今日は、現在、横浜中華街の画廊 art Truthで開催中の、永見由子個展・模糊のほとり に行ってきました。
(会期 11月25日(水)~11月30日(月))
永見由子さんが描く少女は、記憶の中で浮き沈む、懐かしくて、神秘的で、哀しくて、悪戯で、そして愛らしい存在・・そんなふうに私は感じます。
「模糊のほとりで」 岩絵の具ほか 作品45.5㎝×53㎝
白い水連が咲く水辺のほとり、白い燈明の淡い光が闇の奥の深さを照らしだしています。
着物姿の少女が遊ぶあやとりの赤い糸は、生命と運命の綾を象徴しているかのようです。
ゆらゆら揺れる黒蜻蛉の姿も、はかなげです。
「模糊」とは、ぼんやり、はっきりしない様子を意味する言葉。
少女の姿を通して、命と、命の向こう側の境を、情感あふれる画面で描いた作品ではないでしょうか。
私が、永見由子さんの作品、そしてご本人に初めてお目にかかったのは、ちょうど4年前、この画廊art Truthの個展でした。そのときの印象は大変深く、それ以降、個展やグループ展を拝見し、私のブログでも何度も取り上げさせていただきました。
〇永見由子個展「糸を蒔くもの」(於 art Truth) あなたは、何を感じ取ることが出来ますか?(2016年11月)
〇Black and white FantasyⅢ―鉛筆画展―(於 art Truth)(2017年1月)
〇思い思いのプロフィールⅡ大橋絵里奈・篠塚はるみ・永見由子・林ゆいか・星奈緒 於art Truth(2018年1月)
〇永見由子個展・夢のしたく(於 art Truth)に行ってきました!(2018年10月)
〇銀座の画廊 美の起原で開催されている「月下美人」に行ってきました!(2020年9月)
今日も、永見由子さんが在廊されており、久しぶりにお目にかかることができました。
「御粧し」 岩絵の具ほか 作品16㎝×9.5㎝
永見さんの作品には、時々、犬の狆が登場します。
永見さんは、狆を飼われており、この作品は、ご覧の通り、可愛らしく愛情に溢れた作品です。
思い出すのは、2年前の個展の際にお目にかかったとき、ちょうど飼われていたパグが亡くなった後で、急遽完成したというのがこちらの作品です。「Mercy」という作品です。(永見由子個展・夢のしたく(於 art Truth)に行ってきました!)
愛犬への愛情と哀しさを深く感じる印象的な作品でした。(実は、この作品は、今、私の手元にあります。)
他の作品を紹介します。
「深海の逢瀬」 岩絵の具ほか 作品116.8㎝×91㎝
この作品は、かつて現代童画展に出展して、東京都知事賞を受賞した作品とのことでした。
迫力があり、大変、美しい作品です。
「あかい結び目」 岩絵の具ほか 45.5㎝×53㎝
永見さん作品に登場する赤い糸は、少女の運命を象徴するものといえると思いますが、その糸をつなぐ役割に蝶が登場しています。
ひらひらと飛ぶ小さな命の蝶、蓮の花、シャボン玉、明るい画面の中に、少女を運命づけるものが美しく散りばめられています。
「金魚になりたかったアマビエ」 岩絵の具ほか 11㎝×8㎝
永見さんがアマビエを描くとこうなるんだと、とても納得し、感心した作品です。
このほか、大小さまざまな作品が、会場には展示されています。
以上、大変雑駁ですが、永見由子さんの世界を十分堪能できる作品展でした。
なお、画廊art Truthのホームページで出展作品のリストが掲載されていますので、興味のある方は是非ともご覧ください。