ホロスコープにおいて、ハウスは12、主要な天体は10存在します。
天体配置がどうばらけても、必ず空になるハウスができます。
水星や金星は太陽の近くにいることも多いことなどもあり、ハウスの半分以上が空であるということも珍しくはありません。
一般的に、「天体のあるハウスは人生において重要性の高い分野」「天体のないハウスは直接意識することが少なく、人並み、平凡な分野」といった説明がなされていると思います。
また、天体のないハウスについては以下のような手法があると見たことがあります。
・カスプサインのルーラーが、そのハウスに在室しているとみなして雰囲気を掴む
・ハウスコネクション(カスプルーラーがどのハウスに在室しているかでハウスとハウスの関連性をつなぐ)を用いて色付けしていく
初学者の私が知る範疇ではあるものの、基本的にはこのような考え方を否定するような発信は今のところ見たことがありません。ですが、松村潔先生の「最新占星術入門」を読んでいると、ハウスにおける天体の有無の捉え方について、より理解が深まりましたので、そのことについて自分の考察も含めまとめたいと思います!
(こちらの記事を踏まえての考察になります。天体とサインの関連性を理解してホロスコープのポテンシャルを活かし、才能開花につなげる)
松村先生は、天体のことを「欲求」「生きた活動」「主体性」といった、時間的スケールを持つ動的な生命力・活性化されたエネルギーと捉えられるような言葉で表現されています。
一方でサインは天体の活動が形骸化された静的で空間的なものと表現されています。
つまりハウスに天体があるということは、「その分野において主体的な働きかけが起こる」ということですが、それは「そのハウスがポジティブに活性化されていく」のと必ずしも同義にはならないようです。
天体の「動的」な働きは、どのような方向性にも働く可能性がある前提をふまえなければなりません。天体の未熟さがあれば、そのハウスにおける活動がチャートの持ち主にとってネガティブなダメージとして受け取れるようなケースも十分ありえるのです。
松村先生は
「ハウスにある天体は、その天体の示す意味において強い執着と本能的欲求を持っていることを表すだけ」
「天体のいたずらで、在室するハウスの力が抑圧されることもある」
「多くの人の前のスピーチで、意識しなければ成功するのに、意識したために緊張して失敗するのと似ている」
などと表現されていました。
一方で天体のないハウスについては、以下のように、一般的に出回っている解釈よりも少し希望的な雰囲気で説明がなされていました。
「その人がわざわざ意識的に取り組まなくても、そこそこの働きをしてくれる、オートマチックに働く力を持っている」
天体が存在するハウスは、主体性を発揮したい分野であり、何かしらの欲求や期待感がベースにあるため、ともすると不足感や欠乏感を感じやすい側面があるという事になります。
天体のないハウスは、執着的になることがなく、自然体で関わることのできる分野であると言えそうです。
過去記事にまとめたように、「天体が活動を重ねて経験値を積むことで、ルーラーシップでつながるサインも成熟していく」という考え方があるのですが、つまりは天体のないハウスも成熟させることができるということになると考えます。
1つのハウスにつき、たいていは2つ、場合によっては1~3つのサインが配置されていますが、それらのサインのルーラーである天体が活動すると、ハウスの雰囲気も変化するようです。
天体がないハウスは、直接的に積極性を以て関わることは少ない一方で執着的にもならない分野と解釈できますが、そのサインのルーラーが成長することで、結果として、「意図せず」「自動的に」そのサインにおける「成功」と呼べるような状態にも結びつきうると言えると思います。
2ハウスに天体がなくても、膨大な収入を得ているような人はたくさんいます。2ハウスにあるサインのルーラーの力を上手く発揮できているのかもしれません。
天体のないハウスでもオートマチックに充実させることができると言うしょう。
ホロスコープは上澄みに見える傾向だけをストレートに受け止めてしまうと、逆に新たな先入観を自分や自分の未来に対して持ってしまうことで、可能性を制限してしまうリスクもあるように感じます。
よく言われている「星から自分を知って人生に活かす」という考え方には大変共感できますし、実際私もそのような関わり方をしようとしています。
ですが、その行動の背景にあるものが「ホロスコープから可能性を探る」ことなのか、「ホロスコープから見えることを盲信して自分を説得する」ことなのか、時々立ち止まりながら、星だけでなく自分自身を見つめることも忘れないようにしたいと思います。
どんなツールやノウハウも、自分自身の「主体性」がなければ、使う側でなく「使われる側」「消費される側」になってしまいます。
「主体性」とはまさに「天体」の力そのものです。天体を使わなければ、天体そのものが成長しないどころか、サインもハウスも成熟することはありません。
意志を持って天体を使う過程においては、短期的に好ましくない状況になることは多々あると思いますが、そんなときにこそ星にヒントを求めるべきなのだと思います。