新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さっそくですが、重大ニュースを見つけました。

【ワシントン時事】米国きっての知日派の一人、アーミテージ元国務副長官(68)は、時事通信のインタビューに応じ、現在の東アジア域内の緊張について「悲観はしていないが、これまで以上に心配している」と警告した。その上で、2014年のオバマ政権の「アジア重視」の外交戦略の課題として「オバマ大統領は米国が求めるべき中国との『新しい大国関係』の意味を明確にする必要がある」と語った。
 アーミテージ氏は、中国に関して「日米と同じルールで国際社会で役割を果たすという大きな決断をまだしていない。習近平氏は共産党を統制、厳しく管理しようとしている」と分析。13年6月にカリフォルニア州で2日間にわたって行われた米中首脳会談で、習近平主席が提唱した米国との対等なパートナーシップに基づく「新しい大国関係」を「そのまま」受け入れるべきではないと主張した。
 中国が東シナ海に設定した防空識別圏に対しては「われわれが強い態度で拒否しなければ、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島などへの拡大を助長することになる」と強調。また、中国による一方的な現状の変更で「東南アジア諸国連合(ASEAN)を日米の側に近づける結果となった」との見方も示した。
 沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中の争いについては、「(解決は)難しい。日本は不測の事態を防ぐ危機管理をしなければならず、弱さを見せてはならない。実際に日本は中国の侵犯に対して強さを保っており、米国を含めた地域の平和と安定を求める全ての国の理解を得ている」と述べた。
 アーミテージ氏は13年中に4回訪日するなど、日本政府高官と頻繁に意見交換を行っている。安倍政権の取り組みの中で、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加したことを高く評価し「TPPが成功裏に妥結すれば、アジア太平洋地域の(政治経済)情勢が一変する」と見通した。
 さらに、安倍晋三首相が目指す集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈変更に対して「日米同盟がより効果的になる」と支持を表明。しかし、その先の憲法改正については「私は勧めない。改憲に費やされる多大なエネルギーを経済の強化に振り向けるべきだ。今は経済が優先事項だと思う」と述べた。
 また、歴史認識をめぐる日韓対立に関しては「米国は積極的かつ静かに状況の改善に取り組むべきだろう。日韓首脳会談を実現させるためには、日本の政治家は(歴史問題で)朴槿恵大統領を当惑させてはならない」と注文を付けた。
 リチャード・アーミテージ氏 海軍士官学校卒。レーガン政権下で国防次官補(国家安全保障担当)、ブッシュ政権下で国務副長官(2001~05年)を務め、米同時テロや対テロ戦に対応。日本や東アジアの安全保障に精通している。68歳。マサチューセッツ州ボストン出身。(2014/01/04-15:12)
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このニュースで最も重要な部分は保守系のアーミテージが憲法改正について「私は勧めない。改憲に費やされる多大なエネルギーを経済の強化に振り向けるべきだ。今は経済が優先事項だと思う」と語った部分です。

これまで親米保守派は日本の憲法改正について次のように語っていました。アメリカには日本に強くなってもらいたいと考えるストロング・ジャパン派と弱いままでおいておきたいウィーク・ジャパン派がいて日本の憲法改正はストロング・ジャパン派と組んで遂行するのだという趣旨でした。

そしてストロング・ジャパンを望んでいるはずの共和党保守派の代表がアーミテージだったのですが、彼が憲法改正について否定的に語っているのです。

一方民主党系の人々は日本の憲法改正についてどのように言っているかといえば、こうです。

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ジョセフ・ナイ元米国防次官補は25日、積極的平和主義を掲げる安倍晋三首相が憲法改正に意欲を見せていることに関連し「憲法を改正する必要はない」と強調した。憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使は容認する姿勢を示した。埼玉県川越市で開かれたシンポジウムで述べた。

 行使容認による日米同盟強化に期待を寄せる一方、中国や韓国の反発が見込まれる改憲には踏み込まないよう注文した形。ナイ氏はオバマ政権の東アジア政策にも非公式に関与しており、政権の立場をある程度反映している可能性がある。

2013/10/25 21:37 【共同通信】

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ナイも憲法改正は必要ないといっています。

つまりアメリカの対日政策で一様のコンセンサスができていることになります。

アメリカは日本に対して集団的自衛権の行使を容認するが、憲法改正までは望んでいないというものです。

アメリカの事情を推察してみますと、これからの軍事費削減でアメリカの海外派兵能力が削がれる可能性があるので十分ではないかもしれないが同盟国日本の力を活用しよう。しかし憲法改正までして勝手に「自立」した外交をされると困るので、それについては釘をさしておく。

