると17000*12*40=8160000 800万円強の納付となります。受給額は月額65000とすると、125.5か月(=約10年半)で元が取れる。65歳から受給を開始すると76歳まで生きるとプラスになります。これって払い損でしょうか
神樹氏は厚生年金の事業所の半額負担部分を除いて計算するのはまやかしだと言っていますが、被保険者の負担金額をベースに素直に計算しただけでおかしくはないと思います。ねんきん定期便か年金機構のサイトで自分の年金がどうなっているか調べればすぐにわかることです。
ほかにもあるのですが、書いていてばかばかしくなってきましたのでこれくらいにしておきたいと思います。
くれぐれも悪質なメルマガにはご注意ください。
以前、橘玲著の『国家財政破綻に備える資産防衛マニュアル』とかいう本(題名が違うかもしれません)を読みましたが似たようなことが書かれていました。不安心理をあおるのは霊感商法のようなもので旧統一教会と一緒に取り締まり対象にしてほしいものです。
なお、上記は経済ド素人の私個人の見解です。見解には個人差があることを前提にお読みください。