サーバーダウンのため長らく、連載を休んでいましたが、ftpも回復しHPに反映されることも確認したので、再開します。4日以上休載したので初回が随分遠くなってしまいました。

 

Claude Maury(ホルン奏者)の記事に基づいてOmnitonic Hornについて考察していく連載その3です

 

今回も具体的な楽器から見て行きます。

 

ジャンバプティストタバード(Jean Baptiste Tabard)(1820年頃) 
 

 これまで、パリの音楽博物館のコレクションの一部である楽器自体を除き、リヨンの郵便配達人ジャン・バプティスト・タバードのオムニホルンに関する情報はありません。 なぜなら、当時の解説者もそれを明らかにしていないところから、このシステムには特許が取られていないようだからです。 この楽器については、19世紀当時の音楽家や楽器に関する有識者はこれら細部についてまで知らされていませんでした。また多くの楽器が発明され製作されたので、全てについて詳細に解説するのは不可能でした。


 パリのMuseede la Musiqueの楽器の日付は「1820年頃」ですが、その発想日または製造日を確認できる情報は見つかりませんでした。 いずれにせよ、この楽器は試作品にすぎない可能性が非常に高いです。なぜなら、もし製品であれば、ドキュメントが見つからないはずがないからです。 

  楽器は元々は現在の状態ではなくいと思われます。なぜなら現状、楽器の最低音の長さを作る連続パイプであるということのみで、演奏することも、正確に機能するかを理解することもできないからです。一方、この器具には、それ自体で旋回する10個のピストンが備わっています。チューブ全体が巻き付けられ、各ピストンが途中の2点でチューブと接続できるようになっています。ピストン自体を回転させることにより、おそらくチューブ内の空気の経路を変更して、チューブを短くしたり長くしたりする必要があります。 (後に紹介するCallcott楽器のように)すぐに現れるポイントの1つは、パイプの長さの2つの部分をピストンで接続するために必要な非常に大きな円筒形の部分です。このシステムの動作に関する大きな疑問は、分解できたピストンが、空気の通過が2本のパイプで同じ軸上にあることを示しているという事実にあります。おそらくいつか、この楽器についての情報を見つける機会があるでしょう。 

 

と、ここまでが本文からの引用です(フランス語から訳す際に削ったり変更したりしたした部分もあり忠実ではありません)

 

 

上の絵の楽器が、タバードの楽器のイメージですが、確かに二本の管があります。

 

丸くなった管をひきのばしてみると、図1のようになります。

 

図1

 

引用文の中にもあるように、この二本の管をつなげるように10個のシリンダーがあり、引用文によれば、それらは図2のようになっています

 

図2         図3

引用文にあるように全てがこのようなシリンダーだと、結局、管は一通りの長さしか持つことがなく、楽器は一つの調に固定されてしまいます。ところが、これとは別に、図3のようなシリンダー一つがあり、それが図2とダイレクトに交換可能だとすると、図2のシリンダーを青として図3のシリンダーを赤として図4のように、管の長さを変更する事ができます。

 

 

これにより、全部で11通りの管の長さを実現でき、Omnitonicと呼ぶにふさわしい楽器になります。

 

勿論これは推測にすぎませんが、もしかしたら、この200年の間に図3のようなシリンダーが紛失してしまった可能性は、おおいにあると思われます。

 

つづく