(前回の続き)

 総代会(組合員の代表によって構成される生協の最高意思決定機関)という集会で成された、中大生協の郷田勝也専務理事の発言が残っている。これら一連の出来事を、中大生協がどのように捉えているかの証拠となっている。

 ・・・・・・・以下セリフ引用・・・・・・・


「三多摩合同労組(吉田さんの所属する労組)は(中略)これはちょっと荒っぽい、で、ああいう争議行動をして、相手を屈服させて、まあ、解決金と言いますか、解決金を取るという、そういう、いわゆる恐喝のプロ集団という、ま、そんな認識で私どもはおります」
「本人(吉田さんのこと)の性癖というか、性格につきましては、自分がこう思ってしまったこととか、自分が信じてしまったこと、このことだけが事実であり、あるいは真実であって、それを批判したり、少し違うんじゃないかとか、あるいは否定したりするという者に対しては、全て敵である。そういう精神構造の持ち主のようです。確率としては10万人に一人くらいそういう精神構造を持った人がおるというふうなお話は聞いております」

 ・・・・・・・引用終了・・・・・・・

 腹黒い人間性が丸見えなのは、ねちょねちょした話しぶりからだけではなかろう。

 三多摩合同労組について勝手なことを言ってはいるが、それらはこの郷田勝也専務理事が「そんな認識でおります」というだけだ。そしてこの人物の言うことは、まるで信用できない。


 そもそもこの事件は、「有給休暇を認めない」という、生協側の違法から始まったのだ。それについては何も触れず、ひたすら労組の誹謗中傷、個人である職員の人格否定に終始している。常識ある人間の言動とは思えない。

 この郷田勝也専務理事がしたり顔に述べる「そういう精神構造の持ち主」を雇ったのは、しかも生協側である。また、そうまで詳しく人格把握しているはずの職員について、この人物は、なんの指導もしてこなかったのだ。今さらワケ知り顔に語ったところで、説得力のあろうはずがない。

「確率としては10万人に一人くらい」という言い方も、いやらしい。相手がきわめて異常な人間であることを強調する意図が見える。そうやって相手を「話にならぬ変人」に仕立て上げることにより、自分達が被害者であることを、主張する魂胆なのだ。


 こうした発言は、労組活動を行なう職員に対する名誉毀損である。そうまでして自己弁護に終始する郷田勝也専務理事こそ、人間性を疑われてもしかたがあるまい。

 この件については、その後、郷田専務理事も村山係長も、いっさい質疑に応じようとしない。それはそうだろう。何か発言すれば、それだけボロが出るのだ。しかしそもそもは、生協側の違法行為が発端なのだ。現状では手ぬるい。事の起こりをもっと追及すべきである。



(続く)




中央大学で「パートには有給休暇は出せない」逮捕
 「オラオラ!」「おとなしくしろ!」「静かにしてろ!」。「みなさん見てください!」「警察が労働組合活動を弾圧しています!」.......... ≪続きを読む≫



 20066月、中央大学生協に勤務するパート職員の女性(吉田比呂子さん)が、有給休暇を願い出た。ところが、直属の上司である村山裕和係長は、

パート職員への有給休暇は制度として設けていない」

と一蹴した。納得できない吉田さんに対し、村山裕係長はさらに、

有給休暇の申請などすれば生協が吉田さんを解雇するかもしれない」

などと言った。

 有給休暇は、パートであろうが正社員であろうが、労働基準法で認められた正当な権利である。吉田さんは、有給休暇申請用紙を自作記入の上提出したが、それで得た休暇は無給扱いにされた。

 吉田さんによって事の次第が労働基準監督署に申告され、中大生協はパート職員にも有給休暇を認めるようにとの指導を受けた。しかし、生協はその後もパート職員に対しその権利について通達しなかった。それどころか、有給休暇を申請するパート職員に対し、

