弟子の恋人を奪った文鮮明 169

 約束の日。金源徳と私は、尹女史を連れて梁女史の自宅に到着した。梁文永、辛貞順、呉明春、玉相賢、池承道、李順哲、李奇煥、梁允信などの女の食口たちと、劉孝元、劉孝敏、李秀郷、金元弼などが集まっていた。

 そのときの尹女史は、最高の韓国正装に身を包んでおり、まるで新婦が新郎の家へ、初夜のために入っていくような姿だった。その光景を見た食口たち、とくに婦人の食口たちは呆然としていた。あいさつを交わしたあと、尹女史は、

 「自分が霊的な目で先生をうかがうと、真の母親になる女の人がいなくて心配なさっているようです。私が新婦として、新郎である先生を迎えに来ました」

と唐突なことを言ったので、食口たちはまた驚かされた。

 その日は、イエスが三人の弟子を連れてピョンハ山にあがっていったときのような雰囲気になり、文鮮明も原理講義を夜通し話した。また、尹女史は詩を歌い、唱(韓国の伝統的な歌。日本の短歌、俳句にあたる)を歌った。その声は、その家の主人であり、梨花女子大の音楽教授である梁文永女史が聞いても驚くくらいだった。

 その当時は、文鮮明に対する監視がきびしくなっていた。夜の十二時になると通行禁止になることもあり、次の機会にまた会うことを約束して、その晩は散会することになった。

 

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梁 文永*

 一週間ほど過ぎたある日、文鮮明が突然、劉孝敏と一緒に尹女史の家を訪ねてきた。金源徳と私は、文鮮明が来ることを知らなかったので、とても驚いた。尹女史は心をこめて御馳走を作り、文鮮明を接待した。文鮮明も新郎が新婦の家に行ったような態度で、尹女史と座っていた。また尹女史は、聖書に出てくる新郎を迎えにいくために油を用意していた娘のように、新婦になることを期待しているような雰囲気だった。食べて、飲んで、歌って、私と金源徳は夜も遅くなったので、文鮮明と劉孝敏を残して帰った。

この夜、文鮮明は尹女史と復帰(セッ*ス)をしたという。

 金源徳は、北から避難して南へ来るとき、住む所もなかった文鮮明を自分の借家にしばらく泊めてやったり、釜山で文鮮明が困難な状況に置かれたとき、先頭に立って何回も解決してくれた。

その金源徳が、自分の愛する恋人、尹清淨心と文鮮明に裏切られたような心境になって、その後、文鮮明を避けるようになった。文鮮明は、宋道旭長老を秘書役にしてからは、しょっちゅう尹女史の自宅を訪問していた。

 一九五五年七月四日、文鮮明が警察に拘束されてからは、尹女史もしばらく、私たちの統一協会とは疎遠になった。

 金源徳はその後も、何回か私と会って、文鮮明に対する恨みと怒りを語った。私は一所懸命に復帰原理を説明して文鮮明をかばったが、金源徳は聞こうとしなかった。

 「たくさんの女の人がいるなかで、どうして、自分の弟子が愛する人だということを知っていながら、奪い取るのか。先生は、私をバカにしているのではないか。そういうことをする先生に、どうして服従できるのか。統一協会の原理がどれだけ立派でも、自分はもう信じる気はないし、先生いや文鮮明を許せない。

文鮮明は宗教に名をかりて女を騙す詐欺師だ」

 

 金源徳は軍人出身だけに一本気なところがあり(私もそうだが)、本当に怒っていた。そして、

「文鮮明という男は、さかりのついた犬だ。淫獣だ」

と腹の底から絞るように、罵倒した。金源徳の悔しさはよくわかるので、私はそれ以上返す一言葉がなかった。

 それから二年ほど後のこと。尹女史、女中、養女(大学生の娘)の一家三人が何者かによって撲殺されるという事件が起き、大騒ぎになった。警察も必死の捜査をしたようだが、迷宮入りになった。

 そのときも、文鮮明と尹女史の仲は続いており、UN軍の仁川上陸によって六・二五動乱(朝鮮戦争)が有利になったことを讃える映画、『おお仁川』の準備が二人の共同で進んでいたが、尹女史の突然の死で資金が出なくなり、中止になった。

 金源徳を疑う声もあり、私も当時、警察の調べを受け彼の所在を聞かれた。

 その後、金源徳とは何回も会う機会があり、私もそれとなく様子をさぐってみたが、金源徳自身、事件には非常に驚いており、二人で真犯人捜しの連想ゲームをやったりもした。金源徳にはまったく変わったところはなく、犯人ではないと確信した。

 その彼も死んで、もう三年になる。

 

 

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犠牲にされた女たち – 大功労者、玉世賢の末路 (1)

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犠牲にされた女たち – 大功労者、玉世賢の末路 (2)

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犠牲にされた女たち – 大功労者、玉世賢の末路 (5)