上司が「自衛隊の松本駐屯地にヘリコプターがあるか?」なんてことを報告書に書いていたので、どうなんだろう?と思って、自衛隊装備に詳しい人に聞いてみた。
その人の話によると、松本駐屯地にはヘリコプターがなく、群馬だか栃木だかから(聞いたけど忘れた)飛んでくることになっているのだという。
「よく知ってるなあ。」驚きながら、上司に、「自衛隊の松本駐屯地にはヘリコプターがないんですね。」と言ったら、「それは半分正解。飛べない展示用のヘリコプターはある。」ということを教えてくれた。
自衛隊装備に詳しい人に、「展示用のヘリコプターはあるらしいですよ。」と言ったら「飛べないヘリコプターがあることは知っている。でも、飛べないんだから配備はされていない。」と、このことも知っていたらしい。
「飛べないヘリコプターなんて意味がないじゃん。」とその人が言うので、「鴨猟のときとか、デコイ(模型のおとり鴨)を池に浮かべるじゃないですか。松本駐屯地にデコイのヘリコプターを置いておけば、敵国のヘリコプターが、「あ、仲間がいる」と思って寄ってくるんじゃないですか?そこをバーンって打ち落とせばいいんですよ。」って言ってみたけど、「そんなことは絶対にない。」らしい。
とりあえず、自衛隊の装備に詳しい人というのは本当に詳しいんだ、ということが今回よくわかった。
+++
随分と前に、今年2年目の部下に「1円って何銭ですか?」と聞かれた。「知らないけど、10銭だろ。」と適当に答えていた。
木曜日の午前中、出張から帰ってきた後、その部下に「この前、1円=10銭って言ったけど、1円=100銭だった。毎日NHKでも為替相場を200円20銭とか言ってるもんな。」と声をかけたら「昨年1年分の50カ所の6項目にわたる月別電気代報告書を、1円=10銭で計算してしまいました。」なんてかわいいことを言う。なんでも、10.12円と書いてある電気料金表を、全て11円2銭と計算し直して足し合わせたらしい。50カ所は、いろんな書類に分けて綴られていて、今まで毎日、1冊ずつ計算していたのだという。
「10.12円って書いてあったのを、11円2銭ってわざわざ読み替えるなんて、おかしいとは思わなかったのか?」と聞いたら「係長の言うことを信じていたので。」なんてことを言う。「それに、計算とかあまり得意ではないので。」「…。」
「その計算したときのエクセル表を持ってこい。」と言ったら「全部、電卓とメモ帳で計算したのでエクセルは作っていません。」とこれまたかわいいことを言う。「それだけの計算を電卓でしたのか?メモ帳はどこだ?」「メモ帳も捨ててしまいました。」「それじゃ、報告書の計算が正しいかどうかの裏付けも取れないだろ。その報告書はいつまで?」「来週の火曜日です。」
責任を感じたのと、俺がやった方が早いと思ったので、それから夜の10時近くまでかかって全ての書類をバラして、数字を探し出し、エクセル表を作り上げた。ほとんど休みも取らなかった。部下はいても意味がないので早々に帰してしまった。その日の夜は、なかなか寝られなかった。理由はわからなかった。
金曜日の朝、自宅でご飯を食べていたら、寝不足のせいなのか、全く味がしなかった。「味覚障害かあ。」なんて思った。何も考えられず、ぼんやりしていた。でも妙に清々しい、おかしな気分だった。
朝早く職場に行き、コンテナのなかにバラバラに放り投げていた書類を再び元通りに組み直した。部下が出勤してくるときまでには、全てを終え、計算を終えたメモリースティックを机の上に置いておいた。
目がよく見えなくなっていた。見えるんだけど、曇っているようによく見えない。何度も目をこすってみた。部下が「あとは報告書に写すだけですね。」なんてことを言っていた。「気楽に言いやがって」とは思ったけれど、そんな声をすごく平板な心で聞いていた。「うん、うん。」と頷いただけだった。眠いのに、寝られる感じでもなかった。活動レベルが低いまま仕事をしている感覚だった。冬眠前のクマはこんな気分なのかな?なんて思った。