「パートは準従業員。有給休暇制度は規則にない」

「労基署に行かれたら仕方ないから払う。その代わり有給休暇分をボーナス等で取り返す。でもそんなことすると印象が悪くなる。配置換えもできる」

などと、脅迫までするのだった。

 よくある出来事だが、視察指導に入りはするものの、労働基準監督署はここまで洞察しているのだろうか。バカではない限り、それぐらいの想像はつくと思うが、「勧告、指導」後は実際知らん顔なのだから、同じことではある。労働基準監督署による「指導」の後、吉田さんは、有給休暇分の給与を獲得したのだろうか。記事にはその記述がない。

 とにかく、危機感を持った吉田さんは、個人でも加入できる労働組合に入り、大学構内でのビラ配布や団体交渉要求などを行うようになった。


 さて、職員の当然の権利も認めないばかりか、脅迫するような職場にはよくあるように、以後、吉田さんに対する嫌がらせが始まった。

1. 「仕事上のわからないことを隣の人に質問しただけで『私語はやめろ』と怒鳴られる。


2.. みんなと同じように働いているのに私だけが注意され、勤務態度が悪いとののしられた。


3. 内でのビラ配布で不利益を与えた、などを理由に3度の懲戒処分が下された。

4. 契約更新時期には勤務日数を著しく減らした契約変更を迫られた。

5. 図書館から売店への配置転換命令まで下された。

6. 45について、『嫌なら契約を更新しない』と迫られた。


 12は、小学生レベルの嫌がらせだが、こうした瑣末な(しかも証拠が残りにくい)やり口は、器の狭い人間が最も得意とするものだ。相手のやる気を削ぎ、退職に追い込む目的である。あるいは、反抗心を煽った上で、その態度が悪いと決めつけ、強制処分を押しつける魂胆なのだ。

 200111月、中大生協は吉田さんへの配置転換命令が有効であるとする訴訟を提起した。しかし、負け続けたのだろう、20053月の最高裁で、ようやく「配置転換は有効」との判決が出た。

 もっとも、3度の懲戒処分と勤務日数を減らした契約変更は、東京都労働委員会で不当労働行為と認められている。これについて、裁判所ではどのような判決を下したのか。一切触れなかったのか。記事には書かれていない。

 それにしても、最高裁まで争い続ける手間暇、費用があったら、従業員の当然の権利ぐらい認めたらどうなのか。この辺からも、ケチな小物臭がふんぷんと漂う職場である。

 判決確定後、生協は吉田さんに対し、売店勤務命を前面に出した契約書を送りつけた。吉田さんはこれに署名しなかったため、解雇された。



                   (続く)



中央大学で「パートには有給休暇は出せない」逮捕
 「オラオラ!」「おとなしくしろ!」「静かにしてろ!」。「みなさん見てください!」「警察が労働組合活動を弾圧しています!」.......... ≪続きを読む≫


(前回の続き)


 判決理由について、不当な点を挙げてきたが、この裁判がかなり偏った見解で進められたことも、見逃してはならない。

1. 主治医の法廷証言を採用せず、カルテも無視。
2. 精神的疾患の調査は労働者のプライバシー侵害となる。


 主治医の証言とカルテ提示があったので、小出堯氏が鬱病に罹患していたことを、裁判長は認めたはずだ。にもかかわらず、それらを「無視」するには結局、

「本人が鬱病であっても会社はそれを知らない、だから罪はない」

に持ってゆくためだった。いわば、予め用意された結論のために作られた理由としか思えない。

 そうでなければ、2のような不自然極まりない理屈が出てくるだろうか。どう考えても、

「鬱病であることを認めたくないが、主治医の証言もカルテもある。しゃーない、もっともらしい理由理屈をつけて、これらを無視してやれ」

という被告側の「都合」が明白だ。2の判決理由は、医師が証言する意味を頭から否定している。プライバシー侵害という言葉を使えば、当節なんでもまかり通せると思っているらしい。


 以上の見解が自分の誤解であったとしても、この裁判が終始理不尽な点に満ちているのは、事実である。この裁判には、労働者の「健康で文化的な生活」を支援、保障する姿勢がまったく見られない。遺族側の無念を思うまでもなく、明らかに不当な裁判である。汚い裏事情を勘ぐられてもしかたがないだろう。

