第13回は天正10年6月下旬、いわゆる清須会議回です。父 織田信忠の城である岐阜城にいた三法師(織田信長の嫡孫)ですが、本能寺の変以降、危険を避けて清須に移っていました。明智光秀が滅びた後、宙に浮いた領地の分配と、幼すぎる織田家当主 三法師の後見をどうするかが清須会議の議題です。
会議を前に、柴田勝家は清須にいたお市を訪ねました。食が進まないというお市のために、北陸の海産物を持って。おお、へしこだ。サバなどの青魚を米ぬかで漬けた発酵食品です。
勝家はお市に合わせる顔がないと言って帰っていきましたが、続いて尋ねてきた秀吉には、お市はすぐに襖を開けさせました。兄 信長からの手紙を周りに敷き詰めて、憔悴したお市は座っていました。夫も娘たちも、お市の一番にはなれなかったんだな。
織田家のために、柴田勝家に嫁いでほしい。そう頼んだ秀吉に、すっかり大きくなっていた茶々は憤りましたが、お市は淡々と勝家の同意を取るように告げました。
本能寺の変の時点で方面軍として組織されていたのは4軍。
- 中国方面:羽柴秀吉
- 北陸方面:柴田勝家
- 四国方面:織田信孝・丹羽長秀
- 関東方面:滝川一益
京から一番遠かったのが滝川一益で、上野国 厩橋城(群馬県 前橋市)にいたのが不運でした。大勢力の後北条氏と接し、武田家が滅亡して2カ月余の旧武田領はまだ落ち着かない。6月27日に結論が出された清須会議には間に合いませんでした。というか、この状況でよく無事に帰ってこられたね?
いままで信長さまLOVEで頭がいっぱいで、政治的思考なんてピコグラムほどもなかった羽柴兄弟ですが、秀吉はすっかり黒くなっちゃって、滝川一益がいないうちに会議を終わらせようとします。小一郎、止めないのか? 武士歴20年に及んでも中学生みたいな理想論しか言わなかったお前が、これを黙って見逃すのか?
それほど嫡男 与一郎の死の影響が大きかった、ということなんでしょうけどね。羽柴秀吉が勝ち続けて出世したってことは、身内の死を嘆く敵軍の家族を何万人も生み出したってことなんだがな? 自分の身内が死んで、いまさら傷つくんだね。さるコラムニストが「小一郎はおのれの加害性に無自覚だ」と書いたのは、こういうところが癇に障ってたんだろうなぁ。
小一郎は丹羽長秀におべんちゃらを言って、事前に意向を聞き出そうとします。ゲーム『太閤立志伝』で、丹羽長秀を茶会に呼びまくって好感度を上げていたことを思い出した。長秀は結局なにも決めてなかったけど。つか、軍師官兵衛を連れて来てないの? だったら、小一郎が竹中半兵衛から魂の伝授を受けた、という設定のほうがよかったのでは?
柴田勝家は、山崎の戦いで功績がある織田信孝を三法師の後見に推しました。池田恒興は信孝より格が高い信雄推し。摂津をもらう約束をしたらしい。信雄が勝手に決められることじゃないと思うけど。
会議前に織田家以外の者だけで集まった柴田勝家・丹羽長秀・池田恒興は、秀吉からの提案に驚きました。天下人どころかただの大名すら務まりそうにない信孝・信雄ではなく、4重臣の合議で三法師を支えてはどうか。
丹羽・羽柴・池田はそれぞれ織田家との血縁や乳兄弟の絆があるけど、柴田にはない。勝家がお市さまを娶れば、ほかの3家同様に織田一門衆に準じる家として三法師さまをお支えできる。えーと、いつか織田家を滅ぼすつもりだから、柴田勝家とお市さまをまとめて葬る算段ですか?
そこに小一郎が駆けこんできました。三法師が信雄の息がかかった侍女にさらわれた! Why? さらってどうするの? 「信雄叔父上の世話になりたい」という言葉でも仕込むの? サクッと暗殺したほうが後腐れがなくてよくない?
じつはセキュリティ意識ゼロの信雄の部屋で、小一郎は三法師付きの侍女の姿を見かけていたのに、泳がせていたのです。いや、紀行で三法師が26歳まで存命だったと明かされてるけど、それを知っているのは後世の人だけ。とりあえず拘束しようぜ?
4重臣+小一郎はリアル脱出ゲームのように清須城内を探し回り、ついに倉庫に隠されていた三法師を見つけ出しました。一度も泣かないとは、大人しい子だな。三法師付きの侍女が斬りかかってきたために棚が倒れ、秀吉は三法師をかばって覆いかぶさりました。
思いのほか被害が少なかったのは、秀吉の背後で柴田勝家が倒れてくる棚を食い止めていたからでした。お、お前をかばったわけじゃないんだからねッ! 勝家がやけに袖幅の狭い変な小袖を着ているなと思っていたけど、ケガしたところを見せる演出のためでしたか。三法師は福島正則が抱えて連れて行きました。あんたら、関ヶ原の前哨戦で戦うんやで?
22年前、信長に従って桶狭間へ出陣した清須城で、4重臣+小一郎は三法師行方不明事件を解決して絆を深めました。絶体絶命だと思っていた織田家がいまあるのは、信長さまの果敢な決断のおかげ。信長さまの夢を託すに足りない息子どもは放っておいて、三法師さまの成長に期待しよう。4重臣で三法師を後見することが決まりましたが、柴田勝家はお市さまとの結婚は断りました。あの方を娶れるような男ではない。
京、妙覚寺。本能寺の変の際に織田信忠が宿泊していた寺で、織田家新当主 三法師へのお目見えが行われました。このあたりは『太閤記』準拠でしたね。秀吉は腹痛と称して家臣の座には加わらず、三法師に小袖を着せていました。羽柴家の女性たちに気晴らしを与える意味もあって、秀吉の馬印である瓢箪柄の小袖を縫わせていたのです。
三法師を抱えて上段の間に現れた秀吉は、おのれが筆頭家老として三法師を支えると宣言しました。
「うむ、頼りにしておるぞ、秀吉」
あらかじめ仕込んでおいたセリフを三法師に言わせ、満面の笑みを浮かべる秀吉でしたが、残る3家老の視線が突き刺さるようでした。だよね。4家老の合議制のはずが、秀吉が筆頭ってことになっちゃってる。そもそも合議制なんてすぐ破綻するものだけどね。どこかの豊臣家に五大老ってのがあったけど、うまくいかなかった。秀頼/三法師のもとに重臣が常駐するのは現実的じゃないから。
妙覚寺での一件を知ったのか、お市は勝家を呼び出しました。
「わたくしを娶れ」
逆プロポーズ! まあ、こうでもしなきゃ、あの勝家がお市さまと結婚するわけないよな。
でもさ、お市さまは単にサル兄弟をどやしつけてやればいいんじゃない? べつに柴田勝家と連合して羽柴家に対抗する、なんて大げさなことにしなくてもさ。史実でそうなってるから仕方ないんだけど。