もしアメリカがこのように考えているとして、本当にそれを受け入れることが日本の国益でしょうか。

集団的自衛権を行使することによって日米同盟をより対等なものにするという努力はわかりますが、憲法改正なしの集団的自衛権行使は日本の「属国」化を加速させるという懸念がどうしてもぬぐえません。
『アメリカはいかにして日本を追い詰めたか』という大変面白い本の後がきで訳者である渡辺惣樹さんが嘆いておられます。

「戦争に反対する8割のアメリカ国民の声こそが日米衝突を回避する最大の武器であった。現代の政治状況からみても容易に想像できることだが、8割という数字は生活感覚からいえば、まず国民全員が反対していたともいえるのである。私たち、日本人はその武器を活かせなかったこそを反省すべきである」

当時のアメリカ国民は第一次世界大戦の結果に幻滅し、いわゆる孤立主義的な感情が全体に行き渡り、第二次世界大戦が始まっても渡辺さんが指摘するように8割の人達が戦争に介入することに反対していたのです。

それなのになぜ山本五十六はあえて直接強大なアメリカを敵とする真珠湾攻撃を発動したのでしょうか。

山本五十六は決してアメリカを侮っていたわけではありません。

真珠湾攻撃から3ヶ月前の9月18日に山本の母校である長岡中学校の同窓会が開かれて、その席で彼は、「米国人が贅沢だとか弱いとか思うてる人が沢山日本にあるようだが、これは大間違いだ。米国人は正義感が強く偉大なる闘争心と冒険心が旺盛である」と語り、「日本は絶対米国と戦うべきではない」と結びました。(鳥居民『山本五十六の乾坤一擲』153ページ)

このような正確なアメリカ認識を持っていてなぜ真珠湾攻撃なのでしょうか。さっぱりわからなくなります。

実は山本のようなアメリカ認識が逆に彼の心のトラウマになっていくのです。

鳥居民さんの前掲書に阿川弘之氏の『山本五十六』から引用されている部分があります。

「例えば赤城の飛行隊長の淵田美津雄少佐、のちのハワイ攻撃隊の総指揮官は、山本五十六が長官に就任して『山本五十六というのは妙にイギリス、アメリカが好きで弱いらしいで、腰抜けと違うか』と公言するような雰囲気でした」

山本は陰で、あいつはチキンではないのかと思われていたのです。

どうも山本は陰で皆から臆病者といわれることを軍人として恐れていたようです。
鳥居民さんは次のように分析されています。

「もしも戦いになってしまったら、そのぎりぎり最後まで戦争を避けようとした臆病者、大きな恥辱を受け入れさせようとした卑怯者が、航空部隊、潜水艦部隊の指揮官達に向かって、あろうことか勝利の意思を持てと説かねばならなくなるのです。だからこそ、あらかたの海軍幹部の反対を退け、僅か一時間で西太平洋を制圧してみせるという一か八の大冒険をかれは行うことにしたのです」

つまり山本五十六は決してチキンではないことを証明するために真珠湾攻撃を立案したのです。そこにはアメリカ人の8割が戦争に反対していることは入り込む余地がないのでした。

このことは決して山本五十六個人の問題ではありません。日露戦争後の帝国国防方針で、陸軍は仮想敵をソ連と定め、海軍はアメリカと定めました。

このような軍部の2頭体制は平時の場合は予算の分捕り合戦ぐらいで済みますが、いざアメリカとの戦争が近づいてくると大変危険なものになります。

それは、海軍が正直に「アメリカと戦ったら負ける」と告げることができなくなるからです。

近衛文麿が総理の時に東条英機に対して中国からの撤兵を求めますが、彼は全く受け入れません。日米交渉の中心問題が中国からの撤兵でしたので彼の内閣はそこで行き詰まります。もし仮に東条に中国からの撤兵を承諾させる可能性があったとすれば、海軍が「日米交渉が失敗すればアメリカとの戦争になり、帝国海軍に勝ち目は無い」と告げることでした。

しかし、そんなことを告白すれば、陸軍は中国との負け戦を自分の責任を放棄して「海軍がアメリカと戦えないから」中国から撤兵すると宣伝しまくるでしょうし、いずれ海軍がアメリカを仮想敵としていることに目をつけて予算の縮小を求めることでしょう。

そうなることは海軍としては是が非でも避けなければならず、アメリカとの戦いは怖くはないと去勢を貼り続けなくてはならなかったのです。

『アメリカはいかにして日本を追い詰めたか』のなかで、渡辺さんは日本の陸軍はイギリスやオランダだけを攻撃してアメリカとの戦争を避ける作戦も追及されているにもかかわらず、海軍の作戦にはそのようなものがないと指摘されています。