コーヒーをがぶ飲みして、雑用をしているうちにだんだんと回復してきた。昼前には再びいつもの感覚を取り戻すことができた。目も見えるようになってきたが、味覚はなかなか戻らなかった。
+++
金曜日の夜、突然、ソフトボールの審判をすることになった。「7時くらいまでに試合会場に行ってほしい。」と言われる。
試合会場は小学校のグランドか中学校のグランドのどちらかだ。2つのグランドは1.5kmくらい離れている。
家にあった試合表で、会場は中学校のグランドだと分かる。先日、自転車のブレーキを修理したばかりなので、その自転車に乗っていこうと思った。
7時を少し過ぎた頃、中学校まで辿り着いた。でも、誰もいない。ライトも点灯しておらず、グランドは暗いままだ。
駐車場には、父兄の出迎えの車が待っている。部活を終えた中学生が歩いてくる。自転車に乗った怪しいおっさんである俺は変質者だと思われているのではないか、と思う。
来るときにちらっと小学校のグランド方面を見たら照明が点いていた。「ひょっとしたら俺が表を見間違えたのかもしれない。今日の試合会場は小学校のグランドかもしれない。」と思った。
それで急いで小学校のグランドまで自転車を走らせた。あらためて見ると小学校のグランドには煌々とライトが灯っている。「やっぱり小学校だったのか。」辿り着くと、そこでは消防隊員が訓練をしていた。
「やっぱり中学校だよな。さすがにそこは俺も間違えないだろ。」再び中学校に向かう。時計を見ると7時30分になろうとしている。聞いていた試合開始の時刻だった。「もしかしたら、中学校のグランドは、2面あるのでは?」なんてことも思った。しばらく田舎を離れているうちに、中学校のグランドが増えたのかもしれなかった。
中学校に近づいても、辺りは暗いままだった。ライトが見えない。「やっぱり小学校で消防団の練習しているところで、いっしょに試合をしているのだろうか?」なんて思う。
審判を頼んできた人に電話をするが、留守電の音しか聞こえない。途方に暮れた。
辺りはもう真っ暗になっていた。街頭の防犯灯が灯り出した。「いったいどこで試合をしているんだろう?俺なしで試合は進むのだろうか?」中学校のグランドでしばらく呆然としていた。
バックネットの方で声が聞こえるので行ってみた。不用意に中学生に近づいて、変態だと思われるのはやだなあ、なんて思いながら自転車をゆっくりと走らせた。
そこで話しをしていたのは大人の人だった。「今日、このグランドでソフトボールの試合がありますか?」と聞いてみた。「ええ。あります。」と言われたときは、本当にほっとした。試合は8時からということだった。
そのうちに、ライトが灯り出した。両チームのメンバーが集まってくる。練習が始まった。主審を務める知り合いの顔も見られて、ほっとした。僕は塁審と点をつける係をした。
試合は一方的な展開だった。5点差ほどつけられて、一方のチームが負けていた。ところが、最終回の裏に打線がつながり、差が2点まで縮まった。僕は点をつけていたので、「今、何対何?」とみんなが聞いてくる。
2点差で2死2、3塁。迎えるバッターは強打者。一打逆転も十分にある。
どうするんだろうと思ってみていたら、まさかの敬遠だった。ソフトボールは敬遠と申告するだけなので簡単だ。
それで2点差で2死満塁。押し出しもあるよなあ、なんて思いながら見ていた。バッターがセンター方向にライナーを打った。センターが回り込む。捕ればゲームセット。落とせば同点。抜ければサヨナラだ。
センターが追いついて、ギリギリ捕った。そして、落とさなかった。
最後までハラハラして見ていた。とても面白かった。観客が誰もいない試合だけど、いい試合だった。10時前には家に帰った。
+++
土曜日はMOSのパワーポイント2010の試験を受けることにしていた。車で1時間くらいの試験会場に行く。
午後1時30分から、と言うことだったが、受験者は僕以外には1名いただけだった。「自分のタイミングで始めてください。」というので、すぐに試験を開始した。