 なお、今回の判決について、現被告「ソフトバンクモバイル」(吸収合併後、この件を引き継いでいる)は、

「当社の主張が認められ妥当な判決と認識している」

とのコメントを寄せている。

 吸収合併前(ジェイフォン)で起きた事件であるから、ソフトバンクモバイルに責任はないだろうとの意見もあるが、とんでもない。このようなコメントを述べることにより、既に同類同罪を証明している。類友で合併したということがよくわかった。かくなる上は仲よく謝罪し、しかるべき責任をとるべきである。

・・・・・・・以下記事貼付・・・・・・・



http://www.kinyobi.co.jp/KTools/antena_pt?v=vol640


「ボーダフォン」社員の過労自殺に対し不当判決

 携帯電話会社「ジェイフォン(当時)」(注)の小出堯さん(当時56歳)が2002年に自殺したのは、うつ病であったにもかかわらず強制配転するなどの安全配慮義務違反があったとして、遺族が会社を相手取って約1億650万円の損害賠償を求めた裁判で名古屋地裁(永野圧彦裁判長)は1月24日、原告の訴えを棄却する判決を下した。
 不当な判決に、遺族側の支援者で埋まった大法廷は静まり、ため息とともに「納得できない」との怒号も飛んだ。


 堯さんは1994年、音響機器メーカー「ケンウッド」から「東海デジタルホン」(ボーダフォンの前身会社のひとつ)に出向したが、開局までの時間的余裕もなく連日深夜まで長時間労働に従事し、出向の翌年にうつ病を発症した。さらに02年には、片道2時間もかかる保守センターに強制配転された。経験のない仕事をひとりで任されることになり、堯さんは何度も上司に配転の不安を訴えたが、聞き入れられなかった。その後、自殺未遂するなどうつ病が増悪した。自殺したのは配転から7日目のことだった。(本誌06年6月2日号参照)


 判決は、配転命令が大きなストレスとなったとして自殺との因果関係を認めたが、会社は堯さんの自殺を予見できなかったとした。これは、会社側が「うつであることを知らなかった」と押し通せば、安全配慮義務などの責任が問われないことを意味し、不当な判決といえる。妻の典子さんは「控訴してがんばりたい」と決意を語った。

 訴訟が継承されている現在の被告「ソフトバンクモバイル」では「当社の主張が認められ妥当な判決と認識している」(広報)としている。


(注)ジェイフォンが英国ボーダフォン傘下に入ったのは01年。社名をボーダフォンに変更したのは03年である。現在はソフトバンクモバイル。


      (平舘英明・ジャーナリスト)

(前回の続き)

 まず、4の「身障者の通勤片道二時間は、負担ではない」は、まともな脳と神経を持っていたら、絶対に出てこない発言である。小出堯氏の通勤手段が公共の乗り物であったなら、確実に障害者虐待になる。自家用車を使っていたにしても、片道2時間もの運転は長すぎる。健常者にとっても、大いに負担な時間と距離である。

 出勤時刻は朝であろうが、いったい何時に起きればいいのだ。また、いったい何時に帰宅し、何時に寝ていたのだ。睡眠時間は充分だったのか。食事や入浴、くつろぎの時間はあったのか。健康的な生活を送れたのか。

 会社側は言うまでもなく、裁判長は障害者の立場というものをどう心得ているつもりなのか。あまりにも無知、いや薄情に過ぎる。少しでも他者を思いやる心があるならば、3のような発言はありえないはずだ。

 次に5の「会社へ鬱病の申告をしなかった。会社は鬱病であることを知らなかったため、安全配慮義務違反ではない」だが、これで納得する輩がいたら、どんなバカ野郎か見てみたい。まして、この裁判長は、鬱病についてまったくの無知としか思えない。現代の労働者に増えている精神疾患に関し、ここまで勉強不足な者が、よく法の番人に収まっているものだ。

 鬱病の人は、自分が罹患したことをやたらと他人に言いたくないものである。中には臆せず言う人もいるが、全体としてはわずかだ。多くの患者は必死で隠そうとする。精神論(「病は気から」「忍耐は美徳」など)で育った年配の人ほど、その傾向がある。

 また、下手に弱みを見せては、それにつけこまれる恐れがある。まともな会社においても、それぐらいの懸念はあるのに、まして相手は労働者を平然と陥れるような外道会社だ。小出堯氏が会社に鬱病申告しなかったのは、道理である。

