アメリカの雑誌『アトランティック』のサイトにバイデン副大統領のインタビューが載っており、今回の慰安婦合意について彼が語っている部分を訳してみました。

http://www.theatlantic.com/international/archive/2016/08/joe-biden-interview/497633/

 

「それからパククネ韓国大統領と安倍首相の件について。私が安倍総理にあった時、彼は『パク大統領のことで助けてくれる』と尋ねてきた。そして私は彼女に電話して『日本と仲直りできる?』と聞いてみた。私が(慰安婦問題について)交渉したわけではないが、私は両者のことを知っており両者とも私を信頼しているので、結果的に仲介者となった。離婚弁護士のように結婚を元に戻したわけだ。」

 

バイデン副大統領の語っていることに嘘がなければ(彼は粗野ではありますが嘘をつく人物には見えません)米中に対する天秤外交が破綻したパク大統領に助け舟を出して慰安婦問題の合意に持って行ったのは安倍首相の方だということがわかりました。

 

何とお人好しなのでしょう。民主党政権でこんな外交をやったら追放されているレベルです。こんな無能な外交をしても支持率が落ちないのは安倍総理がバリバリの保守だと認識されているからでしょう。いわゆる「ニクソン大統領だから中国に行けた」というものです。ニクソンの場合と違い安倍首相の場合ははるかに国益を損なっていますが。

 

私はかなり昔にこのブログで韓国に対する土下座外交を始めたのは岸信介だと書いたことがありますが、孫にあたる安倍首相にもしっかりと受け継がれているようです。

 

日本の保守もそろそろ安倍外交の実態をきちんと見るべきです。

 

私は以前から安倍首相の外交には何ら幻想を抱いていませんが、経済の正常化にはまだ少しだけ期待を持っているのでこの政権を潰せば良いとまでは思っていません。

前回に私が書いたことを要約してみます。

 

韓国と日本が結んだ慰安婦の合意にはアメリカのバイデン副大統領が関わっており、中国に擦り寄る韓国を日米韓の協調体制に引き戻すために仕組まれたものです。

 

日本がアメリカを裏切ったわけでもないのにこのようなものを結ばざるを得なかったことは本当に情けないことですが、戦後の日米韓の関係を見ていくとやむをえない気もするのです。

 

私が日韓慰安婦合意の仕組みに気づいたのは偶然に有馬哲夫氏の『歴史問題の正解』を読んでいる時でした。

 

この本の中で、日韓国交樹立のことが書いてあり、その経緯が今回の日韓慰安婦合意と同じような経過をたどっているのです。

 

第2次大戦後、韓国を解放したアメリカは李承晩を韓国の指導者につけますが、アメリカは徐々に李承晩の能力に疑問を持ち、負担に感じ始めました。

 

「アメリカは、指導力はまったくなく、自分たちの意向に反して、反対派を弾圧し、独裁を強化していく李を次第に疎ましく感じるようになった。」と有馬氏は書かれています。

 

そこで李承晩が失脚して朴正煕がクーデターで政権を握ったことを契機にアメリカは韓国の問題を日本に任せようと考えたのです。

 

アメリカがそう考えた理由は、有馬氏によれば「日本と韓国が経済面と軍事面において支え合うようになれば反共主義の防壁として強化されるし、自国の負担もかなり減る」というものだったようです。

 

日米韓の協調を維持しようとアメリカが結ばせた慰安婦合意と同じような動機でした。

 

アメリカの圧力で結ばれた日韓基本条約と今回の慰安婦合意には共通点があります。

名目上はどうであれ、これまで国際社会では植民地にした国がされた国に金銭を払うということはありませんでしたが、日韓基本条約ではそのことは反故にされてしまったのです。

 

今回の日韓慰安婦合意でも日本が強制したことを証明できないのに10億円の金銭を払うようになっています。

 

アメリカで慰安婦像を撤去する裁判にかかわっている目良浩一氏も「謝ってお金を払えば、外国では『ああ、日本は(ひどいことを)やったんだ』となる。外国の見方はイエスと言ったかノーと言ったか。日本の政治家は『イエスと言ったが、本当は…』という言い訳をするが、国際的には通用しない」と語っています。

 

なぜこのような問題が次々に起こるかと考えるとアメリカが日米韓の協調を演出する際に韓国が「反日」であっても一向に構わないと考えているからでしょう。

 

