数年前、夫がうつ病に…そして今、我が家に深刻な問題がおきました -7ページ目

流れがでてきた

入居が決まったとき、息子と二人で、建物を見に行った。
その時、30代ぐらいのスーツを着た男性が仕事から帰ってきたようで、「こんばんは」と挨拶を交わした。この男性は、うちが入居予定の右隣の部屋へ入っていった。感じの良い方だったから、少しホッとしたが、左隣はどうだろうと不安になりながらアパートへ戻った。

鍵をもらえるようになってから、まだ部屋をみていない息子を連れて、先日行ってみたところ、息子の友達のママがいた。
私も面識のあるママだから、お互いに「こんなところでどうしたの?」と、びっくりしていた。
このママの友達が、うちの左隣の人で、今も遊びにいってきたところだったそうで…
息子より、一つ上の男の子がいて、野球をやってるよ~と教えてくれた。
うちが隣に住むことを
「メールしておくね~」と言ってくれた。
ホッとした。

重たい心から解放され、体が動くようになってから、公共料金・インターネット・不動産屋・火災保険・住宅に関する手続き・転居届け・住まいに必要な物の購入など、最低限やらなければいけないことを一気にやることができた。

そして、転居のお知らせのハガキまで、用意することができた。

このアパートへ引っ越してきたとき、世の中から除外された気分だったり、過去を一切立ちきりたい気持ちだったり、夫の名前を入れた家族4人の名前を印刷することへのためらいもあり、転居のハガキを作っていなかった。1年の転送期間もすぎ、毎年150通ほどあった年賀状のやりとりもしないまま、うちはいったいどこへいってしまったんだろうという状態になっていた。
でも今回は、転居ハガキを準備することができた。
家族の名前は3人分。
次の住まいに夫がくることをなしにしたら、迷わず3人の名前にすることができた。

以前、うつ病の夫を入院させたあと、なかなか売れなかったマンションが売れ、それまで停滞していたものが、ようやく流れだしたことがあった。

今回も、同じような感覚がある。

夫がいると引き戻される、夫がいないと前に進むことができる…と、もしかすると、ほんとにそうなのかもしれない。






重たい心

重たい心になりながら、仕事場へむかった。

夫がわるいわけではないのに…
かわいそう…

恨めたらよかったのに…



着物に着替える30分の間に、気持ちは仕事一色になった。

8時間の労働後、着替えるため更衣室に近い部屋へむかった。
その数分の間に、また重たい気持ちに戻っていく。

涙がでそうになる。

ドアを開けると、むこうからもドアが開いた。
祭主さんだった。
いつも相談すると、まるで神様からの言葉ではないかと思うくらいの返答をくださる祭主さんと、同じドアを開けていた。

「少し、お時間いただけますか?」

私は、今の重たい気持ちをうちあけた。

祭主さんから、こんな言葉をいただいた。

「かわいそうと思う気持ちはとても大切。でも時にはつきはなすのも必要。ご主人には自立が必要。お互いに自立すべきである。そしてご主人は、いつかわかってくれる。」

少しの時間は30分経過していた。

重たい気持ちはいつのまにかなくなっていた。



これ以来、重たい気持ちにはなっていない。

着々と、引越しの準備にとりかかっている。

元夫との話し合い②

ひとつだけ、夫に確認したいことがあった。

都営住宅に、一緒に住むつもりでいるのかどうか。

「それはない」との答えに、ホッとした。
でもそのあとの言葉に、あきれた感覚に近いような感情があった。

「働いて、民間の住宅を借りて、家族で住みたいと思ってる」


あれから何年たっている?

この人だけが、まだ時がとまっているような気がした。
この人のいう家族という形は、たった一つに個立されてるような気がした。


この住宅に申し込んだのは去年の8月。あの頃夫の収入が途絶え、このままではまずいと思って申込んだもの。
2ヶ月今の職場に就いたから、そんなことが言える。

腹がたったわけではない。
あきれたわけでもない。

夫が言うこと、すべてに返す言葉があった。

そして今回、
夫として、男として、物理的には頼ったとしても、精神的に頼ることはないと、はっきり言った。


時がとまっている夫と、先に進んでしまってる私の話し合いは、結局時間だけがすぎていく。

落ち込んでいく夫につきあっている時間はなかった。
あと数時間で、花嫁介添えの仕事にでなければならなかったから。

最後にもう一つ、きこうと思っていたことがあった。

「私に頼ってる?」これは金銭のことではない。

以前母が、夫が私を頼ってると言った。それがひっかかると。

夫からの返事はなし。
でも、顔をみればすぐわかる。

愕然とした。

子供たちに会えなくなることに、どうしようもないくらい落ち込む夫が、ポツリと
「働く気がなくなる」と言った。

予想通りのことだったが、さらに愕然としてしまった。