元通産官僚の中野剛志さんが書いた『世界を戦争に導くグローバリズム』という本を読みました。

今回のブログではこの本の内容を紹介し、次回で私なりの反論を書いてみたいと思います。

中野さんは議論の原点にイギリスの歴史家E.H.カーの名著『危機の20年』を持ってきます。

カーはこの本でユートピアン(理想主義者)とリアリスト(現実主義者)の対比で戦間期の国際政治の枠組みを分析しました。

中野さんによれば、この第一次世界大戦と第二次世界大戦の戦間期では国際社会に理想主義がはびこりそれが破綻したことで先の戦争が起こったことを指摘します。

同じように、冷戦が終わった後のアメリカでも同じような事が起こります。フランシス・フクヤマが『歴史の終わり』を書き、これからは自由民主主義の時代と高らかに謳い上げ、一方ではロシアを無視してNATOの拡大を進め、中国を資本主義に取り込むと称して過大な投資を行いました。

そしてリーマンショックで気付いてみたら、中国はアメリカを追い越しそうな勢いをつけ、ロシアはウクライナでアメリカにあからさまに反抗的になったというわけです。

中野さんはオバマ大統領をリアリスト(現実主義者)と見ています。

そしてこのことから二つの結論を導き出します。

一つ目は、「アメリカの戦争に日本が巻き込まれるようなことは、むしろ起きにくくなったのである。なぜなら、アメリカは、もはや『世界の警察官』として積極的に武力行使を行えるような覇権国家の地位を失いつつあるからだ」と書いています。

次に結局覇権を失ったアメリカはいずれ世界各地から撤退することとなり、そうなれば真空地帯になった東アジアにおいて「日本は、中国が東シナ海において仕掛ける覇権戦争に巻き込まれる可能性が高い」と指摘します。

アメリカの戦争に巻き込まれることはないということと中国との戦争を中野さんは予想されるのですが、本当でしょうか。

次回はこの結論に対する反論を書いてみます。
So my question is: Will someone get serious about real diplomacy, and make Putin an offer he's unlikely to refuse? Instead of building more bases in Eastern Europe, the United States and its allies should be working to craft a deal that guarantees Ukraine's status as an independent and neutral buffer state. And that would mean making an iron-clad declaration that Ukraine will not be part of NATO. (Just because many Ukrainians want to join doesn't mean NATO has to let them.) Recent proposals for a deal lack that essential ingredient and aren't going to solve the crisis. A "Finlandized" Ukraine might not be an ideal outcome, but it is better than watching the country get destroyed. Putin may reject such a solution, of course, but surely it deserves a serious attempt before things get even worse.

Walt教授のブログ
http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/08/28/stephen_walt_top_ten_questions_about_the_world_putin_ukraine_gaza_iran


(私の疑問は次のようなものだ。誰か外交を真剣に考えて、プーチンが拒否できない提案を作る人はいないのだろうか。東ヨーロッパに新たな基地を作る代わりに、アメリカとその同盟国はウクライナが独立した中立の緩衝国であることを保証した取引を模索すべきである。それはウクライナが絶対にNATOに加わらないということ。(多数のウクライナ人がNATOに加わりたいとしてもNATOがそれを許すのは全く別のことである)最近の提案は基本的な事柄が不足しており、この危機を解決するものではない。「フィンランド化」されたウクライナは理想的な結果でないかもしれない、しかし国家が破壊されていくのを見るよりもましである。プーチンはこの案を拒否するかもしれない。しかし事態が悪化する前にやってみる価値はあるだろう。)

アメリカの「リアリスト」と呼ばれる知識人は、今回のウクライナの危機を「フィンランド化」させることで解決できると思っています。

ワルト教授の他にもグラハム・アリソン教授も同趣旨のことを書かれていました。

私も最初はこの案が最も合理的ではないかと考えていたのですが、だんだん否定的な考えに変わってきました。

というのもフィンランドは人口が500万人と少ないですが、独立して中立を保てる程の優秀な国なのです。

彼らは最後には負けたとはいえ、ソ連と立派に戦っていますし、産業面でもノキアとかリナックスなどの世界的に有名な企業や製品を輩出しています。

つまり、独立して中立を保つことは周りの環境によっても決まりますが、何よりも大事なことは本人にその能力があるかどうかです。

ウクライナという国は援助なしで独立でやっていける国なのでしょうか。

そもそもそのような国であれば今回のような問題は起こっていないでしょう。

というわけで、ワルト教授の指摘する「フィンランド化」はウクライナには適合しない気が私にはします。
今回は未来の日韓関係がどのようになるか予想してみたいと思います。