韓国が反日をすればするほど、アメリカの第2次大戦以前の歴史の正統性が確認されるからです。「日本の憲法を書いてやった」と豪語するバイデン大統領のような「占領史観」の持ち主が慰安婦問題で日本に対して韓国に謝らせても何の痛痒も感じないのです。

 

そして基本的に親米保守である安倍総理にそれを否定する気も能力もないのです。

 

現在の日米同盟を続けていたら、それに付随する日韓関係も続けなければならず気分が暗澹としてきます。

 

ここにもトランプ大統領を歓迎する理由があるのです。

 


ジェイソン・モーガンという親日派のアメリカ人が最近発売された『アメリカはなぜ日本を見下すのか』という新書の中で、「その点、日本の韓国に対する辛抱強さは、実はアメリカの政府関係者のなかでも好印象を持たれている。文句ばかり言う韓国に対してワシントンもさすがに堪忍袋の緒が切れそうになっているからだ。」と書いています。

私も最近の韓国の日本に対する態度に対しては腹が煮えくり返る思いを抱いています。

果たしてあの日韓慰安婦合意で日本が10億円を支出することで本当に日韓関係はよくなるのでしょうか。

私は決してそうなるとは思っていません。仮に慰安婦の問題が解決したとしても、また他の問題に発展するだけだとも思っています。

ただ日本がこの問題でいくら韓国に不満を持っていても、それだけでは十分ではありません。

なぜならあの日韓合意の背後にはアメリカの思惑が潜んでいるからです。

今回は日韓慰安婦合意を作ったアメリカの態度を通して第2次大戦後の日米韓関係について書いてみたいと思います。

結論から先に書くと、「アメリカは韓国の政策の失敗を日本の名誉と金銭を犠牲にして解決させる」という一貫した政策を持っているみたいなのです。

今回の日韓合意を作ったのはオバマ大統領ではなく、副大統領のジョー・バイデンだったようです。

アトランティック誌に『バイデン・ドクトリン』という記事がでており、この記事の中でオバマ大統領と安倍首相の関係が冷え切っており、その間を埋める形でバイデン副大統領が韓国のパククネ大統領と安倍首相の関係を取り持ったと書かれているからです。
http://www.theatlantic.com/international/archive/2016/08/biden-doctrine/496841/

ちなみにバイデン副大統領はつい最近「核武装を持てないように我々が日本の憲法を書いたことを、彼は知らないのではないか。彼は学校で習わなかったのか。トランプは判断力に欠けており、信用できない」というトランプばりの発言をした人です。

バイデン副大統領が日米韓の協調を大事に思うことは北朝鮮や中国に対する上で重要なのは理解できます。

ただ私が納得がいかないのは日米韓の協調をまず最初に破ったのが日本ではなくパク・クネが率いる韓国だということです。

パク・クネ女史は大統領に就任した時から「加害者と被害者は1000年経っても変わらない」と日本を批判し、中国にすりよっていきました。

彼女は中国が北朝鮮の核開発やその他諸々の韓国に対する嫌がらせを防いでくれると勝手に思い込んだようですが、中国には北朝鮮に圧力をかける気は全く無く、パククネ大統領の思惑は大いに外れます。

はっきり言って、韓国の中国とアメリカを天秤にかけていいとこどりをする政策は破綻したのです。

ところが今まで中国にすりよっていた韓国が、簡単に日米韓の協調に戻るわけにはいきませんでした。なぜなら日本に対する批判のヴォルテージを相当上げていましたので、日本から何らかの手土産を得なければ韓国国民が納得できないからです。

一方で、アメリカも韓国が中国に擦り寄っていく様子を苦々しく見ていました。バイデン副大統領も以前中国に擦り寄る韓国に対して「米国の反対側に賭けることは良い賭けではない」と言っていたのは有名です。

そして北朝鮮の核実験で何もしない中国に対して韓国が絶望しているタイミングでアメリカは韓国をもう一度日米韓の協調に戻すきっかけを得たのです。

それが日韓慰安婦合意だと思われます。

日本が日米韓の協調を乱してもいないのに、韓国を中国寄りの外交から引き戻すために日本の名誉と金銭を犠牲にしたものがあの合意の正体だったのです。

多くの日本人があの合意に対して納得できない感情を持っているのは当然でしょう。

なぜ日本が韓国の外交の失敗の尻拭いをしなくなくてはならないのでしょうか。

実はそれこそが戦後の日韓関係の正体だからです。

次に続く。