数年前、夫がうつ病に…そして今、我が家に深刻な問題がおきました -5ページ目

再びうつへ

息子のことで、元夫に電話をした。

その声は、少し、明るく感じた。
でもその明るさは、いやな予感を感じさせるものだった。

最初に息子の話をした。
一通り話がおわり、次の元夫からの話はこうだった。


10日ほど前に、会社を辞めた。
今は実家で静養中。
あ姉ちゃんに医者に行けと言われ、強い薬をあらたに処方してもらった。
だから、眠れるようになった。

新たなプロジェクトの仕事がやってきた。
仕事の指示をだす人がいる。
でも、ほとんどこの人は外出していて、
メールでのやりとりになる。
でも、理解できない。理解できないから、仕事ができない。
もう一人、仕事のことで、きける人がいる。でも、プロジェクトが動き出したら、その人も忙しそうで、きくにきけない。
仕事ができていない状態になり、みんなに迷惑をかける。

校正や印刷も、別の部屋にあり、全てID カードや面倒な方法で入室しなければならない。

体調が悪いからと、会社に連絡をし、翌日も休み、それ以来行けなくなった。
そして、辞めた。

派遣会社の担当者が、家まで来た。
一度は会うことができたが、二度目は会うことができず、その後は全てお姉ちゃんに対応してもらった。

契約の6月末日の前に勝手に辞めてしまったことは、契約違反になる。担当者は、会社に謝罪や話し合いに行き、契約違反の件も含め、なんとか事はおさまった。




こんな話をきかされ、私は頭の中が真っ白になった。
返す言葉もでてこない。
涙もでない。

ただただ、あきれ果てるばかりだった。
























気がついたこと

先日の仕事の帰り、元夫と会った。

目が、ふさいでいる。
目が、泳いでいる。
一点に、集中しない。

声が、声にならない。
時折、うめき声になる。

やせている。
はきがない。

見た目から、「この人病気?」と思う人もいるだろう。

しばらくもらっていなかった薬も、医者に行ってもらってきたと言う。

ほんとうに、まずい状態になっている。



そして、

「仕事ができない
今の契約、7月できれると思う」

この言葉には、私も頭をかかえてしまった。


元夫は、あいかわらず、


おれのせいだ~
なさけない~


と、連発してくる。

ふと、気がついた。


いつも、「おれのせいだ」と言う。
おれのせいだから、のあとに、何もない。
おれのせいだから、なんとかしなきゃと、なぜ思わない?

いつも、「なさけない」と言う。
なさけない、のあとに、何もない。
なさけないなんて言ってる場合じゃないと、なぜ思わない?

おれのせいだ~なさけない~だけきくと、「この人、心から反省しているんだなぁ」と周りの人は思い、許してしまう。同情してしまう。そこで終わってしまう。

本人は、そんなつもりはないだろうが、
同情をかっていた!?そんなふうにも思える。

そして、もうひとつ、気がついた。

元夫の今の状況は、ほんとうにかわいそうであると思っていた。
でも、ほんとうにそうだろうか。
かわいそうなのは、私たちなのではないか。

こんな父親にふりまわされている、私と子どもたちのほうが、よっぽどかわいそうだ。



















また、うつ病の入口に

引越してきて、まだ家の中は雑然としているが、生活そのものは、とても落ち着いている。

心配していたご近所さんも、今のところ、いやな印象の人は、誰もいない。

家族3人穏やかである。



元夫からは、一度連絡があった。
先日の電話で、話がとぎれたお金のことだった。
「今、実家にいる。これからもっていく」と言う。


えっ!?くるの?と思った。
と同時に、この日は予定があったため、断った。
予定があったことに、私はホッとした。

それにしても、なぜ実家にいるんだろう。
野球に行って、実家に帰って、またでかけてくるなんて…と少し心にひっかかっていた。

その後、元夫からお金が振り込まれるわけでもなく、連絡もあらためてくることはなかった。


息子の高校の体育祭の日の朝、娘がふと、
「パパ、どうしてるんだろう」と言った。

昔の職場なら、休んで子供の行事に参加できたが、今の所は休めない。
でも、万が一のこともあるかなと思い、
「そうだね。体育祭、みたいだろうね。パパに連絡してみるね。」と娘に言った。

様子がおかしいその声に、驚いた…というより、またか…と思った。
私は、たんたんと体育祭の話だけをした。
それは、娘がそばにいたから。
また様子がおかしいこと、娘に知られたくなかった。

あと20分したら、娘は出掛ける。
だから、「あとでかける」と、電話を切った。


そして、20分後。

「仕事ができない
トラブルがあった
また、あの時のようになりそうだ
でも、ならないようにがんばっている」

どうやら、うつ病の入口にいるようだ。


トラブルがあって、仕事ができなくて、うつになっているのか、
うつになって、仕事ができなくて、トラブルになったのか、それによって対処に違いがでてくるが、本人はわからないと言う。


週末の、コーチをしている野球にも、しばらく行っていないと言う。
しばらく…つまり、この前実家から電話があったのは、こういうことだった。

そして、しばらくというのは…私たちがアパートをでてから、元夫は野球に行っていないということだった。

野球のコーチという元夫の居場所は、常に保っていてほしかったが…。


そして、

あのときのようにはなりたくない。
立ち直れたのに

という元夫の言葉に、なんだか、自分の力で立ち直った、という感じをうけた。


あの時、いろんな人の力で立ち直れたんだよ!
今度は自分一人の力で立ち上がってごらんよ!
そうでなきゃ、いつまでもかわらないよ!


うつ病の入口にいる人には、不適切な言葉だったかもしれないが、元夫に対する、私の本気の願いの言葉だった。