前回紹介した『誅韓論』の結論は次のようなものでした。

「中国のほうへ追いやれ、できるだけ早く中国に取り込ませろ。そのためにはあらゆる手段を尽くして韓国を弱体化させろ。」

私はこのようになる確率は甚だしく低いと考えており、将来も日本は韓国との関係を続けざるを得ないと考えていますが、これまでの付き合い方とはずいぶん違ったものになると考えています。

少し説明してみます。

韓国人ブロガー・シンシアリー氏の最新刊『韓国人による沈韓論』に現在の韓国外交を憂える場面があります。

「私は最近の韓国の外交政策を、大韓帝国時代に非常に似ていると思っています。
あの時、大韓帝国は自分の立ち位置を見誤り、中国についたり日本についたりロシアについたり、コウモリのように裏切りをくりかえした挙げ句の果て、あっさりなくなりました。
『歴史を忘れた民族に未来はない』。韓国が自分自身に向けられるべきこの言葉、なぜか日本に対して発せられています。そのまま韓国民族の未来がなくなってしまうのではないか、ぞくにいう『ブーメラン』になるのではないか、朴クネ大統領、彼女は自覚しているのでしょうか。」

実はこれと同じことを一進会という日露戦争が始まった頃に発足した大韓帝国の団体が「韓日合邦を要求する声明書」に書いています。

「甲午ノ年日本ヘ日淸戰役ヲ起シテ巨億ノ戰費ヲ消シ累萬ノ戰士ヲ喪ヒ淸國ノ羈絆ヲ脫却シ我韓ノ獨立ヲ確有セリ然ルニ政治ヲ濁亂シ好誼ヲ排擊シ善ク此萬世ノ基礎ヲ守ル能ハサリシハ我韓人ノ自ラ取リシ所ナリ竟ニハ日露戰爭ノ因果ヲ媒介シ日本ノ損害ハ甲午ニ十倍シタルモ我ヲシテ露人虎口ノ一塊肉タルヲ免カレシメ東洋全局ノ平和ヲ維持スルニ努メタリ然ルニ此善隣ノ主義ニ樂從セントハセス反テ朝秦暮楚ノ弊ヲ生シ遂ニ外交權ヲ他ニ讓與シ保護條約ヲ成立スルニ至レルモ亦我韓人ノ自ラ招ケル所ナリ」

(日本は日清戦争で莫大な費用と多数の人命を費やし韓国を独立させてくれた。また日露戦争では日本の損害は甲午の二十倍を出しながらも、韓国がロシアの口に飲み込まれる肉になるのを助け、東洋全体の平和を維持した。韓国はこれに感謝もせず、あちこちの国にすがり、外交権が奪われ、保護条約に至ったのは、我々が招いたのである。)
wikipedia訳

結局、韓国がこのまま宙ぶらりんの外交を続けていけば、いずれ中国やアメリカからも見放され、北朝鮮という莫大な負債を抱えた韓国が立ち往生するという姿が予想できます。

そうなれば当然韓国は日本に助けを求めてくることは想像できますが、朴・クネ大統領のように「歴史を忘れた民族に未来はない」というアプローチで日本に接してきた場合に日本はそれを受け入れるでしょうか。

受け入れることはさすがに無理でしょう。

そこでいずれ韓国でそのような国家的な危機が起きた時に一進会に似た「親日的」な団体が韓国内で再び発足するのではないかというのが私の予想です。

一進会という団体は日露戦争中に鉄道を引いたりするのを無償で日本に協力してくれました。

しかし、当時の明治政府は彼らの努力には無理解で併合後にはこの団体を廃止させてしまったのです。

これは明らかに日本のミスです。日本は彼らを通じて韓国の発展に協力してあげれば良かったのです。

そうすれば独立したとしても「反日」一辺倒になることは防げたでしょう。

日本は同じミスを犯してはいけません。もし将来一進会のような団体が発足したら日本は彼らを応援すべきなのです。

シンシアリー氏は、『韓国人による沈韓論』の中で「自分の勇気と力が足りないからこその歪みです」と自分の実名が出せないことを卑下しています。

ソウル大学の教授が慰安婦のことで本音をしゃべったら慰安婦達に土下座をさせられるような「反日全体主義」の雰囲気では実名をさらすことは難しいのでしょうが、それだけが理由だと私は思いません。

韓国の大統領がいかに変な外交をやろうが、いちおう米韓同盟は健在で韓国に真の危機が訪れたとはいえません。

やはり韓国で本当の危機と言えるのはアメリカから見放される時でしょうか。

そのような時に私は韓国で一進会のような「日本と仲良くなろう」という団体が発足する可能性が高いと思っています。

そして始めて私たちはシンシアリー氏の実名を知ることになるのです。