自由な働き方が増えている近年、選択肢が多いことで逆説的に「自分に合っている仕事とは?」といった迷いや悩みも生じやすくなっているようにも思います。
また、社会的秩序の遵守よりも、個の尊重に重きを置くような風潮もあり、「天職」という個の能力を最大限に発揮できるような働き方について、考える人も増えているのではないでしょうか。
特にホロスコープを好むタイプの人は、スピリチュアルな考え方も好んでいることが多いと思いますので、「天職」「天命」「使命」「ミッション」といったことをチャートから見出したい衝動を抱えやすいかもしれません。
私自身そのような節がありました現状の行き詰まりを変えたくて、「本当の自分の資質とは?」と、何か救いになるようなものを求めては色んな解釈を読み漁ったり…それで一喜一憂するのも楽しかったといえば楽しかったですが、建設的ではなかったなと思いますw
ですが、占星術について少しずつ現実的に建設的に向き合おうという姿勢が持てるようになってきた今も、ホロスコープから「天職」「天命」「使命」「ミッション」といったことを見出していくための「ヒント」としては非常に有効性の高いツールだと感じています。
プロの方ならヒントどころかはっきり分かる方もいると思いますが、それを本人にストレート伝えるという事で、あらゆる「過程」を奪ってしまう事にもなりかねない側面もあり、よくよく考えると難しいポイントなのではないかと思います。
どんなに輝かしく眩しい実績にも、その背景には様々な過程、ストーリーが必ず存在しています。そのストーリーの取り掛かりがどのようなところにあるのか、という視点からこの記事をまとめていきたいと思います!
参考図書は松村潔先生の「最新占星術入門」です。
仕事に対する姿勢や考え方は、経験とともに変化・進化していくという前提を持ったうえで、まず仕事をする「動機」としてどのような傾向を持っているのかは、ハウスの状態から捉えることができるようです。
どのハウスも仕事と全く関係がないことはありませんが、特にダイレクトにかかわっているハウスは2・6・10ハウスと言われています。
2ハウス
お金が欲しいという欲求や、仕事におけるモチベーションの中で「収入」に対するウェイトの大きさ
6ハウス
労働することに対する充実感、求められる役割を実務的に遂行する行為そのものに対するやりがい
10ハウス
社会的な業績やステイタス、キャリア、成功
これらのハウスのうち、天体が入っていて強調されているものがあれば、そのハウスの象徴する分野において活動することで「仕事」として手応えのある経験の獲得につなげられていくと考えられます。
例えば、2ハウスが強調されていれば、いかに収入が得られるか、利益に繋がるか、という欲求を働かせられるスタイルの仕事が適しているかもしれません。シンプルに雇用されて淡々と一定の収入を得ていくよりも、本業副業問わず自分の才能を生かして収益化できる環境があることが良い可能性が考えられます。
また、2ハウスは変化を嫌い、頑固さがでてくることもあるため、自分の価値観や譲れない信念を尊重できる環境であるかという点も重要となります。ですが自分の資質を洗練させていくためには他のハウスに関わる分野にも取り組む必要があるため、当たり前ですが一筋縄ではいかない所もありえます。
6ハウスが強調されていれば、自由で暇な環境よりも「依頼されたことに応える」形で仕事ができる環境が望ましいと言えそうです。私は6ハウスに月と火星がありますが、「目の前にある、人や組織や社会のニーズに応えられている」という実感が伴うタスクがあると、非常に生き生きと働くことができます主体性や能動性がない訳ではありませんが、「相手のため」「組織において」という視点が強く、「求められていないけど自分がこうしたいんだ!」といった発想には至りにくいと思います。また、「どこかで誰かの役に立ってるかも」というふわっとした着地点ではなく、はっきり分かりやすい形で評価や感謝されることも重要と言えそうです。
10ハウスが強調されていれば、「結果」を重視することになりそうです。10ハウスのカスプはMCであり、MCはその人の人生においての社会的到達点という意味がありますので、思い立ってすぐに10ハウスを充実させるということは難しいことの方が多いかもしれません。とはいえ成長は螺旋状に繋がっていきますので、10ハウス的なこととして、常に「社会」における自分の役割を意識しておくことは重要性が高いと言えそうです。
2ハウス6ハウスは北半球にありますが、10ハウスは南半球、それも南頂から始まるハウスです。「自分」「あなた」よりも「社会」という集合体の営みを理解した上で、自分の力を発揮できることこそが、人目に付く目立つ形での「業績」「成功」に結び尽きます。
ずっと家にいる、親しい人とだけ過ごす、という世界観ではなく、外へでて色々な人・ものとの交流を積み重ね、そこから学んでいく姿勢を持つことが必要不可欠であると言えそうです。
チャートによっては、2・6・10ハウスどこにも天体がない、または複数のハウスに天体がある、など色々なパターンがあると思いますが、あくまで「仕事」と関わる上での一側面として捉えておくスタンスで良いのではないかと思います。
「仕事」と「天職」は別物ではなく、「仕事」や「人生そのもの」に励む延長線上に「天職」との出会いが待っていると捉えられると、ホロスコープにある情報を必要以上に脚色せず受け止められるようになるかもしれません。(過去の自分に伝えたいw)
「天職」につながるストーリーを、「仕事」の側面からは2・6・10ハウスで見れますし、そこに天体がなければ他に強調されているハウスに関わることが「天職」につながるストーリーに織り交ぜられてくる要素になりそうです。
1ハウス(自分そのもの)
3ハウス(情報発信や教育)
4ハウス(家庭や不動産)
5ハウス(娯楽や投資、自己表現)
7ハウス(対人関係)
8ハウス(身内との密なかかわりや組織に属すこと、心理学など専門性の高い分野への没入)
9ハウス(海外、哲学、高等教育)
11ハウス(交友関係、コミュニティ、未来や理想の模索)
12ハウス(スピリチュアルや深層心理、ボランティア)
一般的な例のみ挙げてみましたが、このような言葉の背景にあるものや概念そのものすらも、現代においては日々更新されていっているので、言葉の響きに囚われすぎず抽象度を上げてヒントにできると良いのかもしれません。
もし「天職」という規模でホロスコープから読み解こうとすると、MCへのアスペクトやカルミネート天体、ハウスコネクションを用いてチャート全体を見たり、バーテックスやドラゴンヘッド、ハーモニクスなど多角的なリーディングを統合して考える必要があるようなので、幅広い知見を持ち様々な技法を駆使できる先生に、相応の対価をお支払いしてみていただく必要があるような気がします。
意外とホロスコープを読まずとも、勘の良い人に「あなた〇〇になるよ」とさらっと言われたことが当たったりとかも十分ありえる話だと思います。
実際、ホロスコープを知らなくても、社会的に成功したり、天職と呼べるような働き方にたどり着ける人はたくさんいます。むしろホロスコープをヒントにして成功した人の方が圧倒的に少ないのではないでしょうか。
成功者や偉人のチャートは、その方々が実際に功績を残した後に、後付け的にリーディングの材料とされることが多いと思いますが、どんな人にも色んな角度・タイミングで星からの応援が与えられていることは間違いないと思います。
長期的ビジョンを持ちつつ、まずは目の前にある現実的な課題にフォーカスすることでも、「天職」にたどり着く近道につながることもあるのではないかなと思います!