 あるいは、今回とは違うが、自分が鬱病であることに気づきもせず、刻々と追い詰められ、なんの対処もできず救いもなく、不幸な結果に突入する人もいる。鬱病自殺のうち、多くの場合がそうだという。


 いずれにしろ、鬱病だと知らなかったから会社に落ち度はない、とは無責任な言い逃れである。これでは、たとえ知っていても「知らんかった」と言えばすむことになる。人をさんざん虐待しておいて、

「病気とは知らんかった」

「死ぬとは思わんかった」

で済ませるのだ。近頃流行るクソガキ犯罪者がよく使う手である。法の番人が、それを認めるというのだから、呆れるばかりだ。

 そもそもこの言い分は、

「鬱病だと思わなかったから、さまざまな暴虐を加えた」

という理屈に通ずる。相手が鬱病患者でなければ、否、思わなければ(知らんふりさえしていれば)何をしてもいいというわけだ。

 これが、この会社及び裁判長の本音というところだろう。逆境にいる者の立場を無視した判決である。



                (続く)

 携帯電話会社ジェイフォン(現ソフトバンクモバイル)東海支社の社員だった小出堯(たかし)氏(当時56歳)が200212月に亡くなった。過労性の鬱病発症、悪化による自殺であった。

 妻の典子さんら遺族は、同社における従業員の健康状態に対する配慮不足を挙げ、訴訟を起こしていた。(損害賠償金は約1億600万円)

 名古屋地裁は07年4月24日、同社は自殺を予見できなかったなどの理由から、これを棄却した。

 遺族側は控訴する。

 19944月、小出堯氏は東海デジタルホン開局に向けて長時間労働を強いられていた。過重な業務がたたり鬱病を発症し、通院しながら勤務しつづけていた。
 2002122日、未経験な物流部門への配転が強行され、今までの倍かかる片道二時間更に通勤となった。身体障害者4級で足の不自由な小出堯氏には、さらなる苦痛であった。しかも、本来二人で担当する仕事を一人で引き継ぐことになった。


 配転宣告以降、小出堯氏は不安を抱え連日上司に訴えたが、無駄だった。会社は堯氏の立場も訴えも無視し、配転を強行したのだ。ここまで来れば、会社側あるいは上司による嫌がらせにしか見えない。
「とても一人でやれる仕事ではない。厳しい。会社はなんにも聞いてくれない。」

 過重労働、長時間通勤、勤務、理不尽な待遇などによる苦痛で肉体的精神的に追い詰められ、小出堯氏はついに命を絶った。理不尽な配転から5日後のことだった。

 名古屋地方裁判所民事第1 永野圧彦裁判長は、原告の訴えを棄却したが、その判決理由がどう考えても理不尽だ。

1. 東海デジタルホンへ出向時の開局業務は過重

 ではない。
2.
佐屋倉庫への配転は違法・不当ではない。

3. 持ち帰り残業について会社は知らず、証拠も

 無い。

4. 身障者の通勤片道二時間は、負担ではない。
5.
会社へ鬱病の申告をしなかった。会社は鬱病

 であることを 知らなかったため、安全配慮義

 務違反ではない。


 1については、何をもってそう断言するのか。おそらくタイムカードは処分、あるいは会社の都合どおりに捏造されているのだろう。いや、初めから強制的に定時で捺させていたのかもしれない。その他残る過重労働を証明するような物件も、会社によって処分されていたに違いない。むろん、他の社員にも睨みをきかせ、緘口令をしいているはずだ。

 したがって、2での勤務内容がどれほど、またどのように小出堯氏を傷めつけたかも、部外者に伝わらないだろう。実に要領よく証拠隠滅できたものだ。

 3もそうだ。都合の悪いことはすべて「知らない」で済ませる気である。そもそも、持ち帰り残業の確たる証拠なぞ、普通は残っているものではない。それをいいことに、会社はシラばっくれるものなのだ。

 証拠がすべてというのが日本の裁判ならば、しかたのないことなのか。否、45を見ていくと、裁判官に問題があることが明白である。



                (続く