本因坊察元の墓がある共同墓地
埼玉県幸手市は江戸時代の囲碁家元・本因坊家において８世伯元から１０世烈元まで三代続けて本因坊を輩出したところです。９世本因坊察元は現在の幸手市平須賀の間宮家の出身で、幼いときに同じ幸手出身の８世伯元の門人となっています。
そのような状況で本因坊家を継承した察元は自分の使命は本因坊家を再び隆盛に導くことと考えていたのか、かなり強引に七段昇段を果たします。そして、八段準名人となると今度は名人碁所の座を狙うようになりました。
江戸時代の囲碁家元は本因坊家、井上家、林家、安井家の四家がありましたが、察元以前の囲碁界は五世林因長門入が名人碁所を狙った事から林・井上家と本因坊・安井家の２派に分かれて対立していました。
しかし察元の強引さに反発した安井家が反対派に回り、変わって五世本因坊道知門下であった祐元が継いだ林家が味方につくという対立の構図が大きく変わっていきます。
最終的に、明和７年（１７７０）に老中列席のもと寺社奉行の裁定で察元は道知以降空席となっていた名人碁所となりました。
名人碁所となった察元は、大名行列さながらの行列を組み、京都寂光寺へ墓参りして本因坊家の威光を示しています。
察元の強引な行動により家元の対立が続いていきますが、その結果、各家元達の自覚を促すこととなり低迷していた囲碁界は再び活気を取り戻していきます。また当時の将軍家治は、囲碁・将棋に理解があり、その家治が自ら御城碁観戦を行った事もあり、囲碁界は「暗雲の時代」をようやく抜け出すことが出来ました。そのため察元は「棋道中興の祖」と呼ばれています。
死後、本妙寺に歴代本因坊とともに葬られましたが、故郷、幸手市で近年、墓碑が発見されました。
墓碑の場所：埼玉県幸手市平須賀３０１８ 共同墓地
撮影日：２０１１.１０．２２
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