パワーポイントを苦手という意識が僕にはない。FOM出版の「MOS PowerPoint2010対策テキスト&問題集」を解きながら勉強をしていたが、ランダム試験ではほぼ毎回100%の正解だった。
この問題集の中に「グラフの横軸に補助線を入れなさい」という問題がある。この問題ではなぜか、その指示通りに横軸に補助線を入れると誤りになってしまい、縦軸に補助線を入れると正解になる。
それから、表の自動調整の問題は何回やっても絶対に正解にならない。
僕はこの2問以外はFOM出版の規定では、正解にできる自信があった。
だから当然、今回の試験でも満点を狙っていた。でも、試験結果は1000点満点で957点だった。分からない問題はなかったけれど、どこかで間違ったのだろう。700点で合格なので、十分に合格だけど、悔しさが残った。
帰り道、高速道路を運転しながら、大音量でディープ・パープルとレインボーの曲をかけていた。俺の車は9つもスピーカーを積んでいるので、本気で音楽を聴くと内装に振動が伝わって揺れる。
レインボーの「バビロンの城門」やディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」を聴きながら「俺、こういうロックのファンで良かったな。」と思う。レディオ・ヘッドのような内省的なロックもいいけれど、むしゃくしゃしたときにはこういうマッチョなロックが一番だ。
+++
ジュリア・ロバーツの映画、「エリン・ブロコビッチ」をようやく見た。他部署の部下が、転勤するときに俺にプレゼントしてくれたDVDだった。
http://youtu.be/_2GvrAQMNoU
主人公は3人の子供がいるシングルマザー。無職。交通事故にあって裁判で何もしてくれなかった法律事務所に無理矢理就職する。
その法律事務所で働いているうちに、巨大企業の公害隠蔽に目をつける。原告団を組織し、和解金をふんだくり、莫大な報酬を得る。簡単に説明するとそんな映画だ。
どうして、この映画を俺に勧めてくれたのか、部下の思いを考えてみた。苦情まみれの俺の仕事を見て、へこたれるなという意味だったのか、状況を嘆いてばかりいても進歩がないという意味だったのか。それとも、俺のネクタイが信じられないくらいダサイですよ、という警告だったのか。
いろいろと考えてみたが、よくわからなかった。でも、世の中の多くの人が、俺と同じように、山ほど文句を言われながらも、忍耐強く闘っていることを改めて認識させられた。
それから、俺は弱音を吐くタイミングが早すぎることも自覚した。俺が主人公だったら、あそこまで闘えなかっただろう。冷静に考えてみると、確かに俺に必要な映画だった。部下には感謝したい。
***おまけ***
ディープ・パープルの名曲「ハイウェイ・スター」(訳は俺が適当にした)
http://youtu.be/7zKAS7XOWaQ
俺の車は誰にも渡さない。
俺は徹底的に走らせる。
誰も俺の車に勝つことはできない。
俺の車は音速を突き破る。
全てを備えた殺人マシン。
馬力、でかくて太いタイヤ、とにかく全てがある。
俺は車を愛している。なしではいられない。血と同じだ。
俺の車は強烈なハリケーン。
大丈夫。しっかりつかまってろ。
俺はハイウェイ・スター。
俺の女は誰にも渡さない。
俺は死ぬまで離さない。
誰も俺の女は手に入れられない。
彼女はどんな状況でもぴったりとついてくる。
全てを備えた殺人マシン。
口の動き、ボディーコントロール、とにかく全てがある。
俺は彼女を愛している。なしではいられない。やっちゃう。
彼女が俺に火をつける。
大丈夫。しっかりつかまってろ。
俺はハイウェイ・スター。
誰も俺のヘッドを奪えない。
俺は脳のなかでも速い。
誰も俺のヘッドを盗めない。
俺は今、再び道路に戻ってきた。
俺は再び天国に来て、俺は全てを備えている。
動く地面、開けた道路、とにかく全てがある。
俺はそれを愛している。なしではいられない。やっちゃう。
8気筒は全て俺のものだ。
大丈夫。しっかりつかまってろ。
俺はハイウェイ・スター。