親が知らない「コートの裏側」
保護者の皆さんが見ているのは、試合の結果と、練習の一部。でも、コートの裏側にはもう少し違う景色があります。試合で負けた子が、誰にも見られない場所で静かにラケットを握り直す姿。勝った子が、実は不安でいっぱいだったこと。「大丈夫です」と言いながら、本当は自信をなくしている瞬間。コートの上では、みんな強く見えます。でも裏側では、ほとんどの子が揺れています。私は、勝った子よりも負けたあとの顔を見ています。ガッツポーズよりも、下を向いた時間を見ています。なぜなら、本当の成長はその瞬間にあるからです。親が知らない裏側には、こんなやり取りがあります。「もう無理かもしれません」そう言った子に、私はこう返します。「無理って思うくらい、本気だったんだな」正論を言うことは簡単です。「もっと頑張れ」「気持ちを切り替えろ」でも裏側では、まず心を整える時間が必要です。親は、結果で判断します。それは当然です。でも、裏側では結果よりも・どう向き合ったか・どう立ち直ったか・どう受け止めたかそこを見ています。コートの裏側では、勝ち負けよりも“姿勢”が問われています。そしてもう一つ。子どもは、親の言葉を想像以上に気にしています。「なんであの子に負けたの?」「もっとできたよね?」何気ない一言が、裏側で何度も繰り返されます。親が知らないコートの裏側は、とても繊細な場所です。だから私は、結果よりも、その子の心が折れていないかを見ます。勝たせることも大事。でもそれ以上に、折れない心を守ること。それが、裏側に立つ者の仕事だと思っています。もし次に試合を見るときは、少しだけ想像してみてください。コートの裏側で、どんな時間が流れているかを。