3.11から時代が変わりました。9.11以来、テロと戦争から人類がいかに解放されるかでしたが、それに加えて3.11からは、核からの解放です。人間がみずから招いた災禍から、どうやったら解脱できるのか。

 会計監査のKさんは、1960年、チリ津波に遭いました。お父さんが朝早く、海がからになっているのを見て、大船渡の人々を避難させました。

 その後、Kさんは1981年に職場で頭部を強打し、なかなか労災が認められませんでしたが、石橋先生や神経泌尿器科の岩坪先生の診断を経て、2008年になんと事故から27年ぶりに東京高裁により、中枢神経系の損傷だと認められました。


 原発は事故前から、放射線のため、労働者が職業がんになっています。ところが、労災認定されても、東電は「安全だ、安全だ」とウソを言って、原子力損害賠償を拒否してきました。

 この安全神話と同じことが、MTBI(軽度外傷性脳損傷)についても言われています。保険会社や国土交通省は、「軽症だ、軽症だ」と、いわば軽症神話を振りまいているのです。


 受傷時に意識を失った時間が短くとも、あるいは意識を失わず、けいれんとかでも、脳の器質的損傷が起きる、というのがWHOの警告です。この警告を無視して、軽症神話を振りまくのは、井の中のかわずです。

 MTBIについて、どういう制度をまずつくるか。

 厚生労働省・労働基準局の通達=「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準」を改正するための検討会を開くべきです。検討会の目的は、脳の器質的病変の診断方法を、国際基準も参考に確認することです。

 具体的には、画像に見えなくとも、神経学的検査ーー運動知覚まひ・多発性脳神経まひ・膀胱直腸障害・認知障害・発作性意識障害などを客観的に検査すればいいのです。これらの器質的異常のため、労務困難なら、7級以上の障害年金にすべきです。