11月3日、秋になっても夏日が続く今日の「文化の日」、毎年楽しみな、第10回日展に行ってきました。

(於 国立新美術館、会期11月3日~26日)

 

日展は、日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の五部門で開催されていますが、その中で、今回は日本画、洋画、彫刻の3部門を拝見してきました。

今日は、その中で日本画部門について触れたいと思います。

 

日本画の会場第1室です。

 

日本画部門の入口です。

 

今日は、最初に、個人的に親交の深い福田季生さんと石井清子さんの作品を紹介したいと思います。

 

福田季生さんについては、これまで日展の作品や個展の様子について私のブログで度々触れてきました。

 

 

 

 

福田さんは、これまで日展に力作を出展してきましたが、今回は、特選を受賞し、第1室の展示でした。

福田季生さんの作品です。

「天体観測」福田季生 京都府・特選

浴衣を着た4人の女性が、星空をただひたすら見上げています。

それぞれの浴衣の柄も素敵ですが、4人の女性の関係は?と思い作品をよく見てみると、椅子に座って小さな望遠鏡を見ている女性は若く、その後ろで椅子に手をかけてしゃがんでいる女性はやや年配の感じがしますので母娘若しくは姉妹の関係なのでしょうか。

 

ほとんどすべての名作がそうであるように、この作品には物語を感じさせます。

これまで福田さんの作品は、女性一人の作品しか拝見したことがありませんでしたので、今回の作品は、大きな挑戦であり、驚きの作品です。

 

最初に第1室の風景を掲載しましたが、展示する側でも、望遠鏡を通してみる空の方向に空間を作っており、工夫されたのかなと思いました。

 

次は、石井清子さんです。

石井清子さんも以前から日展で入選を重ねており、いつも楽しみに拝見している作家さんです。

特に、昨年の第9回日展に出展した作品が、美術雑誌の「美術の窓」の今年の3月号の可愛い特集に大きく取り上げられたことは記憶に新しいところです。

 

今回の作品です。

「stream」石井清子 福岡県・入選

猫が飼い主に見せる甘える姿を、遊泳するかのように描く石井清子さんの作品です。

私は石井さんのブログをいつも拝見しているので、ここに登場している猫をよく知っており、作品を超えた思い入れを感じます。

かつては、猫だけではなく、金魚や蝶も一緒に描かれていたことが多いと思いますが、今回は猫だけを描かれており、より猫との対話が深まる作品に感じます。

 

そして、もう一つ気が付いたこと。今回、展示した部屋は次の通り第18室になりますが、

 

この部屋を離れ、振り返ってみると、通路の先にこの作品が見えました。

 

実は、前回の第9回日展においても同じ現象があり、その際、ブログでも触れさせていただきました。

振り返って昨年のブログの記事を見てみると、石井清子さん作品を展示した部屋は第17室でしたが、展示した場所は、今回と同じ場所でした。

 

前回の写真です。

展示する方が、石井清子さんの作品がこの場所が似合うと考えたのか、それとも偶然なのか、謎が深まります。

 

以下、他の方々の作品を紹介します。

いつも素晴らし人物画を出されている山下保子さんと、西田幸一郎さんの作品です。

 

「夢のあとさき」山下保子 神奈川県・会員

 

「月蝕」西田幸一郎 京都府・会員

 

村居正之氏の、独特な青と遺跡の作品です。

「STAR」村居正之 大阪府・理事・審査員

 

今回の、内閣総理大臣賞は西田眞人さんの作品でした。

「懐」西田眞人 兵庫県・会員 内閣総理大臣賞

 

昨年も炎の作品であったかと思いますが、今年も中村賢次氏の作品は「春焔」という作品でした。

「春焔」中村賢次 熊本県・会員

 

花や植物の作品もそれぞれに魅力です。

 

動物を写実的に描く池内璋美氏の作品は、こちらの銀杏の作品でした。

「秋麗」池内璋美 京都府・会員

 

「花菖蒲」渡辺信喜 京都府・理事

 

「路傍の春」藤井範子 大阪府・会員

身近な風景を優しく描いた作品と思いました。

 

いつも花とインコを描く鍵谷節子さんの作品ですが、今回は、なぜかインコは登場していませんでした。

「萌える薔薇」鍵谷節子 大阪府・会員

 

動物を描く作品も魅力的な作品が多く、こんな作品が印象に残りました。

「雪迎え」藤島博文 茨城県・会員・審査員

 

「心月」稲葉未来 福岡県・入選

 

「日々・見つめる」小熊香奈子 和歌山県・入選

 

「空」吉川功晟 奈良県・入選

 

子どもと写実的な風景とにだわりを見せる若手の中村妃菜さんの作品です。

「蔦の絡む家」中村妃菜 熊本県・入選

 

駆け足になりましたが、日本画部門の私が気になった作品の一部を紹介させていただきました。

また、洋画と彫刻部門は別途紹介したいと思います。