これもいかに帝国海軍が対米戦で弱気なところを見せたくないかの証左でしょう。

山本五十六も帝国海軍も自分達が決して臆病者、チキンでは無いことを証明したのが真珠湾攻撃だったのです。
『朝鮮日報』に次のような記事が出ていました。少し長いですけど、貼付けておきます。

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 日本の安倍晋三首相が米国の反発を覚悟で靖国神社参拝を強行したのは、17年間にわたる普天間基地移転問題の解決という米国への「プレゼント」を念頭に置いた行動だったのではないかとの分析が聞かれる。

 沖縄県の仲井真弘多知事は25日、安倍首相と会い、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向け、政府が提出した埋め立て申請を承認した。

 仲井真知事は27日、合意の事実を正式に発表した。発表前日の26日、安倍首相は靖国神社を参拝。米国務省は直ちに「失望した」とする声明を発表した。しかし、ヘーゲル米国防長官が普天間基地移転問題の合意について「決断を歓迎する」との声明を出した。

 ヘーゲル国防長官は「米日関係のレベルを一段階高めることができる。今回の決定は強力で持続可能な米軍の構築に寄与するだろう」と述べた。靖国参拝問題で対立するかに見えた米日関係が「普天間」で一転して修復局面を迎えた格好だ。

 安倍首相は来月、国家安全保障局の初代局長に内定した谷内正太郎氏を米国に派遣し、米政府関係者に靖国参拝問題について説明し、両国の軍事協力強化についても話し合う予定だ。

 米国は靖国問題を意識し、安部首相を直接名指しこそしていないが、普天間基地の移転問題解決を引き出した安倍首相を高く評価するムードだ。

 産経新聞は「靖国参拝がなければ、オバマ米大統領が安倍首相に電話をかけ、感謝の意を伝えたはずだ」とした。戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級副所長は、読売新聞のインタビューに対し「靖国神社参拝は米日同盟の根本的な関係には影響を与えないだろうが、普天間基地移転は両国関係をより一層発展させることができる」と指摘した。

 米軍基地を沖縄県外に移転すると公約した仲井真知事が、公約違反を覚悟で埋め立て申請を承認したのは、安倍首相の大盤振る舞いがあったからだ。安倍首相は25日、仲井真知事との会談で、沖縄に年間3000億円を支援することに加え、米軍基地内の環境保全や調査に関する新たな政府間協定の締結に関する交渉を始めることなどを提示した。しかし、沖縄県庁には27日、県民2000人余りが集まり、「公約に違反した知事は辞任しろ」などとスローガンを叫び、デモを繰り広げた。

 普天間基地の移転問題が解決されたことを受け、米国は安定的に使用できる基地を確保しただけでなく、米軍の再配置戦略を本格的に推進できることになった。米国は2006年に普天間基地を辺野古の埋め立て地に移転することで日本政府と合意するとともに、沖縄の米海兵隊の兵力約8000人を他の拠点地域に再配置し、日本の自衛隊の役割を強化する計画も同時発表した。しかし、普天間基地移転問題が頓挫し、米軍の再配置計画も棚上げとなり、両国の対立原因となっていた。

 一方、オバマ米大統領が来年4月に訪日するとの情報について、ワシントンの外交筋は「まだ確定していないことを日本側が広めたものだ」と述べた。
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マイケル グリーン氏が「靖国神社参拝は米日同盟の根本的な関係には影響を与えないだろうが、普天間基地移転は両国関係をより一層発展させることができる」と語っているのは本音と思われます。

私自身は普天間基地を辺野古に移設するのにあまり賛成ではありません。

その理由は、第一に日本が米軍基地を必要としたのは米ソ冷戦の存在がありましたが、20年前に終わっています。

親米保守派の人々は日米同盟の次の標的は中国だとおっしゃりますが、アメリカの軍部はともかく肝心のアメリカ政府がその考えに乗り気ではありません。尖閣諸島の問題を巡ってもアメリカの態度は同盟国の態度とは思えず、「善意の第三者」のごとく振る舞っています。

さらに新しい基地を作るのに10年位かかるとして、その間に現在の中国共産党は安泰でいられるのでしょうか。

そして、最後に現在のアメリカ国民の「孤立主義」的な雰囲気を考えると、America, come homeという事態が全く無いとはいいきれません。そうなったとき、作りかけの基地は一体どうなるのでしょうか。

などの理由から私は新しい基地を作るのに反対ですが、現在のアメリカ政府が在日米軍基地を重要視していることがこの記事からうかがえます。